A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【80'sレジェンドの二夜】AUTO-MOD(ジュネ)/沖縄電子少女彩@下北沢CLUB QUE+水玉消防団/Acid Mothers Temple@秋葉原Goodman

2022年08月11日 01時13分50秒 | 素晴らしき変態音楽


70年代後半の日本の地下音楽&パンク勃興期にシーンに登場したジュネと天鼓とカムラ。吉祥寺マイナーで結成されたWorst Noise Dance To Death(1977-1978)~MARIA 023(1979)を経て渡英したジュネが帰国後80年に結成したオートモッドは、日本のポジティヴパンク/ゴス&インダストリアルシーンの中心バンドとしてアンダーグラウンド・シーンで活動する。一方早稲田のイベントスペースJORAで78年に天鼓とカムラを含む5人の女性で結成された水玉消防団は、ロックの定型に捕われない実験的な音楽性と、今でいえばクラウドファウンディング方式でレコードを制作するといったDIY精神で独自の活動をし、パンク以降の女性ロッカー・ムーヴメントの一角を成す。さらに天鼓とカムラはハネムーンズとして即興/アヴァンギャルドの世界を切りひらく。そんな80年代地下ロック・シーンを象徴する二つのレジェンド・バンドのライヴを、思いがけず二日連続で体験することとなった。面白いのは両者とも対バン・アーティストとの出会いがきっかけで今回のライヴが実現した、というシンクロニシティである。

8月7日(日) 下北沢CLUB QUE
『沖縄電子少女彩&ジュネ生誕祭バースデーライブ』


沖縄電子少女彩
AUTO-MOD clas-six(GENET&渡邉貢<PERSONZ>)
AUTO-MOD DTD with彩

ジュネはコロナ禍の中、メンバーの脱退に伴いAUTO-MOD が活動停止状態となり、ソロ・プロジェクトを立ち上げようと考え準備を進めていたという。そんなとき、2021年8月に沖縄電子少女彩の生誕祭に呼ばれてコラボレーション。それが上手くいって何度も共演するうちに、新しいバンドAUTO-MOD DTD(Dance To Death)が生まれ、ジュネ本人もギターを本格的に弾くようになり、渡邉貢(PERSONZ)とのデュオ AUTO-MOD cla-sixとしても活動スタート。さらにKING AUTO-MOD(仮称)としてレコーディングも開始。彩との出会いがきっかけで、考えていたようなソロではなく、想定外のバンド活動一色になったという。

AUTO-MODの曲をムーディーな大人の雰囲気で演奏するデュオユニットAUTO-MOD clas-sixのステージでは、会場に遊びに来ていたPERSONZのヴォーカルJILLが飛び入りで歌う姿も観れた。AUTO-MOD clas-sixは9月から下北沢Shelterで月イチでトーク&ライヴのイベントを開催する。80年代以降のアンダーグラウンド・ロックのマル秘話が聴けるらしい。




彩のソロパフォーマンスは以前より大胆かつシャープになっていて成長の著しさを証明していた。彼女のアイデンティティとしての沖縄メロディーは、地域性を脱して世界に通じる表現方法になっていることを実感した。コロナ禍で延期になった海外公演が実現することを願っている。


AUTO-MOD DTD with 彩では、clas-sixでのムーディーな演奏とは打って変わった過激なロックパフォーマンスを展開。ドラム、ベース、ギターの3人の超個性的なルックスとサウンド、エレクトロニクスだけでなくヴォーカルでAUTO-MODの世界を拡張する彩(特に「アヴェ・マリア」の絶唱は鳥肌もの)、そして特注のクリスタルギターを妖艶に構えて、変幻自在なヴォーカルを聴かせるジュネの絶対的な存在感。ダークサイドの帝王AUTO-MODの本領発揮だった。





8月8日 (月) 秋葉原 Club Goodman
「Legends Reassemble 2022 : M.S.U. [水玉スーパーユニット] vs ACID MOTHERS TEMPLE 荒野の四人 ~あの水玉消防団が帰ってくる!?」


M.S.U. [水玉スーパーユニット]
天鼓(vocal), カムラ (vocal, synth, Fx), RIE MIYAZAKI (guitar), 中西智子(bass), SACHI-A(drums)

Acid Mothers Temple Magnificent Four
津山篤 (bass, voice), 志村浩二 (drums), 河端一 (guitar), 東洋之 (synth, guitar)

天鼓とカムラは、90年代以降、ニューヨーク、ロンドン、東京で別々に音楽活動をしてきた。中学生の頃に水玉消防団を観たというAcid Mothers Templeの河端一がロンドンでカムラと出会い、もう一度水玉消防団をやりませんか?と提案したことがきっかけで、今回若手女性ミュージシャンのバックアップでM.S.U(水玉スーパーユニット)と名乗って一夜限りの復活ライヴを開催することになったという。天鼓とカムラが同じステージに立ってツイン・ボーカルでせめぎ合うのは30年ぶり。一方のAcid Mother Temple側は「AMT史上最兇にして最強」と言われるラインナップの津山篤 (サイケ奉行, 想い出波止場)、志村浩二 (みみのこと, Mainliner)、河端一、東洋之という4人が、今回「Acid Mothers Temple Magnificent Four(荒野の四人)」として限定再集結。この4人で演奏するのは2011年欧州ツアー以来、11年ぶりとのこと。どちらも激レアな対バンイベントとなった。

会場には元メンバーや80年代からのファンや関係者の姿もあり、始まる前から期待感の静かな熱気が会場を満たす。天鼓とカムラは昔通りの派手なメイクと衣装、バックを固める3人もいつになくポップな衣装で、当時の水玉消防団のイメージをオマージュする。パワフルなロックサウンドに乗せて、天鼓とカムラが文字数の多い歌詞を自由奔放に歌う。圧倒的なエネルギーは、まさに日本のポストパンクのオリジネーターの証明である。




Acid Mother Templeの長尺のロックインプロ合戦は何度見ても陶酔的だが、今回のAcid Mothers Temple Magnificent Fourは津山のベース&ヴォーカルと志村のドラムが特にすごくて、今まで以上に大きな陶酔の波に巻き込まれた。エンディングでは天鼓とカムラを加えポップアヴァンギャルドサイケな世界を展開。このメンバーによるACID MOON TEMPLE名義のスタジオ録音CD「gassha」が発売された。




レジェンドの
ライヴの味は
エイティーズ

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