元CANの放浪のヴォーカリスト、ダモ鈴木さんのプロジェクト、ダモ鈴木ネットワークはメンバーを定めないで毎回違ったミュージシャンとダモさんが共演を繰り広げる不定形プロジェクトである。この日は日本のアンダーグラウンド/サイケデリック・シーンの猛者が集合、UFO CLUBが即日完売になった。出演メンバーはダモ鈴木(Vocal : ex.CAN)、道下慎介(Guitar : LSD March、オシリペンペンズ) 、栗原道夫(Guitar : BORIS、Demon & Naomi)、亀川千代(Bass : ex.ゆらゆら帝国)、高橋幾郎(Drums : LSD March、不失者)/スペシャルゲスト:DJ 三上寛。この面子を見ただけでも鼻血モノだろう。
以前ダモさんのライヴを観た事があるかどうか記憶が定かではないが、CANやネットワークの作品は愛聴しており、特にCANに於ける若き日のダモさんのヴォーカリゼーションには大きな衝撃を受けた。P.I.L.のジョン・ライドン氏もダモさんに大きな影響を受けたという。
会場は早くから亀川氏目当ての"ちよちよガールズ"が列を作り、細かい雨が降る中、期待に胸を膨らませている。時間通りに開場、15番目くらいに並んだ私はステージ上手、亀川氏とは反対側の最前列を確保。開演近くなって見ると客席は亀川氏側に背が低い女の子が集まり、私の側にはごつい男子が集まるという見事な非対称を描いていた。
ステージのカーテンが開くとメンバーが三々五々登場する。左から亀川氏、道下氏、高橋氏、栗原氏。中央にダモさん。ダモさんの合図で一斉に爆音が弾ける。ダモさんの唱法は「インスタント・コンポージング」という独特のもので、"全く何のリハーサルも行わず、ミュージシャン同士の直感的セッションによって引き起こされ、次第に構築されていくアンサンブルや楽曲、すなわちサウンド、バイブレーションを主体とした考え方から来ている、独自なものと考えられる。そのため歌詞や音程はあってないようなもので、日本語・英語・ドイツ語とゆかりのある言語のどれでもない不定形の歌唱によって、文字通りその場のインスピレーションでコンポーズされる(Wikipediaより)"。その通りEをベースとしたコードチェンジのない演奏で、道下氏のジミヘンを髣髴させるストラト、栗原氏のジョン・シポリーナ(クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス)とロバート・フリップを合わせたようなサイケなトーンのSGが、骨太の亀川氏のベースと珍しくパワフルな8ビートを刻む幾郎氏のドラムの上を暴れまわる。そこにCAN時代そのままの呪術的なダモさんのヴォーカルが乗るのだから、完全なトリップ状態だ。ゆら帝ファンのちよちよガールズがこの演奏をどう思ったかが興味深い。1時間に亘る演奏で休憩。
ここでDJ三上寛さんの登場。三橋美智也、ムーンドッグ、津軽弁の歌、作家の深沢七郎のギターの弾き語り、韓国のアシッド・フォーク歌手キム・ドゥス、青山みき、ジョージ・ハリスンと三上さんが好きな曲を解説と共に聴かせる、クラブDJではなく、昔ながらのディスク・ジョッキー。とても味のある語り口で満員の若者達も興味深げに耳を傾けている。
2ndセットはワン・コードではなくより即興性の高い凝縮された演奏。幾郎氏も得意の不連続的なドラミングを聴かせる。二人のギタリストは遥かなる高みへと飛翔する。観客も含めて混沌のトランス状態へ。40分弱の演奏が終わるとダモさんは「ありがとう」を繰り返して客席の女の子達と握手する。「女の子だけね」とダモさん。若い頃は散々ワルいことを経験してきただろうに、今は普段は本当に優しい素敵なおじさんだ。その人柄に惚れた人も多かったに違いない。私も嬉しくてダモさんが1971年に描いたイラスト入りTシャツを購入。帰りの雨も気にならない心温まるライヴだった。
ダモさんの
笑顔の秘密
知りたいな
家へ帰ってCANを聴こうと思ったがCDが見つからない。しかたなくP.I.L.を聴いて寝ました。
高橋氏のパワフルなドラム、道下氏のアクションがカッコよかったです。残念ながら栗原氏は見えませんでした。
LSD-marchを観たいと思いました。
思えばクイックシルバーを聞くようになったのは、miro様が、大好きな栗原氏のギターをジョン・シポリーナに似ているとブログに書いてあったのがきっかけでした、、、。
AMT&TCI@Goodman楽しかったですね。
今は只管耐え忍ぶ毎日ですが、15日Showboatに行こうと思います。
私は亀川氏が見えませんでした。
ジョン・シポリーナがグレイトフル・デッドと共演している動画がカッコいいのでご覧下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=kVbnnkqOxjI&feature=related