6月15日(水)ロサンゼルスでワイルド・マン・フィッシャーことLawrence Wayne Fischer氏が心臓病のため66歳で亡くなった。
1960年代半ばロサンゼルスの街角で大道芸人よろしく歌っているところをフランク・ザッパにスカウトされ、ザッパが設立したビザーレ(奇妙な)レーベルから2枚組大作「An Evening With Wild Man Fischer」でデビュー。即興的に出鱈目に歌ったり叫んだりするフィッシャーをポータブル・レコーダーで録音。そこにマザーズのメンバーが演奏をオーヴァーダブして作り上げたロック史上稀に見る怪作である。ザッパの死後関連作品が次々CD化される中、このアルバムだけはザッパの遺族がCD化を許諾していないといういわく付きのアルバム。キャプテン・ビーフハートやESP時代のファッグスに近いサウンドではあるが、一切の芸術性/精神性を無視し、本能の赴くままに湧き出る感性をそのままストレートに表現する迫力はフィッシャー以外には存在し得ない。
1970年代後半新興のRhinoレコードと契約、宣伝ソング「Go To Rhino Records」を始め1984年までに3作のアルバムをリリース。またLAFMSの変態バンド、スメグマとの共演作も発表している。とにかく天真爛漫自由奔放、最高のストリート・ミュージシャン=大道芸人としての姿勢にブレはない。Rhino盤CDは安く手に入るので聴いてみてはいかがか。
その後伝記本が出版されたりTVのコメディ・ショーに出演したりことあるごとに活動が報告されていたが、音楽シーンの表舞台に立つことはなかった。そういう意味では牛心隊長とならぶ幻のアーティストであった。
ロック史に残る奇人変人がまたひとり鬼籍に入ってしまった。
心ある
人には届く
わめき声
フィッシャーさん、心安らかに眠りたまえ。
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