Flashback meeting vol.12
Tadashi Kumihara/gut guitar
Makoto Kawashima/sax
Marie Takahashi/viola + Kota Arai/perc
Nuetama/voice,biwa,perc + Alisa Berger/Buto
19:30 open / 20:00 start
charge 1500yen+1drink
都内を中心に即興/ノイズ/実験音楽といった地下音楽ライヴイベントを精力的に企画する玉響海月(tamayurakurage)の主催イベント。ガットギターで出演予定だったグンジョーガクレヨンの組原正が風邪で休みだったのは残念だが、川島誠のソロや玉響海月のユニットに加え、ドイツをベースに活動するアリサ・バーガーとMarie Takahashiが観られるユニークな機会だった。フォースフロアは昨年フローリアン・ヴァルターの来日公演で訪れたのが初めてだったが、高円寺駅から10分程度の好立地で、こじんまりした会場の広さや親密な雰囲気が地下音楽愛好家の隠れ家に相応しい。開演時には数人程度の動員だったが、終演時にはアリサの知り合いらしき外国人が多数訪れリトルジャーマニーの様相を呈した。
⇒フローリアン・ヴァルター/橋本孝之/内田静男/川島誠/増渕顕史/SNH@高円寺Fourth Floor 2017.12.2(sat)
●Marie Takahashi(ビオラ)+荒井康太(打楽器)
Marie Takahashiは1985年札幌生まれのヴァイオリニスト。バロック~現代音楽~エロクトロニカと幅広い音楽性を持ち、千野秀一(key)、横川理彦(vln,pc)とのトリオでも活動。彼女のヴィオラは無邪気な遊びから一転して邪教的な魔性の響きへ変化する。ボンゴやスネアを組み合わせたパーカッションで応じる荒井のスティック捌きは、ハン・ベニンクに通じる童心が伺える。計3セッション、バラエティに富んだジャンルの壁を軽々と飛び越えるフットワークの軽妙さに心和んだ。
●川島誠(アルトサックス)
一方、あらゆる意味で「軽さ」の対極を体現するサックス奏者が川島誠。しかし音と存在の「重さ」だけでは彼の世界は表現できない。演奏中の彼の立つ場所は常に空気が音の磁力で集まっている。それは夜に似ているが、闇よりも深く、呪いよりも哀しく、魂よりも美しく、霊性よりも不可逆で、情念と呼ぶには即物的に過ぎる気がしてならない。身体の中から絞り出す音ではなく、大気を満たす音の五月雨を気配を集めて早し大河のさざ波が聴こえる。数年来新作のレコーディングを積み重ねる川島の深層には、存在の耐えられない重さを蒸留するフラスコが浮かんでいるに違いない。
●鵺魂(声、琵琶、打楽器)+Alisa Berger(舞踏)
鵺魂(nuetama)は玉響海月と玉響海星(tamayurahitode)のデュオユニット。海月は普段はエレクトロニクスを使うが、この日は墨書きした大きな和紙を床に広げて、金属やプラスチックや木のボックスやオブジェなど非楽器を駆使したアコースティック演奏。玉響海星は琵琶を爪弾きながら、毅然とした奇声で詩吟を歌い喚き叫ぶ。温和な笑顔の内側にかくも破天荒な激情家が潜んでいるとは驚きで言葉を失うしかない。1987年ロシアのダゲスタン共和国生れの映像作家アリサ・バーガーが二人の間で和服に白塗りで日本由来の舞踏を舞う。日本文化へのリスペクトというには色濃く漂う違和感は、舞踏家に擬態する人間そっくりのヒューマノイド視点の描写に起因するかもしれない。
四階の
死角に刺客
詩歌狂う
Fouth Floorの狭いながらも創造性を刺激する空間は異端DJイベントにも向いている気がする。『盤魔殿Special@Fourth Floor』を企画しようか。
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