PASSPO☆ ワンマンフライト 赤坂BLITZ便
【Business Class Flight】BOARDING 12:00/DEPARTURE 12:30
PASSPO☆はリリースの度にオリコン・チャート上位にランクインする次世代アイドルグループ。アーバンギャルドのアイドル五番勝負で観たが、でんぱ組.inc、BIS、バニラビーンズなど個性の強いアイドルに比べると正統派のイメージ。空と旅をテーマにスッチー・コスチュームをまといメンバーをクルー、ファンをパッセンジャー、ライヴをフライトと呼ぶ世界観は明快で分かり易い。この日は昼の部「ビジネスクラス」、夜の部「エコノミークラス」の2回公演。オリコン6位ヒットの新曲「サクラ小町」リリース後の初フライトなので両公演ともソールドアウト。久々のグループ・アイドル・ライヴでヲタの熱気に気分がアガる。
予想外の生バンド演奏。アイドルのバンド編成ライヴはバニラビーンズ以来2度目だが渋谷系のバニビに対しPASSPO☆はメタル系。作詞作曲/サウンド・プロデューサーのペンネとアラビアータ機長をバンマスとする4人組の演奏は手抜きなしの本格ハードロック。激しいビートに乗せて9人の少女が歌い踊り跳ねる。ポップなメロディーと明快なサビで会場は一気にヒートアップ。バレエか新体操かと間違える程激しいダンスをしながらしっかりと歌う姿は驚異的。最高潮に盛り上がっても「まだまだ!」「もう一回!」とガンガン煽る9人。神聖かまってちゃんのライヴでは「盛り上がってますかぁ?」と訊くmono(kbd/あご)に対しての子が「おめぇ不安でビビってるから確認してんだろ?俺は訊かねーよ。盛り上がってるって分かるもんマジで」と突っ込んでいたが、どう見てもこれ以上盛り上がり様のない観客に執拗なまでに檄を飛ばし続ける少女たちのプロ根性には恐れ入る。下手なロックコンサートよりよっぽどロケンローなライヴだった。詳細なライヴレポートはコチラ。
最近ビートパンクにハマっているのでPASSPO☆のタテノリロックにパーソンズやリンドバーグに通じるギャルバン精神を感じて嬉しかった。
面白いツイートを発見した:
「プロ野球を女の子グループに例えると AKB=巨人 SKE=中日 NMB=阪神 アイドリング=ヤクルト パフューム=広島 ハロプロ=横浜 スーパーガールズ=西武 HKT=ソフトバンク ももクロ=日ハム 乃木坂46=ロッテ E-girls=オリックス ぱすぽ=楽天」
【山本精一 カバー作第一集 レコード発売記念ライヴ】
LIVE:山本精一
山本精一は不思議な存在である。前衛ロック界に長年身を置きながら難解な方向には行かず常に分かり易いポップセンスに貫かれた活動を展開する。実体は変幻自在・多種多様で蜃気楼のように掴めない。絵画や文章にも才能を発揮するし政治や社会に対する真面目な発言もする。1990年代から山本の演奏はボアダムズ、MOST、ROVO、PARA、PHEWとのデュオ、灰野敬二や大友良英との共演、そしてソロと様々なユニットで見聴きしてきた。個人的な印象では極めて真っ当なバランス感覚の持ち主であるが、JOJO広重に言わせると「知ってる限りで一番の変人は精一さん」とのことである。彼が店長の難波ベアーズには行ったことはないし、ライヴMCでは毎回真面目で正直な言葉を話すので広重の言う「変人さ」がわからない。音楽にしてもノイズ/前衛ロックからフォーク弾き語りまで幅広いが広重の常軌を逸したノイズへの執着や灰野の屹立する存在感に比べれば山本の演奏スタイルはいたって「普通」である。昨年Bar Issheeで「ギターインプロヴィゼーション」「弾き語り」「カバー曲歌唱」「ノイズ」の4形態のソロを経験したがいずれも「強烈!」とか「すげぇ!」ではなく「心地良い」「感動する」という感想である。因みにCDはボアダムズと想い出波止場とPARAしか持っていない。
新作の「山本精一カバー・アルバム第一集」もCDショップの店内演奏で「からっぽの世界」を聴いて誰これ?と店員に尋ねて購入した次第。ザ・バーズ、ニール・ヤング、ザ・フォーク・クルセダーズ、あがた森魚、ジャックスなど1960~70年代の楽曲が並び昭和の香りたっぷりのこのCDは多重録音によるジョン・レノンばりのダブルトラック・ヴォーカルと重層的なギターがサイケな白日夢を作り出す幻惑的な作品。曲はアレンジなしの完コピに近い。灰野敬二の哀秘謡やJOJO広重のノイズギターカバーとは違いとてもストレートなカバー集である。
サイケの幻の名盤と評されるレコードを聴いてみたら何てことのない普通のフォークやカントリーだったということがよくある。しかし何回も聴くと深層に狂気と幻想の精神世界が潜んでいることに気づく。そんなモビー・グレイプのスキップ・スペンス、パールズ・ビフォア・スウェインのトム・ラップ、ファッグスのエド・サンダースなどと同じ感覚が山本の音楽にはある。"普通さ故の恐ろしさ"とでも表現すればよかろうか。それはライヴ演奏だとより濃く感じられる。黒服でアコギとエレキを抱えて座り譜面を見ながら歌う普通のフォーク演奏である。最近復活した渚にてや元非常階段の頭士奈生樹の世界に通じる「うたもの」ともいえる。しかし聴いていると頭が宙に浮くような空気と心の平穏を掻き乱すファズやディレイはその辺の轟音ロックよりもマインドトリップの危険性が高いヤヴァな気配を放っている。
最近出版された"批評"と"サブカル"をテーマにしたリトルマガジン「なんとなく、クリティック1」が70ページに亘る山本精一特集(ロングインタビュー+小山田圭吾対談+佐々木敦評伝)を組んで"山本精一の世界"に迫っているが、インタビューアーの森田真規編集・発行人が書いているように「雲をつかむような存在」であることは変わらない。その意味では映画を観たり書籍を読むことで謎がさらに深まった"灰野敬二の世界"に通じる。「謎」や「訳分からなさ」があるからこそ惹かれる人は多いに違いない。セットリストおよび詳細なライヴレポートはコチラ。
UFO CLUBの道下慎介店長のリクエストで急遽演奏したこの曲が灰野の哀秘謡のレパートリーであることに暫く気がつかなかった。灰野による楽曲の本質暴露カバーである。
カバーとは
自分の世界
作ること
●忘備録
3/1(金)11:00AM前売開始
JAZZ非常階段 featuring 山本精一
4月6日(土)19:30OPEN/20:00START
新宿ピットイン
以上、単なる思い出話でしたが、荒木さんとムッシュかまやつさんは二十代の頃僕のアイドルだった時期がありまして、つい思い入れが・・。
ちなみに哀秘謡、これもありますよ。
http://www.youtube.com/watch?v=4GxK2TrFVgA
そして灰野さん情報追加です。
http://www.lastfm.jp/festival/3492811+Kuudes+Aisti+Festival
http://milesofsmiles.co.uk/