中学時代に洋楽を聴き始めた時、最初はアメリカのポップスや映画音楽中心だったが、次第にロックに興味を持つようになった。ロック雑誌を買いいろんなアーティストを知ったのは昨日のブログで書いた通り。その頃全盛だったのがキッス、エアロスミス、クイーンだった。キッスの「地獄の軍団」、エアロの「ロックス」を買いそのハードなサウンドに痺れた。ある日よく通っていたレコード店でロックのフィルム・コンサートがあり、勇んで観に行った。当時はDVDは勿論ビデオも無かったので、ミュージシャンの動く姿を観られるのはライヴ・コンサートかテレビかフィルム・コンサートしかなかったのだ。そのときはキッス、クイーン、ディープ・パープルのライヴ・フィルムが上映された。カッコいい~と食い入るように観ていたが、パープルの最後の曲でリッチー・ブラックモアがギターを破壊する姿が悪魔のように見えて、純真な中坊の心を心底震え上がらせた。「もう二度とロックなんか聴かない!」と決意して買ったのは冨田勲の「火の鳥」だった。それはそれでプログレや電子音楽への扉を開いてくれたのだが、やはりロックのカッコ良さには抵抗出来ず、ジャケットに一目惚れして買ったのはジョニー・ウィンターの「狂乱のライヴ」だった。ってなことは以前書いた覚えがある。長いイントロだったが、言いたかったのは私がロックを聴き始めた時に刷り込まれたのはいわゆる”ハードロック”だったということ。セックス・ピストルズでパンクに目覚めたのもハードロックの新機軸と感覚的に思ったからかもしれない。
1980年代初めにNew Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)を伊藤政則のラジオ番組で聴いたときもカッコいいと思った。確かアイアン・メイデンだった。しかしパンクのシンプルな3分間ロックにハマっていたので、何だか冗長で古くさいと感じたことも確かだ。その後フランク・ザッパやキャプテン・ビーフハートやレジデンツの影響でフリージャズや現代音楽にのめり込んだので、ハードロック、特にヘヴィメタルと呼ばれる音楽は殆ど聴くことはなかった。
80年代後半になって仕事を始めると10年前にロックを聴き始めた頃の郷愁もあり、一部のHR/HMも聴くようになった。MTVが隆盛を極め様々なアーティストの映像を観れるようになったことも大きい。
1990年にエクストリームを知った。きっかけはヌーノ・ベッテンコートのギターの凄さだった。あまたあるHR/HMの枠に収まらないとびきりファンキーなビートの上に繰り出される超絶ギター・プレイは早弾きに興味の無かった私の心にも響いた。大ヒットしたアコースティック・バラード「モア・ザン・ワーズ」は女子供向けの様な気がして余り好きではなかったが、「デカダンスダンス」「ゲット・ザ・ファンク・アウト」といったハード&ファンキーなナンバーは好きだった。
そのヒット作「ポルノグラフィティ」のリリースから25年経って、そのアルバムを完全再現するという企画で来日公演が行われた。90年代には人気だったが現在は忘れられた存在だから動員はどうかな~と思っていたら東京3公演、大阪1公演が全てSold Out。その最終公演を観に行ったが会場は思ったよりも若い30代中心の客層で満員。グッズ・コーナーに長蛇の列が出来るのはHR/HMならでは。
ホールの入り口の掲示に驚いた。本日のコンサートの最初の3曲は撮影OKと書いてある。海外のコンサートではカメラ・チェックなどなく、撮影自由というのが多いが、日本でしかも外タレのコンサートで観客に撮影を許可するというのは初めての経験。知り合いに聞くと昨年のAC/DCやエクストリームと同日に開催されたシルヴァーヘッドも撮影OKだったという。今やYouTubeなど動画投稿サイトで様々な映像が観られる時代、アーティスト側としても動画サイトやSNSで紹介されることはいいプロモーションになるのだろう。時代は変わったなぁと実感。
このアルバムを聴き込んだファンばかりだからのっけから大歓声と大合唱。観客の殆どが一斉にスマホや携帯をステージに向けているのは不思議な光景だった。もう40代半ば~50代のメンバーは20年前と変わらずエネルギーに溢れたパワフルなステージ。「モア・ザン・ワーズ」では最初ヴォーカルのゲイリー・シェローンがイントロのワンコードだけギターを弾き、ヌーノに「20年かけてワンコードだけしか覚えてないのかよ」とジョークで突っ込まれる場面も。HR/HMのライヴを観るのは昨年のエアロスミス東京ドーム以来だが、多感な年頃に刷り込まれたハードロッカーの血が騒ぐ楽しいコンサートだった。
▼早速この日のライヴ動画がYouTubeにアップされていた
▼2010年のアメリカ・ツアーの映像
<Set List>
1.DECADENCE DANCE
2.LI'L JACK HORNY
3.WHEN I'M PRESIDENT
4.GET THE FUNK OUT
5.MORE THAN WORDS
6.MONEY (IN GOD WE TRUST)
7.IT ('S A MONSTER)
8.PORNOGRAFFITTI
9.WHEN I FIRST KISSED YOU
10.SUZI (WANTS HER ALL DAY WHAT?)
11.HE-MAN WOMAN HATER
12.SONG FOR LOVE
13.HOLE HEARTED
-Encore-
14.WARHEADS
15.THERE IS NO GOD
16.HIP TODAY
17.MUTHA (DON'T WANNA GO TO SCHOOL TODAY)
思春期に
戻ってしまう
不死身のハードロック
こういう同窓会風のライヴも悪くないな。
この1曲しか聞いたことないです><
で、結構好きです。
そういえば、ゲイリー・シェローンが1時草鞋を脱いでいたヴァン・ヘイレンもデヴィッド・リー・ロス復帰で大復活。なんか因縁を感じますね。
日曜の朝から、調子にのって、連投稿失礼致します。ブログ主様のブログもここ数日、予想外のネタで目が離せませんね
私自身は、メタラーではありませんが、仕事で昔、メタルも扱っていたので、懐かしく思いました。
エクストリームは、90年代初頭、ヌーノの濃くも甘い顔とギターテクで男女両方のファンが多くいました。(親父ギャグではありませんが、ヌーノが「インタビュー」誌でりんごヌードならぬギターヌードを披露していたこともありました。)
あのワイルドチェリーの曲をメタルバンドがギンギンにカバーしていて、しかもメタラーもそれを受け入れていたのが、ブラック・ディスコマニアの私には新鮮でした。
ウドーさんならではの金看板「懐かしのロック」戦略は、大正解ですね。他の呼ぶ屋さんとも棲み分けていて。
ウドーさんが生撮りを許すなんて、笑えますが「グレイトフルデッド~」商法に影響を受けたのでしょうか
>お二人からこの記事にコメントいただけるとは想定外でした。やはり70年代にロックの洗礼を受けた方は多かれ少なかれハードロックの種を植え付けられているのでしょうね。
ウドーさんの懐かしロック商法に乗っかって次はロジャー・ダルトリーに行ってきます。さすがにあっちは撮影禁止でしょうがw