2022/2/16(Wed)@吉祥寺NEPO
【Deep Science】
open 17:00 /start 17:30
adv/door ¥2,200(+1order)
streaming ¥1,000
〈出演〉
World Wide Size
MOGRE MOGRU
eifonen + ILLUS 2.0
MOTOMU MIURA
我らが即興アンビエント・ユニットMOGRE MOGRU(モグモグ)の2022年初ライヴが、昨年12月6日に続き進化形ライヴヴェニュー吉祥寺NEPOにて開催された。イベント・タイトル「Deep Science」の意味をネット検索すると「タッチモーション予測を実行するための深層機械学習(deep machine learning to perform touch motion prediction)」という専門用語風の解説がヒットした。意味不明なので直訳で「深層科学」と訳してみよう。対バンはいずれも生楽器・生声とエレクトロニクスを組み合わせたスタイルで、我々も純粋なエレクトロニクスは使っていないものの、生楽器とエフェクターの組み合わせ、つまり科学実験に似ている。それでありながら全く異なる表現(パフォーマンス)を見せる四組の化学反応が深層心理で繋がり合うことにより、音楽表現の深みを垣間見せることを意図したのではなかろうか。「もぐれもぐれ/どんどんもぐれ/秘密はふかい/めまいは近い」という詩にインスパイアされた我々モグモグにぴったりのコンセプトといえよう。
●MOTOMU MIURA
エレクトロニクスとサックスを変調した音響とシンクロするラインティングはMIURA氏が持参したもの。サンプラーでリピートされ幾重にも重なるサウンドと同様に拡散し脈動するアメーバのような光輪が、決して広くないNEPOの場内に無限の宇宙を作り上げる。光の渦がエンディングが近づくにつれてMIURA氏の心臓の中に収縮していく様は、誕生からビッグバンまでの星の一生を20数分間に収縮したような体験だった。
●World Wide Size
テクノ風のシンセから激烈な電子雑音まで繰り出すエレクトロニクスとトライバルなダンスビートを叩き出すドラムによるテクノイズ・デュオ。人間の心の奥にある踊りへの欲求を暴き出し心臓の鼓動と同期させるビート感はグルーヴという言葉では言い表せない。NEPOのクラブ仕様のPAシステムの威力が最大威厳に発揮され精神のダンスフロアと化した。
●MOGRE MOGRU
オザンナ風メイクに緑の衣装の剛田武と妖艶な赤い着物の黒い瞳が異教的なムードを高める。剛田がエレクトリック・ヴァイオリンを導入し、TanaoのE-Bowギターと瞳のミュージカル・ソーとの三つ巴アンサンブルがドローン・サウンドの洪水で会場を包み込む。中間部のポエトリーリーディングは囁きとスペースギターの波間に沈み込み、フルートとグロッケンシュピールとクラリネットの絡みが、次第に音量をあげるギターのダイナミズムに呼応して、ハイトーンの叫びと化しどこへ向かうか予測できない結末へと導く。トリオとしての一体感がこれまで以上にアップし、モグモグならではの世界が少しずつ出来上がってきたように思える。キーワードは「DEEP(深く)」になるだろう。さらなる<深化>を目指してどんどんもぐっていきたい。
MOGRE MOGRU 2022.2.16 wed 吉祥寺 NEPO Filmed by Marc Lowe
●eifonen + ILLUS 2.0
ヴォイス・パフォーマーのeifonenとエレクトロニクス+ドラムのデュオ。巻上公一をハードコアにしたようなeifonenの激烈な声芸が、ドラムビートに乗るとまるでラップやヒップホップのように聴こえる。再びダンサーの血が騒ぐが、あまりに変幻自在なヴォイス・パフォーマンスに目が釘づけで、身体の動きにまで神経が回らない。終わった後の爽快感は、オリンピックでアスリートの美技を堪能した後の気持ちに似ていた。
魂の
深いところへ
還りたい
吉祥寺NEPOのイベントは、いままで知らなかった素晴らしい才能との出会いがある。共演者の誰かが「モグモグはNEPOらしいバンドだ」と言ってくれたことが嬉しかった。
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