A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her/MO'SOME TONEBENDER@新代田FEVER 2014.9.16(tue)

2014年09月18日 00時15分15秒 | ロッケンロール万歳!


『シーガルとモーサム』
出演:Seagull Screaming Kiss Her Kiss Her / MO'SOME TONEBENDER




これまた突飛すぎる顔合わせ。実は直前までノーチェックで、何気なくTLを眺めていて遭遇した対バンライヴ情報にそう思った。モーサムは昨年12月に連続して観て以来ご無沙汰。これもアイドル狂いのとばっちりか。まあMSTBサイドも『Baseball Bat Tenderness』を出してから9ヶ月間リリースがなく、TLネタが少なかったのも確かだから、喧嘩両成敗ということでお許し願いたい。シーガルとモーサム、韻は踏んでいないがゴロの酔い響きではある。名前が長いのも共通項で、両者合わせて仮名30文字は、GEZAN(ゲザン)なら10個分である。急遽決めた参戦にも拘らず、詰まらぬ残業で40分遅れてしもうた。
MO'SOME TONEBENDER@タワーレコード渋谷店 B1F 「CUTUP STUDIO」 2013.12.15(sun)

●SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER(シーガルスクリーミングキスハーキスハー)


日暮愛葉:Vo&G
中尾憲太郎:B&Cho *Crypt City, younGSounds
おかもとなおこ:Dr *つばき, THE GIRL, DQS
蓮尾理之:Key *385, bonanzas, THE JETZEJOHNSON
一ノ瀬雄太:G *快速東京
moe:Cho *Miila and the Geeks, Twee Grrrls Club

90年代に名前はよく聞いたし、ジャケットのサイケなイメージは気になったが、レーベルが小山田圭吾のトラットリアだったせいで、渋谷系の牙城と決め付け聴かず嫌いしていた。2年前に15年遅れの渋谷系マイブームに犯され、熱に浮かれて日々通ったブックオフ250円コーナー別名「ハーフコインの花園」で手当り次第に買い漁った過剰在庫CDの中にシーガルも何枚か紛れ込んでいたが、結局ビニールを剥がすこと無く自室の棚に埋葬されたまま。昨年末にディスクユニオン下北沢のアナログセールでカラーLP『17』を300円で購入、ジャケの冴えないノーメイク女子がヴォーカルかぁと、ちと残念な気がしたが、紫の塩ビ盤をプレイヤーに乗せて針を下ろし、スピーカーから流れ出した歪んだギターリフに敬服した次第。オルタナぽいけど、根は古風なグラム好き姐ちゃん感がなかなかカッコいい。で、この日初めて生で観た日暮愛葉は、やっぱりギラギラ派手好きなスケ番ロック女史だった。全編ダウンストロークで弾くギターが90年代。満員で最後尾から観たら、ベースの中尾憲太郎がモーサムの百々和宏だと勘違いする程似て見えた。殆ど見えなかった女子ドラマーに萌えそう。




●MO'SOME TONEBENDER(モーサムトーンベンダー)


シーガル目当の年配男性もチラホラ居たが、モーサムの出番になると前列は背の低い女子が占拠する。BO NINGEN、GEZAN、八十八ヶ所巡礼同様、筆者の推す男子バンは何故か目敏い女子のフォローが多い。前半分が女子中心の激烈モッシャー、後半分が腕組男子中心の地蔵組、といった構図。会場全員モッシュ/ジャンプのBiSやORANGE RANGE、ステージ無視のベビメタヲタに比べて、至って健全な現場といえる。ステージの並びが左から藤田(g)、武井(b,vo)、百々(g,vo)と、今までと逆になっている。8ヶ月ぶりということもあろうが、ブチ切れ過ぎのパフォーマンスに目が眩む。鬼面コスやサイリウムダンスでアゲアゲのお祭り男・武井は芸事を封印し演奏に専念。百々のキ●ガイぶりが凄い。ギターソロはフレーズでは無く、ギューンピューンばびゅ!というノイズの嵐。黒ぶちメガネの藤田が醒めた目で狂気を振りまくのが怖い。サポートドラム水野雅昭の狂ったプレイが油に火を注ぐ。バンド全員発狂体と化してのノンストップR&Rは、ベビーメタルの「キツネサインでWe're BABYMETAL!!」に中指立ててNO!を突きつける「We're ROCK'N'ROLL!!」コール&レスポンスで、FEVERの熱量が白熱光となる白夜の宴を描き出した。


シーガル&モーサム、対バン前に意気込み語る

シーガルとモーサム
ヒデとロザンナ
ピンキーとキラーズ
ヘドバとダビデ





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【ネタバレ注意!】きゃりーぱみゅぱみゅ@市川市文化会館 2014.9.15(mon)

2014年09月17日 01時02分50秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界



ピカピカふぁんたじんツアー
きゃりーぱみゅぱみゅの雲の上のHEAVEN´S DOOR




先日知人から「まだきゃりーを追っかけてるの?」と呆れられた。1年前はきゃりーが一番面白いと云っていた彼は、現在でんぱ組ヲタ状態。「きゃりーは1stアルバムが一番良かった。2枚目はまあまあだったが、3枚目の『ピカピカふぁんたじん』は買ってもいない」とドヤ顔で云われて、心当たる節もなくはなかった。CM出演が増えると同時にライヴ会場に親子連れが増え、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオのように家族で楽しめる安心印エンターテインメントとなった。ライヴをテーマパーク化することはきゃりーの意向でもあるので、本人は満足かもしれない。しかし、弐年前の日本武道館の頭脳改革ショーを体験した身に取っては、自分の心の中に黒く色どられていない処しかないような、モヤモヤした不完全燃焼のセックスを繰り返すような、そんな虚しさを感じることもないとは云えない。



とか言いながら、この日はピカピカふぁんたじんホールツアーの3公演目。パッケージショーだからセトリや演出はすべて同じだし、FC優先で何公演も予約して、後で別のライヴが被り悔いることもある。今回の市川市文化会館は、全4公演参戦した昨年の「なんだこれくしょんツアー~きゃりーぱみゅぱみゅの宇宙シアター」初日の会場だったので、初めての場所のトキメキも薄い。よっぽどチケットを誰かに譲って別のライヴに行こうかと悩んだりもした。しかし、9列目という良席が惜しくて、気がつくと総武線を東に向かう列車の中に居た。一番端だったが、ステージまでの距離は今までのホール公演の中で最も近い。ボッチ客にとって目障りなカップルも近くにおらず、解放的な気分で存分に観戦。きゃりーの表情がよく見え、前方に出てきた時レスをもらった気がした。PAが近いので音がデカい。天国と地獄のストーリーは三度目なので、新鮮味は無い。



「それ」が起ったのは5曲目「こいこいこい」だった。カワイイオーラ全開で小気味よく進んできたライヴステージが、こいこいこい~という蛇行するメロディーと歌詞に、一瞬ブレたように見えた。0.8秒と衝撃の後に目の焦点が元に戻ったが、きゃりーの小さな身体から出ている電波に気づいてしまった。でんぱ組が世界にお届けするWORLD WIDE DEMPAではなく、極一部の同志に向けて発せられる秘密の電脳波形。原宿カワイイも、100%の自分も、ファッションモンスターもどうでもいい。私は人の心を狂わす変異発光体よ!と念じる波動、もしくはテレパシー。2012年春に今は亡き渋谷AXで語った赤い悪夢(かりんとうを銜えて綱渡りすると途中で足を踏み外し、また最初から綱を渡る、を∞にリピート)が再び襲い来る予感。



直後に幾何学模様のミニワンピに網タイツの悩殺コス。前回はガードルに目が釘付けだったが、赤青緑の衣装の柄が、きゃりーの身体から離脱して、蛇のように絡み付くのを目撃してしまった。頭が蛇のメデューサのきゃりーが、自らの髪の毛に呪縛されている。ワンコーラスだけ歌った「スローモ」の超スローモーションの映像の間に、きゃりーの内側と外側がクルリと裏返るのが見えた。「ファッションモンスター」の聴き手の平衡感覚を狂わせるダブミックスや変則ビートこそ、きゃりーが蛹から脱皮し、未知の生物に変態したことの証。お色直しの幕間に現れた仮面の魔術師が、世界がもう元に戻れないことを、空中浮遊マジックで明らかにする。



そのまま一気に駆け抜けるステージ上で進行するストーリーをよく吟味すると、天国・地獄・現実・虚実・2.5次元・魔法少女未満、すべてを超越した超自我の次元、即ちユングの言うところの曼荼羅への旅程であることが詳らかになる。前日の幕張メッセでのBABYMETAL悪魔降臨の儀式よりも遥かに恐ろしい洗脳行為が、いち地方都市のど真ん中で白昼堂々と行われていることに戦慄しない者はおるまい。あたかも、卒倒した少女の頭蓋を八針縫合して、多量のレキソニンを投与した直後のノンストップダンスの如く、想像を絶する苦行の果てに辿り着いた涅槃に立つきゃろらいんちゃろんぷろっぷきゃりーぱみゅぱみゅに後光が差すような光景であった。



信者の群れ

世界のきゃりーぱみゅぱみゅ 海図を描いた男たち

<Set List>
(Opening Movie)
M00. ピカピカふぁんたじん
M01. きらきらキラー
M02. ファミリーパーティー
(MC-1)
M03. トーキョーハイウェイ
M04. do do pi do (CAPSULE)
M05. こいこいこい
(SHOW 1)
M06. シリアスひとみ
M07. スローモ [ 1-chorus ]
M08. ファッションモンスター
(SHOW 2)
M09. Medley 1:にんじゃりばんばん/インベーダーインベーダー/ふりそでーしょん
(MC-2)
M10. もったいないとらんど
M11. Scanty Skimpy
M12. Medley 2:CANDY CANDY/PONPONPON/つけまつける
(SHOW 3)
M13. ゆめのはじまりんりん
(MC-3) ※ (502/42
市川公演のみ; M14. Ring a Bell の,あたらしい 会場一体型の振り付けの練習を
M14. Ring a Bell
(MC-4)
M15. エクスプローラー
~ Encore ~
(MC-5)
M16(En-01). ちゃんちゃかちゃんちゃん

きゃりーちゃん
アリーナツアーで
原点回帰

ツアータイトル決定!:ピカピカふぁんたじんツアー
「きゃりーぱみゅぱみゅのからふるぱにっくTOY BOX」


きゃりーぱみゅぱみゅ初のアリーナツアー開催
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BABYMETAL@幕張メッセ 2014.9.14(sun)+【検証】BABYMETAL vs でんぱ組.inc

2014年09月16日 01時07分38秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


BABYMETAL WORLD TOUR 2014 
SEPTEMBER 14TH MAKUHARI MESSE CHIBA, JAPAN




きゃりーぱみゅぱみゅに続いてワールドツアーを成功させたBABYMETAL。海外では「CUTE METAL(カワイイメタル)」という新ジャンルの旗手として話題になっている。フランス、ドイツ、イギリス、アメリカでのワンマン公演はSOLD OUT、イギリスの<Sonisphere Festival UK>、カナダの<Heavy Montreal>といった野外フェスでもセンセーションを巻き起こし、レディ・ガガのUSツアーのサポート5公演も見事にこなした。11月にはニューヨークとロンドンで追加公演が決定した。ワールドツアー前に海外ジャーナリストが投げかけた疑問の答えは肯定的な結果になった。
【TIME誌記事翻訳】BABYMETALは本場のヘビメタファンを虜にすることが出来るか?



そんなベビメタの凱旋公演・幕張メッセ2DAYSはチケ発早々SOLD OUT。筆者は別の予定が入りそうだったので、GETする努力もしなかった。メッセ初日の話題がTLを賑わせ、来年1月10日さいたまアリーナワンマンライブ<LEGEND “2015” ~新春キツネ祭り~>の開催がニュースネタにもなった。当日になって予定が無くなり、それじゃおキツネ様にお参りに行くか、とTLを監視していたところ、チケット譲ってくれる方が見つかった。
BABYMETAL、幕張メッセ公演で初のさいたまスーパーアリーナ公演発表&米ビルボード「World Albums」チャート首位



サマソニ以来の幕張メッセ、行き方を間違えることも無く無事に到着。隣の会場では「ゆずの新世界」コンサートが開催され、ゆず派の普通女子とベビメタTのヲタ系男子が呉越同舟。物販は早々に売り切れたようで、欲しかったフード付タオルもゲット出来ず。譲ってもらったチケットはファンクラブ先行のアリーナAブロック・オールスタンド席。アリーナに向かう列は男子8割黒T7割、横アリの「BiSなりの武道館」公演を思わせる。実際BiS-TやBiS階段Tもチラホラ見受けられる。



でんぱ組武道館では1階スタンド席で、囲いに詰め込まれたオールスタンディングのアリーナの圧縮の中ヲタ芸を打つ汗まみれの蒸風呂状態を高みの見物していたが、今回は自らの意志に拘らずヲタ臭噎せ返るアリーナに飛び込むこととなった。チケット裏には席種はアリーナ立ち見=MOSH'SH PITと記載されている。

モッシュ(mosh)とは(ウィキペディアより):へヴィメタルやパンク・ロックなどの音楽ライヴ等で観客が始めたもので、特に決まった振り付け等はない。ジャンプしたり他人を押したりすることで表現される、いわゆる激しい押し競饅頭。モッシュが発生した場所はモッシュ・ピット(mosh pit)と呼ばれる。



開演前のSEはメタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスといったスラッシュメタル。観客から怒号のようなコールがアガる。見る限りでは所謂メタルっぽい長髪鋲付アクセは余りいないが、元来男子メタルファンは一見ロックとは結び付かない普通の少年が多い。アイドルヲタとも共通項があるので、メタラーも会場に多かったのだろう。



スターウォーズ風のオープニング映像で、ベビメタ3人がキツネ様からの命令でメタルレジスタンスとして世界に革命を起こす使者であることが告げられる。ゾンビ風4人組バンドの演奏で3人が登場。踊りと叫び担当のふたり(YUIMETAL&MOAMETAL)は1年半前に見たときから身長が5cm以上伸びたに違いない。如何にも子供の顔だったのが、少女の顔になった。SUMETALの堂々とした高音シャウトは、イアン・ギランやロバート・プラントにも匹敵する。バンドが兎に角上手い。ギターの早弾きは、メタルに興味が無くても驚くに違いない。SUMETALを正規のロックヴォーカリストと考えれば、他のメタルバンドと違うのは、3人のキュートなルックスと冴え渡るシンクロダンスだけかもしれない。一寸した違いが、天と地の如く<新進の気質に溢れたユースパワー>と<古色蒼然とした様式美に凝り固まった過去の遺物>の分かれ目なのである。



【検証】BABYMETALとでんぱ組.inc
【JAPAN TIMES翻訳】外国人記者が斬る!BABYMETAL現象&アイドルシーンの現在。

Aブロックの最後列に立ちステージを眺めていると、前方の群衆の動きが尋常じゃないことに気付く。ステージを殆ど見ないで、駆け回ったり身体をぶつけ合ったり、一斉に床に寝転んだり、まるでハプニング集団の様相を呈する。でんぱ組のヲタ芸とは雰囲気が違い、もっと邪悪な悪魔祓いの儀式の宗教的興奮による集団ヒステリー状態なのである。つまりベビメタ3人はまさに天岩戸(アマノイワト)に隠れた天照大神(アマテラスオオミカミ)を外の世界に誘い出す為に、天岩戸の前で胸をはだけて半裸で踊る天宇受賣命(アメノウズメ)そのものであり、モッシュやウォール・オブ・デスに興じるベビメタヲタは高天原が鳴り轟くように一斉に笑った八百万の神(ヤオロズノカミ)に違いない。

「槽伏(うけふ)せて踏み轟こし、神懸かりして胸乳かきいで裳緒(もひも)を陰(ほと=女陰)に押し垂れき。」 つまり、 アメノウズメがうつぶせにした桶の上に乗り、背をそり胸乳をあらわにし、裳の紐を股に押したれて、女陰をあらわにして、低く腰を落して足を踏みとどろかし、力強くエロティックな動作で踊って、八百万の神々を大笑いさせた。(ウィキペディアより)

以前検証した通り、アマテラスはでんぱ組のえいたそ☆成瀬瑛美に他ならない。そこから弁証法もしくは帰納法的証明を試みれば、「メタル抵抗運動を世界に推進するBABYMETALの行く手には、萌えきゅんソングを世界にお届けするでんぱ組.incが立ちはだかる」という結論になる。そう断じたら、ベビメタ廚から一斉攻撃を受けるだろうか?
【えいたそ文化論】最終章『えいたそ☆成瀬瑛美とは?』





<Set List>
01:BABYMETAL DEATH
02:君とアニメが見たい ~Answer for Animation With You
03:メギツネ
04:悪夢の輪舞曲
05:おねだり大作戦
06:Catch me if you can
07:紅月-アカツキ-
08:4の歌
09:ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
10:いいね!
11:ド・キ・ド・キ☆モーニング
12:イジメ、ダメ、ゼッタイ
EN1:ヘドバンギャー!!
EN2:ギミチョコ

[9/17 23:52追加]
BABYMETAL、“異国の地”巡った試練の旅に幕
[10/3 23:18追加]
BABYMETAL@幕張メッセ イベントホール(RO69)

おっしゃLet's
世界征服
次でんぱ

俺たちの戦いはこれからだ!

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【1枚の写真から】灰野敬二&藤掛正隆 2007年12月12日(水)於・横浜Stormy Monday

2014年09月15日 02時16分22秒 | 灰野敬二さんのこと


ライヴの終盤、自前のマイクに向かって叫ぶ灰野。その姿は透明になりバックの赤いカーテンやアンペッグのギターアンプが透けて見える。この一瞬、灰野は幽霊か妖精か、少なくとも人間以外のものに変幻したに違いない。肉体が透明になる程の祈りとは一体どのような力なのだろう。

今から7年前、この頃は灰野が最も活発に演奏活動していた時期に当たる。2007年は年間75本の公演、12月は全6公演。

12月1日 秋葉原・Club Goodman 「Howling」  灰野敬二+ナスノミツル+石橋英子
12月5日 青山・月見ル君想フ 「ULTIMATE MUZIK!」 サンヘドリン[灰野敬二+ナスノミツル+吉田達也]
12月12日 横浜・Stormy Monday デュオ with 藤掛正隆(ds)
12月16日 高知・Chaotic Noise ソロ
12月23日 下北沢・Lady Jane "長い夜” デュオ with 鬼怒無月
12月30日 高円寺・Show Boat 不失者(灰野敬二ソロ)オールナイト



当時灰野は2,3ヶ月に一度のペースで藤掛正隆とデュオで横浜Stormy Mondayに出演していた。横浜らしいアメリカンな雰囲気のライヴハウスで、普段はブルースやアメリカンロックやフュージョン系のアーティストが出演している。キャパは20人くらい、テーブル席でお酒を飲みながらリラックスして音楽を楽しめる。灰野&藤掛の時は、大抵10人強の動員で、筆者を含む数名の追っかけw以外は地元のファンのようで女性客が多かった。1時間ずつの2部構成。灰野はギター以外に民俗楽器や電子器機を使い、ヴォーカルもたっぷり聴かせる。静かに始まっても藤掛のタイトなロックビートが鼓舞して強烈な轟音演奏に突入する。轟音といっても音量ではなく気迫の轟(とどろき)である。1対1で思う存分ぶつかり合える場として、両者にとって有意義なライヴだったに違いない。その片鱗は藤掛の主宰するfulldesign recordsから2009年にリリースされたCD『明日 アルファベットが、消えてしまいますように』に記録されている。





2009年に灰野が実家のある川越に転居して以来、横浜でのライヴは殆ど無くなったが、灰野が藤掛を如何に信頼しているかは、今年稼働した新バンドHARDY SOULの屋台骨として藤掛のドラムをフィーチャーしたことに明らかである。



表題の写真はカメラの悪戯とはいえ、「人間という形を捨てて、魂という暗号に」なるような体験を味わうことこそ、灰野の音楽を聴きライヴ現場に足を運ぶ最大の理由に違いない。
灰野敬二+藤掛正隆@横浜 Stormy Monday 2007.12.12(wed)

まずは色を無くし
次に形を変えてみよう
魂という暗号になろう



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【豪州ロック浪漫派】ザ・チャーチ~南半球のサイケデリック・ロック交響楽

2014年09月14日 00時23分45秒 | ロッケンロール万歳!


オーストラリアのロックというとどんなイメージを持つだろう。ビージーズのコーラス、AC/DCのハードロック、エア・サプライのAOR、INXSのダンスロック、SPKのノイズ/インダストリアル、ニック・ケイヴ(ザ・バースデイ・パーティ)のヤサグレロック。他にもメン・アット・ワーク、ミッドナイト・オイル、クラウデッド・ハウス、ジョン・バトラー・トリオなど世界的ヒットを放ったバンドが思い浮かぶ。当然ながら特定のジャンルやスタイルに限定されることはない。

筆者にとっては、どこかワイルドで古風なイメージがある。それは約30年前に訪れたウィーンで知り合ったオーストラリアからのバックパッカーの兄弟の朴訥として垢抜けない印象のせいかもしれない。中世の教会の静かな楼閣に響くオーストラリア訛を思い出す。そんな気のいい田舎者の青年たちをとても気に入っていている。



80年代初頭、ネオサイケや60'sリバイバルに呼応する動きはオーストラリアにもあった。元々ワイルドなガレージロックが多かったローカルシーンから、世界的に知られるバンドも登場した。その代表格がザ・チャーチだった。



1980年シドニーで結成。全盛期のメンバーはスティーヴ・キルビー(vo,b)、マーティー・ウィルソン=パイパー(g)、ピーター・コップス(g)、リチャード・プルーグ(ds)。

ニュー・ウェイヴ、ネオ・サイケデリックな作風で人気を得た。1988年のスタジオアルバム『スターフィッシュ』及び、シングル曲「アンダー・ザ・ミルキーウェイ」(この曲で1989年度のオーストラリアン・ミュージック・アウォーズの年間ベスト・シングル賞を受賞)が全米チャートTop40位に入り成功を収めたが、その後は商業的な成功から遠ざかり、1990年代に幾度かのメンバーチェンジを行って現在の布陣となった(ドラマーのティム・ポウルス以外は結成時からのメンバー)。日本での正規盤リリースは、1990年の『黄金の午後』(Gold Afternoon Fix)以降途絶えており、輸入盤のみ彼らのCDを購入することが可能である。----wikiediaより

上 Richard Ploog/Peter Kopps ・下 Marty Wilson=Piper/Steve Kilbey



オーストラリアのバンドは、パンクのThe SaintsおよびメンバーのEd Kuepperが結成したLaughing Clownsや、The Birthday Partyを好んでいた。音楽誌のレビューで興味を持ち1984年に購入したザ・チャーチの4thアルバム『Remote Lauxury』(1984)を聴いて、緻密なプロダクションと練り上げられたメロディに一気に惚れ込んだ。それまでのオーストラリアの垢抜けない荒くれ者の印象を払拭する繊細な感性が素晴らしかった。86年の『Heyday』は絢爛なジャケットを含め彼らの最高傑作だと思う。






88年『スターフィッシュ』で本格的に全米デビュー。シングル「アンダー・ザ・ミルキー・ウェイ」がTop40ヒット。派手さのない実直な曲だが、前年全米No.1ヒットになったU2「ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー」の余波を買ってラジオヒットとなったのではないかと想像する。ドラマーがパティ・スミス・グループのジェイ・ディー・ドハーティにチェンジした90年の『黄金の午後』もキャッチーなギターロックだったが、92年の『Priest=Aura』で内証的なコンセプチュアルな方向に変化。スティーヴ・キルビーとマーティー・ウィルソン=パイパーはそれぞれソロでも活動し、別プロジェクトのジャック・フロストというユニットもあった。






『Priest=Aura』以降は彼らを追うことはなかったが、本国で堅実に活動を続け、定期的に作品をリリースしている。2011年4月にシドニー・オペラハウスで結成30周年記念コンサートを開催、フル・オーケストラと共演。そのライヴCDとDVDが『サイケデリック・シンフォニー』というタイトルで今年4月にリリースされた。






日本でもたまにラジオでかかることがあるが、決してヒットした訳ではないので来日公演は無理だと思うが、これほどハイセンスなサウンドを展開するバンドを豪州だけのローカルシーンに留めておくのは勿体ない。世界から再発見されるのを待っている。
The Church Official Site
Shadow Cabinet Fan Site

教会に
鳴り響く
浪漫の歌

2011年に『パスト(過去)フューチャー(未来)パーフェクト(完全再現)ツアー』と銘打って全米ツアーを行った。

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【これは凄い!】New York is Now~注目の前衛サックス奏者Chris Pitsiokos(クリス・ピッツィオコス)

2014年09月13日 00時56分44秒 | 素晴らしき変態音楽


寄稿している音楽情報サイト「JAZZTOKYO」の新任副編集長多田雅範からダウンビート誌人気投票ギタリスト部門でビル・フリゼール、パット・メセニーに次いで第3位にランクインしたメアリー・ハルヴァーソンという女性ギタリストのことを聞いた。メガネ女子との言葉に興味を持ち彼女がヴォーカルを務めるトリオ「PEOPLE」を聴き、NO NEW YORKやソニック・ユースやレッド・クレイオラを彷彿させる変態性に惚れ込んでしまった。このバンドについてはJAZZTOKYO次号(9月末更新)に書いたのでお読みただきたい。ここではトリオになる以前、ドラマーのケヴィン・シェアとのデュオの頃の動画を掲載しておく。

●People - Likelihood of Bang



メアリーの歌とギターもいいが、ケヴィンの変態的なドラミングに注目。彼の活動をググると、数多くのプロジェクトやユニットで活動する売れっ子ドラマーであることが判る。その中で一人のサックス奏者に心奪われた。

●Kevin Shea, Chris Pitsiokos, Max Johnson @ JACK 2-24-14



90年代のジョン・ゾーンを彷彿させるハイピッチなフリークトーンを存分に聴かせるアルトサックス奏者Chris Pitsiokos。発音はクリス・ピッツィオコスか?1990年生まれブルックリン在住。メルツバウ、クセナキス、ヘルムート・ラッヘンマン、オーネット・コールマンに影響を受け、ニューヨークの現代音楽/ノイズ/即興ジャズ・シーンでアルトサックス奏者として活動する。ソロ演奏を聴けば、そのユニークさが判る筈。

●Chris Pitsiokos solo - at SpectrumNYC - March 11 2014



●Chris Pitsiokos Trio - at Spectrum, NYC - July 8 2014



セッション動画も多く、その殆どが2013,4年のニューヨークの個性的なライヴハウスでの演奏である。

●Chris Pitsiokos & Elliott Sharp - at Spectrum, NYC - June 23 2013



●Weasel Walter & Chris Pitsiokos - at JACK, Brooklyn - February 23 2014



●Chris Pitsiokos / Brian Chase / Ron Anderson - at Freddy's Back Room, Brooklyn - Aug 26 2014



録音物は『Weasel Walter/Chris Pitsiokos ‎– Unplanned Obsolescence』(2012)、『Chris Pitsiokos/Weasel Walter/Ron Anderson - Maximalism』(2013)の2作があるようだが、名前の正確な発音を含め、この24歳のサックス闘士の詳細は不明。今後の調査にご期待いただきたい。
Chris Pitsiokos公式サイト

ニューヨーク
前衛ジャズの
棲むところ

現在のニューヨークの即興ジャズシーンから目が離せないことは間違いない。

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【ヴァイオリン・ロック特集】"Dr. Acid Guru" Kudda's LOOK BACK IN PLEASURE#2(1993年夏)

2014年09月12日 00時16分24秒 | 素晴らしき変態音楽




VIOLIN ROCK CRONICLE
●DARRYL WAY(WOLF/CURVED AIR) ダリル・ウェイ








●DOCTORS OF MADNESS ドクターズ・オブ・マッドネス






●THE WONDER STUFF ワンダー・スタッフ





ワンダー・スタッフ

●KING CRIMSON キング・クリムゾン


インプロ集団としてのクリムゾン最盛期を支えたのがデヴィッド・クロスのヴァイオリン。狂気の即興プレイは頭脳派集団の暴れ牛の如し。





●UK


ロック・ヴァイオリンの貴公子エディ・ジョブソン(左)は端正なルックスで女子ファンの心を射抜いた。



●IT'S A BEAUTIFUL DAY イッツ・ア・ビューティフル・デイ


いい日旅立ちベイエリア・ロックの女王を盛り立てるのはデヴィッド・ラ・フレイム(左から三番目)のヴァイオリン。



●HOT TUNA ホット・ツナ


ブルースロックの鬼の目にもパパ・ジョン・クリーチ(左から二番目)のヴァイオリン。



恐いよお
悪魔が来たりて
弦擦る

冒頭の印象的なジャケットのイタリアン・プログレ・バンド「ゴブリン」は恐怖映画『サスペリア』のサントラで有名。残念ながらヴァイオリンを弾くメンバーはいない。





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【オルタナ女子の逆襲】キム・ゴードン/コートニー・ラヴ/ヴァセリンズ/ディアフーフetc.

2014年09月11日 01時07分35秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


SONIC YOUTHのポスター展『SONIC YOUTH “100% DIRTY” EXHIBITION』が、9月13日から東京・中目黒のIRMA RECORDS MERCH STOREで開催される。1981年にニューヨークで結成され80~90年代オルタナ/グランジ/ノイズ/エクスペリメンタル/アングラロック界の帝王として君臨したこのバンドも最早伝説。街中でロゴTを着たイマドキ女子を見かけることも少なくない。ギターのサーストン・ムーアはマイブラのベース女子デビー・グッギ等とソロ作を制作した。
SONIC YOUTHのポスター展、バックステージパスやTwee Grrrls Clubによる特製ZINEも
サーストン・ムーアのソロ盤にマイブラのベーシストら参加、試聴音源も公開中

ではサーストンと別れた奥さんはどうしたかな、とググったら・・・・
●Kim Gordon(キム・ゴードン)


ロックの殿堂授与式で復活したニルヴァーナ=デイヴ・グロール&クリス・ノヴォセリックと共演。アングラロックの姐御に相応しい大胆不敵な絶叫を披露した。



では20年前に自殺したカート・コバーンの奥さんはどうしたかな、とググったら・・・・
●Courtney Love(コートニー・ラヴ)


8月に15年ぶりのオーストラリア・ツアー。それに先立って「You Know My Name/あたしの名前知ってるわよね」という新曲を発表、歳を経てもグランジ界のエロ天使健在ぶりを誇示した。



ではキム・ゴードンと並ぶオルタナ系キム姉さんはどうしたかな、とググったら・・・・
●The Muffs(マフス)


パンク界のゴッド姉さんことキム・シャタック率いるザ・マフスが10年ぶりのニューアルバム『Whoop Dee Doo』を発表、10,11月に来日公演決定。ガールズ・ガレージ・パンクの血が騒ぐ。


ザ・マフス(The Muffs)が来日公演を10、11月に開催

では、故カート・コバーンお気に入りのスコットランドのオルタナ女子はどうしたかな、とググったら・・・・
●The Vaselines(ヴァセリンズ)


ユージン・ケリーとフランシス・マッキーのインディ・デュオ、ヴァセリンズが4年ぶりのニューアルバム『ヴィ・フォー・ヴァセリンズ』を10月に発売。結成から28年経っても少年少女のままの二人に胸きゅん。



では、同じ頃イギリスで人気だった女子ヴォーカルバンドはどうしたかな、とググったら・・・・
●The Primitives(プリミティヴス)


1986年デビューのインディポップバンド、プリミティヴズは、紅一点トレイシー・トレイシーを中心に2009年に再結成、2012年の復活アルバムに続き、今年9月にニューシングル『Spin-O-Rama』をリリース。



姐さん方
お歳を召しても
オルタな恥部

では、2年前エビと対バンした鹿女子はどうしたかな、とググったら・・・・
●Deerhoof(ディアフーフ)


サトミ姉さん率いる脱臼アヴァンポップバンドもニューアルバム&来日決定!2012年は私立恵比寿中学と対バンしたが、今回は誰かとコラボる?


ディアフーフ 来日公演を12月に開催&新アルバム『La Isla Bonita』の日本発売も決定
ディアフーフ/私立恵比寿中学@渋谷 O-East 2012.10.13 (sat)
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『JAZZ ART せんがわ2014』@調布市せんがわ劇場 2014.9.6(sat)&7(sun)

2014年09月09日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


「JAZZ ART せんがわ2014」
~ 野生に還る音 親密な関係 生きる芸術 ~


今回で7回目を迎える即興音楽とアートの融合イベント
「JAZZ ART せんがわ2014」9/6(土)、7(日)に開催!

創造性の高い前衛的な音楽・アートパフォーマンスを中心に、先端を行く演奏家にスポットあてたこのイベントは、せんがわ劇場を中心に、国内外で活躍する日本人ミュージシャンはもちろん、今年はニューヨーク・イタリア・インドネシア等からミュージシャンが参加します。
今ここでしか見られない、独自のラインナップ!

せんがわ劇場ライブ 出演アーティスト:
時々自動/伊藤キム ホナガヨウコ スガダイロー 山本達久 坂本弘道/センヤワwith内橋和久 ヒカシューwith沖至/坂田明 アンドレア・チェンタッツォ 藤原清登/巻上公一/平田康子 竹中俊二 石井彰 山崎比呂志 藤原清登 Soon Kim 鼓道研究会 井野信義 遠藤定 加藤久志/柳家小春 パール・アレキサンダー 巻上公一 R.U.B/友川カズキ 山本精一 坂本弘道 ペットボトル人間
JAZZ ARTせんがわ2014公式サイト


(写真の撮影・掲載については主催者の許可を得ています。以下同)

昨年ほぼフル参戦した調布市主催のローカルフェス「Jazz Art せんがわ」に今年も参戦。昨年の終演後、総合プロデューサーの巻上公一は「来年も開催するために多くの人の支持を求む」と語ったが、今年も無事開催されたということは、充分な支援が得られたのだろう。今年は東京ジャズと日程が被ったが、動員には余り影響はないものと思われる。メイン会場のせんがわ劇場はeyes,ears,nose,hands,mouth,legsと身体のパーツを冠したプログラム。巻上、藤原清登、坂本弘道の三人のプロデューサーがそれぞれディレクションした出演者の組み合わせがユニーク。
『JAZZ ART せんがわ2013』@調布市せんがわ劇場、Jenny's Kitchen 2013.7.20(sat)&21(sun)

9月6日(sat)
●伊藤キム+ホナガヨウコ+スガダイロー+山本逹久+坂本弘道


坂本弘道ディレクション[eye] 演奏家とパフォーマーの顔合わせ。躍進著しいスガとジャンルを超えて活躍する山本の共演はありそうでなかった。坂本を交えて手始めのトリオ演奏はいきなり本気モードの丁々発止のバトルに。ホナガが三人それぞれとデュオで遊び心たっぷりの身体パフォーマンス。マネキンに扮した伊藤の独り舞台に演奏家が加わり、最後は全員で賑やかな大団円。演奏家だけだったら緊縛の時間になりそうなところを、伊藤のトボケたパフォーマンスとホナガのしなやかな舞いが、笑いに満ちた祝祭空間に塗り替えた。



●センヤワ with 内橋和久


巻上公一ディレクション[ears]はインドネシアのユニットと本家ヒカシューにそれぞれゲストを加えたダブルビル。
センヤワはルリー・シャバラ(vo)とヴキール・スワディー(bambuwakir/bamboo flute)の実験音楽デュオ。ルリーのヴォイスはデス声、ビートボックスから天使のファルセットまで多彩。ヴィキールの竹製自作楽器は繊細なストリングスとノイズパーカッションを兼ね備え、まるで精巧な電子楽器のよう。内橋がダクソフォンとギターで色をつける。単に民俗音楽と実験音楽を掛け合わせただけでは無く、まったく新しい音楽を創造した。



●ヒカシュー with 沖至


結成36年目に突入したヒカシューは正に日本の変態ロックの頂点といえる。楽器演奏を極めた猛者の集合体だが、高尚そうなワザのご開陳に陥ること無く子供でも楽しめる判り易さとポップ性、そして何よりもユーモアを前面に出す姿勢が素晴らしい。トランペットの冒険家、沖至をゲストに迎えたステージはより一層自由度の高い、飛翔するような演奏。三種類のトランペットとパーカッションと笛を持ち替える沖のフットワークの軽さには、何でもやってみようという悪戯っ子のような好奇心が満ちている。センヤワと内橋を交えて演奏した「パイク」はジャンルと国境を非武装化する裏返しの魔術だった。



●坂田明+Andrea Centazzo+藤原清登


藤原清登ディレクション[nose]。時間が重なっていたタイニーカフェでの灰野敬二ライヴが終わり次第駆けつけ、アンコールだけ観ることが出来た。ワンホーントリオ編成で坂田のサックスを聴くのは、坂田明&ちかもらち日本ツアー以来久々。1曲だけだったが、自由を絵に描いたような明朗なサックスプレイは勿論、絡み付く藤原のベースと、初めて観るアンドレア・チェンタッツォの柔軟なドラミングの神髄を堪能した。


9月7日(sun)
●ペットボトル人間


坂本弘道ディレクション[legs]。ニューヨークの20代トリオ「ペットボトル人間」の評判は聞いていたが、観るのは初めて。19歳の時に単身ニューヨークに乗り込みジョン・ゾーンに出会い前衛音楽に進んだという吉田野乃子のサックス、デイヴ・スキャンロン(g)、デイヴ.ミラー(ds)の三人がならす音は、精巧に練り上げられた確信的インプロヴィゼーション。フリークアウトせず冷静に音に向き合う姿勢は、ニューヨークに息づく実験精神に貫かれている。新世代に相応しい音楽の若々しさと瑞々しさが新鮮だった。



●山本精一


続いて山本精一のソロ演奏。様々な顔を持つ才人だが、この日はギターによるノイズ演奏。数年前に観た「爆音ノイズライヴ」を思わせる、純度の高い非音楽的ノイズ放射。とはいえ山本のストラトキャスターのサウンドは、どんなにエフェクトをかけアンプを歪ませても、どこかにギターらしい繊細な音色が聴こえる気がする。やはり山本はあくまで「ギタリスト」なのに違いない。ハイテンションな演奏が、5分程度で突然プラグを引っこ抜いて終了するパンキッシュなステージ。

●友川カズキ


坂本が何度か楽屋に呼びに行って、歌手・詩人・画家・競輪愛好家の友川カズキが登場。いつものように歯に衣を着せないぶっちゃけトークを挿んで情念の歌が披露される。自らの生き様を投影した歌詞と、東北の厳しい冬を耐え抜く強靭なメロディー。友川自身の表現力の極みを倍に増幅する山本と坂本のバックアップが加わり、会場全体が友川色に染まる。当然初顔合わせのペットボトル人間の友川が最後まで外国人と呼んでいた二人は、即座に日本的情念を理解出来るハズはないが、友川の強力な磁力に惹かれたのか、我知らず復讐バーボンに酔ったフレーズを奏でている。アンコールで友川がソロで歌った「生きているって言ってみろ」は、二日間の音楽体験の行き着く地平を指し示すようだった。



終演の挨拶で巻上はJazz Artせんがわの目的は「分かり易い音楽、つまり強度が強くてすぐに判る音楽を届け、出会いの場を作る」ことだと語った。二日間のステージは間違いなくその目的に適ったものだと言えるだろう。来年もまたこの街で新たな音楽と出会えることを楽しみにしたい。

強い気持ち・強い愛
強い音楽
出会えます


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灰野敬二 Hurdy Gurdy Solo@仙川タイニーカフェ 2014.9.6(sat)

2014年09月08日 01時15分15秒 | 灰野敬二さんのこと


◆灰野敬二ライブ@タイニーカフェ◆
日時:9月6日(土)19:00 START
出演:灰野敬二 (オープニングアクト 末森 樹)
場所:タイニーカフェ(調布市若葉町1-42-2)

ヒカシューの巻上公一が総合プロデューサーを務める音楽フェス「Jazz Artせんがわ」の一環で仙川タイニーカフェで灰野敬二のソロライヴが開催された。名前の通りこじんまりとしたカフェ兼バーは4年前に灰野とNon(Non Band)のデュオライヴ以来。地元のロック/アート/文学好きな若者たちの隠れ家風の店。愛情溢れる手書きフライヤーもナイス。限定20名の観客は店の常連や地元のファンが多く、灰野特有のピーンと張った緊張感は余りない。夕方せんがわ劇場に出演したインドネシアの二人組センヤワと内橋和久も来場した。彼らは二日前に秋葉原Club Goodmanで灰野や吉田達也等と対バンした。最前列に座る。演奏者の近さと木製の内装が、2000年代前半灰野が毎月ライヴしていた西早稲田ジェリージェフを思い出させる。
Non+灰野敬二@仙川 Tiny Cafe 2010.9.21 (tue)

●末森樹


オープニングアクトはタイニーカフェでライヴ活動している若手クラシックギター奏者・末森樹。「アルハンブラの想い出」やバッハの曲を端正に演奏。かなりアウェーな状況だが物怖じしない態度が潔い。
末森樹公式ブログ

●灰野敬二

(写真の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。)

スタッフがお香に火をつけ、椅子とアンプをセッティング。灰野が現れハーディーガーディーの調整を始めると、店のシャッターがゆっくりと閉められる。ガラガラという音を立てて窓の外に鉄扉が降りてくるのを見ていると、閉じ込められて拷問を受ける虜囚になった気がしてくる。こんな至近距離でこの黒い砲弾状の擦弦楽器を見るのは初めて。その形状から頑丈そうに見えるが、木製で壊れやすく、湿気に弱いデリケートな楽器だということがよく分かる。優雅にハンドルを回して弦を擦ることで音が鳴る仕組みだが、カバーを開けて弦を弾いたり、フレットを押さえたり、弦の上にアルミホイルを巻いたり、兎に角忙しい。灰野は椅子の上で身体を揺らしリズミカルな動きでハンドルを回す。それはギターやエアシンセを弾くときの激しいアクションとまったく同質である。一寸音だけ聴くと蝸牛の匍匐のようだが、脈動するビートが流れていることをを感じるべきだろう。



学校の音楽の授業で聞いたのかハーディーガーディーの名前だけは前から知っていた。ドノヴァンに「Hurdy Gurdy Man」というヒット曲もある。しかしこの楽器の存在が頭脳に強烈に植え付けられたのは2002年末の不失者の法政大学学生会館ワンマンだった。灰野のライヴに通いはじめてから1年経った頃初めて経験した7時間ライヴ。最初はまさかそんなに長いとはつゆ知らず、始まってから3時間程して灰野と小沢靖がステージを去り、電子音がPAからリピート再生されたので、このままフェードアウトして終わるんだな、と思った。しかし電子音は同じ音量で20分以上鳴り続ける。何かおかしいぞ、と思いながら時間感覚が麻痺してきた時、突然電子音を遥かに凌ぐ大音量でガラスを引っ掻くような耳障りな轟音が鳴り響いた。耳を塞ぐことも出来ず茫然とノイズに溺れたまま意識が遠のき、徐々に眠りに落ちていった。頭の中の景色がぐにゃりと曲がり、墨汁のように溶けて流れ出し、モノクロの曲線の間からえも言われぬ奇怪な異形の化け物がこちらを覗いている。余りの恐ろしさに目を醒すと、全身の毛穴から冷や汗が噴き出し、エレクトリック・ハーディーガーディーの音圧のために声も上げられず金縛りのままの自分を意識した。人間が只の肉の塊に過ぎないことを思い知り、シュールレアリストたちの描いたヴィジョンは、脳の中に存在する風景を忠実に再現した写実主義であることを実感した。



灰野のハーディーガーディーの音源は『手風琴』(PSF 1995)、『こんなになってもまだ考えている』(徳間ジャパン 1998)、『Abandon all words at a stroke, so that prayer can come spilling out(Disc1)』(Alien8 2001)、『Reveal'd to none as yet -an expedience to utterly vanish consciousness while still alive(Disc2)』(aRCHIVE 2005)『こいつから失せたいためのはかりごと』(PSF 2008)。コンピでは『Undecided』(PSF 2004)が代表的。



<ハーディーガーディー見聞録>
屹立ロケンロー&屹立エグジスタンス(存在)そろい踏み~Drop's/灰野敬二 2013.9.29(sun)
灰野敬二+テニスコーツ/Doraptron(ドラびでお+伊東篤宏)@青山 月観ル君想フ 2012.9.2 (sun)
灰野敬二@横浜トリエンナーレ 2008.11.21 (fri)
魂を絞り出す音~灰野敬二「こいつから失せたいためのはかりごと」
トニー・コンラッド×灰野敬二@六本木 Super Deluxe 2008.9.17 (wed)
石原志保(舞踏)+灰野敬二@中野 Plan B 2007.11.7(wed)
渋谷UPLINK FACTORY(2005.4.17)
灰野さんのハーディーガーディーを聴きに行ったよ(2005.4.8)
どうしても聴けないCDがあるよ(2005.2.22)

ハンドルを
回す手見てると
目も回る

センヤワの楽器担当ヴキール・スワディーもハーディーガーディーを演奏するらしく、いつかハーディーガーディー二重奏をやろう、と話していたそうだ。
【予告】センヤワ+内橋和久他、二日間に亘る「Jazz Art せんがわ 2014」のライヴレポートは明日掲載予定!
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