グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

大島の火山・その7 火口

2010年10月31日 | 火山・ジオパーク

今日は山頂に戻って火口について、今現在で知っている事をまとめてみたいと思います。

私達が「火口」と呼んでいる場所は、1777年に始まった“安永の大噴火”でできた穴の事を示しています。
(火口1周コースはこの時の火口の縁を回るような感じで造られています。)

その後現在に至るまで、1986年の噴火も含めて5回の中規模噴火があり、
その度に流れ出た溶岩や噴出物で、穴はどんどん小さくなっていきました。

現在観察できる直径300~350mの穴は、「火口」に対して「火孔」と呼んで区別しています。

この火孔、実は噴火1年後の11月に出来たものだと知っている人は、意外に少ないようです。

1986年の噴火の直後、火孔の表面は冷え固まった黒い溶岩で覆われ、その下には赤いマグマが溜っていました。
それが1年後の爆発で再び陥没し、マグマも地下に戻って、現在私たちが目にしている火孔が誕生したのです。

上の写真の左半分を大きくしてみましょう。

画面の左半分を占める黒い部分、これが1986年の噴火後1年間、火孔を覆っていた表面部分だそうです。
爆発の際、砕けて飛ぶのではなく、そのまま垂れ下がったということです。

穴の上部では、縦の筋が入った垂直な部分が縁取っていますが、ここは表面を覆っていた“カサブタ”部分の断面です。
表面に近かったため冷えやすく、ちょうどアア溶岩の断面と似た形状になっています。
縦の筋は溶岩が冷えて収縮し、亀裂が入ったためにできたものです。

では、右半分からは何が読み取れるでしょうか?
赤や白が混ざった複雑な模様をしています。

これについてはよく、「赤い部分は高温酸化が進んだ部分、白い部分はゆっくり冷えた岩脈」のように解説されています。
ところが、これをそのまま説明すると、ほとんどのお客様に「はあ?」という、何だかあまり納得できないような表情をされてしまいます(^_^;)

確かに私もこれだけだと、いつ溶岩が酸化していつ岩脈が冷えたのか、うまくイメージできません。
自分も良くわかっていないのに資料で読んだことだけ説明しても、お客様にわかっていただけないのは当然ですよね。

それで、またまた“やぎさん”こと川なべさんに質問してみました。
川なべさんからは、下記のメールをいただきました。

「赤い酸化した部分はクリンカーやスパッターのように穴が多くてスカスカなので空気が通りやすく
それと高温のために酸化が進むわけです。
一方,岩脈はスパッターのように穴も少ないので,中を空気があまり通りません。なので酸化されずにいるわけです。

(白い部分が)噴火の時に作られた岩脈なら、(爆発当時は)まだ冷えていないと思います。
岩脈はまだ冷えて固まりきらない,お粥のような状態だと思えばいいかと。」

な、なるほど!酸化して赤くなるためには高温のまましばらく空気に触れている必要があるのでしたね・・・。

と言うことは、この赤や白の部分は1986年の噴火の時に穴を埋め尽くしていた溶岩の部分ではなく
それ以前の噴火で降り積もっていた赤い部分に岩脈(白い部分)が侵入した、と考えれば良いのでしょうか?

でも、確か「穴は噴火の度に小さくなっている」と聞いたような・・・?
だんだん孔が大きくなっているなら、以前の噴火で降り積もった部分が露出してくることもイメージしやすいのですが・・・。

ウ~ン・・・わかりやすく説明しようと追求するうちに、逆にわからなくなって「?」マーク続出になってきました(^_^;)

また“やぎさん”に質問してみます。
もしかしたら、コメントで回答いただけるかもしれないので、答えを知りたい方はコメント欄もチェックしてみてくださいね。

いずれにせよ、今の火孔の景色が楽しめるのも、次の噴火までの短い(?)期間です。
その後、ここの景色はどのように変化するのでしょうか?

この“火孔”の雄大さを、今のうちにジックリ鑑賞しておきたいですね。
まだ火孔を見たことがない方は、噴火前に是非、お訪ねください~(*^_^*)

(カナ)






コメント (5)
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カモたち

2010年10月30日 | 
雨風が強くならないうちにと、いつもより少し早めに家を出て日課の鳥さん探しに行ってきました。
まずは昨日のマガモ5羽がまだいるかどうか新しくできた北部の貯水池へ。
するとカモさんがどっと増えていました!
30羽くらいいます。
伊豆大島で一度にこんなにたくさんのカモを見るのは初めてです。
大興奮ですよ~。



雨が降っていて暗く金網越しというなんともしょぼい写真ですが・・・
しかもここは立ち入り禁止なので近くまで行くことができないのです。



一番右端にヒドリガモがいますね。
わーい。
わかりやすいカモは好きです。



あとはほとんどマガモでしょうか?
遠いし暗いしカモ類に疎いしでよくわかりません(涙)



なにか違うカモがいたらぜひ教えてください。
って、こんな画像で申し訳ありませんが。



今日はこの風雨ですからここに留まるのでしょうね。
・・・なにか食べるものはあるのでしょうか?

南部にもこういう貯水池があって、もちろんそこも見に行ってきました。
なぁ~んにもいませんでした・・・あそこはナライ(北東風)が強く当たりますからね。

この貯水池に水鳥たちがちょっと休めるような浮島を作ってくれるとうれしいんですけど。
ダメなの?



そうそう!大島でカモと言えばこのお方(?)
今日のシノリガモ君。
すっかり綺麗になって元気でしたよー。



あぁ~、水掻きの付いているあんよがなんとも!!



貯水池のカモもシノリガモも、それからたくさんの鳥たち。
無事に台風を乗り切って欲しいです。

でも野生の生き物は人間が思っているよりもずっとずっと逞しいんですよね。
きっと大丈夫でしょう。





今日出会った鳥たち(声のみを含む)
マガモ、ヒドリガモ、シノリガモ、トビ、キジ、キジバト、キセキレイ、ヒヨドリ、ウグイス、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス

           がんま
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夏の宿題

2010年10月29日 | 

 台風14号が沖縄本島の東側海上を北上中で、
予報では明日の夕方頃に伊豆諸島・南関東へ接近!! 

 昨夜も低気圧の通過で、すごい風が吹きました。
今朝は道路へ出てビックリ! 枯れ枝や葉がいっぱい落ちてました。

 このところ、どんより曇っていたり雨降りの日が多い伊豆大島です。
撮影に出られなかったので、夏の課題の虫たちをひとつかみ・・・。

 見出しの写真↑は、タマムシ科の【ウバタマムシ】です。
タマムシの仲間で大島で見たことがあるのは、これだけだったかと。



 春から夏にかけて、よく見掛けるのはコメツキムシの方が多いです。
こちら↑は、コメツキムシ科の【ウバタマコメツキ】です。

 ウバタマムシによく似たコメツキムシってことなのでしょう。
枯れた松の木にいることが多いことなども似ています。
・・・でも、どうして、松の木にいると、こうゆう形態になるのか?


 「コメツキムシ」は、コメツキムシ科に属する甲虫全部の総称です。
甲虫類中では、比較的多きな1群で、日本には200種程がいるそうです。
 
 コメツキダマシ科、コメツキモドキ科なんてのもいて、奥が深い(笑)

 これが、3センチ程ですから、日本の甲虫としては大きい方でしょうか。

 こんなふう↑に、ひっくり返すと、じっと動かずに死んだふり(?)をして、
ぺっこん!とはね起きて驚かされます。

 こちら↓は、一回り小さ目の【サビキコリ】16ミリくらいですね。



 コメツキムシ科の仲間は、みんな形がよく似ています。
おまけに色も、黒や褐色で、地味で控えめ。判別に困ります。

 でも、なぜか、これ↑には名前に「コメツキ」とついていません。


 こちら↓は、【オオナガコメツキ】。スリムなので、長く見えるけど、
体長は28ミリでした。



 コメツキムシの仲間の幼虫は、「はりがねむし」と総称されて、
ムギ類、イモ類、トウモロコシなどの害虫もいます。


 カマキリに寄生するハリガネムシとは別ですので、注意。

  こちら↓は、【ヒゲコメツキ】 のオス。

 

 クシ状の触覚がオスの特徴。メスの触覚はノコギリ状とのこと。

体長23ミリ、ヒゲは13ミリありました。何に使うんでしょう?


(なるせ)

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ここ1週間のツアー

2010年10月28日 | ツアー

この1週間の間に何度かガイドで山を歩き、秋の景色を楽しみました。

先週金曜日の午前中は多摩地方の森をフィールドに活動している女性の方達と、

植生遷移が一番ハッキリわかる1本道を往復しました。

ハチジョウイヌツゲとヒサカキが多い濃い緑の森から、明るい低木林
ススキの大草原、1986年溶岩流のまだ荒々しさが残る風景…
短い時間で環境が変わるこの道は、植物好きの方達と歩くと特に楽しいです!

オオムラサキシキブの実の付き方が本土のムラサキシキブと全然違うと驚かれる皆さんの話を聞いて、
私もムラサキシキブを調べてみました。
オオムラサキに比べてずいぶんスマートな感じなのですね。

普段見慣れていて何も疑問を持たずに通り過ぎている植物も、お客様との会話から、
他の場所と違う個性を持っているということを教えていただくことが、とても多いです。

この日は足元に美しい紫色のスミレも咲いていました。
何か珍しいスミレかも!と思ってスタッフに写真を撮ってもらい後から見たら、大島には一番多いシチトウスミレでした。

春に見るシチトウスミレより紫色が鮮やかに見えたのですが、たった1個しかないという貴重さが
色を濃く見せていたのかもしれません(^_^;)

そして、同日午後は地質調査のプロの方たちと、テキサスコースから温泉ホテルへ抜ける道を歩きました。

毎年皆さんで色々な場所へ、勉強に出かけられているとのこと…素敵ですね!

地質調査の世界では、柔らかい地質と硬い地質の専門家がわかれていて、柔らかい地質の専門家は
「豆腐屋」と呼ばれている、など面白いお話を色々聞かせていただきました。

樹海の中の溶岩流の断面がはっきり出ている場所では、左右の形をジグソーパズルのように合わせて
観察されていて、「なるほど、こういう見方をするのか~」と勉強になりました。


そして昨日。

午前中は小学校4~6年生の遠足に乱入し、ジオパークの話をした後、少しだけ一緒に歩きました。

子ども達は黒い溶岩の形を見て「あ!カメだ!」とか「○○だ!」と次々に発見して教えてくれます。
子どもの感性にはかないませんね~。

島の子ども達の間では意外にゴジラが有名な事もわかって、嬉しくなりました(^O^)

さて、最後のツアーは昨日の午後、大島支庁産業課の方達のリクエストで、
火口を一周して温泉ホテルへ抜ける道を歩きました。

歩き始めた道の脇には、私達を歓迎してくれるかのようにアキノキリンソウが見事な花を咲かせていました。


あいにくの曇り空で冷たい北風がビュービュー吹いていたのですが、皆さん風などものともせず、
三原山の景色を楽しまれていました。


島に暮らす者同士で、ここの自然の雄大さや不思議さを一緒に感じながら歩けた事がとても嬉しかったです。

「すごいよな~。こんな所って他にないよな~。」という、参加された方の感想は、そのまま私の感想でもあります。
歩くたびに、どんどん大島の自然に惹かれていきます。

島に住む私達がここの魅力を皆で見つけていけば、大島はきっと更に素敵な場所になりますよね!
これからも機会がありましたら、ぜひ一緒に歩いてくださいね。

そしてこの1週間ツアーにご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

とっても楽しかったです!

(カナ)





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生き残る為には・・・2

2010年10月27日 | 海の生物
水中生物も陸上生物同様に色々な方法で生き残る術を持っています。
泳ぎが得意なもの・擬態が上手なもの・何かに似せたものなど色々です、そんな中今回の主役「ジョーフィッシュ」は口の中から卵を孵化させる仲間です。



水中生物が一番食べられやすい時期はいつでしょう?
大きくなれば生きる術を知っています、小さいうちは確かに食べられやすいかも?
でも卵のうちは逃げることも出来ないし、身を守ることも出来ません。

この仲間は一日の内ほとんどを穴の中で生活するくらい臆病です、その上口の中の卵を食べられることはほとんど無いでしょう。
そしていざという時には大きく口を開け、卵の孵化を促します。
その時間や時期などは非常に難しく、なかなかその瞬間を見るのは容易ではありません。
温かくて浅い所で見る事が出来る南国ではそれ程難しくはないでしょうが、冷たくて深い(時に40mを越える)所ではそうもいきません。
それゆえに見ることが出来た時は喜びもひとしおでしょう。
是非見てみたいものですが、かなり難しいかも?

担当 石田
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またまたま~め

2010年10月26日 | 植物
また、スマトラ島沖地震で大きな被害がありますね。
島の災害は本当に人ごとと思えません。
亡くなった方のご冥福をお祈りします。
また、一刻も早く生活が元通りになりますように。


さて。


本日お昼過ぎ、三原山を見上げた景色です。
山の向うからもこもこと、どんどん雲が出来ていきます。
気温も高く、まるで夏が戻ったみたい・・!

「こりゃ~、夕方一降りだワンね」
そんなふうに思って、本日のわんこの散歩は早めに済ませました。
そうそう、西の海岸にはすでに台風14号の影響と思われるキレイなウネリが入ってきていました^^
まだまだ小さくて、海も優しい感じです!
これなら波乗り練習には良いかも~
(なんて思いつつ、軟弱者の私にはこの先の寒さで海なんてムリムリ!!)

夕方になると・・・・

ど~ん。
三原山にすでに黒い雲、襲撃っ。
でも伊豆半島の方を見るとまだ辛うじて夕焼けでした。

そして日が暮れて・・・

「あ~あ。雨だワン」
よかったね、早めのお散歩しておいて^^

まぁ、思ったより雨は強くなく。
夕立ち、というよりは秋の雨、ですね。
しかし、なんだかすでにタイフーン?というぐらい強い風が吹いていますっ。
こうなると雨雲もさっさと去って・・・
と思ってたら、すぐに雨もやんで、今は雲の隙間からお月さまが顔を出しています。
こういうのって、まさに観天望気?
島に暮らしていると本当に天気の事に敏感になりますね。


さて。またまた話を変えて。

お天気の良かった先週のお話です。
島の南部のほうへ行ってきました。

ワダンの花が盛りを迎えていました。
へぇ。私、初めて生で見ました、きっと。
いつもの散歩道の海岸あたりではなかなか見かけない花のようです。
葉っぱがとても美味しそうなんですけど・・・^^
「海菜」→ワタナ→ワダン、というのが名の由来のようです。
海の菜だけど「食べる」とは書いていません・・
どなたか、もし食べた事ある方いたら教えてください~(^^)/


これも集合花なんですね!
大島、というか離島の条件に集合花ってあうのでしょうか?
集まって咲いて、とても鮮やかですね!!

そしてもう一つ、北部であまり見ないらしい植物を発見!
ハマナタマメです!

大きなサヤが茶色くなっているのが目立っていて、存在に気付きました。

ちょっと、またまた気になって、家に持ち帰って割ってみました^^

大きさ10センチ、大きいサヤだけあって種を守るお布団がフカフカです。

芽になると思われる部分がしっかり大きいですね。
完熟の種も併せて割ってみました。

ここまで来たらやっぱり、食べられるのかどうか、知りたいですよね。
調べました。

どうも、若いうちは大丈夫のようです。
「ハマ」のつかないナタマメってのが、福神漬けに入っているって事を初めて知りました!!
同じようにして、分厚いサヤを炒めたりすれば食べられるようですね~。
しかし、しかし!
上の写真の真っ黒なほう、完熟の種になると毒なのだそうです!!
それは・・・微妙ですねぇ。
そのうち毒になる、でも今は大丈夫、と言われましても・・・
ちょっと、やめとこうかな、と思うやっぱり軟弱者の私なのでした^^;

(友)


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自然薯

2010年10月25日 | 植物

台風も14号が発生しています。

今年は関東に接近する台風がまだ無いようですが、14号はどうなるでしょうか?週末に影響が出ませんように(超個人的な希望です)

 

 

我が家でも主人が例年のごとく、山に出勤して成果を挙げています。


!!これだけ!! 今日食べる分ね 後は仕舞ってありますよ。

 

私も負けずに?集めたものは  “むかご”

 

自然薯とは

ヤマノイモ科ヤマノイモ属でつる性の多年草細長いハート型の葉でこれから黄葉してきます。花は夏に咲き、雄と雌は異株です。果実は3つの陵(羽のようなもの)が有り、陵の中に種子かあります。畑で栽培される時にこの種を使うと言う事は聞いたことが無く葉の付け根(葉腋)に付くむかごで栽培されます。芋の堀上が大変なのと曲がったりするのでパイプの中で栽培されます。これだと掘りあがりの芋の肌もきれいですが、味はいかがでしょう?(畑で出来たものは食べたことが無いので分かりません)

 

芋の部分としては発達した担根体(根でも茎でもない)と言われる物で 今はまだまだ充実しておらず、これからもっと寒くなり黄葉した葉が飛び散る頃が1番おいしいでしょうか。

 

我が家にやってくる芋は山の地形・地質そのままにスコリアが付いていたり、少し粘土質だったり、芋は軟らかいので大きな石が在ったようなところは大きく曲がったり二股になったりと下ごしらえが少々手間がかかります。

 

むかごの方はそのまま生食カリカリとかじるとねっとりとして自然薯と似た食感だし、茹でて食べたり(家では電子レンジにかけますが)

 

=今夜のおすすめはこれ=(『隣の晩御飯』風に)

 


・むかごご飯(実はもち米なので“むかごおこわ”なのです)

・とろろ芋
本日の夕食は芋の親子?でしょうか?

いただきま~す   (しま)

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大島の火山・その6 地層切断面

2010年10月24日 | 火山・ジオパーク

大島のジオサイトの一つ“地層切断面”は、1953年、道路建設工事中に偶然発見された高さ30m、

長さ600mの美しい地層で、海外の火山研究者にも広く知られているそうです。

 

100~200年毎の大噴火で降り積もった火山礫や灰が約100層重なり、

見事な模様を作っています。

 

島の中での通称は「バームクーヘン」

約1万年~1万5千年分の噴火の歴史をここで見ることができます。

 

この地層は周囲からの圧力で歪んでできたのではなく、

もとからあった地形の上に、噴火で降り積もった火山礫や灰が積み重なってできています。

 


噴火の最初はパワーがあって、スコリアなどの火山礫を降り積もらせ、

その後に火山灰を降らせ、噴火活動の休止期には土ができる、というのが1セットです。

 土の層には植物が生えているのでわかりやすいです。

 

こうやって見ると、層の厚さは様々です。

そしてそれぞれの厚さが島の噴火の歴史を語っています。

 

スコリアが厚ければ、当時ずいぶん長く大きな噴火が続いていたのでしょうし、

土の層が厚い時は火山の休止期が長かったのでしょう。

 

ところでここの地層、パッと見たところ綺麗な層になっているようですが

実はちょっとズレたような、おかしな模様のところが何か所かあります。

 

このおかしな模様を“不整合”と言います。

 

なんでこんな事が起きたのでしょう?


「地滑り?」

不思議に思って専門家の方に聞いてみました。

 

 “やぎさん”こと“川なべさん”からいただいたメールによると、
不整合については、実はまだ良くわかっていないのだそうです。

 

ただ全体に渡ってほぼ同じ時期に不整合になっていることから、

気候や噴火によって侵食されやすい条件が重なったか、

何かの事件が起きたのだろうと言われているようです

 

(たとえば、直前に細い火山灰が厚く降り積もり水が地下に浸透しにくくなった時期と

雨が多かった時期が重なり、斜面(谷?)が削られた…等も考えられるようです。)

 

私が推理した地滑り説については、

「地震や大雨による地すべりの可能性もありますが,地すべりにしては不整合の形が変なので,

あまり可能性は高くないかも。」という回答をいただきました(^_^;)

ところでこの地層切断面の右端の上には、他とかなり雰囲気の違う黒い塊があります。

これは噴火で降り積もった火山礫や灰ではなく、火口から斜面を流れ下ってきた溶岩流です。


こんな場所まで溶岩を流した時代は、一体いつ頃なのでしょうか?

 

川なべさんによると「上下の年代からおよそ3000年くらい前」が考えられるのだそうです。 

私の予想よりかなり昔でビックリしました!


そしてさらに地層切断面では、他にも何本かの溶岩流が観察できるそうです。

「大切断面には,西の端(2500年くらい前?),谷埋め溶岩流(2700年前?),
東の端に2枚(上が前述のもの、下が7000年くらい前)溶岩があります。」

 

そんなにたくさん溶岩流が観察できるとは、実は知りませんでした。(^_^;)

 

今までは地層切断面を見に行っても、どちらかの端で車を降りて眺めるだけでしたが、

これは歩いてジックリ観察しないと、もったいないように思えてきました。

 

噴火の度に、地球の内部で作られた熱いマグマを吹き出しながら、少しずつ島を高く大きくしてきた大島火山。

 

近いうちに、島を形作った火山の物語に思いを馳せながらゆっくり歩いて、

大島の宝物のような地層を楽しみたいと考えています。

 

(カナ)

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マヒワ

2010年10月23日 | 
この秋のマヒワの初確認は先週の土曜日でした(ワタクシ調べ)
そのときは1羽きりでしたが、今日はた~くさんのマヒワたちに出会うことができました。
シアワセ。

その鳴き声といい小ささといい、なんたってかわいいんです。
飛びながら「チュイィ~ン」とか「ジュイィ~ン」と聴こえる声で鳴き、枝にとまっているときは「ツィー」や「ジュクジュク」とかお喋りしています。
大きさはスズメよりもだいぶ小さいです。

去年(というか前の冬)は私はまったく出会わなかったので今日はうれしくてたくさん写真を撮りました。
かわいいマヒワをご覧ください。





伊豆大島のあちこちにあるオオバヤシャブシの実(種)が大好物!
おべんと付いてますよー(笑)








頭が黒くてお腹が黄色いのはオスです。











お腹にあまり黄色味がなくて縦斑があるのはメスです。
頭も黒くありません。








手前の子は今年産まれの若いオスでしょうか?
黄色がまだ淡いですね。





一心不乱に食べ続け、ときどき互いに鳴き交わします。
家族かな・・・?
その様子がまーたかわいいんです!








細くて尖ったクチバシはオオバヤシャブシの球果から種をほじくるのに都合よくできているんですね。




!! これはまるで鳥には見えません!




「なぁ~に~?」

うはぁっ・・・このまま枝ごと家に持ち帰りたいくらいです。
それをどうするんだと言われても困りますが(笑)
それくらいかわいいってことですよ。



この冬の間中大島にいてくれるといいです。




今日出会った鳥たち(声のみを含む)
ウミウ、オシドリ、シノリガモ、オオミズナギドリ、ウミネコ、イソシギ、キアシシギ、ミサゴ、トビ、
ノスリ、ハイタカ(?)、ハヤブサ、チョウゲンボウ、コジュケイ、キジ、カラスバト、キジバト、アマツバメ、ツバメ、ハクセキレイ、タヒバリ、ヒヨドリ、モズ、ジョウビタキ、ノビタキ、イソヒヨドリ、ツグミ、ウグイス、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、ホオジロ、カワラヒワ、マヒワ、アトリ、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラス、ドバト

ここ数日ナライ(北東風)が強く吹いたせいか、今日は今季初の冬鳥たちをいくつか見ることができました。

        がんま
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ゴジラを探せ!

2010年10月22日 | 歴史・文化

  三原山の三原神社の近くにあるゴジラ岩↑の撮影スポットには、
ご丁寧に立て札があったりします。

 先日10月3日、『大島の火山・その4』(byカナ)に
「ゴジラ、奇跡の復活」の話があって、島内ゴジラ巡りを
思い付いた次第です。

 「ゴジラ岩観光」は、北海道知床・石川県珠洲市・男鹿半島などの
ゴジラ岩も有名ですが・・・

 1954(S29)年11月に封切られた東宝の特撮怪獣映画『ゴジラ』は、
その後シリーズ化されて、17作(?)にもなっているようです。
 ゴジラは、水爆実験の影響で地底から生まれたとか、
第五福竜丸の被爆を土台にした核実験の恐ろしさを描いた、
とされているようです。
主演俳優の宝田明さんは、
「人間を脅かす加害者であるゴジラもまた、核競争の被害者だった・・・」と。

 実は、大島の三原山の噴火口から生まれてきた(!?)とも言われています。

こちら↑は、新島のコーガ石(たぶん)で造ったゴジラの胸像で、
元町の公園にあります。大島の玄武岩との違いをよーく見てください。

 それにしても、敗戦後10年も経たない内に、
怪獣映画を作っていたとは驚きです。
 見たのは、随分昔のことで1作目の誕生シーンの記憶がないのが残念。
ただ、海を渡って湘南海岸に上陸し、航空無線の鉄塔を壊して行く、
そんな場面があったと思います。
 怪獣といえば、ブースカやカネゴンが好きでした。
(若い方は分からない話で、すみません)
怪獣が両生類・爬虫類に似ているのは、子どもが恐竜好きだからでしょうか?

 これ↓は、石材店の展示スペースにあったゴジラ。どこか外国の石でしょうか。
いくらくらいするのでしょう?

 それで、第1作が封切られた11月3日が、ゴジラの誕生日ということで、
東京では、3本立てとかの特別企画があるようです。再来週ですね。

 
 1984年の『ゴジラの息子』では、ラストで、ゴジラが
三原山の火口に落ちて終わり、
 1989年の『ゴジラ対ビオランテ』では、再び噴火口から現れて
大暴れしたそうです。

 こちら↓は、南部の児童公園のような所にあるゴジラ。

 足の間の階段を登って、尻尾の先へ向かって下るスベリ台です。

 前から撮った画像も用意したのですが、格好良くないので、
ゴジラの名誉のためにUPしないでおきます(笑)

  こち↓らは、1986年のLBⅠという溶岩流にあるゴジラ岩。
この日は、霧が流れていて、何とも幻想的でした。



 B火口列からカルデラを北東方向へ流れた大量の溶岩に、
降り積もった噴石が乗って流れて自然に出来た造形です。

 この溶岩流には、まだいくつもゴジラ岩がありますから、
探してみて下さい。

 島内には、この他にも、カイヅカイブキ(樹木)を
装飾的に刈り込んだトピアリーのゴジラなどもあったり・・・


都立大島高校1997年度、農林科矢島さんの製作。


ゴジラの島だけあって、ゴジラ密度が高い!?

(なるせ)

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