健康食品として名高いアシタバですが、葉っぱは有名でも花はかなり無名なのですね(笑)。
普段は日陰が好きなアシタバですが、花のシーズンはニョキっと立ちあがり、茎のトップに可愛い花を沢山つけます。
これは、先週木曜日の日記で最後に載せた、やけに存在感のあった火口周辺のアシタバの花です。
小さな花が集まって、まるで夜空に輝く打ち上げ花火みたいです。
この時、いつになくジックリ、アシタバを見ていたら「あれ?」と思うことがありました。
アシタバの花のつぼみを包んでいると思われる苞の先から葉っぱが出ています。
「おお~、可愛い!」なんて思ってさらにジックリ観察すると、茎の下の方はめくれた苞の先端から
立派な葉っぱが伸びているではありませんか!
つぼみを包んで保護する役割を終えた後には、葉を支える茎の役割に代わるなんて、
なんて無駄がないというか、たくましいのでしょうか!
もっとも本来の茎ほど丈夫ではないらしく、葉が大きくなると重さに耐えかねて
垂れ下がってしまうようですが…。(笑)
島に暮らして20年以上、毎年アシタバを見ているのに、なんでこんな事に気づかなかったのだろうと、
自分の観察力のなさにあきれるばかりです。
アシタバに対して俄然興味がわいて、膨らんだ苞の部分を解体して見ることにしました。
そうしたら…。
何と苞の中にはもっと小さな苞とつぼみ、そしてさらにその小さな苞の中には極小サイズの苞とつぼみ…。
ウムム~、こんな風に準備万端整えているとは…すごすぎます…。
アシタバについて調べるうちに、さらに驚きの事実がわかりました。
アシタバの花は雄しべと花弁を持つ“雄”の時期が先に来て、
次にそれらが落ちて小さい雌しべだけが残る“雌”の時期となるようです。
そして“雄”の時期と“雌”の時期の2回に分けて、花盤と呼ばれる先端の丸い部分から蜜を出して虫を誘います。
花盤の蜜は舐めやすいので様々な昆虫が訪れるようです。
画面の中だけでも、蛾やアリやアブなど、賑やかですね。
これなら確実に雄しべの花粉を、他の花の雌しべに届けられそうです。
つぼみを包むためのパーツを、役目を終えると茎に変え、次々に花開くための準備をぬかりなく整え、
受粉のために2回に分けて蜜を出して虫を誘う…アシタバってこんなに逞しい植物だからこそ、
民家周辺から火口の回りまで広範囲に生きていられるのでしょうね。
アシタバさん、尊敬です!
ところで、アシタバを含むセリ科シシウド属の学名は「アンジェリカ」。
ラテン語のエンジェル(天使)が語源で、その数々の薬効からついた名前だそうです。
でも、なんだかあまりにたくましすぎて、“天使”のイメージではないような…?
実は、思わず顔を描きたくなるアシタバのつぼみ(伸び始め)を見つけたのですが…。
ね?
やっぱり、天使と言うより、元気で丈夫なお姉さん風ですよね?(笑)
(カナ)