グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

アシタバは天使?

2010年09月30日 | 植物
アシタバの花…島外からいらした方に、「今、アシタバの花の季節なんですよ。」とお話しすると、皆さん「え?どれ?」と興味を持たれます。

健康食品として名高いアシタバですが、葉っぱは有名でも花はかなり無名なのですね(笑)。

普段は日陰が好きなアシタバですが、花のシーズンはニョキっと立ちあがり、茎のトップに可愛い花を沢山つけます。

これは、先週木曜日の日記で最後に載せた、やけに存在感のあった火口周辺のアシタバの花です。

小さな花が集まって、まるで夜空に輝く打ち上げ花火みたいです。

この時、いつになくジックリ、アシタバを見ていたら「あれ?」と思うことがありました。

アシタバの花のつぼみを包んでいると思われる苞の先から葉っぱが出ています。

「おお~、可愛い!」なんて思ってさらにジックリ観察すると、茎の下の方はめくれた苞の先端から
立派な葉っぱが伸びているではありませんか!

つぼみを包んで保護する役割を終えた後には、葉を支える茎の役割に代わるなんて、
なんて無駄がないというか、たくましいのでしょうか!

もっとも本来の茎ほど丈夫ではないらしく、葉が大きくなると重さに耐えかねて
垂れ下がってしまうようですが…。(笑)

島に暮らして20年以上、毎年アシタバを見ているのに、なんでこんな事に気づかなかったのだろうと、
自分の観察力のなさにあきれるばかりです。

アシタバに対して俄然興味がわいて、膨らんだ苞の部分を解体して見ることにしました。
そうしたら…。

何と苞の中にはもっと小さな苞とつぼみ、そしてさらにその小さな苞の中には極小サイズの苞とつぼみ…。
ウムム~、こんな風に準備万端整えているとは…すごすぎます…。

アシタバについて調べるうちに、さらに驚きの事実がわかりました。

アシタバの花は雄しべと花弁を持つ“雄”の時期が先に来て、
次にそれらが落ちて小さい雌しべだけが残る“雌”の時期となるようです。

そして“雄”の時期と“雌”の時期の2回に分けて、花盤と呼ばれる先端の丸い部分から蜜を出して虫を誘います。

花盤の蜜は舐めやすいので様々な昆虫が訪れるようです。
画面の中だけでも、蛾やアリやアブなど、賑やかですね。
これなら確実に雄しべの花粉を、他の花の雌しべに届けられそうです。

つぼみを包むためのパーツを、役目を終えると茎に変え、次々に花開くための準備をぬかりなく整え、
受粉のために2回に分けて蜜を出して虫を誘う…アシタバってこんなに逞しい植物だからこそ、
民家周辺から火口の回りまで広範囲に生きていられるのでしょうね。

アシタバさん、尊敬です!

ところで、アシタバを含むセリ科シシウド属の学名は「アンジェリカ」。
ラテン語のエンジェル(天使)が語源で、その数々の薬効からついた名前だそうです。

でも、なんだかあまりにたくましすぎて、“天使”のイメージではないような…?

実は、思わず顔を描きたくなるアシタバのつぼみ(伸び始め)を見つけたのですが…。

ね?
やっぱり、天使と言うより、元気で丈夫なお姉さん風ですよね?(笑)

(カナ)
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台風のせいで・・・

2010年09月29日 | 海の生物

先週末の台風は今年初めて大島に影響がありました。
船も欠航になり海は大荒れ、せっかくの週末が潰れてしまいました。
もちろん台風は悪いことばかりではありません、海をかき混ぜてくれたり・珍しい生き物を運んでくれたりもします。
しかし今回はタイミングが悪すぎです・・・、せっかく揃った浅瀬の生物を殆ど飛ばしてしまったからです。

今年は季節来遊魚が多く、浅瀬はいわゆる熱帯魚がいっぱいです。
そんな中でも今年はカエルアンコウの仲間、特にクマドリカエルアンコウが大当たりでした。
クマドリ~はカエルアンコウの中でも人気が有り、この時期よくリクエストされます。
写真は二枚ともクマドリ~なのですが、下の黒いのはクロクマなんて呼ばれています。

 

 

そのせいもあって各ショップが目を皿にして探していたのですが、秋の浜に限らず野田浜・ケイカイ・王の浜で数個体確認できていました。
ところがこの台風のせいで秋の浜の個体は全て飛んでしまいました、と言う事でまた探しなおしです。

ゲストの方が台風前に避難させておけばよかったのに?なんて言っていましたが、まんざらそれも悪くないかも???なんて思ってしまいます。
もちろんそんなことはできませんし、しませんので安心してください。

まだまだ秋が始まったばかりです、伊豆近海のダイビングはこの時期が一番良いとされています。皆さんも水温が高く、透明度の良いこの時期に潜ってみませんか?それまでには新しいクマドリカエルアンコウを探しておきます・・・たぶん。

 担当 石田

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まめまめま~め

2010年09月28日 | 植物

今日はまたまた・・・!ネムノキのお話で~す^^

ほんとに好きだねぇ。すみませんっ。

追い始めると、変化が気になるんですね。

 で、どんな変化があったのかと言いますと・・・ 最近このネムノキの葉がすっかり寂しくなってきたなぁ・・と思っていると、マメがついているのに気付きました。

そう、ネムノキはマメ科植物です。

 

わ~い、マメだマメだ^^ と思ってパチリ。 そしてそれからしばらく時が経ちました。つい先日、マメが地面に落ちていたので、「おっ!」と思って拾い、持ち帰りました。

 ボールペンと同じぐらいの長さ。大きいですねっ。そして、房は膨らみ、中には実がしっかり入っていそうです。これは開いてみてみなきゃ~♪ ムキムキ・・。

お、綺麗な黄緑色~。 よくみると、薄皮に筋が入っていますね。この筋の中が重要?さらに剥いてみました。

 

あら、中身は薄皮の模様と関係なかった。かなり、ソラマメとか枝豆と同じですね。 そしてさらに割ってみると、胚がちょこんとついてます。

ま、当たり前か~。豆の構造なんですね。

で、ここまでくると食べれそうな気がするじゃないですか^^!

なので、実験くんの私としましては、食べてみました・・・・。

 

 

な~んて。嘘。^^; 剥いている時からかなり青くさい匂い。

どこかで嗅いだ記憶のある匂い・・・。ランタナに似てるかな~。ちょっとハーブ系?渋い?? や、つやつやしてて美味しそうには見えるんだけどねぇ。。(躊躇)

どうせ食べるなら、拾ったカピカピのものでなく、枝についてるのか良いよねっ。

ということで、結局食べてみてはいないのですが、少し調べてみると、残念ながらネムノキの豆は「まずい!!」という記事がいくつか発見されました。

 食べないで良かった~^^♪

 

 実はスズメノエンドウが庭に大量に出来るので、ちょっと豆を採って食べるのに挑戦した事があるんです。

旨いまずいっていうか・・・とにかく硬くて筋~!!って感じ。

もう次はないな、っと思いました。

食べられる豆ってのは、従来のものなんですね!

あんまりチャレンジしないで、正統派で行きますか~^^;

 

今回剥いた豆さん達は、お庭の植木鉢に撒かれました。

いつかお庭でネムノキの芽生えが見られたら、嬉しいなぁ~。

 

さて。今日は特別おまけの映像です。

http://www.youtube.com/watch?v=KTLyU-OeTxc

 

過去の動画を見てたら、見つかった、シロマダラの動いてる所です^^

時期でいえば昨年の夏ですが、今年の夏もシロマダラさんはたくさん出現しました!

サイズとか、ちょっと実感してもらえるかな~、と思って載せてみる事にしました。

ナイトツアーの雰囲気もついでに感じ取っていただけたら幸いです。

あぁ、なつかしや!!

(友)

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海へ 

2010年09月27日 | その他
じつはこの夏、海デビューしました。



6月に講習をして“Cカード”を取ったばかりですが、楽しい海行きを過ごしています。

講習は いらない所に力が入ったせいか、くたくたで1週間ぐらい疲れてしまいましたが、近頃は2ダイブしても『まだまだ山にも行けるぞ!』ぐらい元気になっています。

今まで海に行かなかったのは、あまり泳げないこと。持病に喘息があること。機材が重いこと。(昔昔プールで体験したことがあった)であきらめていました。

去年からインストラクターの人達と知り合いになったのは何かの縁神様が勧めてくれたのかと思って。(これも縁、小指に赤い糸では無くて黄色い糸でも付いていたかも)


優しいインストラクターにすべてお任せのダイブ。(おばさんはそんなもの)
陸上でも
えーと何処に付けるのかな右だったかな?左?
海中でも
      うあー浮いてきちゃったー
  海から上がれば
     う~体が、重―い
                  と 大変
インストラクターの方々なが~~い目でみてフォローよろしくお願いします(とりあえず頑張りますので)


頼もしいインストラクターです

大変なことは沢山沢山あるのだけれど、それ以上に海に中には楽しいことがいっぱいこれは止められませんね。


バブルリングを作って遊んでいます


まだまだ見る物が新しい物ばかり、次回は何を見る事が出来るでしょうか?ワクワク
     (しま)

※今度、私と一緒に海中の散歩にでかけませんか?
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大島の火山・その3

2010年09月26日 | 火山・ジオパーク
先々週に続いて、大島の火山について勉強した事の報告です。

三原山の山頂に近い火口周辺には、沢山の見どころが点在しています。

遊歩道を登りきってまず目につくのは、最近山頂口にできた大きな看板に
“巨大アグルチネート”と書かれている岩です。


4月11日の日記でも紹介しましたが、これは吹きあがる溶岩の飛沫が空気に触れて冷え、
溶岩湖の上にベチャベチャと降り積もり、次第に積み上がって巨大化したものです。

このような、つきたてのお餅を積み重ねたような形状のものを“アグルチネート”と表現するようです。  

中の構造はこんな感じ。

中身を見て、ベチャベチャ降り積もった時のイメージ浮かんできましたか?

1986年の噴火では、火口の穴が溶岩で満たされ、ついに溢れ出した時に
溶岩湖の表面に浮かんでいた様々な形のアグルチネートが流れ出しました。
それにしても、ここの物は横綱級ですね!

溶岩流は斜面を下りはじめたことで厚みが無くなり、この重たい物を浮かべて運ぶことができなくなって、
ここに巨大アグルチネートが誕生した…というわけです。

これと同じ現象が、カルデラの中で様々な、素敵な景色を作り出しています。

中央火口の外に連なってできた“割れ目”と呼ばれるB火口列。
そこから流れ出た溶岩流沿いに歩くと見られる、芸術的な景色。

何だか彫刻の森に迷い込んだみたいです。

アグルチネートは溶岩流の先端に行くほど、崩れて低くなっていくようです。

でも低いと言っても人の背丈ほどの物もあります。

こんなに沢山の芸術作品が、赤い溶岩の流れに乗って運ばれてくる風景を、
思い描く度に、「すごいな~。」とため息が出ます。

皆さんもこの場所へ行ったら心の中に、迫力の映像をイメージしてみてください。
周辺の景色が数倍楽しめますよ。

あれ?アグルチネートだけで今日の日記が終わりそうな予感…(笑)。

ここで終わっては少々寂しいので、最後にとても素敵な物を紹介します。

それはこの、溶岩の一飛沫。

1986年の噴火の時に、中央火口からここに飛んできて、ベチャ!っとなったものだそうです。
たった一滴がこの大きさです!

そしてこの一滴、噴火24年目に近づきつつある今日では、私達のツアーのランチタイムに利用されております。
その名も“お弁当の岩”(笑)

スベスベの黒い岩は痛くないし、ポカポカ暖かくて最高の座り心地なのです。
特に冬はありがたいです。

三原山様、素敵な椅子をありがとうございます!!

(カナ)

コメント (5)
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喜んでいいのかどうか悩むところです。

2010年09月25日 | 
今週の火曜日のことです。
エゾビタキやコサメビタキ、キビタキ、オオルリ、あわよくばサンコウチョウなんか出るといいな~と、鳥を探しに北の岬に出掛けました。

現場に到着してすぐ、目の前を大きなチョウが横切りました。
アゲハの仲間かな?と思ってそのときは気にも留めませんでした。
とにかく鳥モードになっていたので。

ここはちょっとした展望広場のようになっていて見晴らしがよく、この春にはヒタキやムシクイ類がたくさん集まっていた場所です。
もしかしたら秋も同じルートで南に渡るのかも・・・と期待していたのですが、鳥はまったくといっていいほどいません。
一年中大島にいるホオジロやメジロ、ウグイスがいるくらいです。

しばらく待ってみました。


・・・・


鳥さん、いないねぇ・・・



ボケーっと海を眺めているとまた先ほどのチョウが飛んでいきます。

あれ?
アゲハ(ナミアゲハ)やキアゲハにしては飛び方が早い。
ちょっとアサギマダラに似てるけどアサギマダラはあんな飛び方しないし。
お?
あんな樹のてっぺんにとまった!こりゃアゲハの仲間じゃないよ?
なんじゃろ?写真写真ー、写真撮らなきゃ!

あわてて写真を撮ろうと近くにいくと、殺気を感じたのか飛んでいってしまいました。

どうもタテハチョウの仲間っぽいので待っていればまた同じ場所に来るかも。
そう思って待つことしばし。



来ましたー!!


『あんな樹』はオオシマザクラでした。
って、コレって一体ナニ!?

私が今まで見たことがないチョウです。
・・・オオムラサキ・・・?
って、オオムラサキだって本物見たことないけど。




あれあれ?
翅の後ろが赤いですよ?






翅を立てた一瞬が運よく写っていました。


アカボシゴマダラです。
このときははっきりと名前がわからなかったのですが、家に帰って調べてみると出るわ出るわ、ネット上にはたくさんその名前がありました。

春型と夏型があって春型はもっと全体的に色が白く赤い星がないこと、やっぱりタテハチョウの仲間であること、幼虫が食べるのはエノキだということ、そしてなにより目をひいたのはこのチョウが人為的に日本に持ち込まれたということでした。

アカボシゴマダラの生息地はベトナム北部、中国、韓国、台湾、奄美諸島だそうで本来なら伊豆大島にはいないはずなのです。
奄美方面から風に乗ってやってきたのかもしれません。
しかしそれよりももっと近いところで10年ほど前から繁殖が確認されているのです。
ネット上の情報によると、それは1998年神奈川県だそうです。
奄美諸島のアカボシゴマダラとその他の地域のものとでは翅の紋様に違いがあり、神奈川で発見されたのは大陸型です。
誰かが密かに日本に持ち込み野に放ったのだとする説が有力です。



美しいチョウなので見ることができるはうれしいのですが、人為的に持ち込まれた外来種です。
幼虫が同じエノキを食べるゴマダラチョウやオオムラサキと競合する可能性があります。ってか、するでしょ!
(大島にはゴマダラチョウもオオムラサキもいませんが。あ、私が見たことないだけかも)



このチョウは奄美からではなく、すぐそこの対岸からやって来たと考えるほうが自然ですね。
大島に来たのは1匹だけでしょうか?

来年、アカボシゴマダラの春型を見つけることができたら大島でも繁殖しているということになるかもしれません。
うーん・・・見つけたいような、見つけたくないような(笑)







今日出会った鳥たち(声のみを含む)
コガモ、シノリガモ、オオミズナギドリ、ウミネコ、アマサギ、クロサギ、ムナグロ、イソシギ、キアシシギ、ミサゴ、トビ、チョウゲンボウ、コジュケイ、キジ、カラスバト、キジバト、アマツバメ、ツバメ、キセキレイ、モズ、イソヒヨドリ、ウグイス、セッカ、エゾビタキ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、メジロ、ホオジロ、スズメ、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ドバト


              がんま
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ソテツの花

2010年09月24日 | 植物
 秋雨前線の雨だそうです。ずっと暑かったので、ゆっくりタップリ降って欲しいです。南海上の台風の影響が気がかりですが・・・。

 最初の画像は先週の続きで、お彼岸なのでヒガンバナです。雨の予報が出ていたので、晴れていた22日に撮りました。まだ、数輪咲いているだけでしたが、何とかお彼岸に間に合いましたね。虫にもやられていませんでした。雨に濡れたヒガンバナもいいかもしれません。

 さて、今日のお題は「ソテツの花」なのでした。

 19日の夜、○HK教育テレビの「日曜美術館」の再放送をご覧になった方いらっしゃいますか? 私は何か用事を片付けながら見ていたところ、ソテツの花が話題になりました。

 奄美大島で亜熱帯の神秘的な日本画を描いた田中一村さんを特集していました。
 その代表作の「クワズイモとソテツ」の絵をゲストが語っていた時、「雌雄で異なる株のソテツの花は、咲く時季が6ヶ月くらい違う・・・」というような内容に聞こえたのです。・・・ウトウトしていたのかな?(笑)

 えっ! そうだったの? ソテツの花って???


 暖地の大島でもソテツは自生していませんが、移植されて路地で元気に育っています。
公園や道路の歩道、一般の住宅の庭にも植えられています。比較的よく目にする植物ですね。

 こちらは、元町の海照山 光明院 潮音寺。浄土宗のお寺さんの本堂です。南無阿弥陀仏。

 お堂の正面両側にソテツが植えられていて、軒ほどの高さです。21日の夕方でした。

 伺うと、この↑ソテツには実がなるとのことでしたが、高すぎてよく見えませんでした。


 お堂の左のソテツ↑は1本の幹がスーと伸びていますが、50年程前は、子どもが腰掛けられる高さだったそうです。右が雌株だとすると、左は雄株なのでしょう。

 一昨年、新島と神津島へ行く機会があった時、新島の十三社神社でも、神津島の物忌奈命(ものいみなのみこと)神社でも、社殿前に一対のソテツが植えられていましたし、伊豆半島の下田周辺の社寺でも同様にソテツが対にして植えられていました。
 
 四国や九州のお寺や神社でも同様のソテツを多く見かけたように思います。
ソテツには何か特別な意味(ご利益:ごりやく)などがあるのでしょうか?


 自生地は九州本土の南部から、沖縄、中国南部とのことです。もう30年以上前のことですが、鹿児島県の大隈半島南端の佐多岬へ行くには有料道路しかなく、貧乏旅行者には酷なところでした。そこは崖に天然記念物のソテツがたくさん自生する亜熱帯植物園のようなところでした。

 当時、ソテツの花を見たのかさえ覚えていません(汗)
 

 都道の歩道にある街路樹のソテツを見ていくと↑、
松ぼっくりのお化けのようなものが葉陰にぶら下がっています。

 やはり雄花の使用後は、こう↑なるのだ(意味不明?)


 ちなみに、使用前(あるいは使用中)は、こちら↓です! 

 ツクシの頭のような若くて元気な雄花。7月17日の撮影です。
鱗片状の雄しべが多数あり、裏一面に花粉を収納する葯室がついているそうです。

 花粉が風によって運ばれる風媒花。シダ植物のように精虫を作っての生殖です。


 ソテツは、蘇鉄と書きます。ソテツは鉄分を好み、衰弱した時に鉄分を与えると回復(蘇生)するという言い伝えから、蘇鉄の名前があるとか。本当かな?!

 ソテツの仲間は、太古の昔、シダ植物から進化したと考えられています。
古生代の二畳紀に、まずソテツ科の植物が現れ、中生代ジュラ紀に最も繁茂していたことが化石によって分かっているそうです。ジュラ紀と言えば、恐竜の時代。うろこ状のソテツの樹皮は恐竜の皮膚をイメージさせますね。

 こちら↓のタマネギ状が、雌花の現状(9月21日)です。


 こちら↑羽状に裂けた多数の心皮が重なりあって、
綿毛が何とも優しげです。

 心皮の元に胚珠という、種子になる部分があります。
種子を大切に育てている期間のようです。

 7月中旬の雌花は、まだ小さいですが、咲いていたのは分かります。↓幹の上部。

 
 この↑写真の下の方に、光沢のある朱赤色の丸いものが見えます。↑これが前年の実です。

 
 朱赤色の果皮を取り除くと、こう↓なります。



 以前どこかで頂いてきたソテツの種子です。3~3.5センチくらいの大きさ。
イチョウの実のギンナンに似ているのは、同じソテツ綱のグループだからでしょうか? 偶然?

 この種子は、漢方薬(下痢止め剤など)、毒抜きして食用に。幹も芯材、髄(ずい)を乾燥させて、でんぷんを採ることができるので、飢饉用の救荒作物として植えられたとか。

 こんな、利用価値の高さからも、神仏の前に雌雄1対で植えられるのでしょうか。

 太古から引き継がれてきた生命に対する尊崇の念。
男女和合、祖先崇拝、子孫繁栄などなど、このソテツには、
さまざまな祈りや願いが託されているように思えます。

   (なるせ)











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久々の勉強会(シュスラン満開)

2010年09月23日 | 植物
繁忙期が終わりに近づき少し時間ができたので、昨日久しぶりにスタッフで、
三原山を歩いてきました。

カルデラの中はちょうどススキの穂が少しずつ開き、
カジイチゴの葉が秋色に染まり始めていました。

歩き出してすぐに、嶋田がルリタテハの幼虫を見つけました。

寒くなる前に早く成虫になって、冬越しの体力をつけようとしているのでしょうか?
ずいぶん派手に葉をかじっています。

なぜかハエがルリタテハに寄ってきて、幼虫の棘を舐めるようなしぐさをします。
追い払ってもすぐまた戻ってきますが、一体何をしに来ていたのでしょう??

しばらくずっと同じ場所にとどまって経過を観察したい衝動に駆られましたが、
それでは、1歩も進めないので今回は観察をあきらめました。(残念~・笑)

少し歩くと今度は、ハチジョウイヌツゲに小さなカタツムリの赤ちゃんが付いていました。
しかも殻が左巻きです!

数少ないヒダリマキマイマイの極小サイズ(3~4mm)。
と~っても可愛かったです!

同じ木ではカメムシの幼虫も数匹、チョロチョロしていました。

葉陰からこちらの様子をうかがっていて、その姿がなかなかユーモラスです。
込み入った模様のカメムシ幼虫ですが、名前は調べきれませんでした。
(どなたかご存知ありませんか?)

ところで、私が今日一番感動したのは、一昨日の鴻池の日記でも報告されていた
シュスランの花です。

葉だけの時は周囲の緑に溶け込んで見つけにくかったのですが、
花が咲いたら、かなりな数が、道の周辺に生えているのがわかりました。

森の中のものより花が少し小さめなような気がしますが、それでも立派なシュスランです。

カジイチゴやオオバヤシャブシ、ハチジョウイタドリ、といった、荒地にいち早く侵入する
逞しいパイオニア植物たちの足元で、見事に花を開いていました。

一体何年ぐらい前から、この場所で生き始めたのでしょうか?

この可憐な花が、風の弱い、木漏れ日の入る森の中から、ホコリのように小さな種を風に乗せ
強風、日照り、貧栄養という全く違う環境に降り立って、その場所で花をつけるまでになる…
それってどれほど大変な事でしょう。

自分自身がこの1年半、吹きつける風や日照り、雨や雪、という悪条件の中を歩いてきただけに、
ここで生きることが、木々に囲まれた森の中で生きるよりもどれほど厳しいか、
良くわかるような気がするのです。

次の世代に命をつなぐため、小さな花を目いっぱい広げるシュスランの花。

何だか神々しいような美しさで、しばらく見とれてしまいました。

火口周辺ではアシタバが花盛りでした。

大島では、降り積もった溶岩礫上の、ハチジョウイタドリとススキの根元に侵入するアシタバ。

普段は日陰にヒッソリ生えている感じですが、この日は目いっぱい背伸びして、
花を開いていました。
天気が良ければ、花の背景に海と伊豆半島が見えたことでしょう。

何度同じ場所を歩いても、毎回違う三原山。

次の山歩きも本当~に、楽しみです。

(カナ)

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貴方が~噛んだ♪

2010年09月22日 | 海の生物
♪ あなたが噛んだ~ ♪ 小指が痛いぃ~・・・♪
「おいおぃ、どれだけ噛んだんですか~?」 翌日まで痛いとは(普通は甘噛みでしょ)
それに、小指を噛む男って・・・う~ん、どうなんでしょうね~?

いきなり古い歌で始まってしまいましたが、すみません。
実は先日、私もとっても痛い思いをしてしまいました。
それは・・・お客様と、海へ行く準備をしていた時の事です。
トランクス型海パンを穿いてウエットスーツを腰まで上げ、上着のインナーを着ようとしていると
“左の尻ッペタ”の所がモゾモゾします。

「アレッ!もしや・・・」 いや~な予感がしました。

何と!ムカデが潜んでいる海パンを、穿いてしまったのです。

「ヤバイ!噛まれる!」 
心の中で悲痛な叫びを上げた私は、思わず、ウエットスーツの上からむんずと海パンごと怪しい部分を掴みました。

しかし、相手もとっさの反撃!
「痛たたたたたぁ~~~!」 ガブリ!と噛まれてしまいました。
更に、指先を抜けだしたムカデは“右の尻ッペタ”へ移動、もう一噛みされたのです。

両尻を押さえる私の異様な行動に、ゲストの方達は皆注目です。
しかし傍目を気にしている場合ではありません。 このピンチをどう切り抜けるか? 
頭の中では色々な考えが錯綜します。

『器材洗いの水槽に飛び込んで、相手を溺死させる。』・・・そう簡単に死ぬ相手では無さそうです。

『この場でウエットを脱いで、海パンの中から何とかムカデを追い払う。』・・・
これもチョット手間取りそうです。

『これは、海パン毎脱ぐしかない!』大急ぎで扉付きシャワーの中へと駆け込みました。

そして出てきたのは・・・10cmは軽く超える“大ムカデ”



慌てて逃げるムカデがどうなったか?・・・それは、ご想像にお任せします。

その後、ゲストの方を待たせる訳にいかないので、すぐに車に飛び乗りポイントへ向かったのですが
車の振動が程良く噛まれた部分を刺激します。腰を浮かせての運転も中々楽ではありませんでした。苦笑

さて、皆さんもご存じと思いますが、この夏、私達ダイバーにとって何ともショッキングなニュースが流れました。

沖縄のダイビングインストラクターが砂浜に潜んでいた“オニダルマオコゼ”を踏み、死亡したのです。
私も何回か“オニダルマオコゼ”と遭遇していますが、実に巧妙に隠れています。
砂に埋もれていたり、岩陰に潜んで獲物を待っているのです。
そして背鰭には猛毒が有ります。何と!大人4人を死に至らしめる程のタンパク毒を持つそうです。

この他にも、海の中には実に様々な危険な生物が存在しています。

私達はそれらの生物から身を守る為に、生息場所や特徴等正しい知識を身に付ける必要が有ります。
なんて事を、普段はお客様にお伝えする立場なのですが、実は私自身色々な痛い思いをしています。 
その中から、これまでに味わった最大の痛い思い出を一つ・・・

ある日のナイトダイビング、エキジット間際に珍しいウミウシを見付けました。
刺激を与えると光を発する“ヒカリベッコウウミウシ”です。

ビデオを構えて撮ろうとしますが、波で振られて中々体が安定しません。
こんな時私達は、海底に腹這いになり大きな岩を足で挟みます。

丁度手頃な岩を近くで見付け「ヨッシャ~!」と掛け声よろしく、両足で挟み込みました。
その瞬間!“右のふくらはぎ“に激痛が走りました。 何と!岩陰に大きなガンガゼが居たのです。



スーツを貫通して刺さったトゲは数十本、指先まで痺れてきました。
何とか海から上がり、足を引きずりながら車に戻りましたが、ウエットスーツを脱ぐ時の痛い事痛い事半端では無かったです。

ガンガゼの棘は、他のウニ類と比べ細くて脆いのが特徴です。
刺さると折れてしまい“トゲ抜き”も使えません。

1~2本なら毒の痛みも数時間で消えるのですが、流石に数十本の毒針に刺されては堪りません。 
紫色に腫れた患部は翌日もジンジンしていました。
この棘は、いずれ吸収され消えてしまうのですが暫くは肉の中に残っていました。
皆さんも、ガンガゼの棘には十分注意しましょうね。思わぬところで痛い思いをしますよ~。

さてここから先は、昨日撮ってきたおまけの画像です。

これは“イイジマフクロウニ”大きさは20cm超



猛毒があり、棘に触れただけで激痛が走ります。
以前あやまって触った時には、余りの痛さにレギュ(呼吸をする為の道具)を外し、一呼吸毎に指を咥えずにいられませんでした。
まともに刺さったら、間違いなく悶絶しますね。

こちらは“ラッパウニ”  色々な本でも危険な生物と紹介されているのですが、実感が有りません。



綺麗なウニなので、ついついゲストの方にお見せする時掌等に乗せてしまいます。

毒を持つと言われるラッパ状の棘は簡単にウニ本体から外れ、指先にくっつきます。
でも、痛くも痒くもありません。   でも、“良い子の皆さんは真似をしないでね。”

最後はお魚・・・“ハナミノカサゴ”です。砂地で海底の獲物を狙っていました。



とても綺麗な魚で、私のお気に入りです。 ダイバーになりたての頃は“憧れの魚”でした。
これも背鰭に猛毒を持っていますが、意識的に私達が刺されようとしない限り安全です。笑

海の中では、“イモガイ”の仲間以外、幾ら毒を持っていてもそれを攻撃に利用する者は殆ど居ません。
皆、自分の身を守る為なのです。

しかし、寝床にまで忍び込んでくるムカデは絶対に許せません。
それと、何の前触れも無く刺して逃げる“アブ”・・・ これらは私の天敵です。笑

海チーム K/Y

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秋の連休

2010年09月21日 | ツアー
秋の連休はさすがに怒涛の3日間でしたっ。
海に山に、イレギュラー(期間外)でナイトツアーも行ってきました!!

そのうちの山へ行った時のお話です^^

とても気持ちの良いお天気で、程よい汗のかきかたでしたね♪
いつものように溶岩流の上登ったりしながら山頂へ登り、神業の三原神社へ辿り着きました。
みなさんが神社観察をしている間に、毎度チェックをしてきた「看板裏」のシュスランをチェックしました。
すると・・・
おぉ!

なんと、花芽をつけております!!
このシュスランは何度か日記にも登場していますが、なにしろ普通には森の木漏れ日の下を好むと言われている植物。
山頂みたいな風あたりも強く日光もあたる、栄養状態の悪い場所には適さないだろう?!
と想像され、そんな所にたまたま軽く遠くまで飛べる種が着地して、たまたま看板裏など守られた場所なので育ってしまったのかね~、という事で、夏に耐えられるだろか?とかそんな視点で観察を続けてきました。

それが、とうとう花芽をつけたのです!
おぉ~~~~~
これは、このまま行くと来年もこの周辺で新しいシュスランを見つける事が出来るって事かもしれません^^
ほんとに自然に生きるもの達の逞しさですね!

その後馬みちで下山し、野増の住民が一晩で積み上げたという石の壁のポイントではノリノリのお客様が全員で壁登頂にチャレンジ!無事全員登って記念撮影をしました♪


(アップの写真も残しています!グループの皆さま!必要でしたらぜひ一声かけてください!)

ここ、登ると「下る」という作業がちょっとまためったに出来ない体験でして・・^^;
ふっかふかの砂の斜面をざくざくと、靴に砂がガンガン入るのにもめげずに一気に下り降りるのです。

ちょっと童心に戻って、体のバランスを意識して、日頃の生活のリフレッシュをしてもらうポイントかもですね♪

そうこうするうちに、今度はこの壁の周辺でもシュスランの花が咲いているのを見つけてしまいました!!

これはまたまた凄い~^^

ちょっと興奮して皆さまに説明をさせていただきました。
まぁここは「樹海」と呼ばれている所からそう遠くないし、種も飛んでくるのかもしれませんね。
それにしてもとても日が当たりそうな、条件の厳しそうな場所でした~。
条件の厳しい時代に生きる私達。植物には見習う所がたくさんあるのかもしれません!!


この日は鳥がとても少なかったです。
が、もう少しすると色々な鳥も発見できて楽しみが増す事でしょう^^

引き続き皆さまと楽しい山歩きが出来るよう、明日も勉強して参ります!!
晴天続きの大島♪
ぜひ心の充電をしにいらしてください~^^♪

(友)


コメント
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