昨日、表題のシンポジウムが開催されたので行ってきました。
会場は大盛況で私が椅子に座った時点で、80人近い人が集まっていました。
講演は3つ。
講演1
伊豆大島における特定外来生物キョンの防除事業ついて。
講師は大島支庁土木課長の小野さんです。
これについては、今後ジオガイドの勉強会で時間をとって説明してもらえるそうなので、その時に報告したいと思います…。
講演2
「御蔵島におけるミナミバンドウイルカの保全とエコツーリズムへの活用」
講師は御蔵島観光協会の小木さんです。
御蔵島は6000年以上噴火がなく、周囲を海食崖に囲まれた火山島で、港の桟橋の下は水深50mなのだそう!雨も多く年降水量は3000~4000mmで、滝が50本以上あるそうで水の苦労をしてきた伊豆大島とは異なる環境の島のようです!(行ってみたい~)
1本の桟橋が島への出入り口で、風が強い1~2月の船の就航率は4割を切り、船が2週間も来ないこともあるとのこと。
漁業では鮮度の問題もあり勝負にならず、林業が主産業だったそうです。
イルカウオッチングが始まった1990年ごろは、島の人にとってイルカは普通のもの。
でも、ダイバーの口コミでイルカウォッチング客が急増し、島の人たちが頭数調査を始めたそうです。
発表要旨には「利用するだけでなく、初期から調査が始められていたのは驚嘆に値する」と書かれています。
イルカの個体識別は主に体についた傷で行い、動画などによる識別を丁寧に積み重ねることで、様々なイルカの生態がわかってきているそうです。
イルカウォッチングのお客様1人につき300円の協力金をもらって、活動を維持しているとのことでした。
御蔵島村は、2002年に自然保護条例を制定、2年ごとにガイド養成を実施し、ガイド同行ではないと入れない地域を設けているとのこと。
みんなで考えながら地域資源を大切にしてきた取り組み…素晴らしいです!
今では人口300人の島に年間8000人の観光客が訪れているそうです。
講演3
「青ケ島の自然と島の活性化」
講師は「青ケ島還住太鼓」代表の荒井さんです。
青ケ島は、御蔵島と同様、船の就航率が悪く、たった一つの桟橋が島への出入り口で、あとはヘリだけ。
島の北側で、比較的なだらかな斜面の上に人が暮らしています。人口は168人(H29年9月現在)。
230年前の大噴火で島民の半数近くが犠牲になり、50年以上無人島になっていました。
山の上には噴気で料理が出来る場所もあるそうで、ぜひ見てみたいです。溶岩の上にオオタニワタリ(シダ)が生い茂る森の映像にも心惹かれました。(行ってみたい〜!←2回目)
そして、サクユリが、20個以上の花をつけている風景も素敵でした☺️
島生まれの荒井さんは、一度本土でミュージシャンとして活動。
島に戻ってから郷土芸能の太鼓を演奏し、島外でも活躍しています。
スライドには、島の様々な場所で太鼓を演奏している風景が映し出され、それも本当に素敵でした。
講演とその発表要旨として配布された資料や講演の中で、印象的だった言葉をいくつか紹介します。
「青ヶ島には、多様な分野の研究者が研究成果を残してくれています。でもそのままの状態では、島で日々を送る人々の意識に働きかけるのは難しい。それを島の歴史、風土文化、生活の経験と照らし合わせて語り直すことが出来ると、島の人々や青ヶ島を訪れる人々に伝わる言葉になります」
「島の郷土芸能が、時代を経ても変わらずに島に生きる人々の心の糧であるように、島の自然環境も私たちの暮らしを支える糧です」
「旅人が心を動かされるのはむき出しの自然やそこに生きる島民との交流」
「方法論より前に、問われているのは「一人一人が『正しく語る力』を持つこと」
「何かに取り組んでいると、一番大切なことが忘れられていく」
「一つの変化に10年ぐらいかかると思っている。あきらめずに続けていきたい」
日頃のジオパーク活動と照らし合わせて、どれも共感できる言葉でした。
活動紹介
最後に、各島から1名ずつ(ガイドさんや自然愛好会の方など)が前に出て、活動紹介がありました。
伊豆大島からはジオパーク事務局の岩崎さんが「ジオパークとは何?」を4つのマークを使って説明していました。
1枚の紙に1つづつのマーク。
そこには…
「?」「!」「♪」「♡」が書かれていました。
「?」を「!」に変え「♪」と楽しくなって、地元がますます「♡」になる…のだそうです☺️
伊豆諸島の有人島は9島。
それぞれの島の個性的な自然と共に、人もまた、本当に魅力的だと感じました。
とても面白く、元気になれるシンポジウムでした☺️
(かな)