今日、御岳山を見に行ってきたので、全国大会の報告より先にその時の様子を報告します。
活発な火山島である伊豆大島に暮らし、火山の案内を仕事にしている私にとって、御岳山の噴火は他人事ではなく「自分の目でしっかり見たい」と思っていました。それで、昨日、現地を訪れていた桜島錦江湾ジオパークの福島さんに情報を伺って、JGC委員の中川さん、火山仲間の鈴木みきさん(漫画家)と一緒に見に行くことになったのです。
朝8時の九蔵峠。

白い煙が、空に長く伸びていました。
足もとの葉っぱには、白くて細かい火山灰がうっすらと積っていました。

大島の砂粒サイズの黒い火山灰よりもずっとずっと細かいのは、10kmぐらい離れているから?
マクロで見てみると、均一に見える火山灰が、形も大きさもバラつきのある粒であることがわかりました。

場所を変えて…。
朝10時少し前の、おんたけ2240スキー場。火口から5キロちょっとで、これ以上は上がれません。

TVの中継車が、たくさん停まっていました。
煙はますます激しく、モクモクと立ち上っていました。

まるで火山が呼吸をしてでもいるかのようでした。

地質図を出して、周辺の地面の成り立ちを勉強中。

様々な山を登り続けている鈴木さんが御岳山の山頂の様子を教えてくれました。
「御岳山の山頂は広くて6個の火口が並び、水が溜まって湖になっているものもある。台地のような広がりがあっていて、普通の山と景色が違っていた。美しく天国のような景色もあるが、荒涼として地獄のような景色もあり,だからこそ山岳信仰の山にもなっていたと思う。」と…。
きっと紅葉も美しく、人を惹きつける素晴らしい風景だったのでしょう…。
犠牲になられた方々のご冥福を、お祈りします。
御岳山を後にして車を走らせていたら、中央アルプスの山々が何層にも重なる美しい風景に出会いました。

この景色も大きな力で台地が押されたり、雨に削られたりしながらできてきたのだと思うと、地球の営みの中で人間は本当に微力だなぁと改めて感じました。
本当に人は地球の上で生きさせてもらっている存在なのだと思います。
「濁り川橋」という橋から川を眺めて驚きました。

火山灰が混ざっていると思われる灰色の水が、御岳山の方から流れて来ていたからです。

コンクリートを水で溶いた時のような色の水でした。
ところで、御岳山は30年前に地震で山頂付近から山体崩壊を起こすなどして、29名が犠牲になったことがあるそうです。
これが崩れを示す絵図ですが、少々わかりにくいでしょうか?

その崩れた面が今もハッキリわかる状態で、山肌に刻まれていました。


王滝村の入口の集落で、地すべりが起きた斜面は、今では植物が茂り…

土砂が崩れてきた工場跡に慰霊碑が建っていました。

(中川さんが30年前にこの地を取材で訪れていたとのことで、色々教えてもらいました。)
山頂付近から崩れ落ちた土砂が川をせき止めてできた湖(名前は「自然湖」というようです)には、立ち枯れた木々がそのまま残っていました。

破壊の象徴のような景色。
でも…
折れた木の上には、新たな植物が生き始めていました!

水に取り囲まれた倒木の上には…

苔やキノコが生えていました。

破壊のダメージの中で再生する小さな命の輝き…
こういう風景を見るたびに感激します。
ところで伊豆大島の火山も,今回の御岳山と同じように、突然水蒸気爆発を起こす可能性がないとは言えません。
そして、地震で山が崩れるのは、火山に限らず日本中の山で言えること…。
地球が生きている限り,自分自身の熱のバランスをとるためにプレートは動き、地下にマグマを作り、山は高くなっては崩れるということを繰り返します。
鈴木さんが「これからどうしたらいいのかな? 私たちはどうやって山に登り、山とつき合っていけばいいのかな?」と言いました。
「アルプスでは雷事故も増えている。以前は雷は夕方に起きることの多い現象だったが、最近は午前中から雷が鳴り、予想がしにくくなっている。シェルターを増やす必要があるのかもしれない。」とも語っていました。
1年に100回以上火口の周辺を歩いている私も,同じことを考えていました。
三原山にシェルターの数を増やすことは実現可能なのでしょうか?
伊豆大島よりも活発な火山のもとで暮らす桜島の福島さんは、「気象庁の地震情報を毎日チェックし、地震が増えたら“噴火の可能性”があることを念頭に置いて歩いた方がいい。それを全く考えないで歩くのと『起きる可能性がある』と思って歩くのとでは、その後の対応が違ってくるはず。」と語っていました。
そうですね。
考えられる限りの安全対策をして、火山の懐で遊ばせてもらって、あとは運命を受け入れる覚悟をする…それは山を歩くためだけでなく、どこで暮らすにしても大切なことのように感じました。
(カナ)
活発な火山島である伊豆大島に暮らし、火山の案内を仕事にしている私にとって、御岳山の噴火は他人事ではなく「自分の目でしっかり見たい」と思っていました。それで、昨日、現地を訪れていた桜島錦江湾ジオパークの福島さんに情報を伺って、JGC委員の中川さん、火山仲間の鈴木みきさん(漫画家)と一緒に見に行くことになったのです。
朝8時の九蔵峠。

白い煙が、空に長く伸びていました。
足もとの葉っぱには、白くて細かい火山灰がうっすらと積っていました。

大島の砂粒サイズの黒い火山灰よりもずっとずっと細かいのは、10kmぐらい離れているから?
マクロで見てみると、均一に見える火山灰が、形も大きさもバラつきのある粒であることがわかりました。

場所を変えて…。
朝10時少し前の、おんたけ2240スキー場。火口から5キロちょっとで、これ以上は上がれません。

TVの中継車が、たくさん停まっていました。
煙はますます激しく、モクモクと立ち上っていました。

まるで火山が呼吸をしてでもいるかのようでした。

地質図を出して、周辺の地面の成り立ちを勉強中。

様々な山を登り続けている鈴木さんが御岳山の山頂の様子を教えてくれました。
「御岳山の山頂は広くて6個の火口が並び、水が溜まって湖になっているものもある。台地のような広がりがあっていて、普通の山と景色が違っていた。美しく天国のような景色もあるが、荒涼として地獄のような景色もあり,だからこそ山岳信仰の山にもなっていたと思う。」と…。
きっと紅葉も美しく、人を惹きつける素晴らしい風景だったのでしょう…。
犠牲になられた方々のご冥福を、お祈りします。
御岳山を後にして車を走らせていたら、中央アルプスの山々が何層にも重なる美しい風景に出会いました。

この景色も大きな力で台地が押されたり、雨に削られたりしながらできてきたのだと思うと、地球の営みの中で人間は本当に微力だなぁと改めて感じました。
本当に人は地球の上で生きさせてもらっている存在なのだと思います。
「濁り川橋」という橋から川を眺めて驚きました。

火山灰が混ざっていると思われる灰色の水が、御岳山の方から流れて来ていたからです。

コンクリートを水で溶いた時のような色の水でした。
ところで、御岳山は30年前に地震で山頂付近から山体崩壊を起こすなどして、29名が犠牲になったことがあるそうです。
これが崩れを示す絵図ですが、少々わかりにくいでしょうか?

その崩れた面が今もハッキリわかる状態で、山肌に刻まれていました。


王滝村の入口の集落で、地すべりが起きた斜面は、今では植物が茂り…

土砂が崩れてきた工場跡に慰霊碑が建っていました。

(中川さんが30年前にこの地を取材で訪れていたとのことで、色々教えてもらいました。)
山頂付近から崩れ落ちた土砂が川をせき止めてできた湖(名前は「自然湖」というようです)には、立ち枯れた木々がそのまま残っていました。

破壊の象徴のような景色。
でも…
折れた木の上には、新たな植物が生き始めていました!

水に取り囲まれた倒木の上には…

苔やキノコが生えていました。

破壊のダメージの中で再生する小さな命の輝き…
こういう風景を見るたびに感激します。
ところで伊豆大島の火山も,今回の御岳山と同じように、突然水蒸気爆発を起こす可能性がないとは言えません。
そして、地震で山が崩れるのは、火山に限らず日本中の山で言えること…。
地球が生きている限り,自分自身の熱のバランスをとるためにプレートは動き、地下にマグマを作り、山は高くなっては崩れるということを繰り返します。
鈴木さんが「これからどうしたらいいのかな? 私たちはどうやって山に登り、山とつき合っていけばいいのかな?」と言いました。
「アルプスでは雷事故も増えている。以前は雷は夕方に起きることの多い現象だったが、最近は午前中から雷が鳴り、予想がしにくくなっている。シェルターを増やす必要があるのかもしれない。」とも語っていました。
1年に100回以上火口の周辺を歩いている私も,同じことを考えていました。
三原山にシェルターの数を増やすことは実現可能なのでしょうか?
伊豆大島よりも活発な火山のもとで暮らす桜島の福島さんは、「気象庁の地震情報を毎日チェックし、地震が増えたら“噴火の可能性”があることを念頭に置いて歩いた方がいい。それを全く考えないで歩くのと『起きる可能性がある』と思って歩くのとでは、その後の対応が違ってくるはず。」と語っていました。
そうですね。
考えられる限りの安全対策をして、火山の懐で遊ばせてもらって、あとは運命を受け入れる覚悟をする…それは山を歩くためだけでなく、どこで暮らすにしても大切なことのように感じました。
(カナ)