今日は三宅島報告第2弾です。
(本当はすぐに報告するつもりだったのですけれど、ツアーやイヴの雪で遅くなりました。)
火山仲間の鈴木みきさんとの三宅島合宿の最終日。
私のヘリ出発にあわせて、朝8時にガイドの穴原さん(1日目のガイドの穴原ナツさんのお母さん)が迎えに来てくれました。
約2時間で、島を反時計回りにほぼ一周しました。
最初に訪ねたのは、島の南部にある「長太郎池」です。
溶岩が海に流れ込み、天然のプールのような地形となった長太郎池はスノーケリングに最適。
夏にはたくさんの子ども達に利用されているようです。
長太郎池に着いた時、穴原さんが「紙芝居をひとつ…」といって、大きな画用紙を取り出しました。

なんと、自作の紙芝居です!
しかも大判!!
海で見られる魚達が丁寧に描かれていて、感心しました。

これは楽しい!
海に入る時の注意事項も、絵で見るとわかりやすいです。

これを見た子ども達は、「あ!サンゴの上に立っちゃいけないんだよ。」と友達同士で注意しあったりしているとのこと。なるほど~。
次に穴原さんが「ぜひ見せたい」と、立ち寄ってくれたのがここでした。

前日にガイドなしで訪れた、島の北東部に位置する椎取神社。
火山ガスと泥流でほとんどの木が枯れてしまった巨木の森が、再生を始めている場所です。
前日は泥流で埋め立てられてしまった昔の鳥居や再生する森の様子を見て、この場を去りました。

しかしどうやらここには、もっと奥があったようです。
穴原さんは、社の先の細い道をどんどん歩いて行きます。

社の奥にこんな道があるなんて、全く気がつきませんでした。
この神社の「ご神木」と呼ばれる、スダジイの木がありました。

堂々とした立派な木ですが、上の方は枯れて細く白くなっています。
しかし、下の枝は…

真下から見上げると、上が枯れているのがわからないほど元気に枝を張り出していました。
そして木の根のすぐ上ぐらいからは…

たくさんの新しい細い幹が伸びて、元の太い幹を覆っていました。
木は自分が弱ってくると、命をつなぐためにこうやって自分の体から新しい幹を伸ばしますが、このスダジイもきっと危機を感じたのでしょう。
そして、さらに先へ歩いて行くと…

厚い溶岩流の下に、小さな社が建っていました!
ここは奥殿と呼ばれる場所で、2000年の噴火前までは木々の枝葉が空を覆う暗い森だったとのこと。
それにしても、すごい場所に建っています。

上の岩、崩れて来ないのでしょうjか?
この後少し北に移動して、釜の尻海岸でペリドットという鉱物(宝石の赤ちゃんみたいなもの)をさがしました。

細かい砂粒から、緑色のキラキラをさがすのはなかなか楽しいです。
ただ、丸い石がゴロゴロしていて、砂浜はわずかしかありませんでした。

「海は、しょっちゅう変わりますからね。」と穴原さん。
ですよね。大島でも砂浜がゴロ石の海岸に変わっていて、ビックリすることがあります。
島の北西部に位置する伊豆岬からは、新島、神津島、などの島々に並んで、伊豆大島も地平線の上に浮かんで見えます。

本当は、この写真にも大島が写っているのですけれど…。
海の反対側には、火の山、雄山の姿が見えます。
西暦2000年の噴火前までは、あと40mほど高いキレイな山だったそうです。

大島で1700~1500年前におきた、山全体の外見を変えるような大きな噴火が、ここではつい12年前におきたのですね。その変化を自分の目で見て語れるということは、スゴイことですよね。
あまり火山ガスの影響を受けなかった、薬師堂では…

立ち枯れした木もなく、巨木の森が広がっていました。
蘇りつつある森と、人の何倍もの時間を生きて来た巨木たちの森、この2つの対比がとても印象に残りました。

島に多い南西の風の風下にある椎取神社と、そうではない薬師堂の森との違いに、火山ガスの影響力の大きさを実感しました。
さて約2時間のツアーが終わり、ヘリポートへ送ってもらいました。

大島までは、ヘリで20分です。
ヘリポートの隣には「三宅村活動火山対策避難施設」という建物が建っています。
噴火や火山ガスの濃度が濃くなった時などに、一時的に避難するために作られたようです。

この建物は、巨木の森が残る薬師堂と同じ島の北西部に位置しています。
建物の中には、火山ガスの濃度を示す機械が置かれていました。

この日は少しガス臭く感じましたが、ふだんはあまりこちらには火山ガスは流れて来ないようです。
約20年に1度というペースで、噴火を繰り返す火山とともにある島の暮らし。
島の子ども達は、ガスマスクを携帯して通学しているそうです。
学校では、ガスマスクの付け方の訓練などもあるとか…。

穴原さん自身も、いつもガスマスクを車に積んでいるとのこと。
穴原さんは、火山のこと、森の変化、人の暮らし、三宅島の人たちがどうやって火山とともに暮らしているのかなど、様々なことを教えてくれました。
「噴火はやっぱり怖いですよ。自分の足もとから噴火するかもしれないという恐怖はいつもあります。」と語りながら、でも「三宅島が大好きなんです。」とも…。
今回三宅島がとても身近に感じられたのは、ガイドさんの「思い」のようなものが、伝わって来たからなのかもしれません。
さて、帰りのヘリ飛行は快適でした。
火山の島が、海の上に並んでいました。

地球の活動が作り出した火山。
成り立ちは同じなのに、それぞれ違う個性を持つ火山の島々。
地球の物語、まったくもって楽しいです!
ところで、今回の三宅島合宿の様子、一緒に行った鈴木みきさんも
ガイドをしてくれた穴原ナツさんも、それぞれブログで報告してくれています。
鈴木みきさんのブログはこちら。
http://ameblo.jp/suzukimiki/entry-11431835956.html
穴原ナツさんのブログはこちらです。
http://ameblo.jp/nattion-miyake/entry-11432128075.html
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