グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

猫の舌

2009年07月31日 | 植物
 しばらく、ジメジメムシムシした日が続いていまいたが、今日は気温が低く、過ごしやすく感じられました。以前、島に時々いらしていた方が、大島の夏は軽井沢のように涼しい、とおっしゃていましたが、ウエザーニュースの気温を見ると確かに近いようです。海を渡り、木立を抜けて吹いて来る風がとても心地良い!

 今年は春頃から、南米沖の赤道付近でエルニーニョ現象が発生する兆候が現れていると云われ、冷夏や海水温の低下が心配されていました。科学的データの蓄積とコンピューターの解析の成果で?この夏の長期予報は当たってると言えそうです。

 明日から8月ですが、伊豆諸島は、まだもう少し雨天の続く予報が出されています。なぜ、こんなに天候が気になるのかと言うと、ウミガメの孵化はいつ頃ですか? とのお尋ねが多いからです。カメの卵は砂浜が温めていますから、低温が続くと孵化までの日数は長くなります。地温は、今朝やっと30度に近づきました。

 砂浜の地温を測っている近くでは、紫色のハマゴウの花や黄色いネコノシタの花が咲き乱れています。ハマゴウの語源は「浜香」とも言われるように、とても香りがよく、乾燥させた実を枕の中に入れたりします。どちらも、長い茎を伸ばして群落を作っています。小さなヒマワリ型の花を次々咲かせるネコノシタは、猫に舐められた経験のある方なら名前の由来がすぐ分かるでしょう。葉の感触が猫の舌そっくり!



 この花園の浜も日本各地の砂浜同様に侵食が進んでいます。大島の砂浜の特性については「大島町史 自然編」に詳しく、「~これらの谷は、浜に砂を供給して、海岸を侵食から護る働きをしている。谷が砂を運ぶのを止めると、砂浜では砂が移動するだけとなるから、砂浜はしだいに狭くなって終いには消失し、それは海岸の侵食を進めることになる(中略)海岸保護のためには谷からの砂の供給を止めないことが何より大事」と、今後の海岸保全策のポイントが明記されています。自然の砂浜をいつまでも大切にしたいものです。

 大島の夏の観光ポスターを探してみて下さい。砂浜の風景です。   

(なるせ)



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マンリョウの花とセミ。

2009年07月30日 | 
少し時間ができたので、久しぶりに山へ行ったら、マンリョウの花が咲いていました。

秋から冬にかけて真っ赤な実が、濃い緑の森の中に華やかさを添えてくれるマンリョウですが、花はひっそり下向きに咲きます。白い小さな花は実の派手さとは対照的で清楚な感じです。

花の前でしゃがみ込み、下からのぞいて花を観賞していました。すると…。

あらら?セミの抜け殻!!

マンリョウの葉にスッポリ隠れて、テカテカ光るセミの抜け殻が鎮座しているではありませんか!しかもとても大きいセミの抜け殻です。なんで木曜日ごとにセミと縁があるのでしょう??

でも花の真横で羽化するなんて、なかなか素敵ですね。

このセミが殻を破って出てきた時に最初に見た物は、この小さな白い花だったのかも…などと想像をふくらませていたのですが、家に帰って調べてみたら、マンリョウは夜になると花を閉じる1日花なのだそうです。

なあんだ。ではセミは、蕾しか見られなかったのですね。

それにしても葉の裏には特につかまりやすそうな所がないのに、どうしてセミは落ちずに羽化できるのでしょうか?木の枝や幹ならギザギザがあるのでまだ落ちないのが良くわかるのですが、マンリョウの葉の裏はスベスベです。でもこういう光景は時々目にします。

葉っぱごと家に持ち帰り、12倍虫メガネでじっくり観察して見ることにしました。

セミの足の先には先端が曲がった鋭い爪が2本ずつあり、それを葉に突き刺して体を固定していました。「ズブッ!」って感じです。これならどんな場所でもつかまれますね。なるほど~。セミを手に乗せるとちょっと痛いのは、この小さな爪が突き刺さるからなのですね…。なんだか、鋭い爪を超アップで見てしまったので、次回から痛さが倍増するような気が…。(笑)

セミは特大サイズのアブラゼミでした。

ホントにアブラゼミに縁があるな~。

(カナ)

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磯の貝達4

2009年07月29日 | 海の生物
皆さん、ヒザラガイという貝をご存知でしょうか?
貝と聞けば、普通サザエの様な形か
アワビの様な平たい形を思い浮かべるでしょう

しかし、このヒザラガイも立派な貝の仲間です。
只、多板綱と言うグループに入り、
その名の通り約8枚の貝殻で構成されている貝なのです。
膝パットそっくりな形だと思いませんか?

大島では、私の調査が足らないのか9種類しか見つかっていません。
伊豆半島でも20種類以上発見されているので
これは、もう少し頑張らないといけませんね。

以前、当店ガイドの方から、「ヒザラガイって食べられるのよ~」って
聞きました。
本当は実際食べてからこのネタを書こうかと思ったのですが
やはり、あのフォルムを見るといまいち勇気が・・・・
それに、採って食べてたらネイチャーガイドの意思と反するし・・・

そこで、調べてみました。
ネット検索するとビックリする位みんな食べてます。
そして、口を揃えて「美味い!」と書いてあります。
どうやら、食べるのは裏の吸盤の柔らかい所の様です。
そのまま、切り取って刺身で食べてる人や
圧力鍋を使って柔らかくして、野菜と炒めてる人やいっぱいいました。
場所によっては、スーパーで売られているらしいです。
なんて、ポピュラー?な食べ物なのでしょう!

食べた事あるよ~という方がいたら是非話を聞きたいです。






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自然の掟

2009年07月28日 | 哺乳類、爬虫類、他
 今日はヘビの話題です。(苦手な方ごめんなさい。)

 数日前、車で集落の近くを走っているとき舗装道路の上にアオダイショウの子供が居るのが目に入りました。

 はじめは向こう向きでしたが、なんだか体型が変。車に轢かれたのだろうか?と思い車を停めて寄って行くと、なんと口から何かの尻尾が出ているではないか!

 はじめはオカダトカゲでも食べたのかと思ったのですが、近くで見てみるとネズミの尻尾です。さすが小さくてもアオダイショウ…。体の前半は大きな獲物ではちきれんばかりにぱんぱんになっていますが、体をくねらせて獲物をさらに飲み込もうとして悪戦苦闘しています。

 食べられたネズミ君には気の毒ですが、これも弱肉強食の自然の掟。場所が舗装道路上だったことから轢かれて死んだネズミをこの子が見つけたのかもしれませんが、その一生懸命に生きている姿になんだか感動してしまいました。

 このアオダイショウも、大型のヘビ類やカラス、ネコなどに食べられてしまうかも知れません。生まれたときからちょっとした油断で命を落とすかもしれない毎日を過ごしているこの子が車にひかれたりしないように、とちょっとだけ老婆心で道路から路肩のほうによけてやり、その場を離れました。

 野生動物には懸命に生きているからこその美しさがあり惹きつけられるものがあるのだと思います。毎日がこんなにも驚かされる出来事でいっぱいの自然の中に飛び出してみれば、きっと新しい世界が見えてきますよ! 
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ワラジムシ

2009年07月27日 | 
ブロック塀の目地に居たワラジムシの集団です。
ちょっと引いてしまいます?  ごめんなさい

でも、こう見えても甲殻類 エビ・カニの親戚でありま~す。

ダンゴムシにとっても似ているのですが ダンゴムシのように丸くはならないから面白くない!その代わり走るのがダンゴムシより早いんだって(敵からの実の守り方の違いですね)

ワラジムシって湿った所が好きで今日この頃のじめじめしとしとなのでブロック塀に居るのでしょうか?
カラッと晴れたら皆さんどこかへ行かないとここは乾燥地帯になってしまいます。
食べ物は苔がついてそれを食べて居るようですが。

家には来なくていいですから(お願いします)

=でもこの子たち普通は葉の腐った物を食べているのですが、湿った段ボールでも食べてしまうんですって。 だから時々家の中をうろうろしているのかな?=
                        (しま)
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夜のおおしま

2009年07月27日 | 
夏の夜といえば・・・

花火?
ぼんおどり?
屋台で一杯?

いろいろなイメージがあると思いますが、島!夜!明かり!とくれば、それはもう虫天国ですよね!!

はい、昨日の夜はそんな虫王国を楽しむ(?)べく、夜のドライブにいってまいりました。
というわけで(なんて、言い訳ですが)グローバル陸部門史上初の日記がその日中にかけなかった日です。
いつも日記更新を楽しみにして下さっている皆さま、ごめんなさい。
プライドを持って頑張って更新を続けたスタッフの皆様、ごめんなさい。
心よりお詫びいたしますっ!

さて、夜の道路の明かりには、カナブン(光沢なし)、カナブン(光沢あり)、クワガタ、キリギリス、それに蛾や蝶、セミなどなどたくさんの虫が集まっていました。

道路に降りたタイミングで車に引かれてしまったのもたくさんいました。

その中でも、だんとつかっこよくて私の目をひいたのは、写真の子でした!
コスズメというそうです。

蝶や蛾はいや~~!と、逃げ回って生活をしてきた私ですが、山ガイド部隊に所属してから、すっかりきたえられました(^^)
昨日は虫の指乗せにも成功しました^^♪

や、いったいこの先、どんな人間になるのか?私^^;

(とも)

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クロサギ

2009年07月25日 | 
といっても数年前の漫画原作のドラマじゃないですよ。
クロサギという名前の立派なサギの仲間がいるのです。

その名の通り全身がシブ~イ墨のような色あいです。
日本中の海岸で見られますが、数は多くないそうです。
大島では1年中見ることができます。
どこかでひっそり子育てしているのかもしれません。
岩場を歩き回りながらときに潮溜りをじっと見つめて、小魚やカニなどを捕まえて食べています。

こういう体色ですからじっとしているとなかなか見つけることができません。
不用意に近づいて飛ばれてしまうことが多いです。
車の中から「よし、いないな」と確認しても降りた途端すぐ近くから飛び立った、ということもしばしばです。



今日は近くの磯で4羽でいるのを見つけました。
いつもは単独かせいぜい2羽でいることが多いのでちょっと驚きました。
(う~ん・・・4羽一緒の写真は撮れませんでした!)
ケンカもせずに一緒に行動していたこのクロサギたちの関係が気になります。









そしてこのクロサギ。
奄美大島から南の島々には白色型がいるのです。

白いのにクロサギ・・・

なんともややこしいことですね。



    がんま
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トーテム・ポール

2009年07月24日 | 歴史・文化
 アラスカの自然と野生動物をテーマにしていた写真家の星野道夫さんの「森へ」という本は、南アラスカからカナダに掛けて広がる原生林をカヤック(小舟)で旅する写真とエッセイが素敵で大好きです。この森の中で著者は、朽ちかけコケむしたトーテムポールをいくつも目にします。かつて、ここに住んだネイティブの人たちが、様々な生き物と先祖の伝説を大木に彫ったものでした。

 「そのころ人々の気持ちの中で、人間も動物も大きな違いはありませんでした。それどころか、それぞれの家の先祖は動物だったと信じていたのです。クマ、クジラ、ハクトウワシ、ワタリガラス、オオカミ・・・その姿をトーテムポールに彫り、神として祭っていました。すべての生きものが魂をもち、世界をともにつくっていると、人々は信じていたのです」(福音館書店刊「森へ」より)

 今日の写真のトーテムポールは、アラスカではなく大島の元町に立っています。一番上がコミミズクかな? 次がリス、サル、キョンと並んでいるようです。一度そう思って見てしまうと、他には考えられなくなってしまいました(笑い)。

 春に知人が来島して散策している時、すっかり観光名物化した「ご三家」のタイワンリス、タイワンザル、キョン(小型のシカ)を都道沿いで次々に見ることが出来、「さすが観光の島!」と喜んでいて、困りました。

 この3種は元から大島にいた在来の動物ではなく、観光展示用に連れて来られた動物が施設から逃げ出して野生化し、現在は農作物などの被害が多いことから駆除の対象になっているのです。ヒトが意図して持ち込んだ移入種で、その意味では動物たちも被害者です。教訓として学んで、過ちを繰り返さないようにしたいものです。

 このトーテムポールは、教会の庭にあるマリア像の近くにあるのですから、十字型であることにも意味がありそうです。遠い異国へ連れて来られた動物たちの受難を慰霊して立てられたと見る解釈は違うでしょうか? 絶妙なデザインと共に、深い思いを感じてしまいます。作られた方に、製作の真の意図を伺ってみたいのですが、どなたか詳しいことをご存知ありませんか?

(なるせ)


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セミ騒動、その後。

2009年07月23日 | 
この2日間、雨が降ったり止んだりで、しかも涼しく、もう夏休みに入っているなんて信じられないような、おかしな天気が続いています。

でも雨が小降りになると何種類ものセミたちの大合唱が始まり、やはり夏なのだなぁ、と感じさせられます。特に今年は先週から続いたセミ騒動のおかげで、今までよりもっと身近に、セミの存在を感じるようになりました。

ちょうど1週間前の日記に載せた、セミ騒動。うちの同居人となったセミはアブラゼミのオスでした。

初めのうちはほとんど動かず、餌も食べている様子もなく、ひっくり返ったら仰向けになったままで、「このまま死んでしまうのかな?」という感じでしたが、羽化後2日目ぐらいから少し元気が出て、入れてあげた桜の枝につかまるようになりました。

3日目、外の世界を見せようと数分間桜の木につかまらせてみました。

4日目の夜、自宅に帰ると、セミのいるダンボールから「ジジッ」という声が聞こえました。初めて鳴いたのです!その後もう一度「ジジッ!」と鳴いたので、かぶせてあったネットをはずしたら、ダンボールの縁まで這い上がってこちらをジッと見つめていました。セミと視線が合っていると感じたのは生まれて初めてです(笑)

きっと、前日に自分の仲間が鳴き交わす外の世界に出て、自分もそこに戻りたくなったのかもしれません。このころには、ひっくり返っても、自力で起き上がれるぐらいに体力もついていました。片方の翅は半分ぐらいの長さしかないけれど、飛べなくてもしっかり木につかまって這いあがれる力があれば樹液も吸えるかもしれないし、メスとだって出会えるかもしれない…。私はセミを野外に放す決心をしました。

翌日の午後、桜の大木につかまったセミは、初めは蟻にビックリして固まっていましたが、やがてゆっくりと、でもしっかりした足取りで木を登り始めました。もともと幼虫の時代に蟻が嫌で、細い枯れ枝で羽化を始めてしまったのが、このセミの転落事故の原因だったのです。でも、今度は蟻と交差してもひるまずに、高い木の上を目指して登り始めたのです。エライ!!

夕方、桜の木の幹には、もうセミの姿はありませんでした。

枝からの転落やデジカメの下敷きという悪条件(ごめんなさい~)の中で、私の腕につかまって翅を伸ばしたセミ。だんだん力をつけ、しっかりとした足取りで高い木の上を目指して登って行ったセミ。その生きようとする力に心から感動を覚えます。本当にすごいです!頑張れアブラゼミ!

今日もセミが登って行った桜の木の上からは、「ジ~、ジ~」というアブラゼミの声が聞こえていました。片翅が短くてうまく飛べないセミが生きられるほど、自然界は甘くないのかもしれません。でも、もしかしたらあのセミが鳴いているのかもしれない…そう思うと、今まではお世辞にも良い声とは思わなかった「ジ~、ジ~」がすごく懐かしいもののように感じられるのです。

(カナ)

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アサギマダラ

2009年07月22日 | 
先日、三原山の樹海を歩いた時にアサギマダラが見られました。
木の上のほうにとまって、花の蜜を吸っていました。
高い木の上だったので、カメラのズームをかけて
なんとか撮れた写真です。
羽をなかなか開いてくれず、やっと撮れた一枚でした。

アサギマダラは,前翅長40~60mmの可憐なチョウで,
春の北上,秋の南下を繰り返す「渡り」をするチョウとしても知られています。
夏には標高1000m付近の高地帯をさまようことが
最近の調査で分かっています。

2000年に台湾でマークされた2個体が,
鹿児島県と滋賀県でそれぞれ捕獲され,この蝶の移動範囲が日本だけでなく
海外にまで及ぶ事が判明したそうです。
しかし,移動範囲の全貌は明確でなく,謎の蝶と呼ばれています。

アサギマダラは幼虫・蛹・成虫とどれも鮮やかな体色をしていますが、
これは毒を持っていることを敵に知らせる警戒色ではないかと言われています。
幼虫の食草となるガガイモ科の植物、
成虫がよく吸蜜するヒヨドリバナやフジバカマも毒性が強く、
それを体内に取り込むそうです。
それ故、アサギマダラに擬態する蝶もいます。
しかし、カマキリに捕食される事もあるそうです。

(のり)


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