昨日は2回、ちょっとビックリな出来事がありました。
最初は、ダイビングにいらしたお客様を、港に送ろうとしたとき。
白い大きな捕虫網を広げ、木の枝をばさばさ揺すっている不思議な人に出会ったのです。
「あ!虫を調べているんだ!」
直感でそう思った私は、思わず声をかけました。
「あの、虫を調べていらっしゃるのですか?」
「そうです。もう伊豆諸島に20年以上かよっているんですよ。」
“その道のプロ”という雰囲気を漂わせているその方は、なんと「月刊むし」の編集長でした。
「月刊むし」といえば、その筋では超有名な専門誌ではないですか!
伊豆諸島の昆虫目録を作ろうと、調べているとのこと。
以下月刊むし編集長との会話です。
「伊豆大島、けっこう珍しい虫がいるんですよ。今日も未記載種のカミキリムシを見つけましたし、あなどれませんよ。」by編集長
「そういえば、先日大島にだけいないとされてきた、ネブトクワガタが見つかって話題になりました。」by私
「ネブトクワガタは10年前から大島で見てますよ。それよりもっと小さいマメクワガタも見つかったんですよ。」by編集長
「伊豆諸島を全部調べているのですが、それぞれの島で違いがあっておもしろいですよ」by編集長。
「そういえば、ハンノキカミキリは…」by私
「伊豆大島のは伊豆大島タイプですが、利島には普通のハンノキカミキリがいるんですよ。」

ちなみに伊豆大島タイプはこのような色使いです。
普通のものは薄茶の部分が赤なのです。
なぜ大島だけ色が違うんでしょうね?
薄茶が生き残りやすかった理由が、なにかあるはず?
土壌や気候の違いが動植物に少しずつ、違いをもたらしているはずで…それを考えると面白いです。
様々な新しい情報を教えてもらって、かなり興奮気味に話をしてしまいました(笑)
さて路上での楽しい会話のあと車を運転していると、またまた明らかに何かの調査をしている感じの人が、薮の前にたっているではありませんか!
「今日は不思議な偶然が重なるなぁ」なんて思っていたら、その人に声をかけられました。
「すみません、これ、なんの鳥ですか?」
「え?と、鳥?」
草の中にいたのは、こんな鳥でした。

???
顔はどこ?
写真を撮っていたら、顔をこちらに向けてちょっと威嚇してきました。
ずいぶん尖ったくちばし。

海鳥でしょうか?
願法に電話をしたら、すぐに駆けつけてくれました。
「あれ?ミゾゴイ?いや違う、ヨシゴイ?」

図鑑で調べてみたら”ヨシゴイ”で間違えないようでした。
願法も初めて見たそうです。
水田や湖、干潟などで夏を過ごすはずのヨシゴイ。
先日の台風で飛ばされてきたのでしょうか?
「このままじゃ、猫にやられちゃいますね。私これから動物園に持っていって保護してもらいます。」
願法は車から大きめのタオルを2枚出してきて、鳥にかぶせ抱え上げました。

「よしよし、怖くないよ~。うわ、軽い。きっとしばらく何も食べていないんですよ。かなり弱ってますね。」
「ほんとだ、すごく軽いですね。」
鳥を見つけたこの方は、大島の詳しい地図を作るために歩いて調査中なのだそうです。

この日も、愛宕山に上ってきたとか。
自分の足で実際に歩いて作る詳しい地図・・・心引かれますね。完成が楽しみです。
さて、こうしてヨシゴイは無事大島動物公園に引き取られたのでした。
ヨシゴイが元気になって、また海を越える旅ができますように…。
(カナ)