今年の地球惑星連合大会では、認定や再認定の見送りを経験した6箇所のジオパークから、表題の発表がありました。
今日はごくごく簡単に、その内容と、私が感じたことを報告します。
1・山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク 先山 徹氏
山陰海岸は一度、世界ジオパークの候補に落選。再度申請をして受け入れられ、2010年に世界ジオパークに認定されました。
落選の理由は…

「顧問など偉い人が並んでいるが動く人がいない、地域の人が入ってない」
落選をきっかけに、事務局が兵庫県の組織の中に入り、専門部会にはいろんな活動をする人が入ったそうです。
そして今では…

3本柱を「一同に会することが大切だと思って続けている」とのこと。
不定期で旅館、民宿経営者、ガイド、博物館、大学教員、公務員、事務局員などが集まるジオ談会も行なっているそうです。
「行政の委員会にすることによって事務局が仕事を背負い込んでしまう。一緒に考えることにならない」「ある程度ほおって置かれると、自発的に動くようになる。ガイドの人たちは自分たちでプロジェクトを立ち上げたりする」などの言葉が印象に残りました。
2・恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク 畑中 健徳 氏
条件付き再認定となり、2年後に認定された恐竜渓谷ふくい勝山ジオパーク。
条件付きとなった時の状況は…
改善をスタートしたものの、なかなかはかどらずにいたそうですが…

全国大会の首長セッションで、市長の覚悟が変化したことがチェンジのきっかけに!
条件付きになったことで…

いっぱい良いことがあったようです😁
3・Mine秋吉台ジオパーク 小原 北士氏
Mine秋吉台ジオパークは1回日本認定に落ちて、2年後に認定されました。
認定見送りの理由。
認定見送り後に行ったこと。

見送りの後は、地域の出前講座の回数も激増したそうです。
地元の石灰石の採掘事業者、宇部興産と連携したり…
秋芳洞の入口の石製品販売店と話し合いをしたり…

地域住民に活動の輪が拡がったのが大きな変化で、ジオカフェやいろんな活動が行われるようになった…とのこと。
昨年12月には拠点施設も完成。

多い日は1日2000人が来館し、事務局もここにあるそうです。
ジオツアーの件数も増え、もっと取り組めば、協議会の年間予算ぐらいは出せるところまで来ているとのことです。
「事務局は4人。話し合いをよくやるが、がちがちに決めずに動いてみる、やってみることが大事だと思っている」という言葉が印象的でした。
4・下北ジオパーク 石川 智氏
下北ジオパークは認定見送りを経験し、昨年認定されたジオパークです。
「しくじり」は…

「課題の中で絞り込みをし、住民活動の醸成を重点化して進めていくことにした。見送り後、住民が、ちょっとずつ下北ジオパークに興味を持ってくれるようになり、出前講座は申請までの1年半に60回、2520人対象に行った」とのこと。
最初にジオパーク担当が1人で開始したジオパークも、今年度は12人体制!(驚)

「Mineの現地審査を見学し、住民活動に力を入れている様子を見て、下北でもそれを取り入れて進めていこうとした」とのことです。
「認定の報告を受ける時は、約400人が集まっていただろう」とのこと。(すごい盛り上がりですね!)

「ジオパークは一朝一夕で認定される活動ではない、準備が大事。下北の認定は、地域活動に重点を置いて進めていった結果。市民、住民が大事」とのことでした。
5・伊豆大島ジオパーク 臼井里佳氏
条件付きの再認定を受け、2年後に再認定された伊豆大島。
会場が大きくどよめいたのが、このスライドでした。

準備から認定まで、10ヶ月!
準備不足で認定見送りになることも多い現在では、あり得ないこと…。
この後の伊豆大島ジオパークの歩みを、臼井さんはとても端的に分析して発表してくれました。
ジオパークとしての様々な活動は行われていたが、組織事務局体制が余りにも脆弱で持続可能性が懸念されたこと。2013年10月の土砂災害後の動き。条件付き再認定後の取り組みの数々…とてもわかりやすいプレゼンでした。

そして、伊豆大島には今年ようやく「ジオパーク推進係」ができました。
プレゼン最後の「伊豆大島らしいジオパークを考えていきたい。それが日本ジオパークとして認められるかどうかが、これからの課題」という言葉が印象的でした。
6・島原半島ジオパーク 大野 希一氏
昨年、条件付き再認定となった島原半島ジオパーク。
大野さんが考える「しくじり」とは?
2014年の大事件。

5人のうちの4人が移動になる…驚きました!
活動の盛り上がりをグラフにして分析。

このわかりやすさ!
やはり大野さんの「聞き手に伝える力」はすごいです!
そして島原半島GPの今。
最後にこのセッションのまとめ役、山陰海岸GPの松原さんの言葉を…
「条件付きをもらったところは、いろんな努力をして克服している。ジオパークの地域作り、かなり労力がかかる大変なこと。持続するのが大変。利点はネットワーク、効率的に解決できるノウハウを共有して伸ばしていきたい」😁😁😁
互いの「しくじり」から学び合うことができる…これって「すごい」ことだと思います。
言いにくいところも公開し、分析し、共有してくれた発表者のみなさんに、心から敬意を評します。
また、今日のブログは、セッション関係者に共有されたJGC委員中川氏のメモを参考に、まとめさせていただきました。内容を確認して、JGNの関係者にも共有されるとのこと。これもネットワークですね。ありがとうございました。
(かな)