昨日,表題の説明会が行われました。
学会から18名、島民は町役場職員含め、20名以上が参加。
最初に大金沢堆積工で、大島支庁の災害対策の担当者から説明がありました。
災害直後の現場写真などを見ながら現地で聞く説明は、とてもわかりやすいです。
今工事をしているのは、6月の梅雨時期までの応急的なもの。
その後は平成28年度までの短期、それ以降の中長期に分けて計画されるとのこと。
梅雨時までの応急的な工事は、堆積工の嵩上げと仮設導流堤づくり。
短期的には崩壊斜面に木を植え、その木が流れて来ないように導流堤を作ることが計画されているようです。ボルトなどで地面を固定し、樹木の根が抜けないようにする事も検討されているとのこと。
堆積工は、満杯になっていた土砂をどけ、嵩上げもほぼ終わっているそうです。
膨大な量の土砂が溜まった状態が信じられないぐらいにキレイになりました。
さて、堆積工の説明の後は、歩いて仮設導流堤まで移動しました。
仮設導流堤の高さは1mですが、河床からは4mの高さがあるとのこと。スカイライン沿いに流れてくる水量を計算したら、1mで大丈夫なことがわかったのだそうです。
でもこれは、あくまでも応急的な導流堤で、短期計画でもっと嵩上げするのかは検討中とのこと。(上記の写真は、山田三正氏からいただきました)
島民の方からは「台風前から橋に流木が詰まっていた。だから溢れたのではないか?」との質問が出ていました。結論は良くわからないようですが、流木はいつから詰まっていたのでしょうか?
さて、元町地区の説明を終えた後は御神火スカイラインへ。
崩れた場所を見ながら説明を聞きました。
説明の内容は以下のようなことでした。
「大島には何層も「レス」と呼ばれる水の染みにくい層がある。「レス」は噴火をしていない時期に風で飛んで来たチリや火山灰、土等が混ざりあってできていて、粒子が細かく黄色っぽい色をしている。レスの上に積った砂粒サイズの火山灰が水で満たされると水圧で重くなり滑りやすくなる。斜面の勾配がきつくなる場所で、滑りはじめている。」等など…。
アジア航測の千葉先生(赤色立体地図の作者)が、斜面に登ってレスの層を出してくれました。
明るい茶色がレス。その上の黒っぽいのが大島に多い火山灰。
山側のみでなく海側も観察しました。
土砂流で、ほぼすべての木が流されてしまったところに、スダジイが1本生えていて、話題になりました。(写真中央の黄色っぽい木がスダジイです)
「すごいねぇ。スダジイ頑張ったね。」と、しばし数人で見とれました。
災害後設置された様々な観測機器についても、説明がありました。
こちらは雨量計。
4日前に設置されたのだそうです。
地面が傾いたらわかるセンサー。
かなりな急斜面だから、センサーをつける時も大変だったことでしょう。
これ以外にも、数カ所に観測機器が設置されていました。
以前から気にかかっていたことを質問してみました。
「今回は植物の根が風で動いて液状化し滑りやすくなったのでは?とも言われていますが、植物が生えていなければどうなのでしょう?」
これに対しての回答は「植物の根の影響はあるが、植物が生えていないと表層はすぐに削られ溝が出来ていく。それを考えると植物を植えるメリットの方が遥かに高いと考えている」ということした。なるほど…。
デメリットも知った上で、メリットの大きい方を選ぶ…人間と自然のバランスを考えながら…。
地震も噴火も津波も必ず起こる日本で納得して暮らすためには、この「デメリットを知った上で、どう考えて防災対策をたてたか」という過程を知ることが、大事なような気がしました。
調査団の方達は、島民とほぼマンツーマンになれる人数で来てくれていたので、皆さん歩きながら色々なお話をしていたようです。
疑問に対して、納得のいく答えが見つかったのでしょうか?3時間30分の行程でしたが、参加した方からは「時間が足りないね」という声が聞かれました。
室内講義を聴くだけではわかりにくかったことも、現場を歩くことで納得できることが多かったように思います。
何よりも…わからないことも多い中で、今の段階で「できる限りのこと」をしてくれているように感じられました。
住民への説明に来島してくれた調査団の皆さん、支庁の方々、ありがとうございました。大島町も、バスや人数分のヘルッメットを用意してくれました。感謝です。
これからも復興の過程で時々は、こういう機会を作っていけることを願っています。
(カナ)