グローバルネイチャークラブのガイド日記

グローバルネイチャークラブ(旧グローバルスポーツクラブ)のガイド仲間が観察した伊豆大島の自然の情報を中心にお届けします。

やっと見つけたキクスイちゃん

2014年05月31日 | 
みなさん!!
今の時期、青々とした元気なヨモギがこんな風にくた~っとなっているのを見かけませんか?

よく見ますよね?
気になりますよね?

中にはもう茶色く枯れているものも。





ヨモギと同じキク科のセイタカアワダチソウも同じです。


私はもう何年も前からこれが気になって気になって仕方なかったのです。
ま、なんか虫の仕業なんだろうな~とは思っていましたが。

それが前日、ついに判明したのです。

犯人はコイツ。



キクスイカミキリです。
いつも拝見している虫ブログでたまたま紹介されていたのです。
それが5月22日のことでした。

その日から探しましたよ。
くた~っとなったヨモギはたくさん見つかりましたがキクスイちゃんはなかなか見つかりません。
それが今朝やっと見つかったのです(嬉)


キク栽培している人には憎たらしい存在でしょうが長年の謎が解けてスッキリしました。

                                    がんま

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2回目の火山観測

2014年05月30日 | 火山・ジオパーク
昨日、気象庁の火山観測に同行させてもらいました。

ジオパーク活動の防災のとりくみの一環で、私たちガイドが2人ずつ火山観測の現場を見せてもらえるようになってから、2年以上が経ちます。私は昨日で2回目の参加でした。

三原新山のふもとで、地温の測定。

数10mしか離れていないようでも、場所によって温度が違います。

この日は2カ所で測り、最初の場所は30.2℃。
噴気が出ている場所は…

でした。

観測機器が一カ所おかしいので点検するとのことでしたが、何とソーラーパネルが1枚、壊れていました。何かが強い力でぶつかったような割れ方です。

今までにこういう割れ方をしたことはなかったそうですが…誰かがイタズラで割ったのではないことを祈りたいです。

何を修理すれば良いかのチェックをすませ、先へ…。

火口では“放射温度計”と“赤外熱映像装置”という2種類の観測機器を使って、火口底の温度を測りました。

こちらは“赤外線熱映像装置”

カメラの液晶に、数字で温度が出てきます。
この日の温度は55℃とのことでした。

「剣が峰」という火口1周コースの中で一番高いところでは、ものすご~く精密な時間が計れる機械で、レーザー光線が“離れた所にあるミラーから跳ね返ってくる時間”を測っていました。(正確にはパルスの位相差を検知しているもののようです。)

気象庁の加冶屋氏の説明によると「レーザー光線は1秒で30万キロ飛ぶと言われていますが、ここでは2kmから500mの距離で跳ね返ってくる光を測っています。そんな時計の精度は、たぶん10の11乗分の1秒」

…は?
なんですか、その単位??

計算すると0.00000~秒?!(もはや理解不能)
瞬きする時間もないのですね!
人間って、そんな精度の時計を作れるのですね~!!

機械をのぞかせてもらったら、ミラーの位置に焦点を合わせられるようになっていました。

この観測結果によると、大島は全体が膨らんでいるが、火口は縮んでいるのがわかっているのだそうです。

これは、「地下のマグマだまりにマグマが溜まってきているが、上の方までは上がっていないこと」を示しているようです。噴火が近づき、マグマが上がってくると、火口が開いてくるだろうと考えられているとのこと。

火口1周コースから内側に入り、普段は見下ろしている凹みの中から写真をとります。

いつも同じ場所から写真を撮って、地形の変化を見ているのだそうです。

この位置からも、写真を撮っていました。

見ている方が怖いです…。

そして行く先々で、このようにお掃除。
「けっこう汚れているなぁ」と加治屋氏。

「あのう掃除をしないと観測結果に差が出るんですか?」←疑問に思ったので聞いてみました。
回答は…「いや、単に性格の問題です。」とのことでした!

私たちは途中で帰りましたが、火山観測は、ほぼ1日続いていたようです。こうやって最先端の技術を使って、次の噴火を予知しようとする努力が続けられているのですね。

私たちが、火山とともに暮らすために…。
なんだか感動です。

ところで、普段立ち入らない火口付近では、様々な“噴火のスゴさ”を連想させる景色がみつかりました。例えば、ドロドロの流れ…。


噴火で火口から飛んで来た岩の上に、流れて来た溶岩(たぶん)。


こちらは溶岩が上から飛んで来て、帽子のようになったのかも?

キノコにも見えますが…。

火山弾の横に立って火口を眺めると「あの穴から出て来たんだね。」と語りかけたくなります。


ちょっと大きめの火山弾に寄り添うように咲いていた、鮮やかなツツジの花にも出会いました。(三原新山の下で)

周りが荒涼とした風景だからか、ひときわ美しく感じました。

火山も人も植物も、みんな素敵です。
知れば知るほど、そう思います。

ジオパークを通して、火山観測の現場を見られるようになったことも本当に嬉しいです。

噴火や地震や雨は人間の力では止められないけれど、でも人間は、その中で生きぬく方法を探し続けていけるはず…そんなふうに感じられた、火山観測でした。

(カナ)
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4学会合同調査団 報告会(質疑応答編)

2014年05月29日 | 火山・ジオパーク
一昨日の4学会合同調査団報告会・講演編に続いて、質疑応答の報告です。
質問は青で、回答は黒で書いてあります。

Q 説明があった「家が崩壊して瓦礫が寄った家」がうちだと思う。なぜ周りが土砂に押しつぶされたのに、自分の家が残ったのか?泥流が先で、その後水が流れたのではないかという報告だったが、泥流を押さえれば大丈夫なのか?土砂は押さえても水が流れてくるのではないかという不安を抱えている。
A 土砂は既に流れて裸地化している状態なので土砂災害は軽減されるが、水に関しての心配はある、1日150ミリとか200ミリの雨でも注意すること。縦方向に道路が走っているところは、道路が水の道になる。道路にそって地表面を流れるものに注意して ほしい。道路が川になることは様々な場所で起こっている。丸塚橋の下の流路が狭くなっているが、流木がつまらなければ流れるだろう。

Q「流路工の許容量が追いつかないのでは?」と思う。表層地下水の排水土木を、早急にやらないといけないのではないか?
A  流路工に関して都は「水は流れる」と考えているが、どの位の雨を想定しているかは、都に確認した方が良いと思う。市街地に入ると川幅が狭まることはよくあり、川幅を広げるには下流の人にどいてもらわなければならないなど、時間がかかる。どこに設計の限界があるのか?どの位の雨なら大丈夫なのか、それをしっかり聞いていくべき。

Q 昼に現地で見学した際、崩れた所の木が浅く、見るからに崩れて来そうな気がして不安になった。大丈夫か?
A 木か傾いていたりする不安定土砂は流れる可能性はある。大規模な崩壊が起こるかどうかは分からない。

Q 流木は堆積工に流れる構造になっていると考えて良いか?
A 雨の規模によるが、一気に流れるわけではない。堆積工に入ってくれば、安全度は高いと考えている。堆積工は安全の資産である。

Q 地震計の振動と振動の間にエネルギー蓄積があったのか?
A 大きな振動は2時から3時までの1時間に15~20分の間隔をおいて4回あった。おそらく斜面崩壊を起こして土石流が流れていったと考えている。検証する方法はないが、斜面崩壊起こした土砂がどこかに溜まり、雨がまた押し流したという可能性はある。

Q 当日島にいなかったが、元町橋の人の証言では、午前2時台に橋が溢れて家が2件流されはじめた。土砂流より先に水が溢れた。立ち木は灌木が多く株立ちしていて枝が張れない、2~3mしかない細い木が多い。元町林道、野増林道は低い灌木で崩壊、一度詰まって土砂ダムになったのでは?
A その可能性もあるが、立証は難しい。

Q 崩壊のメカニズムはわかったが、崩壊の引き金は何か?馬やラクダを飼っていた牧場の下で崩れている。御神火スカイラインは6合目からはつづら折れ道路、に側溝がないなど道路の水の影響ではないか? 以前は牧草がジメジメしていたが、今は乾いている。水がそこを越えて、遷急(センキュウ)線=斜面の角度が急になるところ=を越えたのでは?
A 崩壊は、センキュウ線の下から崩れている。尾根には水が集まらないので、たぶん崩壊しない。残った集水地形、沢地形に集まる。

Q センキュウ線はどこでもあるのか?
A どこでもある。

Q 道路がない場合も、センキュウ線があるなら同じ状況になるのか?危険な場所に道路を作ってしまったのではないか?人間だけの便利さを、追求するものではないのでは?
A 表層崩壊は全国的なもので、日本は危険なところだらけ。景勝地は全部危険なところである。数100年間隔で同じ地域に土砂災害が起こる。表層崩壊が同じ所で起こるのは800年~1000年間隔が多い。道路を作らないといけない状況の時もあり、ソフト対策を行っていくことが必要である。

Q 堆積工が地下水の流れをとめ、水が斜面を上に向かって崩していったというとはなかったのか?
A 崩壊地はかなり上流なので、堆積工が地下水の流れを止めたことが原因とは、自然原理的に考えられない。

Q 元町以外でも、雨が降ったときのシミュレーションすることはできるのか?
A 詳しく調査すればできる

Q 土壌に穴をあけて水を浸透させるようなことはできないのか?
A 穴をあけることは原理的には可能かもしれないが、自然に悪い影響を与えるのではないか?
水を通すには、ものすごくたくさんの穴を掘らなければならない。

質疑応答は以上です。

最後に、今日の三原山の風景を…

雲海を数年ぶりに見ました!
普段は海が見える場所が、雲の海になっていて感激しました。

明日は今日の山の報告をまとめたいと思います。

(カナ)

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さくらんぼ大好き!

2014年05月28日 | 
今朝ハシブトガラスがオオシマザクラの実を食べているのを見つけました。
近くで見ていてカメラを向けても逃げない個体は貴重です。
カラスはどっちも(ハシブトもハシボソも)人が近付くと大抵あわてて逃げますがこの個体は肝の据わった子でした(笑)
私との距離は5メートルくらいです。




ちゃんと黒く熟した実を選んでいます。



もちろん私に気付いています。
バッチリカメラ目線~。



なんかこの仕草、かわいいですね。



このあとしばらくして私の目の前を悠々と飛び去って行きました。

                             がんま
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4学会合同調査団 報告会(講演編)

2014年05月27日 | 火山・ジオパーク
5月24日 19時~ 表題の報告会が開催されました。

参加人数は 学会18名 島民84名 合計102名でした。

今日は、5つの講演を聞いて、自分なりに理解した内容をまとめました。

講演1
後藤聡氏(山梨大学)「全体説明,崩壊のメカニズム」 

 今回の災害のポイントは“レス”。“レス”とは、噴火の休止期に土埃や火山灰などが風で舞って積った層で、粒子が細かくて水を通しにくい土の層。土砂災害が起きた場所の地面は、細かい土の上に、噴火で降った砂粒サイズの火山灰が乗っている。細かい土と火山灰が斜面に平行している“滑りやすい構造”だ。細かい土は水を通しにくいので、激しく降った雨水はその上の火山灰に溜まってしまう。この状態は、重くなった砂が滑り台の上にあるようなもので、とても流れやすい状態。
 今回の災害で、広範囲に崩れ出して大きな被害をもたらした山側斜面は30~40°の急斜面で、細かい土の上の火山灰が流れ出した。斜面が急にキツくなる場所の上で崩壊が発生しており、このような場所では地震や雨で崩れることが多い。
 1338年(?)の割れ目噴火で、固くて浸食が進まない溶岩流が覆っていて、元町には深い谷が掘れていなかったので、全体に広く土砂が流れた。
 火山砂、レスをとって実験室に持ち帰り、火山灰の密度や強度を調べ、水によって細かい土の上で火山灰が滑ることを、実験室で再現した。

講演2
清水義彦氏(群馬大学) 「流木災害」

 日本では、流木災害はよく発生する。斜面の上部で倒れた樹木は根が50~60cmで浅かった。その下の神達地区の斜面は7°で、普通なら流木が止まっても良い角度のはず。激しく長く続いた豪雨が、斜面の表面に溝を作り、そこに流れ込んだ流木がさらに下まで運ばれ、何回か段階を追って流れ下った。下流の杉の木は、上流からの流木になぎ倒されている。

 流路工は、流木を集めやすい構造にもなってしまう。流木災害は全国で起こっているが、必ず橋で詰まる。橋はかならず引っかかる構造と思っていた方が良いのではないか。

 今後は、雨が地表面を直接伝っていくので、下流に行くほど水量が多くなり、到達時間も早くなる可能性がある。流路工沿いは水が溢れる恐れがあるため、そばに住んでいる人は注意してほしい。

講演3
江頭進治氏(土木研究所) 「土砂災害・砂防」

 災害発生の限界降雨量は、1日降雨量で500ミリや時間100ミリぐらいを越えたら。狩野川台風では、大島で1日400ミリと地域性がある。

 斜面の崩壊だけでは、大島の土砂の量を説明できない。泥流が流下しながら、浸食をしている。勾配がある所で崩壊がおき、勾配がゆるいところで堆積して積ったものが、流木とともに下流に持って行かれた。どう泥流をコントロールするかだ。

 「災害後、沢の水の出方がどうなったかの情報が有効な情報になるので、ぜひ情報を寄せてほしい」。江頭さんは、参加者にそう依頼されていました。

講演4
畑山満則氏(京都大学防災研究所) 「次の災害に備えてソフト対策でできること」

 崩れたら地形が変わるので、次の雨で違うことが起こる。自然現象を知る。地域を良く知る。対策を知ることが大事。被災後、ハード対策はなされているが、(そのハード対策が)現在どのような力を持っているのか、長期的にはどうなのかを知らないと,ソフトでどう補うかがわからない。まずそれらを知ること。そのうえで、ソフト対策で命の危険を回避すること。
 安全安心まちづくりの安全は、科学的根拠のある対策ができていること。安心は個人の印象で、同じ状況でも安心できる人とできない人がいる。災害後、できるだけ円滑に復興するには、コミュニケーションが重要。その努力を続けること。

講演5
東畑郁生氏(東京大学) 「文部科学省科学研究費による調査の中間報告」

 大島では18世紀以降、何度か土石流が起きた証拠がある。極めてまれなことが起こったわけではない。そんな危険な場所だったのかという話になるが、そう思ってほしくない。日本はどこも危険があり、逃げる所はない。今回も、水が噴き出したから崩れたのか,崩れたから水が吹きだしたのかわかっていない。わからないことが多い、雨が強烈すぎたと言うのはわかるが。
 ある程度、頻繁に起こりそうな豪雨にはハードで対応できるようになるだろうが、今回のようなまれに見る大雨の時は、避難しかない。
 現在1つ1つの斜面の怪しそうな場所に観測装置を付け、崩れを予測しようとしている。

講演内容は以上です。

 ところで4学会の合同調査団の研究内容は土木学会のHPでも公開されていますが、今回小冊子もいただきました。

 冊数に限りがあるため町役場、支庁、消防団、各小中高校、仮設住宅集会所、などの他、観光協会、図書館に配布予定です。
 来週はじめに配布されるようなので、閲覧希望の方は図書館や観光協会、町役場の政策推進課などでご覧ください。

もっと詳しい内容のものは、土木学会HPで見ることができます。
http://committees.jsce.or.jp/report/node/68

次回は、質疑応答をまとめたいと思います。

(カナ)
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神津島行

2014年05月26日 | その他
『天上山に行きたい』ツツジの季節。そしてジュリア祭に合わせて!と考えて3年目

ジュリア祭は先々週末(17・18日) この日は宿が取れなかったのでNG
ので、24・25日に行ってきました(すべてのコーディネイトは同行のTさんにお任せ、運転も観光案内もお疲れ様でした。ありがとう)

総勢4名は歩き仲間ジオ仲間、大島の山の状況や植物も分かっていて神津島との違いを共有出来ました。


この4人ですよ~ 天上山の上の所に着いた所(プリンなら上の平らな所)
遊歩道は白い砂で何だか特別な道を歩いているよう
山頂はあまり高い木が無く強風が多いのではと思われる。そして、霧も沢山出るのでしょう。この日も少し霧が掛かっていました。(涼しく丸)


大島にも有るのですが貴重なコモウセンゴケ 大島では残念ながら1ヶ所消えてしまったようです。中央の株で左側 手の部分が閉じているのは虫を捕まえて消化中の可能性大


岩がガラガラしている割にこんな池が何か所か有るのは不思議
ここは不動池。真ん中のこんもりした所に龍神が祀られて居るとか?

この山の最後の噴火は西暦838年でその時の噴煙は大島でも確認できています
しかし、この島はいつ頃生まれたのでしょうか?


この岩切り口(割れ口)のギザギザ 頁岩?


こちらは20年前の使っていない油粘土の成れの果て?(なんちゅうたとえでしょう)


白い砂の中でこんもりと咲いているツツジ


裏砂漠  『砂漠?ちっとも漠ではないよ~』と私 まあまあ


砂漠の中にもっこり現れている岩石のドーム←だった でしょ?
に咲く ツツジ 絵になるね


やっぱり砂漠 右側に映っている黄色い物は道案内用の印。ここは少ないですが沢山付いて濃霧でも迷わずに歩けそうです


山から下りて



赤崎の木道の遊歩道 『うーんお金掛かっているね』『大島でも作ってもらいたいね』『作るの大変だよね』


この遊歩道から見える壁面の岩は面白い物が沢山有りました。興奮する!(って90度右に回してみてください)



筆島付近に1カ月ほど滞在したと言うジュリアがその後流され生涯をとじた所


伊豆諸島水分け伝説の中№1に輝いた神津島 やはり美味しい水でした


その先の今も落石が続くと思われる崖

1泊2日実質24時間の短期間でした。まだまだ興味は尽きない(黒曜石近くで見たいよとか)
自然にも恵まれ晴れていて風は少し、霧も少し出て涼しく。しかし、景観を邪魔することも無く利島まで見えました(大島は見えなかった)
今回も楽しい時間を過ごせてとても幸せでした。(しま)

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4学会合同調査団・現地説明会

2014年05月25日 | 火山・ジオパーク
昨日,表題の説明会が行われました。

学会から18名、島民は町役場職員含め、20名以上が参加。

最初に大金沢堆積工で、大島支庁の災害対策の担当者から説明がありました。

災害直後の現場写真などを見ながら現地で聞く説明は、とてもわかりやすいです。

今工事をしているのは、6月の梅雨時期までの応急的なもの。
その後は平成28年度までの短期、それ以降の中長期に分けて計画されるとのこと。

梅雨時までの応急的な工事は、堆積工の嵩上げと仮設導流堤づくり。

短期的には崩壊斜面に木を植え、その木が流れて来ないように導流堤を作ることが計画されているようです。ボルトなどで地面を固定し、樹木の根が抜けないようにする事も検討されているとのこと。

堆積工は、満杯になっていた土砂をどけ、嵩上げもほぼ終わっているそうです。

膨大な量の土砂が溜まった状態が信じられないぐらいにキレイになりました。

さて、堆積工の説明の後は、歩いて仮設導流堤まで移動しました。


仮設導流堤の高さは1mですが、河床からは4mの高さがあるとのこと。スカイライン沿いに流れてくる水量を計算したら、1mで大丈夫なことがわかったのだそうです。

でもこれは、あくまでも応急的な導流堤で、短期計画でもっと嵩上げするのかは検討中とのこと。(上記の写真は、山田三正氏からいただきました)

島民の方からは「台風前から橋に流木が詰まっていた。だから溢れたのではないか?」との質問が出ていました。結論は良くわからないようですが、流木はいつから詰まっていたのでしょうか?

さて、元町地区の説明を終えた後は御神火スカイラインへ。

崩れた場所を見ながら説明を聞きました。

説明の内容は以下のようなことでした。

「大島には何層も「レス」と呼ばれる水の染みにくい層がある。「レス」は噴火をしていない時期に風で飛んで来たチリや火山灰、土等が混ざりあってできていて、粒子が細かく黄色っぽい色をしている。レスの上に積った砂粒サイズの火山灰が水で満たされると水圧で重くなり滑りやすくなる。斜面の勾配がきつくなる場所で、滑りはじめている。」等など…。

アジア航測の千葉先生(赤色立体地図の作者)が、斜面に登ってレスの層を出してくれました。

明るい茶色がレス。その上の黒っぽいのが大島に多い火山灰。

山側のみでなく海側も観察しました。


土砂流で、ほぼすべての木が流されてしまったところに、スダジイが1本生えていて、話題になりました。(写真中央の黄色っぽい木がスダジイです)

「すごいねぇ。スダジイ頑張ったね。」と、しばし数人で見とれました。

災害後設置された様々な観測機器についても、説明がありました。
こちらは雨量計。

4日前に設置されたのだそうです。

地面が傾いたらわかるセンサー。

かなりな急斜面だから、センサーをつける時も大変だったことでしょう。
これ以外にも、数カ所に観測機器が設置されていました。

以前から気にかかっていたことを質問してみました。
「今回は植物の根が風で動いて液状化し滑りやすくなったのでは?とも言われていますが、植物が生えていなければどうなのでしょう?」

これに対しての回答は「植物の根の影響はあるが、植物が生えていないと表層はすぐに削られ溝が出来ていく。それを考えると植物を植えるメリットの方が遥かに高いと考えている」ということした。なるほど…。

デメリットも知った上で、メリットの大きい方を選ぶ…人間と自然のバランスを考えながら…。
地震も噴火も津波も必ず起こる日本で納得して暮らすためには、この「デメリットを知った上で、どう考えて防災対策をたてたか」という過程を知ることが、大事なような気がしました。

調査団の方達は、島民とほぼマンツーマンになれる人数で来てくれていたので、皆さん歩きながら色々なお話をしていたようです。

疑問に対して、納得のいく答えが見つかったのでしょうか?3時間30分の行程でしたが、参加した方からは「時間が足りないね」という声が聞かれました。

室内講義を聴くだけではわかりにくかったことも、現場を歩くことで納得できることが多かったように思います。

何よりも…わからないことも多い中で、今の段階で「できる限りのこと」をしてくれているように感じられました。

住民への説明に来島してくれた調査団の皆さん、支庁の方々、ありがとうございました。大島町も、バスや人数分のヘルッメットを用意してくれました。感謝です。

これからも復興の過程で時々は、こういう機会を作っていけることを願っています。

(カナ)







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カラスバト

2014年05月24日 | 
このブログでは何度も搭乗・・・じゃなかった登場しているカラスバト。
今朝はカエル池を見に行く途中で珍しく道路に下りているのを見つけました。
急いで車を停めて撮影。





一見真っ黒ですがよく見ると金属光沢があって本当に綺麗です。
それに自然界のものは羽がスレていません。
すぐに逃げるかな?と思ったけどしばらくモデルになってくれました。
ありがとう!


で、カエル池はこちら。

雨がたくさん降ったときだけ水が溜まる大きな水溜りなのですが毎年モリアオガエルが産卵します。
日照りが続いたときは干上がってしまうのにこうしてやって来るということはちゃんとカエルになれるまで水があることが多いのでしょう。
今年はどうかな?


周りの樹には卵塊がたくさん付いていました。
またチビガエルが出てくるころ来てみようっと(去年も来た?)

                                がんま
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4学会合同調査団、現地説明会&報告会のお知らせ

2014年05月23日 | 火山・ジオパーク
直近ではありますが、明日、土木学会・地盤工学会・日本応用地質学会・日本地すべり学会による、台風第26号土砂災害の現地説明と報告会が行われるので、この場を借りてお知らせします。

現地説明は12時50分~16時30分、御神火スカイライン(崩落斜面)、神達~大金沢堆積工等を訪ね、合同調査団と東京都職員の方達が現場で説明してくれます。

復興会議の元町地区分科会を中心に希望者を募りましたが、まだ人数に空きがあるので、明日昼までに連絡をいただければ参加可能です。(連絡先・04992-2-1166 加治屋、または090-1533-1903西谷まで)。

また報告会は、明日19時~21時 開発総合センター1階大会議室で、以下の内容で行われます。

1. 全体説明,崩壊のメカニズム
 後藤 聡 山梨大学大学院医学工学総合研究部 社会システム工学系
 
2. 流木災害
 清水義彦 群馬大学大学院理工学府環境創生部門流域環境学研究室

3. 土砂災害・砂防
 江頭進治 独立行政法人 土木研究所 

4. 次の災害に備えてソフト対策でできること
 畑山満則 京都大学 防災研究所 防災社会システム研究分野

5. 文部科学省科学研究費による調査の中間報告
 東畑郁生 東京大学大学院工学系研究科社会基盤学

報告を担当してくれる方達以外にも、調査に関わった専門家の方15名が来島し、質問に答えてくれます。

諸事情によりギリギリの案内になってしまい申し訳ないのですが、少しでも多くの方に参加していただけるよう願っています。

さて、お知らせだけではあまりに淋しいので、今日の夕景です。

今日は柔らかな色の夕暮れでした。

夜になると花を開くコマツヨイグサが、そろって夕日の方を向いていました。

この、派手ではないのに明るいレモン色にとても心惹かれます。(蛾の気持ちがわかる・笑)

海岸の崖も赤く染まっています。

妙に大きくて黒い岩が目を引きました。
これ、周りの白い石に比べて大きいですね…なぜ??(こんど明るい時に、調べてきます)

車を走らせていたら、海がますますピンク色になってきました。


真っ赤な夕焼けも奇麗ですが、こういう淡い色使いも、またひと味違う美しさがあります。


明日が良い1日になりますように。

(カナ)

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ところ変われば…。

2014年05月22日 | 植物
4月に式根島へ行った後、確認しなければ…と思っていたことがあります。
2つの島に共通の植物、オオシマハイネズについてです。

式根島の神引展望台(標高99m)の周辺を這っていた、オオシマハイネズをひっくり返して観察した時「あれ?」と思いました。

裏側に細かい砂が、ビッシリついていたからです。

砂は、しっかりハイネズにくっついていました。

細かいヒゲ根でものびて、砂を固定しているのでしょうか?
(もっと良く見てくればよかった…)

一方、大島のハイネズは…

何もつけず、枝だけで伸びていきます。

たまたまかもしれませんが、“這い方”も少し違う気がします。
式根島では1本の枝が太く長くなっていくのに対して…


大島の海岸ではアメーバのように広がっています。


そして、住んでいる環境も微妙に違うようです。
式根島では、神引展望台周辺で広範囲に広がっていました。

ガラガラした白っぽい溶岩地帯で、クロマツと並んで天下をとっているように見えました。

大島では…海蝕崖の縁の近くでしか、見られないような気がします。

崖の縁を覆い尽くすように広がってはいますが、少し陸側に入ると姿が見えなくなります。

こちらは、違う海岸ですが…

やはり海岸ギリギリの場所で生きています。

崖の縁では丈夫な枝を垂れ下げて、光を独占していますが…


崖上では他の植物達の勢力に押され、かなり形勢不利なようです。

トベラ、クロマツ、マルバアキグミ、マルバシャリンバイ、ススキ、サルトリイバラ、ラセイタソウ、イソギク、ガクアジサイ等がひしめきあっているので、ここで競争に打ち勝つのは、相当大変そうです。
 
ここも…かなり競争が激しそうです。

ススキ、スイカズラ、ハマボッス、イソギク、ボタンボウフウなどに埋もれるようにして、ひっそりと生きています。

「これだけ他の植物に覆われると、背の低いオオシマハイネズは大変だなぁ」と思っていたら…
足もとに、こんな光景を見つけました。

オオシマハイネズがイソギクの下から脱出し、光のある場所へ這い出ています!
頑張るなぁ~。

オオシマハイネズの目線(?)で周囲を見回してみたら、彼らが激しい戦いの中で生きているのが良くわかりました。

「ウワ~押すなよ!負けないぞ~!」という声が聞こえてきそうな気も…(笑)。

ところで、式根島と大島のオオシマハイネズの違いは、なぜ生じたのでしょうか?

もしかしたら…式根島の「火山灰のまざる溶岩地帯」という環境の方が、植物が生きるにはキビシイのかもしれません。

火山灰は軽いから、風が吹くと舞い上がり地面が安定しない。でもゴツゴツ溶岩は風が吹いてもあまり動かないから、植物達が生きやすい…ということはないでしょうか?

式根島のハイネズたちは、火山灰をつかまえて少しでも体を重く安定させる術を身につけ、他の植物との競争が激しい大島のハイネズ達は、とにかく戦いの場を抜け出して、先へ先へ伸びる能力を身につけたとか…?

謎を解くためには、もっときちんと調べなくてはならないのでしょうが、あれこれ想像するのは面白いです。

火山の違いが動植物の生き方にも違いを作っていく…ジオ物語、楽しんでます!

(カナ)
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