今日岩波書店の『世界』を購入した。現代日本社会のありようを、理性的に考えていこうという雑誌。こうした雑誌は、とても少ない。ほとんどのメディアは、理性にではなく、人間の劣情に依存し、売れれば良いという無責任な放言を繰り返している。
『世界』は、人間は信頼しうるということを背景にもつ雑誌である。
特集は「領土問題と歴史認識」であるが、ボクはこの特集についてではなく、まず「永山事件 封印された鑑定記録」について語りたい。
NHKの唯一の良心的な番組、教育テレビで毎週日曜日22時から放映される“ETV特集”。先月「永山則夫 100時間の告白~封印された精神鑑定の真実」は、重い問題を取り扱った番組であった。1969年、19歳の永山少年が4人を拳銃で射殺するという事件を起こした。第一審は死刑、第二審は無期懲役、最高裁では高裁へ差し戻し、最終的には死刑が確定し、1997年に死刑は執行された。
獄中で、永山則夫は『無知の涙』(河出文庫)などを著した。極端な貧困の中に育った永山少年が、なぜ凶悪な犯行を侵したのか。
実は、石川義博氏が永山少年の鑑定を行った。その鑑定を行う中で石川氏は、永山少年の肉声をテープにとっていた。番組は、そのテープをもとに、この事件を、現代の報復的な裁判が横行するなかで、もう一度問いかけようとしたものだ。
すばらしい番組であった。それは以下で見ることが出来る。
http://www.dailymotion.com/video/xuclhm_yyyy-yyyyyyyy-yyyyyyyyyyyy-1-2-2012-10-14_news
http://www.dailymotion.com/video/xucpx9_yyyy-yyyyyyyy-yyyyyyyyyyyy-2-2-2012-10-14_news
この番組を制作した堀川惠子氏がこの『世界』に記した文が、またすばらしい。過酷な生育過程をへて、永山は「どうして自分は生まれてきたのか」、「俺は何のために生きてきたのか」という問いを発する。思春期に抱く重大な問いである。人は、この問いに答えられないまま、あるいは問い続けながら生きていく。その問いは、多様な人間関係の中で、あるいは読書経験の中などで問われ続けていくのである。
だが、永山の場合は、この問いに向かい合う契機を持たなかった。つまりそうした人間関係や読書経験を持てなかったのだ。
残念ながら、時の経過は、永山少年のような生育過程をなくす方向には動かなかった、児童虐待とかネグレクトなどのことばが多く見られるような時代になってしまった。
永山事件は、現代に再検証されるべきものである。堀川氏は、いずれ岩波書店で『封印された鑑定記録』を出版されるという。ぜひ読んでみたい。
この『世界』の文章と、堀川氏が制作した番組も、見て、そして考える価値がある。
『世界』は、人間は信頼しうるということを背景にもつ雑誌である。
特集は「領土問題と歴史認識」であるが、ボクはこの特集についてではなく、まず「永山事件 封印された鑑定記録」について語りたい。
NHKの唯一の良心的な番組、教育テレビで毎週日曜日22時から放映される“ETV特集”。先月「永山則夫 100時間の告白~封印された精神鑑定の真実」は、重い問題を取り扱った番組であった。1969年、19歳の永山少年が4人を拳銃で射殺するという事件を起こした。第一審は死刑、第二審は無期懲役、最高裁では高裁へ差し戻し、最終的には死刑が確定し、1997年に死刑は執行された。
獄中で、永山則夫は『無知の涙』(河出文庫)などを著した。極端な貧困の中に育った永山少年が、なぜ凶悪な犯行を侵したのか。
実は、石川義博氏が永山少年の鑑定を行った。その鑑定を行う中で石川氏は、永山少年の肉声をテープにとっていた。番組は、そのテープをもとに、この事件を、現代の報復的な裁判が横行するなかで、もう一度問いかけようとしたものだ。
すばらしい番組であった。それは以下で見ることが出来る。
http://www.dailymotion.com/video/xuclhm_yyyy-yyyyyyyy-yyyyyyyyyyyy-1-2-2012-10-14_news
http://www.dailymotion.com/video/xucpx9_yyyy-yyyyyyyy-yyyyyyyyyyyy-2-2-2012-10-14_news
この番組を制作した堀川惠子氏がこの『世界』に記した文が、またすばらしい。過酷な生育過程をへて、永山は「どうして自分は生まれてきたのか」、「俺は何のために生きてきたのか」という問いを発する。思春期に抱く重大な問いである。人は、この問いに答えられないまま、あるいは問い続けながら生きていく。その問いは、多様な人間関係の中で、あるいは読書経験の中などで問われ続けていくのである。
だが、永山の場合は、この問いに向かい合う契機を持たなかった。つまりそうした人間関係や読書経験を持てなかったのだ。
残念ながら、時の経過は、永山少年のような生育過程をなくす方向には動かなかった、児童虐待とかネグレクトなどのことばが多く見られるような時代になってしまった。
永山事件は、現代に再検証されるべきものである。堀川氏は、いずれ岩波書店で『封印された鑑定記録』を出版されるという。ぜひ読んでみたい。
この『世界』の文章と、堀川氏が制作した番組も、見て、そして考える価値がある。