もと裁判官・岡村がみずからの戦時体験を綴ったものである。岡村は学徒兵で海軍へ。主に軍艦に乗船し、主計の仕事をおこなった。岡村が乗船した軍艦は、ガダルカナル島、アッツ島、キスカ島などへの兵員輸送にあたった。駆逐艦などに乗船したのだが、ほとんどが兵員輸送である。いかに輸送船が不足していたかを物語る。
最初のウェーク島攻略だけがある意味戦果といえるが、他は惨めな軍隊体験である。とくに、アッツ島への兵員輸送、キスカ島からの撤退作戦の部分を読んでいると、それぞれの島に行くことさえ困難なところへ何故に兵を送ったのか。冬になると、台風並みの低気圧が北洋を席捲する。そういうなかで航海するわけだから、当然行く手を阻まれることが何度もある。アッツ島は全滅(「玉砕」と美化する向きもあるが)したところで、艦砲射撃や爆撃、そして上陸した米軍にこてんぱんにやられたところ。アッツ島守備隊は友軍が来てくれることをひたすら要請するのだが、天候に阻まれ行くこともできず、ただ全滅に至る経過を聞くだけ。
何という無謀な戦いを行ったことか。直接それを記しているわけではないのだが、行間から伝わってくる。
こうした戦記物は近年読んだこともなかったが、一挙に読んでしまえるような緊迫感を備えている。
もちろん、数々の「戦死」が描かれているが、「戦死」はむごい死である。「戦死」をふたたび創り出してはならないと思う。
最初のウェーク島攻略だけがある意味戦果といえるが、他は惨めな軍隊体験である。とくに、アッツ島への兵員輸送、キスカ島からの撤退作戦の部分を読んでいると、それぞれの島に行くことさえ困難なところへ何故に兵を送ったのか。冬になると、台風並みの低気圧が北洋を席捲する。そういうなかで航海するわけだから、当然行く手を阻まれることが何度もある。アッツ島は全滅(「玉砕」と美化する向きもあるが)したところで、艦砲射撃や爆撃、そして上陸した米軍にこてんぱんにやられたところ。アッツ島守備隊は友軍が来てくれることをひたすら要請するのだが、天候に阻まれ行くこともできず、ただ全滅に至る経過を聞くだけ。
何という無謀な戦いを行ったことか。直接それを記しているわけではないのだが、行間から伝わってくる。
こうした戦記物は近年読んだこともなかったが、一挙に読んでしまえるような緊迫感を備えている。
もちろん、数々の「戦死」が描かれているが、「戦死」はむごい死である。「戦死」をふたたび創り出してはならないと思う。