1995年について『世界』が特集したことを、先に紹介した。1995年に焦点をあてて講演したこともあったが、今そのレジメがどのUSBメモリーにあるのか捜し当てていない。そこで、「「平成」を振り返る」というテーマで話したこともあるので、それを紹介していこうと思う。
「平成」とは、 1989年1月8日から2019年4月30日までの期間である。約30年、その30年について、わたしは、 Ⅰ「企業に奉仕するシステム」(政治・経済)、Ⅱ「知性が衰退する時代」(社会)、Ⅲ「対米従属から自発的対米隷属へ」(政治・外交)として、3回に分けて話した。
「平成」という時代においては、内閣は短期間で変わっていた。小泉内閣、安倍内閣は長かったが、それ以外は短命内閣であった。それを示すと、次のようになる。
竹下登 1987(昭和62)年11月6日~1989(平成元)年6月3日
宇野宗佑 1989年6月3日~1989年8月10日
海部俊樹 1989年8月10日~1991年11月5日
宮沢喜一 1991年11月5日~1993年8月9日
細川護熙 1993年8月9日~1994年4月28日
羽田孜 1994年4月28日~1994年6月30日
村山富市 1994年6月30日~1996年1月11日
橋本龍太郎 1996年1月11日~1998年7月30日
小渕恵三 1998年7月30日~2000年4月5日
森喜朗 2000年4月5日~2001年4月26日
小泉純一郎 2001年4月26日~2006年9月26日
安倍晋三 2006年9月26日~2007年9月26日
福田康夫 2007年9月26日~2008年9月24日
麻生太郎 2008年9月24日~2009年9月16日
鳩山由紀夫 2009年9月16日~2010年6月8日
菅直人 2010年6月8日~2011年9月2日
野田佳彦 2011年9月2日~2012年12月26日
安倍晋三 2012年12月26日~2020(令和2)年9月16日
「平成」という時代について、吉見俊哉編『平成史講義』(ちくま新書)では、「失敗の30年」、「戦後日本社会が作り上げてきたものが崩れ落ちていく時代」、「苦難の30年間」、「失われた30年」、「沈滞した時代」などと否定的なことばで総括される。わたしは、「平成」を、「庶民を切り棄てるシステムを構築した時代」として捉えたい。グローバル資本主義、新自由主義(民営化・規制緩和)、政治改革、自己責任、「小さい政府」など、すべてが「庶民を切りすてるシステム」につながっていると考えるからだ。