『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』
2022/7/11~8/25



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』を見てきました。

1980年に生まれたグラフィックデザイナー髙田唯は、2006年に事務所「Allright Graphics」設立すると、広告やパッケージ、ロゴといった幅広いデザインを手がけるなどして活動してきました。

その髙田のデザインを紹介するのが『Chaotic Order(混沌とした秩序)』とした展示で、凧をモチーフとしたインスタレーションと髙田が過去に手がけた仕事などが公開されていました。



まず1階のスペースに展開するのが、髙田が近頃、興味を抱いているという凧のインスタレーションでした。ここでは天井から壁一面に色とりどりの凧が吊られていて、会場を鮮やかに彩っていました。



いずれの凧も二本足の人のようなかたちをしたモチーフが描かれていて、フリーハンドを思わせるような揺らぎの伴う線も少なくありませんでした。

これらは髙田が日々の仕事の合間を縫って作られたものですが、一連の凧を目にしていると多くの人々が手を取り合いながら集っているようなイメージが浮かび上がりました。いわば凧の集会とも呼べるかもしれません。



一方の地下の展示室では髙田の多様なデザインが紹介されていて、それぞれの作品の意味をリーフレットから読み解けるように作られていました。



このデザインが驚くほどに大胆でかつ自由な発想に基づいていて、リーフレットを読まなければ何を表現しているのか分からないものも少なくありませんでした。



例えば「Carton Base」とは、髙田がグラフィックとして魅力を感じたという200mlの紙パック飲料の底面を模写した作品で、幾何学的ともいえるようなイメージが描かれていました。



また「Rip-Up Origami」は、折り紙を破っては色面を展開させたもので、さまざまな色をした折り紙の断片が抽象絵画のような世界を築いていました。



この他にもベビースターラーメンを線として捉えて地図を描いたり、電車の中吊り広告から背景の色面構成のみを表したり、ガムを吐き出して「口で作る彫刻」とするなど、もはや奇抜ともいえるようなアイデアからまったく予想もし得ないデザインが生み出されていました。



禁煙マークや自販機の100円マーク、それに駅や公園などの地図の中のコンパスをコレクションして写すなど、社会のさまざまな事象を観察する視線も極めてユニークではないでしょうか。



「ルールのない、好き勝手に遊びまわるプレイグランド」と解説にありましたが、スタイルにとらわれない発想力こそ髙田が生み出すデザインの源泉なのかもしれません。


予約は不要です。8月25日まで開催されています。

『Yui Takada with ori.studio CHAOTIC ORDER 髙田唯 混沌とした秩序』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2022年7月11日(月)~8月25日(木)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』 ミヅマアートギャラリー

ミヅマアートギャラリー
『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』
2022/7/6〜8/6



ミヅマアートギャラリーで開催中の『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』を見てきました。

1974年に生まれた宮永愛子は、日用品をナフタリンで象ったオブジェなどで知られ、近年は高松市美術館にて個展『槽法』(2019年)を開いたほか、『東京ビエンナーレ2020/2021』に参加するなどして幅広く活動してきました。



その宮永の新作からなる個展が「くぼみに眠る海」で、ガラスやナフタリンによる彫刻などが展示されていました。



今回の個展で目を引くのが、いずれの彫刻も動物をモチーフとしていることで、犬や熊、それに鳥のほか、大きなトランクの中には鯉が泳ぐかのようにして表現されていました。そしてナフタリンとガラスの素材を問わず、自ら光を放つように白く輝いていました。



また白い台の他に古びた木の箱には石膏の型がいくつか入れられていて、「熊」や「ツル小」と記した文字が紐でくくりつけられていました。いわゆる作品として位置づけられることのない、いわば脇役の石膏型をあえて展示しているのも面白いかもしれません。



宮永はコロナ禍の中、期せずして故郷の京都に居を移し、16年ぶりに同地にて生活をはじめました。また宮永の実家は曽祖父である初代宮永東山が開いた宮永東山窯で、家の工房には整理がつかない石膏型が山積みになって置かれていたとしています。そして宮永も幼い頃から型のある景色の中で日々の暮らしを送りました。



もはや宮永にとっての型とは生活の一部であったのかもしれません。ガラスやナフタリンといった脆さやはかなさを感じさせる彫刻とは異なり、まるで歴史が蓄積した化石のように重みのある型にしばらく見入りました。


予約は不要です。8月6日まで開催されています。

『宮永愛子展「くぼみに眠る海」』 ミヅマアートギャラリー@MizumaGallery
会期:2022年7月6日(水)〜8月6日(土)
休廊:日・月・祝
時間:12:00~18:00
料金:無料
住所:新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
交通:東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅出口5より徒歩5分。JR線飯田橋駅西口より徒歩8分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル

スパイラル
『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』
2022/6/29〜7/11



スパイラルにて開催中の『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』を見てきました。

もの派のメンバーとして知られるアーティスト、菅木志雄(1944年〜)は、木や石、金属やロープなどを用い、さまざまな場所を取り込んだ作品を作り続け、毎年個展を開くなど精力的に活動してきました。



その菅の新作を中心に構成されたのが『有でもなく無でもなく』とした個展で、会場には木を素材とした立体作品などが展示されていました。



さて「同じことはやらない」と語り、常に異なる関心を持って制作に取り組んできたという菅でしたが、私が今回とりわけ興味深く思えたのは、螺旋のスロープのある空間に置かれた『積層空間』なる作品でした。



ちょうど空間の中央にただ1つ、透明のケースにて包まれた箱のようなかたちのオブジェが置かれていて、上の方は白く、また下の方は茶色を帯びているなど異なった色が重なっていました。まさに地層のようにも思えましたが、遠目では一体、中に何が入れられ、どのように作られているのか見当すらつきませんでした。



これは1968年、菅が実に24歳の時に初めて制作した作品で、おがくず、綿、灰、プラスチック、土などによって出来ていました。そして当時、菅は作品を展覧会に出展せず、当時居住していたという川崎市内にて野展、すなわち屋外展示として発表していて、昨年の岩手県立美術館での個展にて再制作されたものでした。つまり53年ぶりに展覧会にて公開された作品というわけでした。

それこそ地層ならぬ大地の一部分を切り取り、中へと詰め込めたようなイメージも浮かび上がっていて、木や石などを用いる作品とはまた異なった雰囲気をたたえていました。

なお菅は現在、小山登美夫ギャラリーでも同名のタイトルによる個展を開催中です。(7月9日まで)

菅木志雄「有でもなく無でもなく」@小山登美夫ギャラリー六本木 6月11日(土)〜7月9日(土)



こちらでは茶色い紙を重ねて四方をちぎり、木を組み合わせた新作『集分化』などを公開していました。表参道と六本木での2つの展示を見ていくのも良いかもしれません。


入場は無料です。7月11日まで開催されています。

『菅木志雄「有でもなく無でもなく」』 スパイラル@SPIRAL_jp
会期:2022年6月29日(水)〜7月11日(月)
休館:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:港区南青山5-6-23
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅B1出口すぐ。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『竹村京・鬼頭健吾「色と感情」』 ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックス
『竹村京・鬼頭健吾「色と感情」』
2022/6/17~7/24



ポーラ ミュージアム アネックスで開催中の『竹村京・鬼頭健吾「色と感情」』を見てきました。

ともに群馬県を拠点に活動し、パートナーでもある竹村京と鬼頭健吾は、それぞれ刺繍の作品や既製品を用いた立体作品などを手がけ、幅広く活動してきました。



その竹村と鬼頭の2人展が「色と感情」で、会場には2名の新作を含む計20点の作品が展示されていました。



まず会場に入って目に飛び込んでくるのが、骸骨の標本を用いたインスタレーションで、いずれも色とりどりの刺繍を凝らした服を身につけ、あたかも踊っているようなすがたを見せながら、カラフルな角柱に吊られていました。



そして周囲には鬼頭と竹村の刺繍、および平面の作品が分け隔てなく並んでいて、中央の骸骨のダンスを飾り立てるように鮮やかな色彩を放っていました。そしてその一部の平面の作品にも刺繍にて骸骨が象られていて、互いに手を取り合うような仕草を見せていました。



2人のアーティストは色は共通言語であり、また感情は誰もが持っているものとして、現在のコロナ禍において直接話をせずとも色と感情は共有できることに気づき、今回のタイトルを名付けました。



複雑に組み合わさる糸やさまざまな素材、そして折り重なる色を追っていくと、それぞれの作品において色が互いに深く関わり合いながら共存しているように見えるかもしれません。



竹村と鬼頭の2人での展示は、2021年の『DOMANI・明日展』以来のことでしたが、改めて複雑なテクスチャーを描く色彩豊かな作品世界に魅せられました。



ポーラ銀座ビル1階ウィンドウでも、2人の共作のインスタレーションが公開されています。お見逃しなきようにおすすめします。


7月24日まで開催されています。*写真はすべて『竹村京・鬼頭健吾「色と感情」』展示風景。撮影が可能です。

『竹村京・鬼頭健吾「色と感情」』 ポーラ ミュージアム アネックス@POLA_ANNEX
会期:2022年6月17日(金)~7月24日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料
時間:11:00~19:00 *入場は18:30まで 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『JAGDA新人賞展2022 佐々木拓・竹田美織・前原翔一』 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
『JAGDA新人賞展2022 佐々木拓・竹田美織・前原翔一』 
2022/5/31~7/2



公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(略称JAGDA)が、39歳以下の若い世代のグラフィックデザイナーを顕彰する『JAGDA新人賞展2022』が、今年も銀座のクリエイションギャラリーG8にて開かれています。

今年度の新人賞に輝いたのが、137名の対象者より選定された佐々木拓、竹田美織、前原翔一の3名のデザイナーで、会場にはポスターやプロダクトなどを中心に、受賞作品や近作が展示されていました。



1985年に生まれてコクヨにて活動する佐々木拓は、商品ブランドの企画や空間サイン計画などに携わっていて、今回もコクヨに関するグッズ類を多く出展していました。



ここで面白いのはライフスタイルショップの「THINK OF THINGS(シンク オブ シングス)」のスタンダードのアイテムを「夜仕様」にアレンジした商品で、「夜ならではの生活のシーンから着想したコーヒー豆」や「ホログラムの塊のような、光り輝くノート」といった夜をイメージした作品が並んでいました。



デザインとともに、作品を生み出すアイデアそのものもユニークで楽しいのではないでしょうか。



3名の中で最年少の竹田美織は、資生堂クリエイティブ本部に所属後、昨年に独立を果たしていて、ファッションやジュエリーブランドのアートディレクションなどを手がけてきました。



よってベイクルーズのファッションブランドの「IENA」のラッピングツールや、資生堂の化粧ブランドのポスターなどが並んでいて、スタイリッシュともいえるデザインを見ることができました。



一方で電通テックなどを経て独立して活動する前原翔一は、屋外作業機械メーカーやまびこの社内報のポスターや、花いけワークショップのポスター「花あそ部」などを展示していて、プリミティブとも呼べるような遊び心のあるデザインが目を引きました。



受付にて販売されていた3名のデザインした測量野帳も魅惑的かもしれません。それぞれのデザイナーが創意工夫を凝らした三者三様のデザインを見ることができました。


いま注目の若手グラフィック・デザイナーをチェック!『JAGDA新人賞展2022』|Pen Online

会場内の撮影も可能です。7月2日まで開催されています。

『JAGDA新人賞展2022 佐々木拓・竹田美織・前原翔一』 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2022年5月31日(火)~7月2日(土)
休館:日曜日。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『ラシード・ジョンソン「Plateaus」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京

エスパス ルイ・ヴィトン東京
『ラシード・ジョンソン「Plateaus」』
2022/4/27~9/25



エスパス ルイ・ヴィトン東京で開催中の『ラシード・ジョンソン「Plateaus」』を見てきました。

1977年生まれのアメリカ人アーティスト、ラシード・ジョンソンは、彫刻、絵画、ドローイング、インスタレーションなどさまざまな手法を用い、アメリカとアフリカといった自らのルーツや政治や哲学などをテーマとした作品を発表してきました。

そのジョンソンの日本での初めての展示が『Plateaus』とした個展で、スチールキューブによる構造物と観葉植物などからなる表題の作品を公開していました。



ともかく目を引くのはジャングルジムのような構造物で、中には多くの鉢とともに観葉植物が山を築くかのように並んでいました。



こうした観葉植物とともに置かれていたのは、書物や陶器、それに絨毯に無線機器やシアバターにて作られた彫刻などで、一部はライトに照らし出されていました。

それらは自身と家族といったパーソナリティーの物語や、自らのルーツであるアフリカの文化や歴史に由来するもので、あたかもパズルのように組み合わされていました。



食用や薬、また石鹸やクリームなどに配合されるシアバターとは、ナイジェリアやガーナといったアフリカを原産とする素材で、ジョンソンはシアバターについて「体に塗ること、そして、それを塗ることでアフリカ人らしさの獲得に失敗することを物語ります。」と語っていました。


またジョンソンは『Plateaus』をある意味で自画像であり、すべての素材が異種混合するためのプラットフォームであるとも定義づけていました。そこには自らのアイデンティティをたどり、また見つめ直そうとするアーティストのスタンスも垣間見られるかもしれません。



なお『Plateaus』の植物に関しては、日々、専門のスタッフが水やりなどでケアしていくそうです。とすれば会期が進むにつれて植物も成長し、会場の雰囲気も変わっていくのかもしれません。

9月25日まで開催されています。

『ラシード・ジョンソン「Plateaus」』 エスパス ルイ・ヴィトン東京
会期:2022年4月27日(水)~9月25日(日)
休廊:不定休
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A1出口より徒歩約3分。JR線原宿駅表参道口より徒歩約10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉』
2022/5/16~6/30



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉』を見てきました。

1955年に生まれたデザイナーの佐藤卓は、1984年にデザイン事務所(現在のTSDO)を設立すると、ロッテ キシリトールガムや明治おいしい牛乳のパッケージデザイン、さらには金沢21世紀美術館のシンボルマークを手がけ、21_21 DESIGN SIGHTの館長を務めるなど幅広く活動してきました。



その佐藤とデザイン会社TSDOとしての仕事を紹介するのが『佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉』で、会場には佐藤による作品のほか、企業パッケージや広告ビジュアルなどが紹介されていました。



まず1階に展示されたのが、佐藤が自発的に制作してきた作品で、いずれも2004年のgggでの展覧会以降に手がけられたものでした。そのうち目立っていたのが「ひらがな立体」で、文字通りひらがなのかたちを立体化した作品でした。



これは3Dデータに基づき、紙を断裁しながら貼り付けて立体にした「紙の化石」と同じマシンを用いて制作したもので、触ることは叶わないものの、手触り感とでも呼べるような温もりが感じられました。



「MILK」は2021年に発表された作品の一部で、牛乳パッケージのデザインをもとに、立体化して壁一面へと広げたオブジェでした。



一方で地下にて紹介されていたのが、TSDOとしての仕事である企業などのパッケージデザインでした。ここには初期に関わったニッカピュアモルトにはじまり、生茶、エリエール、エスビー食品スパイス&ハーブのパッケージから書籍なども並んでいて、それこそ日々の食卓にて利用されるような極めて身近な商品も少なくありませんでした。



またいずれのパッケージにもデザインに際してのコンセプトなどが記されていて、どのようなアイデアからデザインが生み出されたのかについて知ることも出来ました。



そこでは重要なのは、生活にデザインを根ざしていこうとする試みで、単に洗練でかつモダンで美しいことよりも、例えば商品の情報や魅力をどのように伝えるのかや、いかに手にとってもらうかなどに力点が置かれていることでした。またデザインの行く末として、使用後の再利用を踏まえたパッケージデザインがあるのも興味深いかもしれません。


佐藤は自著『塑する思考』おいて、デザインを特別なものではなく、「日常ありとあらゆるところに隠れている」と述べているそうですが、まさに日々の暮らしの中に根ざすようにデザインが潜んでいることを目の当たりに出来ました。



6月30日まで開催されています。

『佐藤卓TSDO展〈 in LIFE 〉』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2022年5月16日(月)~6月30日(木)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『小さい頃は神様がいて: 堀越達人』 Kanda & Oliveira

Kanda & Oliveira
『小さい頃は神様がいて: 堀越達人』
2022/4/20~5/14



Kanda & Oliveiraで開催中の『小さい頃は神様がいて: 堀越達人』を見てきました。

1985年生まれのアーティスト、堀越達人は、少年や少女をモチーフとしたポートレイトなどを手がけ、国内外にて展示を行ってきたほか、中之条ビエンナーレに参加するなどして活動してきました。



その堀越の新作を中心とした個展が『小さい頃は神様がいて』で、主に2021年と今年に描かれた絵画といった38点の作品が公開されていました。



まず目を引くのが少年たちのポートレイトで、ぼんやりと毛布にくるまって前を見ていたかと思いきや、完全に後ろ姿であったり、中には目隠ししているなど、はっきりと表情を伺える人物は多くありませんでした。



それに街角を歩いているすがたながらも、夢の中を覗き込むような幻想的な雰囲気も感じられて、現実と夢がないまぜになっているような世界が広がっていました。



またトイピアノやお化けのようなオブジェ、それに誰もいないベッドなども置かれていて、一連のポートレイトとともに、たとえば少年時代の記憶をもとにした物語を追っているような気持ちにさせられました。



半地下のような1階から開放感のある3階へと至る、ギャラリーの複層的なフロアをうまく活かした展示だったかもしれません。まるで子どもの頃に歩いた知らない道や、友達と出かけた公園での出来事を連想させるようなノスタルジックな雰囲気も魅力に思えました。



さて会場のKanda & Oliveiraですが、今年2月、千葉県船橋市にオープンしたばかりの新しいギャラリーです。



これは不動産を手がける株式会社西治が、創業の地に建てたもので、日本人ディレクターの神田(西治コレクション創設者)とフランス人マネジャーのウリエズ(オリヴェラは母の姓)が掲げる「多文化間の対話を促進する」というヴィジョンの元に生まれました。



黒いぶし瓦の外観と7つののこぎり状の屋根を組み合わせた建築を特徴としていて、3つのフロアには一部に窓も設置されるなど、自然光を取り入れた内部空間が築かれています。(1階展示室の入口の段差にご注意ください)



最寄駅はJR線、東京メトロ東西線の西船橋駅で、北口から千葉街道(国道14号)を東へ約10~15分ほど歩いた左手にあります。*京成線の海神駅からも歩いて10分弱。



オープニング展では「NISHIJI COLLECTION」として同社の企業コレクションが公開されましたが、今後も現代美術を中心にさまざまな展示が行われます。千葉発の気鋭のギャラリーとして、これからの活動にも期待できそうです。



日、月、火曜日がお休みです。

予約は不要です。5月14日まで開催されています。*写真はすべて『小さい頃は神様がいて: 堀越達人』展示作品、およびKanda & Oliveiraの内観と外観。

『小さい頃は神様がいて: 堀越達人』 Kanda & Oliveira
会期:2022年4月20日 (水) ~5月14日 (土)
休館:日、月、火曜日
料金:無料
時間:13:00~18:00 
住所:千葉県船橋市西船1-1-16-2
交通:JR線、東京メトロ東西線西船橋駅北口より徒歩約12分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』 ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックス
『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』
2022/4/22~5/29



ポーラ ミュージアム アネックスで開催中の『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』を見てきました。

1975年生まれの流麻二果は、鮮やかでかつ淡い色彩を用い、透明感のある質感を伴った絵画を手がけ、「色彩の作家」として人気を集めてきました。


「雪はなぜ白い」 2022年

その流の4年ぶりとなる国内での個展が『その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments』で、会場には新作を含めて約13点の作品が展示されていました。


「言外の意味」 2022年

ともかく目に飛び込んでくるのがまるで貴石のようにきらめく色彩の海で、青やピンク、黄色や赤などのさまざまな色がせめぎ合いながら、抽象的とも呼べるイメージを作り出していました。


「言外の意味」(部分) 2022年

色は時に幾重に塗られながらも、あたかもガラスの表面に散った絵具を見るかのような輝きを放っていて、素早い筆触にもよるのか色自体が自律的に広がっているかのようでした。


「曖昧の眼」 2022年

また色の帯や波はさながら雲のようにたなびいていて、広い空を表したような奥行きを感じることもできました。これほど色同士の揺らめきが美しく、独特の広がりをもちながら、開放感を得られるような絵もそう滅多にないかもしれません。

今回の個展で興味深いのは、2020年の練馬区立美術館での「再構築 Re Construction」展で発表した「⼥性作家の⾊の跡」シリーズの新作が展示されていることでした。


色の跡:山下紅畝「けし」 2022年

流は2018年にポーラ美術館アトリウムギャラリーでの個展にて、同館所蔵の印象派絵画を再構成した作品を制作したことをきっかけに、伝統的な絵画を新たに解釈した「色の跡」と呼ばれるシリーズを手がけてきました。そして今回は松林桂月の妻で画家の雪貞や山下紅畝(こうほ)といった、女性の作家を参照した絵画を描きました。


色の跡:松林雪貞「雪貞画譜」 2022年

それらの作品は、元の作品の色をエッセンスを引き出すかのように繊細に色を塗り重ねていて、他のシリーズとはまた違った魅力が感じられました。


淡く、霧のように消えてしまうかのようにはかない色の表情にも心惹かれるかもしれません。



会期中のお休みはありません。5月29日まで開催されています。

『流麻二果「その光に色を見る Spectrum of Vivid Moments」』 ポーラ ミュージアム アネックス@POLA_ANNEX
会期:2022年4月22日(金)~5月29日(日)
休館:会期中無休。
料金:無料
時間:11:00~19:00 *入場は18:30まで 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『ミロコマチコ展「うみまとう」』 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
『ミロコマチコ展「うみまとう」』
2022/4/5~5/23



クリエイションギャラリーG8で開催中の『ミロコマチコ展「うみまとう」』を見て来ました。

1981年に生まれ、デビュー作『オオカミがとぶひ』などの絵本にて人気を集めるミロコマチコは、生物や植物をダイナミックに描く画家としても高く評価されてきました。

そのミロコマチコの主にペインティングの制作を紹介するのが「うみまとう」と題した個展で、近年に描いた絵画、および人形や布を用いたインスタレーションなどが展示されていました。



最初の展示室からして強烈な印象を与えるかもしれません。ここに描かれたのはミロコマチコが5日間のライブペインティングにて制作した作品で、床から壁一面に激しい筆触による色彩が広がっていました。



それらは植物とも動物ともいえるようなモチーフが連なっていて、床にはさまざまな色に染められた布も置かれていました。



ミロコマチコは単に絵筆のみで絵を描くのではなく、ペインティングする際に着ていた服や下に敷いた布などを染め、時にキャンバスへ貼り付けるなどして制作していて、いわばコラージュと呼べる技法も用いていました。よって布や染色も重要な素材や創作のインスピレーションといえるかもしれません。


ミロコマチコ『空の声』 2018年

2019年に奄美大島へと拠点を移すと、島に伝わる伝統的な染色を用い、土地の植物や水によってキャンバスを染めたりしていて、島の自然を作品へと取り込むようになりました。


ミロコマチコ『光のざわめき』 2022年

そうした島の自然を舞台にして描いたのが『光のざわめき』で、会場では作品とともに制作時の映像も公開されていました。



映像では森の中、木製パネルに向き合っては、全身を動かしつつ絵を描いていくミロコマチコのすがたが捉えれていて、完成するまでのプロセスを追うことができました。



その様子を見ていると、絵を描いているというよりも、あたかも自然と交信しながら植物や動物のモチーフへ命を吹き込んでいるかのようでした。

なお現在、ミロコマチコの美術館での展覧会『いきものたちはわたしのかがみ』が全国各地を巡回中です。

『ミロコマチコ いきものたちはわたしのかがみ』公式サイト
https://mirocomachiko-cm.exhibit.jp

横須賀美術館での会期(2月10日〜4月10日)を終え、夏には市原湖畔美術館にて開催が予定(7月16日〜9月25日)されています。そちらも楽しみにしたいと思いました。


展示の様子をイロハニアートへ寄稿しました。

大規模な個展が全国へ巡回中!生命力に溢れた生物や植物を描くミロコマチコの絵画世界 | イロハニアート

通常の日曜日に加えて、ゴールデンウィーク中の4月29日から5月5日までがお休みです。



撮影も可能でした。5月23日まで開催されています。

『ミロコマチコ展「うみまとう」』 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2022年4月5日(火)~ 5月23日(月)
休館:日曜日。4月29日(金)〜5月5日(木)。
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『Soul ジェーン エヴリン アトウッド展』 シャネル・ネクサス・ホール

シャネル・ネクサス・ホール
『Soul ジェーン エヴリン アトウッド展』 
2022/3/30~5/8



シャネル・ネクサス・ホールで開催中の『Soul ジェーン エヴリン アトウッド展』を見てきました。

1947年にニューヨークにて生まれ、パリへと移住したジェーン エヴリン アトウッドは、1980年に第1回ユージン スミス賞を受賞すると、その後も世界各地にて受刑者や地雷被害者といった人々を撮影するなどして活動してきました。

そのアトウッドの日本初の個展が『Soul』と題した展示で、会場には代表的なシリーズをはじめとした初期から近年までの作品が公開されていました。



アトウッドが写真家を志したきっかけになったのは、学生時代にアメリカの写真家、ダイアン アーバスの展示を見たことで、そこでアーバスの写したポートレイトに感銘を受けると、自らもカメラを手にしては、パリの路上に立つ娼婦たちを写しました。



そして目の不自由な子どもたちやフランスの外人部隊、またヨーロッパで公の場で初めてエイズ患者と認めたジャン=ルイを撮影すると、オスカー バルナック賞(ライカ社)を受賞するなどして高く評価されました。



今回の個展で興味深いのは、作品が年代別やシリーズ別に分けられることなく、すべてがばらばらに展示されていることで、地下鉄の入り口でうずくまる路上生活者や酒に酔って前後不覚となった浮浪者など、いわゆる社会の周縁に生きる人々たちを写していました。



そのうちとりわけショッキングともいえるのが、手錠をかけられたまま出産する女性の写真で、アトウッドが約10年間に渡って刑務所の受刑者に取材して撮影された作品でした。そしてこの写真をきっかけに、アメリカの複数の州において出産する囚人に手錠をかける慣行が非合法化されるなど、社会へ強い影響を与えました。


写真家・ジェーン エヴリン アトウッドを知っているか?シャネル・ネクサスホールで『Soul ジェーン エヴリン アトウッド展』が開催中|Pen Online



このほかにも地雷で身体の一部を失った男のなど、厳しい状況下に置かれた人を捉えた写真にも目を引かれましたが、どこか詩的な情感を呼び起こすような雰囲気も感じられて、ポートレイトそのものとしても魅力的に思えました。



「私が写真を撮るのは、彼らに近づいて理解する為だからです」ジェーン エヴリン アトウッド



会場内の撮影も可能でした。会期中無休です。5月8日まで開催されています。

『Soul ジェーン エヴリン アトウッド展』 シャネル・ネクサス・ホール
会期:2022年3月30日(水)~5月8日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:11:00~19:00。 
 *最終入場は18:30まで。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『遠藤利克』 SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSE
『遠藤利克』 
2022/3/8~5/14



SCAI THE BATHHOUSEで開催中の『遠藤利克』を見てきました。

1950年に生まれた彫刻家の遠藤利克は、鉄や木、それに火や水といった素材を使って作品を制作し、国内外の美術館やギャラリーにて作品を発表してきました。

その遠藤のスカイザバスハウスとしては7年ぶりの個展が今回の展示で、会場には主に2つの『空洞説』の彫刻が公開されていました。


床:『空洞説ー鏡像の柩』(2022年) 、壁:『空洞説ー鉛の柩』(2022年)

まず否応なしに目を引くのが、床に置かれた『空洞説ー鏡像の柩』で、直方体の木のオブジェが黒焦げになったすがたを見せていました。またちょうど受付にて彫刻が燃える様子がタブレットにて映されていましたが、それこそ作品を焼成した時の記録映像かもしれません。


『空洞説ー鉛の柩』 2022年

そして床の柩を見下ろすように壁に設置されたのが、鉛の板で出来た『空洞説ー鉛の柩』でした。こちらは同じく柩とあるものの、中はがらんと空いていて、何も置かれていませんでした。

『空洞説ー鏡像の柩』にて興味深いのは、素材に木と火、それに鏡と記されていることでした。しかし黒く炭化した作品のどこを見ても鏡の存在は分からず、そもそも中がどのように作られているかわかりませんでした。



実際のところ『空洞説ー鏡像の柩』の内部に鏡が用いられているとのことでしたが、そもそも作家本人しかすがたを見たことがなく、他の誰かが確認することは叶いませんでした。まさに見る者の想像力に委ねられている作品なのかもしれません。


『空洞説ー鏡像の柩のためのプラン9』 2022年

しかし『空洞説ー鏡像の柩のためのプラン9』とした小品では、棺の上部が空いていて、中に溶けたような鏡が散っていることが見て取れました。言ってみれば、このプランと題する作品こそ、『空洞説ー鏡像の柩』の内部を想像させるものなのかもしれません。

遠藤の展示として思い出すのは、2017年に埼玉県立近代美術館にて開かれた『遠藤利克展ー聖性の考古学』と題した個展でした。


そこでは直径4メートルほどの円筒状の作品や、展示室外の吹き抜けにも舟のようなかたちをした作品を展示していて、あたかも空間を支配するかのような圧倒的な量感を見せていました。

実に関東では26年ぶりの美術館での個展とのことでしたが、改めて大きなスペースにて作品を見る機会があればと思いました。


『空洞説ー鉛の柩のためのプラン7』 2022年


Penオンラインにも展示の様子を寄稿しました。

黒く焦げた柩と鉛の空体に込められた意味とは?日本を代表する彫刻家、遠藤利克の個展が開催中|Pen Online

予約は不要です。5月14日まで開催されています。

『遠藤利克』 SCAI THE BATHHOUSE@scai_bathhouse
会期:2022年3月8日(火)~5月14日(土)
休廊:日・月・祝。
時間:12:00~18:00
料金:無料
住所:台東区谷中6-1-23 柏湯跡
交通:JR線・京成線日暮里駅南口より徒歩6分。東京メトロ千代田線根津駅より徒歩7分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』 ギャラリーエークワッド

ギャラリーエークワッド
『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』
2022/3/3~5/26



ギャラリーエークワッドで開催中の『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』を見てきました。

1977年生まれのアーティストの千田泰広は、「空間の知覚」などを主題にインスタレーションを制作し、国内外の芸術祭や展覧会などで作品を発表してきました。

その千田の個展が『視野の外は何色か?』で、いずれも光を素材にした『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』と『0.04』のインスタレーションなどを展示していました。



まずはじめに展開するのが『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』で、回転する光源に応じて無数の屈折光が真っ暗闇の空間へと広がる作品でした。

その光は細かく砕いた粒子のように空間全体へと拡張していて、暗黒の宇宙から星々の明かりを見るかのようでした。また光の粒が体にまとわりつくような錯覚にも囚われて、そもそも一体全体どのような構造で光が放たれているか見当すらつきませんでした。



これらはテグスを真っ暗な空間へ無数に張り、小さなLEDから光を照射したもので、光源が回転していることから、光が生き物のように動くようにできていました。



しばらくして目が慣れるとテグスや光源の存在に気づくものの、光の粒が伸縮を伴いながらうごめいていくようで、神秘的とも呼べる空間が築かれていました。なおタイトルの『ミュルクヴィズ』とは、北欧神話などに登場する黒い森や暗い森を意味していて、それこそ暗い森の奥深くへ立ち入って光を探すように、しばし浮遊する光に身を委ねました。



もう1点の『0.04』は、LEDの光源と水を用いたインスタレーションで、上から落ちていく水の滴を透過した光が、純白の空間の床面に雲のような環を描いていました。



この作品を千田自身は「光の鹿威し」と呼び、タイトルの0.04は水1粒の体積を表していましたが、ひたすら繰り返しながら落ちる水の軌跡と床の波紋は美しくもはかなく感じられました。

『Myrkviðr(ミュルクヴィズ)』と『0.04』ともに、繊細の極みともいえるようなインスタレーションだったかもしれません。その光景を手持ちのスマホの写真にておさめるのは困難でした。

入場時に検温や手指の消毒のほか、氏名や連絡先を記入する必要があります。5月26日まで開催されています。

『千田泰広 ― 視野の外は何色か?』 ギャラリーエークワッド
会期:2022年3月3日(木)~5月26日(木)
休廊:日曜・祝日。4月29日(金)、5月1日(日)~5月5日(木)。
時間:10:00~18:00。*土曜・最終日は17時まで。
料金:無料。
住所:江東区新砂1-1-1 竹中工務店東京本店1階。
交通:東京メトロ東西線東陽町駅3番出口徒歩3分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『AC部 異和感ナイズ展』 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
『AC部 異和感ナイズ展』
2022/2/22~3/30



クリエイションギャラリーG8で開催中の『AC部 異和感ナイズ展』を見てきました。

1999年に結成されたクリエイティブチームのAC部は、長く映像制作を手がけ、TV番組やアニメ映画、またWeb上などにてさまざまな作品を発表してきました。

そのAC部が20年にわたって追い求めてきた「違和感」をテーマとしたのが『AC部 異和感ナイズ展』と題した展示で、会場には過去の制作からペインティング、映像、また参加型のインスタレーションなどの作品が公開されていました。



まず最初の部屋では過去の制作プロセスが紹介されていて、1999年から2018年頃へと至るAC部のアイデアや方法論の変遷を伺うことができました。



また「関節ジオメトリックス技法」や「素材スターシステム」などと付けられた各手法のの資料には、映像のイメージとともにQRコードが掲載されていて、スマホに取り込んではyoutubeの動画を閲覧することも可能でした。



こうした作品とともに展示されていたのが、一枚のキャンバス、また絵筆や絵具、さらにモニターなどからなる『価値観査定機 Secondary’s』でした。



これは来場者が絵筆をとり、好きな色をつけてはキャンバスへと書き込むことのできる参加型のインスタレーションで、モニターには独自のアルゴリズムによって美的価値が査定された「絵画」の金額が表示されていました。



そしてキャンバスへと線を加えたり、モチーフを加えると金額が上下していて、常に価値が変動していきました。また必ずしも価格が上がるだけでなく、下がる場合があるというのも面白いのかもしれません。



私が出向いた際は会期早々だったため、余白も多く残っていましたが、現在は色やモチーフがキャンバスを埋めているとのことです。会期終了までに一体、絵の価値はどのように変わっていくのでしょうか。



2つ目の展示室では、AC部が『価値観査定機 Secondary’s』を用いて制作したというペインティングが何点か並んでいて、カフェや飲食店のカウンター、またビーチ横と思しく空間を走る車や盆栽などのモチーフが色彩豊かに描かれていました。



ただしいずれのペインティングとも具象的でありながら、色の面や線が分離、つまり複数のレイヤー状に分かれているように表現されていて、三次元的な空間が築かれていました。



その奥の展示室では、一連のペインティング作品をアニメーション化した映像が投影されていて、軽快なBGMとともにイメージが3D状に回転するようにして展開していました。まさにペインティングの視点が空間全体へと拡張していて、あたかも絵と映像が入れ子構造のように入れ替わっているようでした。


違和感を追い続ける「AC部」とは? シュールで遊び心に満ちた『異和感ナイズ展』が楽しい!|Pen Online

なおタイトルが「違和感」ではなく「異和感」としているのも興味深いかもしれません。さまざまなズレが生み出す不思議な違和感が楽しく感じられる展覧会でした。



予約は不要です。3月30日まで開催されています。*写真はいずれも『AC部 異和感ナイズ展』展示作品。撮影も可能です。

『AC部 異和感ナイズ展』 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2022年2月22日(火)~3月30日(水)
休館:日・祝日。 
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』
2021/12/10~2022/3/12



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』を見てきました。

1914年にルーマニアで生まれたソール・スタインバーグは、イタリアのミラノで建築を学ぶと、同地で風刺新聞に関与するも、ファシスト政権の反ユダヤ政策を逃れてアメリカへと渡りました。

そして戦後はニューヨークに居を構えて『The New Yorker』誌の仕事に携わり、グラフィックや漫画の世界で幅広く活動しました。

そのソール・スタインバーグの日本初の個展が『シニカルな現実世界の変換の試み』で、会場にはニューヨークのソール・スタインバーグ財団より寄贈されたポスターやリトグラフをはじめ、ドローイングの複製など約280点もの作品が展示されていました。



まず目を引くのが、まるで線が遊ぶように連なるドローイングで、人や図形的なイメージ、それに文字などを交え、絵自体が動くように展開していました。



またコラージュとしても面白い作品が少なくなく、例えば『グラフ用紙の建築』では、建物の街並みの一部を文字通りグラフ用紙で表していました。



『The New Yorker』の表紙を飾った『鼻』では、机の前で椅子に座る男性が左手で鼻を顔から外すような仕草を描いていて、シュールともいえるような光景を生み出していました。まるで顔の一部をスパッと切り取っているようにも見えるかもしれません。



いずれも一見、シンプルなドローイングでありながらも、ものの形やあり様、さらには固定観念を覆すようなイメージが生み出されていて、意外性や不条理といった要素も作品の魅力として感じられました。



地下の展示室にて並んでいたポスター類も面白いかもしれません。そのうち音楽に関するポスターでは五線譜を用いてドローイングを展開していて、まさにモチーフそのものが音楽を奏でていくようなリズムも得られました。



子どもの絵からクラシック、表現主義、構成主義など、あらゆる領域を行き来したスタインバーグの作風はまさに変幻自在といえるかもしれませんが、一転して写実的とも受け止めるような作品がある点も見逃せませんでした。これほど「引き出し」の多いアーティストもなかなか存在しないかもしれません。


予測不能で変幻自在なイメージ。アメリカの”描く文筆家”、ソール・スタインバーグの日本初個展が開催中。|Pen Online



会場内の撮影もできました。3月12日まで開催されています。

『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2021年12月10日(金)~2022年3月12日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12月28日〜1月5日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 前ページ 次ページ »