都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」 メゾンエルメス
メゾンエルメス
「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」
2020/8/27~11/29
メゾンエルメスで開催中の「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」を見てきました。
1977年にオランダで生まれ、アムステルダムを拠点に活動するアーティスト、シャルロット・デュマは、かねてより「社会の動物と人間の関係性」(解説より)に注目して、馬や犬などの人間に身近な動物の写真を撮り続けてきました。
そのデュマが日本各地の在来馬に取材したのが「ベゾアール(結石)」と題した個展で、オブジェ、写真に映像のほか、馬にまつわる資料などを組み合わせたインスタレーションを展開していました。
まず目を引くのが青く染まった36枚のオーガニックコットンによる作品で、中央のスクリーンには与那国島を舞台とした映像「潮」が映し出されていました。
与那国島には約120頭の在来馬が生息していて、「潮」では沖縄生まれの少女のゆずが愛馬うららに乗る様子が捉えられていました。その姿は親密にも感じられて、人と馬の繋がりが伝わるかのようでした。
また手前には藁で編んだ馬沓や腹帯など、馬に関した様々な資料が展示されていて、とりわけ日本で最初に馬を連れた渡来人の住んだ四條畷から出土した埴輪に目を引かれました。
もう1点の映像「依代」は、「潮」と対になるような作品で、デュマの5歳の娘アイヴィが、馬の衣装を着てオランダから東京、京都を経て与那国島へと旅する様子が映されていました。
「潮」のゆずと異なり、アイヴィは実際の馬を見たことのない少女で、与那国で初めて在来馬に巡り合うラストシーンでは、どこか恐る恐る馬に触れているかのようでした。なおデュマは一連の少女が登場する映像を三部作に構想していて、最後の作品は2021年に完成するとのことでした。
それにしても神秘的とも言える響きをたたえた「ベゾアール」に、デュマは一体何を見出して、作品として表現しようとしたのでしょうか。
「ベゾアール」とは動物の胃の中に結成される結石のことで、特に馬は水を飲まないために巨大化しやすいとされています。現代では獣医師によって取り除かれることがありますが、古くのヨーロッパでは解毒の効果があるとして、薬として水に浸して飲む習慣がありました。
こうした「ベゾアール」は本来的に馬を死に追いやる存在であるものの、デュマはまるで宇宙に浮かぶ惑星のように神秘的に見えたとして、馬の一生について考察を巡らせつつ、インスタレーションとして築き上げました。もちろん「ペゾアール」も実際に並んでいて、確かに惑星とも、白い光を放つ自然の貴石のようにも思えました。
馬の生死、そして人間との関わりが多様なアプローチを取りつつ、詩的に紡がれていくような展示と言えるかもしれません。テキスタイルデザイナーのキッタユウコとのコラボレーションや、建築家の小林恵吾と植村遥が担当した会場デザインも魅惑的でした。
新型コロナウイルス感染症対策に伴う銀座店混雑緩和のため、通常の晴海通り側の入口ではなく、ソニー通り側のエレベーターから入場する形となっていました。またマスク着用のない場合は入場ができません。
11月29日まで開催されています。 *写真は全て「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」展示風景。撮影が可能でした。
「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」 メゾンエルメス
会期:2020年8月27日(木)~11月29日(日)
休廊:会期中無休。
時間:11:00~20:00
*日曜は19時まで。入場は閉場の30分前まで。
料金:無料。
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」
2020/8/27~11/29
メゾンエルメスで開催中の「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」を見てきました。
1977年にオランダで生まれ、アムステルダムを拠点に活動するアーティスト、シャルロット・デュマは、かねてより「社会の動物と人間の関係性」(解説より)に注目して、馬や犬などの人間に身近な動物の写真を撮り続けてきました。
そのデュマが日本各地の在来馬に取材したのが「ベゾアール(結石)」と題した個展で、オブジェ、写真に映像のほか、馬にまつわる資料などを組み合わせたインスタレーションを展開していました。
まず目を引くのが青く染まった36枚のオーガニックコットンによる作品で、中央のスクリーンには与那国島を舞台とした映像「潮」が映し出されていました。
与那国島には約120頭の在来馬が生息していて、「潮」では沖縄生まれの少女のゆずが愛馬うららに乗る様子が捉えられていました。その姿は親密にも感じられて、人と馬の繋がりが伝わるかのようでした。
また手前には藁で編んだ馬沓や腹帯など、馬に関した様々な資料が展示されていて、とりわけ日本で最初に馬を連れた渡来人の住んだ四條畷から出土した埴輪に目を引かれました。
もう1点の映像「依代」は、「潮」と対になるような作品で、デュマの5歳の娘アイヴィが、馬の衣装を着てオランダから東京、京都を経て与那国島へと旅する様子が映されていました。
「潮」のゆずと異なり、アイヴィは実際の馬を見たことのない少女で、与那国で初めて在来馬に巡り合うラストシーンでは、どこか恐る恐る馬に触れているかのようでした。なおデュマは一連の少女が登場する映像を三部作に構想していて、最後の作品は2021年に完成するとのことでした。
それにしても神秘的とも言える響きをたたえた「ベゾアール」に、デュマは一体何を見出して、作品として表現しようとしたのでしょうか。
「ベゾアール」とは動物の胃の中に結成される結石のことで、特に馬は水を飲まないために巨大化しやすいとされています。現代では獣医師によって取り除かれることがありますが、古くのヨーロッパでは解毒の効果があるとして、薬として水に浸して飲む習慣がありました。
こうした「ベゾアール」は本来的に馬を死に追いやる存在であるものの、デュマはまるで宇宙に浮かぶ惑星のように神秘的に見えたとして、馬の一生について考察を巡らせつつ、インスタレーションとして築き上げました。もちろん「ペゾアール」も実際に並んでいて、確かに惑星とも、白い光を放つ自然の貴石のようにも思えました。
馬の生死、そして人間との関わりが多様なアプローチを取りつつ、詩的に紡がれていくような展示と言えるかもしれません。テキスタイルデザイナーのキッタユウコとのコラボレーションや、建築家の小林恵吾と植村遥が担当した会場デザインも魅惑的でした。
新型コロナウイルス感染症対策に伴う銀座店混雑緩和のため、通常の晴海通り側の入口ではなく、ソニー通り側のエレベーターから入場する形となっていました。またマスク着用のない場合は入場ができません。
【新着】日本各地の在来馬が生息する地域で撮影。『ベゾアール(結石)』シャルロット・デュマ展開催中。https://t.co/y6VfPMqNzv
— Pen Magazine (@Pen_magazine) October 6, 2020
11月29日まで開催されています。 *写真は全て「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」展示風景。撮影が可能でした。
「ベゾアール(結石) シャルロット・デュマ展」 メゾンエルメス
会期:2020年8月27日(木)~11月29日(日)
休廊:会期中無休。
時間:11:00~20:00
*日曜は19時まで。入場は閉場の30分前まで。
料金:無料。
住所:中央区銀座5-4-1 銀座メゾンエルメス8階フォーラム
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅B7出口すぐ。JR線有楽町駅徒歩5分。
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