「トム・サックス:店舗体験」 イセタン ザ・スペース

イセタン ザ・スペース(ISETAN THE SPACE)
「トム・サックス:店舗体験」 
2020/9/29~11/30



1966年にニューヨーク州で生まれたトム・サックスは、日本の茶道を学ぶと、茶の湯の世界をDIYのようなインスタレーションにて独自に表現してきました。



そのトム・サックスがイセタン ザ・スペースで行っているのが「店舗体験」と題した展覧会で、「小売の体験」をデザインすべく、過去から新作までのアート、プロダクト作品、それに家具を展示販売していました。



まず目を引くのはNASAや宇宙を素材とした作品で、サックスを代表する茶碗やチェアの他、盤面のマグネットによって無重力でも楽しめるというチェスなどが並んでいました。



さらにはイサム・ノグチ庭園美術館とコラボレーションしたランプをはじめ、チェアやテーブルといった家具もいくつか展示されていて、アート作品といわば混在する形で空間を築いていました。売り場と展示を同一に体験できるのも、それこそ「店舗体験」の魅力の1つかもしれません。



また合板を用いた内装もサックスが手掛けていて、あたかも作家のスタジオへと立ち入ったかのような印象も与えられました。

さてトム・サックスとして記憶に新しいのが、2019年に東京オペラシティアートギャラリーで行われた「トム・サックス ティーセレモニー」展で、飛行機のユニットトイレや工事現場に使われる柵、または歯ブラシの盆栽などによって、茶室から庭へと至る茶の湯の空間を築き上げていました。それにイサム・ノグチの彫刻にオマージュを寄せた、ダンボールのオブジェなども印象に深かったかもしれません。



そもそもトム・サックスのアーティストとしての最初の仕事は、アメリカの高級百貨店「バーニーズ・ニューヨーク」のウィンドウディスプレイの制作にあったそうです。その意味でデパートが会場の今回の試みも、「小売」を原点としたサックスならでは展示と言えるのかもしれません。



なおイセタン ザ・スペースとは、今年3月25日に伊勢丹新宿店へ開設された実験的ポップアップスペースで、過去には写真家の森山大道とアートディレクターのYOSHIROTTENによる「SHINJUKU_RESOLUTION」なども開かれました。



場所はちょうど本館2階のWEST-Parkのエスカレーターの近くで、化粧品売り場の横に位置していました。新宿へお買い物の際に立ち寄るのも良いのではないでしょうか。



11月30日まで開催されています。

「トム・サックス:店舗体験」 イセタン ザ・スペース(ISETAN THE SPACE)
会期:2020年9月29日(火)~11月30日(月)
休館:会期中無休
時間:10:00~20:00
料金:無料
住所:新宿区新宿3-14-1 伊勢丹新宿店本館2階
交通:東京メトロ丸ノ内線新宿三丁目駅より徒歩1分。都営新宿線新宿三丁目駅より徒歩3分。
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