都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』 ペロタン東京
ペロタン東京
「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』
2020/9/16~11/7
ペロタン東京で開催中の「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』へ行ってきました。
1964年にフランスに生まれ、パリに在住するジャン=ミシェル・オトニエルは、1980年代後半より彫刻やインスタレーションなどで創作を続け、1990年代からガラスを用いた作品で人気を集めるようになりました。
そのオトニエルの個展が『夢路 DREAM ROAD』で、ガラス玉のオブジェのほか、ドローイングや絵画などが展示されていました。
まず目を引くのは白い台の上に並ぶガラスの彫刻で、透明から緑、紫、それにオレンジなどへと美しいグラデーションを描いていました。
ちょうどガラス玉はネックレスのように連なっていて、幾重にも渦を巻いては、有機物として形を変えていくかのように自立していました。いずれもが50センチほどの大きさで、ギャラリー内を鮮やかに彩っていました。まさに宝飾品のように煌めいて見えるのではないでしょうか。
オトニエルが一連の彫刻の制作に際して着想を得たのは、1992年の初来日以来、何度も目にしたという菊の花でした。そもそも作家は幼い頃から花に親しみを持ち、制作へと取り込んでいて、例えば2014年にはルーブル美術館にてバラをモチーフにした作品を発表したことがありました。
そして来日するごとに日本庭園を訪ねては「菊まつり」などを見学していて、自ら「日本で最も重要で象徴的な花のひとつ」(リリース)とする菊をガラス玉にて表現しました。またともすれば結び目のようにも見えなくありませんが、実際にオトニエルも日本文化における「結び」の意味も踏まえて作り上げたそうです。
個々のガラス玉を覗き込めば、周囲の風景はもちろん、観客、すなわち自分の姿も映り込んでいて、見る角度によって変化していきました。そうした映りこみも作品の一部と呼べるのかもしれません。
さてガラス玉の色鮮やかな彫刻の一方で、いわばモノクロームに染まっていたのが同じ菊をモチーフとした大型の絵画でした。
ここでは白銀箔の上に黒インクで花のイメージを描いていて、あたかも花弁が散っては宙に舞っているような光景にも思えました。そして黒インクは白銀の中へ滲み出すように広がっていて、一部は掠れながら、溶けていくような質感を見せていました。その様子は夜の闇へと消えていくシャボン玉のようで、彫刻よりもはかなく感じられました。
私がオトニエルの展示で思い出すのは、2012年に原美術館で開催された「マイウェイ」と題した個展でした。
2011年よりパリのポンピドゥー・センターにはじまり、ソウル、東京へと巡回した国際展で、原美術館の空間を効果的に活かし、美しいガラス玉のインスタレーションを築き上げていました。また蜜蝋や硫黄を用いた旧作も出展されていて、ガラスへと至った作風の変遷も辿ることができました。
今回は実にそれ以来、約8年ぶりの個展となります。改めてガラス玉の放つ鮮やかな光と自在に変化する造形美に見入りました。
入場はオンラインでの事前予約制です。また当初の会期(10月24日まで)が延長されました。
11月7日まで開催されています。*写真は「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』」展示作品。撮影が可能でした。
「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』」 ペロタン東京
会期:2020年9月16日(水)~11月7日(火) *会期延長
休廊:日、月曜日。
料金:無料。
時間:12:00~18:00
住所:港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階
交通:東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅1a、1b、3番出口から徒歩2分。
「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』
2020/9/16~11/7
ペロタン東京で開催中の「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』へ行ってきました。
1964年にフランスに生まれ、パリに在住するジャン=ミシェル・オトニエルは、1980年代後半より彫刻やインスタレーションなどで創作を続け、1990年代からガラスを用いた作品で人気を集めるようになりました。
そのオトニエルの個展が『夢路 DREAM ROAD』で、ガラス玉のオブジェのほか、ドローイングや絵画などが展示されていました。
まず目を引くのは白い台の上に並ぶガラスの彫刻で、透明から緑、紫、それにオレンジなどへと美しいグラデーションを描いていました。
ちょうどガラス玉はネックレスのように連なっていて、幾重にも渦を巻いては、有機物として形を変えていくかのように自立していました。いずれもが50センチほどの大きさで、ギャラリー内を鮮やかに彩っていました。まさに宝飾品のように煌めいて見えるのではないでしょうか。
オトニエルが一連の彫刻の制作に際して着想を得たのは、1992年の初来日以来、何度も目にしたという菊の花でした。そもそも作家は幼い頃から花に親しみを持ち、制作へと取り込んでいて、例えば2014年にはルーブル美術館にてバラをモチーフにした作品を発表したことがありました。
そして来日するごとに日本庭園を訪ねては「菊まつり」などを見学していて、自ら「日本で最も重要で象徴的な花のひとつ」(リリース)とする菊をガラス玉にて表現しました。またともすれば結び目のようにも見えなくありませんが、実際にオトニエルも日本文化における「結び」の意味も踏まえて作り上げたそうです。
個々のガラス玉を覗き込めば、周囲の風景はもちろん、観客、すなわち自分の姿も映り込んでいて、見る角度によって変化していきました。そうした映りこみも作品の一部と呼べるのかもしれません。
さてガラス玉の色鮮やかな彫刻の一方で、いわばモノクロームに染まっていたのが同じ菊をモチーフとした大型の絵画でした。
ここでは白銀箔の上に黒インクで花のイメージを描いていて、あたかも花弁が散っては宙に舞っているような光景にも思えました。そして黒インクは白銀の中へ滲み出すように広がっていて、一部は掠れながら、溶けていくような質感を見せていました。その様子は夜の闇へと消えていくシャボン玉のようで、彫刻よりもはかなく感じられました。
私がオトニエルの展示で思い出すのは、2012年に原美術館で開催された「マイウェイ」と題した個展でした。
2011年よりパリのポンピドゥー・センターにはじまり、ソウル、東京へと巡回した国際展で、原美術館の空間を効果的に活かし、美しいガラス玉のインスタレーションを築き上げていました。また蜜蝋や硫黄を用いた旧作も出展されていて、ガラスへと至った作風の変遷も辿ることができました。
今回は実にそれ以来、約8年ぶりの個展となります。改めてガラス玉の放つ鮮やかな光と自在に変化する造形美に見入りました。
入場はオンラインでの事前予約制です。また当初の会期(10月24日まで)が延長されました。
11月7日まで開催されています。*写真は「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』」展示作品。撮影が可能でした。
「ジャン=ミシェル・オトニエル 『夢路 DREAM ROAD』」 ペロタン東京
会期:2020年9月16日(水)~11月7日(火) *会期延長
休廊:日、月曜日。
料金:無料。
時間:12:00~18:00
住所:港区六本木6-6-9 ピラミデビル1階
交通:東京メトロ日比谷線・都営大江戸線六本木駅1a、1b、3番出口から徒歩2分。
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