2021年4月に見たい展覧会【クールベと海/コレクター福富太郎の眼/大・タイガー立石展】

関東では3月末から初夏を思わせるような暖かさが続き、桜も一気に満開を迎えました。私の地元でも見頃は既に過ぎて、散りはじめています。また先日出かけた佐倉のふるさと広場ではチューリップも花を咲かせていました。



4月は多くの展覧会がスタートします。それでは気になる展覧会をリストアップしてみました。

【展覧会】

・「3.11とアーティスト:10年目の想像展」 水戸芸術館(2/20~5/9)
・「Steps Ahead: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」 アーティゾン美術館(2/13~5/9)
・「コレクション 4つの水紋」 埼玉県立近代美術館(3/23~5/16)
・「開館80周年記念特別展 国宝燕子花図屏風 色彩の誘惑」 根津美術館(4/17~5/16)
・「さまよえる絵筆―東京・京都 戦時下の前衛画家たち」 板橋区立美術館(3/27~5/23)
・「松平不昧 生誕270年 茶の湯の美」 出光美術館(4/13~5/23)
・「国宝 鳥獣戯画のすべて」 東京国立博物館(4/13~5/30)
・「まちへ出よう展 ~それは水の波紋から始まった」 ワタリウム美術館(2/7~6/6)
・「マニュエル・ブルケール 20世紀パリの麗しき版画本の世界」 目黒区美術館(4/21~6/6)
・「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年」 国立科学博物館(3/9~6/13)
・「クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし」 パナソニック汐留美術館(4/10~6/13)
・「荒井寿一コレクション 川瀬巴水展」 平塚市美術館(4/24~6/13)
・「建物公開2021 艶つやめくアール・デコの色彩」 東京都庭園美術館(4/24~6/13)
・「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話」 世田谷美術館(3/20~6/20)
・「マーク・マンダース ―マーク・マンダースの不在/ライゾマティクス_マルティプレックス」 東京都現代美術館(3/20~6/20)
・「現代日本画の系譜-タマビDNA展」 多摩美術大学美術館(4/3~6/20)
・「オムニスカルプチャーズ―彫刻となる場所」 武蔵野美術大学美術館(4/5~6/20)
・「ストーリーはいつも不完全……色を想像する ライアンガンダーが選ぶ収蔵品展」 東京オペラシティ アートギャラリー(4/17~6/20)
・「MUCHA(ミュシャ) グラフィック・バラエティ」 うらわ美術館(4/17~6/20)
・「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」 江戸東京博物館(4/24~6/20)
・「日本民藝館改修記念 名品展Ⅰ―朝鮮陶磁・木喰仏・沖縄染織などを一堂に」 日本民藝館(4/4~6/27)
・「百花繚乱―華麗なる花の世界―」 山種美術館(4/10~6/27)
・「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」 サントリー美術館(4/14~6/27)
・「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展 美しき棺のメッセージ」 Bunkamuraザ・ミュージアム(4/16~6/27)
・「しりあがりサン北斎サン―クスッと笑えるSHOW TIME!」 すみだ北斎美術館(4/20~6/27)
・「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」 東京ステーションギャラリー(4/24~6/27)
・「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」 横須賀美術館(4/24~6/27)
・「大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師」 千葉市美術館(4/10~7/4)
・「フジタ―色彩への旅」 ポーラ美術館(4/17~9/5)

【ギャラリー】

・「アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点」 資生堂ギャラリー(1/16~4/18)
・「木村裕治展 落穂を拾う」 クリエイションギャラリーG8(3/23~4/24)
・「三好耕三作品展:SHASHIN 写真」 キヤノンギャラリーS(3/22~4/28)
・「ムラタ有子 白樺の庭」 ザ・ギンザ スペース(4/5~4/28)
・「杉本博司『OPTICKS』」 ギャラリー小柳(3/26~5/1)
・「省亭・暁斎・是真〜パリ・フィラデルフィア万博、海を越えた明治の日本美術」 加島美術(4/24〜5/5)
・「金子富之展 辟邪の虎」 ミヅマアートギャラリー(4/7~5/15)
・「安藤正子 Portraits」 小山登美夫ギャラリー(4/3~5/8)
・「青木野枝個展 Mesocyclone」 ANOMALY(4/17~5/22)
・「TDC 2021」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(4/1~5/29)
・「田原桂一 表現者たち -白の美術館」 ポーラ ミュージアム アネックス(4/28~5/30)
・「森山大道 写真展『衝撃的、たわむれ』 東京工芸大学写大ギャラリー(3/22~5/31)

まずは西洋美術です。パナソニック汐留美術館にて「クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし」が開催されます。



「クールベと海展―フランス近代 自然へのまなざし」@パナソニック汐留美術館(4/10~6/13)

1819年、スイス国境近くの山に囲まれたオルナンで生まれたギュスターヴ・クールベは、22歳にして初めて海を目にすると、後年の1865年から1869年にかけてノルマンディーに出かけては海を主題とした絵画を制作しました。


そうしたクールベの描いた海の作品に着目したのが「クールベと海展」で、クールベをはじめ、モネやブーダンなど約60点の絵画が紹介されます。昨年秋より山梨県立美術館、それにふくやま美術館にて開かれた巡回展で、国内でのクールベの展覧会としては、2012年の「フランス写実主義の巨匠 クールベ展 印象派への架け橋」(北九州市立美術館などで開催。)以来、約9年ぶりのことになります。

続いては稀代のコレクターの視点を通した近代日本美術を中心とする展覧会です。「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」が東京ステーションギャラリーにて行われます。



「コレクター福富太郎の眼 昭和のキャバレー王が愛した絵画」@東京ステーションギャラリー(4/24~6/27)

全国にキャバレー「ハリウッド」を展開し、キャバレー王とも称された実業家の福富太郎は、美術品の蒐集にも力を注ぎ、鏑木清方などの美人画から明治時代の洋画、はたまた戦争画などで充実したコレクションを築き上げました。


その福富のコレクションの全貌に迫る展覧会で、全58名にも及ぶ作家の作品が約80点ほど公開されます。これまでにも全国各地の美術館で散発的に見る機会こそありましたが、まとめて展観することで改めてコレクションの価値が見直されていくのかもしれません。

ラストは現代美術です。千葉市美術館にて「大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師」が開かれます。



「大・タイガー立石展 POP-ARTの魔術師」@千葉市美術館(4/10~7/4)

1941年に生まれた立石紘一は、戦後に「和製ポップ・アート」の先駆けと呼ばれた絵画を描いただけでなく、タイガー立石の名で漫画を描き、イラストやデザインなどの分野でマルチに活動しました。その立石は13年に及ぶミラノ移住後、帰国すると立石大河亞と名乗り、1985年からは千葉県の夷隅や養老渓谷を拠点にしていたそうです。


まさにご当地のアーティストの展覧会と言えるかもしれません。17歳から遺作へと至る約200点超もの資料が公開されます。1998年に亡くなってからの過去最大規模の個展というだけに、心待ちにしていた方も多いかもしれません。

また今月は改修工事のため昨年11月から休館していた日本民藝館がリニューアルを終えて「名品展」を開くほか、新型コロナウイルス感染症に伴って実に1年以上休館していた出光美術館が「松平不昧 生誕270年 茶の湯の美」にて再開します。ともに展示を追っていきたいところです。

それでは今月もどうぞよろしくお願いします。
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