2024年1月に見たい展覧会【新版画の沁みる風景/鳥文斎栄之/印象派 モネからアメリカへ】

お正月も三が日を過ぎました。元日に能登半島で最大震度7の地震があり、石川県を中心に大変な被害が発生しています。亡くなられた方々に謹んでおくやみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。

この地震の影響により、富山市ガラス美術館は1月8日まで休館し、石川県七尾美術館と金沢21世紀美術館は当面休館することが決まりました。

「令和6年能登半島地震」の影響広がる 金沢21世紀美術館は当面臨時休館、石川県立美術館は予定通り4日開館、富山市ガラス美術館は8日まで休館



また地震の被害状況確認のため2日より臨時休館中の国立工芸館は、少なくとも5日も同じく休館となりました。状況は刻々と変化します。北陸方面の美術館や博物館の開館情報については各館のWEBサイトなどでご確認ください。

*1月5日追記
国立工芸館は1月6日より開館します。一方で富山市ガラス美術館の休館期間が当初の8日から1月14日までに延長されました。

1月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・『国宝 雪松図と能面×能の意匠』 三井記念美術館(12/8~2024/1/27)
・『今村源 遅れるものの行方展』 水戸芸術館(11/3~2024/1/28)
・『繡と織 華麗なる日本染織の世界』 根津美術館(12/16~2024/1/28)
・『博物館に初もうで』 東京国立博物館(1/2~1/28)
・『ハッピー龍イヤー! ~絵画・工芸の龍を楽しむ~』 静嘉堂文庫美術館(1/2~2/3)
・『「前衛」写真の精神: なんでもないものの変容 瀧口修造・阿部展也・大辻清司・牛腸茂雄』 渋谷区立松濤美術館(12/2~2024/2/4)
・『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』 川崎浮世絵ギャラリー(1/5~2/4)
・『ニューホライズン 歴史から未来へ』 アーツ前橋と前橋市中心市街地(10/14~2024/2/12)
・『魔除け-見えない敵を服でブロック!』 文化学園服飾美術館(12/9~2024/2/14)
・『HAIBARA Art & Design 和紙がおりなす日本の美』 三鷹市美術ギャラリー(12/16~2024/2/25)
・『白井美穂 森の空き地』 府中市美術館(12/16~2024/2/25)
・『うるしとともに —くらしのなかの漆芸美』 泉屋博古館東京(1/20~2/25)
・『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』 千葉市美術館(1/6~3/3)
・『マリー・ローランサン —時代をうつす眼』 アーティゾン美術館(12/9~2024/3/3)
・『豊嶋康子 発生法—天地左右の裏表』 東京都現代美術館(12/9~2024/3/10)
・『もじ イメージ Graphic 展』 21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2(11/23~2024/3/10)
・『フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築』 パナソニック汐留美術館(1/11~3/10)
・『本阿弥光悦の大宇宙』 東京国立博物館(1/16~3/10)
・『柳宗悦唯一の内弟子 鈴木繁男展 —手と眼の創作』 日本民藝館(1/14~3/20)
・『ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家』 東京オペラシティ アートギャラリー(1/17~3/24)
・『四百年遠忌記念特別展 大名茶人 織田有楽斎』サントリー美術館(1/31~3/24)
・『開館20周年記念展 私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために』 森美術館(10/18~2024/3/31)
・『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』 東京都美術館(1/27~4/7)
・『建立900年 特別展「中尊寺金色堂」』 東京国立博物館(1/23~4/14)
・『モダン・タイムス・イン・パリ 1925 —機械時代のアートとデザイン』 ポーラ美術館(12/16~2024/5/19)

ギャラリー

・『Daijiro Ohara HAND BOOK』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(12/11~2024/1/31)
・『ダレン・アーモンド Timeline』 SCAI THE BATHHOUSE(11/18~2024/2/10)
・『Tomo Koizumi FUTURE』 YUKIKOMIZUTANI(12/9~2024/2/10)
・『棚田康司展「入って飛ぶ」』 ミヅマアートギャラリー(1/17~2/17)
・『米田知子 氷晶』 シュウゴアーツ(1/13~2/24)
・『横山裕一 アースデイ』 ANOMALY(1/27~2/24)
・『能作文徳+常山未央展:都市菌(としきのこ)—複数種の網目としての建築』 TOTOギャラリー・間
(1/18~3/24)

まずは近年、人気の高まる新版画の展覧会です。川崎浮世絵ギャラリーにて『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』が開かれます。



『新版画の沁みる風景―川瀬巴水から笠松紫浪まで』@川崎浮世絵ギャラリー(1/5~2/4)

ここでは大正初期より制作された新版画の風景画の魅力を紹介するもので、新版画を牽引した川瀬巴水をはじめ、同じく風景画を手がけた笠松紫浪や土屋光逸、または橋口五葉や吉田博らの作品、約90点が公開されます。


チラシ表紙を飾る巴水の『上野清水堂の雪』をはじめとした情緒あふれる新版画を愛でながら、お正月気分を味わうのも良いかもしれません。

続いては浮世絵です。喜多川歌麿と同時期に活躍した浮世絵師、鳥文斎栄之の全貌を紹介します。千葉市美術館にて『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』が行われます。



『サムライ、浮世絵師になる!鳥文斎栄之展』@千葉市美術館(1/6~3/3)

これは旗本出身という異色の出自をもちながら、美人画をはじめとした幅広い画題で人気を得た鳥文斎栄之の初期から晩年までの画業を明らかにするもので、ボストン美術館、大英博物館からの里帰り品を含め、錦絵および肉筆画の名品が一堂に公開されます。


実に世界で初めての栄之の回顧展だけに、浮世絵ファンの大きな注目を集めそうです。

ラストはこれまで日本で紹介される機会の少なかったアメリカの印象派に関する展覧会です。『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』が東京都美術館にて開かれます。



『印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵』@東京都美術館(1/27~4/7)

アメリカ・ボストン近郊に位置するウスター美術館は、1910年にはモネの『睡蓮』を美術館として世界で初めて購入するなど、1898年の開館当初から同時代の印象派の作品を収集し続けてきました。


そのウスター美術館のコレクションよりモネやルノワールなどのフランス印象派やハッサムといったアメリカ印象派を代表する画家の油彩画約70点を展示するもので、このほかカサット、サージェント、ホーマー、シニャックら40人以上の画家の作品が集結します。

それでは今月もよろしくお願いいたします。
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