流星、夜を切り裂いて ~FLY HIGH~ ver.2

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魔法少女まどか☆マギカ 叛逆の物語の反まどかのイメージ群とか を語る

2020-01-06 21:28:00 | ■アニメレビューとか
マギレコも始まったので、
公開された当時から思っていたことをつらつらと。


とりあえずネタバレ全開です。





黙示録のラッパが鳴っちゃうかもなんです。
叛逆で不穏感煽りまくってたのは恐らくこの辺りから。
いつものまどかの日常から始まって学校に行ったら、
先生がなんか陰謀論者になっていたという衝撃。
先生の一番の見せ場でもあり非常に印象的と同時に、
ほむらのソウルジェムの中の世界のことを指してるとは思えず、
後々になって振り返れば神と悪魔の戦い、
つまりは悪魔ほむらの意思がここを描いているとも考えられる。

要は最初からほむらは花畑のまどかの言質に関わらず、
まどかを奪うつもりだった、ということかな、と。


魔女の結界だ。
ほむらの髪の変化による芝居は非常に良いですね。
はっきりとTVシリーズの続きだと突きつけてきた時点で、
魔女やまどかを知ってるの、
いやもうそれ君しかいないじゃん、みたいになる。





大事なことなので2回。
ほむらの記憶の窓からおぼろげな過去の映像が見れますが、
願いを叶えたまどかの姿はいくつもの窓に分かれ、消える。
神となった存在を矮小化するイメージで、
神まどかを蔑ろにしているように感じられる一連。
この時点でほむらにとって、神まどかは絶対者ではない。


さやかを見つめるほむら。
ここの表情の変化が愛おしくてたまらない。
孤独な彼女に寄り添える誰かとして、
マミでも杏子でもまどかでもなく、さやかが選ばれているのも印象的。

ほむらが血を被っているの、マミの身を案じてる姿を見るに、
自傷的な彼女の一面を掘り下げている感じで印象深い。
まどかが大切でまどかを救うために戦ってきたけど、
仲間たちを大事にしていないわけじゃ決してない。
そういうほむらの歪んだ行動が自傷行為として表面化している。

なぜほむらが魔女になってしまったのか、
というのは具体的に物語で触れられませんが、
残った魔法少女、マミや杏子ではほむらの孤独を救えなかった、
っていうのが根底にあるように描かれている感もありますよね。
ほむらが杏子に一番最初に頼るのも、
残っていた相手として選ばれていたのかなという感覚。
そしてそれが叶わなかったのかな、とも。

まあそれはどうでもいい話だけども、
そんな孤独なほむらに一条の光を見せたさやかが、
ここではやはり鮮烈。


ほむらの髪は何かと表情を付けてくれていいですね。





神まどかにすがるほむらに果物を投げつける子供たち。
毛糸はまどかの本来の記憶か何かなんでしょうかね。
神に縋り付いても一向に救済されないことに対して、
ほむらが自身を傷つけているように感じられる一連。
神まどかに対して物をぶつけるという反感を持つような子供たちも、
まどかの神聖を汚すことを意図していて不穏。


物を言わずただ見るだけのキュゥべえ。

話は全然変わるけど、
こういう閉鎖空間でのやり取りを見つめるだけの存在って、
個人的に高速戦隊ターボレンジャー 46話「ラゴーンの逆襲」を無条件に連想してしまう。
自分の最古の映像体験でこれまた大好きなので自分の原型と言ってもいいかも。
謎オブジェからラスボスが登場する辺りの意味不明感を含め今見てもグッときてしまいます。
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花畑のシーン。
頭の輪郭がわかるような手つきが印象的で、
ほむほむの頭なでなでしたい気持ちが振り切れてくるカット。


いつものほむらに戻って欲しいと言うように三つ編みにするまどか、
昔は凄い残酷なやつだなやはりまどかは敵!みたいに思ってたけど、
ほむらが会いたかった、助けたかったまどかってこのまどかなんだろうな、
って思うとちょっと辛い。

ここの花畑のシーン、
言質をとったの同時にベンチに2人で座れない離別の絵や、
花が一斉に枯れて種子となって飛び立っていくのを見ると、
もう昔の関係には戻れないほどにほむらの気持ちが離れているように描かれているのがちょっと辛い。
ほむらの気持ちの変化を絵として一番伝わりやすく描かれているのがこの一連のように思う。
もう三つ編みだったあの頃に帰ることはないのである。


まどかに縋り付いた後には血糊でベトベト。
子供たちの投げた果実がほむらに当たってそれがこのような格好になった、
という絵のような感じですが、
それだけほむらは傷ついていたんだ、
というのを使い魔の子供たちを使って自作自演して強調している感じ。
救済はいつまでもこない。
そして同時に神まどかという存在を汚している。


救済が来ないことに対して、祀っていたような毛糸を蹴る。
まどかの力が魔女になったことに気づいてもまだこないことへの苛立ち。

ほむらが魔女へと変化しているのが寝台の上なのも、
現実世界とリンクさせた見せ方だったのかな。
どんなに眠り続けても、待ち人は来ず。






魔女へと変化していく中でのほむらの心理。
まどかの口元がニヤけていたり無表情だったりする。
まどか自身は命を簡単に捨ててほむらの元を去っていく。
救おうとするほむらをあざ笑うかのように。
そしてそんな姿を見つめる自身と、
まどかを救えなかったことへの自責の念か、
そんな自分を自分自身で潰してしまう。
これもほむらの自傷行為の一種なのかな。
ほむらはまどかを救うことができない、
まどかに会えない、まどかに置いて行かれてしまっているという。
まどかがほむらを利用しているように思えてもそれに気づかないフリをする。
それが絶望で、
それでもまどかを求めている、これが愛、なのかもしれない。

力を発揮しないまどかをまたずっと寝かせた絵で見せているのも、
ほむらの姿と掛けているようでまた引っかかるかな。


魔女になってしまったほむらをいたわるのが杏子っていうのが興味深い。
杏子から食べ物をもらって微笑んでるのを見ると、
ほむらと杏子ってやはり何かしらあったのかなと思わされますよね。
TVシリーズの関係も思い浮かべてしまう。
現実世界で杏子に寄り添ってもらおうとして叶わなかったのかな、
みたいな憶測も入ってしまうかな。
巻き込んでしまってごめんなさい、というセリフに現れているように、
TVシリーズからずっと杏子に何かしらを期待してしまうのがほむらで、
そしてそれがずっと叶わなかった感はありますよね。
杏子もさやかとの関係が結局強調されてしまいますし。
もし杏子が支えになっていれば、みたいなことを思ってしまうかな。


未だに読み切れないカット。
魔法少女としての死、まどかを助けるのを諦める絵なのかな。






まどかによる説得のシーン。
果たして腕に抱いてるまどかはどのまどかなのだろうか。
そしてその傷ついた手は誰の手なんだろうかと、
ほむらの絶望とまどかの希望が入り混じったシーンな印象。
抱えてるまどかが悪い笑みを浮かべているので、
これはほむらの内にあるまどか像なんだろうけど、
そうすると外からくる救済の傷だらけの手もほむらのイメージなのか、
みたいになって繋がってこない。

最後には窓は固く閉ざされて開けることを拒むようになってしまうので、
内側は確実にほむらで手は外からきているのでまどかなのは確実。
しかし手に傷を負うほどの自己犠牲をまどかは重ねてきているのだろうかという疑問。

魔法少女であるほむらはここで死ねと言っている。
しかし魔女となった自分は救済の手を取ってしまう。
ここで魔法少女としてのほむらが消えてしまったことを考えると、
まどかの救い自体がほむらにとっての魔法少女としての正義を失わせるものだった、
という形になっているようなのが興味深い。
まどかが救おうとすればするほど、それはほむらの魔法少女としての正義を蝕む。
助けるための存在が助けられてはいけない。

キュゥべえが結局まどかをいずれ支配してしまうのではないか、
という構図から肯定的に悪魔ほむらを捉える方法もありますが、
絵的にはそうは言っていない感が強い印象。
何をしてもまどかの手の平の上で動くのほむら、みたいな描き方が、
脱神まどかという一面に触れている感。


そして案の定、まどかの腕には傷などなく。
ほむら自身が自傷してまでまどかや仲間たちを思っても、
自分を傷つけてでもほむらを助けるという利己的な欲望はない。
そもそも差し出している手が違っていることを思うと、
やはり傷だらけの腕はほむら自身がまどかから求められたい欲望のイメージで、
そしてそれが決して叶わないことを知っているが故の一連なのかなと思える。


全体の奉仕者であるまどかにとってほむらは救うべき1人で唯一無二ではない。
ずっと1人で頑張ってきたんだよね、
というセリフにまどか個人の感謝がないのが痛恨。
また神まどかが世界全体を覆うような力を発揮しないところも、
物語全体を通じて存在を矮小化させていて、
絶対者として描こうとせず、
これから贄となる弱者のような一面を覗かせてる。


ほむらが都合の良いまどかだけを切り離したのは、
自分自身を利用した過去のまどかが許せなかったのかなとやはり思ってしまう。
ほむらの中のまどか像がどこか悪い笑みを浮かべているのも、
ほむらを利用している悪のまどかの存在をほむらが見出しているためだと思うので、
そのまどかは誰かと言えば、ほむらに助けを懇願したまどかかなと。
だからメガネほむらが抱えていたまどかは悪い笑みを浮かべてる。
故に魔法少女に関連した一切を廃したまどかを願ったが故のラスト、
という感覚がある。



悪魔になってもまだ自傷的なほむらが続いていることを伺わせるカット。
悪としてふるまっても、仲間たちの幸福を忘れてはいない。
悪魔のささやきだとしても、悪としての振る舞いの自己肯定だとしても、
それでもこの決断はどの道ほむら自身も自分を許せていないあらわれのよう。
ただそれを気味の悪い存在として触れてるのがこのカットでもあると思うので、
本当に救いようがない話だなと思わされます。


いつかまどかと対立するだろうと予感して。
始まりの場所へ戻るのがやはり印象的ですね。
自分が望んだ存在との決別はどんなものになるのか。




END。
ダークオーブに取り込んだまどかとのダンス、そして身投げ。
結局物語はどう動くのか示されず、救いを求める扉も閉じた。
本当にこのまま終わるんでしょうかね。

マギレコが始まったので、
どういう方面からこの扉を開けていくのかという期待もあったりするんですが、
やはり最後はほむらとまどかが悪魔合体するしかないんじゃないかなという気が。
個人的にほむら視点で見たまどかの悪性をずっと意識してましたが、
果たしてそれは償わなければならない罪なのか、
みたいな構造でもあるわけで、果たして決着が付けられるものなのかと、
今作を思い浮かべると思ってしまいます。

とりあえずまた5人の物語が見てみたいな、と。
今はそれだけです。


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