●夏へのトンネル、さよならの出口
見てきました。
ラノベ原作とは知らなかったので、見終わってちょっと納得。
自分が10代だったころに見ていたらもっと感激していたような気がします。
花火から始まる絵っていうのは夏らしい作品で、グッときたかな。
駅であった女の子との出会いを印象付けてるのも王道ですが味がありましたね。
傘を受け取る手の位置の変化やカメラが切り返すインパクト、
細田演出っぽいPANでの見せ方など、
セオリー通りだったり有名どころから持ってきたのが、
ちゃんと面白いというのが良かったかな。
線路が続く先が2人の未来っぽく、
しかしそれは鹿に阻まれた程度で容易に変動してしまうので、
未来への影響が軽く見積もられている感覚はあるけど、
だけど時間通りに進む現代社会に比べると、
その牧歌的な時間に身を置くのも悪くないだろうなという感があるかな。
様々な演出家が電車を演出に使いますが、
割とこういう視点から見ると新鮮な作品だったんじゃないかという気がします。
みな運命のレールに身を置くことに慣れ過ぎているんじゃないかな、と。
なので運命から外れるという意味で浦島トンネルを見つけるのも、
運命から外れるという意味での絵だったのかなという気がします。
彼女が電車を待っていて、彼は電車を待ってはいない、
というのが展開の分岐点になるのかな。
世界に自分たち2人しかいない、
というのを2人だけの時間で描くのが贅沢で、
そこに自分たちの欲が重なってるのが良いかなと。
浦島効果によるメールの遅延は新海誠の『ほしのこえ』っぽいですが、
届かないはずのメールが届くことで切なさではなく、
自らの望みに気づける辺りが個人的にはグッときたかな。
別れの切なさよりも、より鮮明になる自分の形が今の自分に戻る、
という絵で描かれるのがベタですが良いところかなと思います。
ベタをベタでいくことって本当に大事だなと思わされました。
大きなスぺクタクルもなく、
感情の起伏もそこまで大きい作品とは思いませんが、
その分純朴さを感じて楽しんで見ることができた気がします。
あと黒髪長髪の髪作画が好きな人はおススメです。
キメの画がそこになっているので、見ていてグッときました。
アニメで髪の作画に飢えてるので、今作限らず色んな髪作画を見せて欲しいですね。