流星、夜を切り裂いて ~FLY HIGH~ ver.2

米たにヨシトモファン 京アニに興味あり アニメ語りメイン

劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン を語る

2020-09-18 20:33:11 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>
『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』本予告 2020年9月18日(金)公開

待ちに待った新作ということでぜひ初日に見たいと思っていたので、
見れてよかったです。
様々な思いの交錯する作品ですが、
TVシリーズから描いてきたことを丁寧にすくい上げていて良かったです。
TVシリーズを見れてない、忘れてしまった方は再視聴した後に見たほうが楽しみは増すかなと感じました。


以下ネタバレ感想。



実は鑑賞前にパンフレットを見るという禁じ手をユーフォに続いてまたやってしまい、
そこでチラッと諸星すみれの名前を見て、
TVシリーズ10話のゲストキャラ、アンがまた出るのかと思っていたら、
映画冒頭が正にアンの家から始まってビックリしました。
10話は小川太一さんの演出回として非常に印象的な回で、
それを引き継ぐように始まったのに驚いたという感。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品は、
ヴァイオレットを通じて虚構を見る作品という印象でしたが、
故人となったであろう人々の足跡を、
アンの孫が探っていくという形は、
歴史の持つ一種の虚構性と被せてくる印象がしたかな。
ヴァイオレットの生きた足跡を辿り、
彼女が存在していた事実に触れることで形になっていく現在、
そしてそれはヴァイオレットという作品を作り出した京アニ自身にも跳ね返ってくる形だったかもしれないなとも。
ヴァイオレットが存在した今は、私達の世界へ作品として通じているわけで、
その作品の歩む軌跡を見ていく、成り立ちを知っていく楽しみもある。
人生の中でヴァイオレットがどういう作品になっていくのか夢想させるような、そんなものも見てしまったかな。

アンの孫のデイジー側へ行くところも家の中にカメラが入ることで一転、
屋内のカメラ視点で始まるので、
そういう反転性みたいのは最初から意識されていた感じ。
最初に映し出される平行線の溝を辿るような映像も、
レールや道を想起させられるし、他作ですが境界線上のホライゾンで語られるような境界線上を意識した平行線なのかなとか、色々意識させられました。

特にギルベルトと兄のディートフリードの過去の回想や、
島についてからの土にできていた轍など、
ギルベルト側を意識した線、という意味合いが強いように感じられました。
その2つの線は交わらないヴァイオレットとギルベルト、
またはブーゲンビリア兄弟、などなど作品内の様々なものを辿る線だったのかな。
ラストがその2つの線で印象付けられる道をあるいていくヴァイオレットで締めていて、
石立監督の俯瞰の使い方でまた印象的な作品が増えたなという印象もありました。

今作はTVシリーズの延長ということで様々なキャラが出るオールスター的な側面がありますが、
普通の劇場作品のような祭り感はなく、
ヴァイオレットの関わった人たちとの関わり合いへ思いを馳せる感じだったかな。
TVシリーズ各話のイメージの引用を思い出せる限りでメモ。


1話
・手紙が舞うという事象
・ホッジンズの父としての側面
・入社したてのヴァイオレットの姿
・願望を握りしめるようにスカートを掴む姿

2話
・エリカとヴァイオレット
今回はヴァイオレットの後ろ姿を見せるカットが多く、その中でエリカの後ろ姿で髪を1つのお団子にしてまとめているのが強調されていた。ヴァイオレットは団子2つなのでその差異に意識を持っていかれたかな。ヴァイオレットが手紙の代筆だけではなく式典で読まれる文書などを作成したいたこと、エリカが舞台の脚本を書いていたことなど、文章を書く仕事をする2人というのを意識していたのかななど。

3話
・一流の証と扉を開ける存在
ルクリエがヴァイオレットを次のステージへと進める役、
その扉を開ける役をやっていた印象で、
今作は閉じられた扉をヴァイオレットは鍵を使って開けることができる、
という形で扉を開く役を必要とはしていなかったように思えましたが、
ギルベルトの再開に関してはホッジンズが扉を開け、ヴァイオレットを導いていた。
しかしギルベルトの閉じた扉はギルベルト自身でしか開けられなかった、
というように扉の存在を意識してしまった感じ。
また兄妹の存在を通じて様々な兄弟関係を見ていた感。

4話
・アイリス
電話の登場やモールス信号など離れた相手とやり取りできるツールができ、
自分たちドールの地位も脅かされる。
上昇意識の強いアイリスが疎ましく思うのも無理はないなと思いつつ、
ドールとしての仕事ができないと判断したアイリスが電話へ頼るのは、
姫の手紙をヴァイオレット自身で書かなかったことを想起させる。
お客のために何ができるのか、何が最善なのか。
そこでヴァイオレットと同じステージに上がれていたのがアイリスの描き方として印象的でした。

ちなみに個人的にアイリスとユリスのやり取りが今作で1番の泣き所でした。
ユリスがヴァイオレットがギルベルトと再会できたことに対して、
祝福の言葉を送るのに耐えられなかった。
嗚咽が出るくらい感極まってしまったのがその一連。

あとアイリスの衣装は色トレスの処理などが綺麗で非常に丁寧な印象を受けたな。
戸松遥苦手でしたが、本当にありがとうございました、という気持ちになりました。


・名の意味
今作でもヴァイオレットの名に由来する花が度々挿入されていましたね。

5話
・ディートフリートとの確執
・姫様の婚姻

6話
・物語という虚構
・リオンとの別れ
ヴァイオレットが去っていく姿を追いかけるギルベルトを見て、
互いを見ながら別れたリオンを思い出してしまったな、と。
お互いを見て別れ、顔を下に向けるヴァイオレットに対し、
顔を合わせず別れたギルベルトとは最後に互いを求めて走りあった。
ただ1度の出会いと、
再会したい2人というイメージの反転だったのかもな、みたいな。

アイリスがユリスとリュカを電話で繋ぐのは王子と姫を直接繋いだヴァイオレットをやっぱ思い出しちゃうなと。
形的にアイリスが電話という機器に敗北を認めてしまう側面を踏まえつつ、モールス信号によってユリスのもとへ駆けつけたアイリスのことを考えると、手紙以外のやり取りを否定できなくなったのかなという感があり、時代の激動感もここにはあるのかなと思えたな。

7話
・オリビア 
ユリスという病気の少年の存在はオリビアを連想させられる。
シリーズではアンの母など病気で亡くなる人が結構いるので、
その人達の存在を受けてというキャラクター感が強いイメージ。

8話
・ギルベルトの死
・レール

9話
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン

10話
・アン
孫が出るくらいなので。
ヴァイオレットがユリスに対して特別料金で仕事を請け負ったりしていますが、これはアンとの1件があったためだったのかなとか。
ユリスから家族宛への手紙を書き終えたところでヴァイオレットが泣きそうなのを我慢しているような描写、またはそう思えるような描き方をしているので、10話のラストを思い出してしまう感じ。

あとは時を超えた手紙、というのを二重でやったのが印象的かな。
場所だけではなく時を超えることで、
手紙の書き手にも注目が集まるのが歴史に残ったものという感を受けるかなと。
ヴァイオレット・エヴァーガーデンは歴史に残る名である。

川澄綾子ボイス、諸星すみれボイスで心が洗われるようであったかな。
ルクリエにも登場して欲しかったなぁ。

11話
12話
・戦争とヴァイオレット

13話
・愛してるも少しはわかるのです 
・少佐に当てた手紙

他にも多々あったような気がしますが思い出せる範囲で。


というわけで遠回りしましたが改めて本編感想。
アンの孫のデイジーがアンの母からの手紙を見つけるところ、
奥にある手紙を手前のものを避けるように取り出す芝居が新鮮に感じたな。
こういう細かい芝居がまだ健在なところに安心感がありました。

ヴァイオレットの仕事ぶりを見るのもちょっと誇らしい感じ。
TVシリーズでは触れていませんでしたが、こういう仕事もしていたのかと。
ホッジンズの隣にいるヴァイオレットが最後にはその位置にいないことの寂しさもあるのかな。
ドールが廃れることと合わせてヴァイオレットも郵便社から離れるので、
時代の荒波のせいでヴァイオレットが消えたように見えるけども、
ドールは最後までドールとしての仕事を全うしていたこと、
それが形だけでなく無形の文化として残ったことを描くことで、
時を超えた文化が残ったことを意識させられる感。

市長とヴァイオレットのシーンはヴァイオレットを孤立させるようなカット割りで、
そういう無機質な感じがちょっと気になったかな。
大佐との船でのやり取りも、揺れてる船上での描写に対し、
揺れる描写ではなく、
幾何学的に画面を分割して見せるレイアウトを選んでいて、
海上でのヴァイオレットの見せ方がちょっと気になる感じでした。

休みにヴァイオレットがお墓参りに行ってリボンを落とすのも気になる感。
髪のお団子の片割れのリボンが解けるのは兄弟とかけてるのか赤い糸とかけているのか落としたことに意味があるのかとちょっと考えてしまったなと。
兄がヴァイオレットに近づく意味合いが強かったので、
ギルベルトを亡くしたことについての2人の繋がりを意識させる意味で、だったのかな。
ヴァイオレットが船上でギルベルトの遺品を落とさないように大事に抱えているのを見て、
ヴァイオレットはギルベルトへの思いを捨てられないことを兄が感じ取っている感じも印象的でした。

ギルベルトが立ち寄った島で祭りに立ち会いますが、
ここの長回しがまた気合の入ったカットで凄かったですね。
多くのモブを動かしているのとか、
歩きのタイミングなんかもちょっと気になる感じ。
ギルベルトがヴァイオレットの名を聞いてどう反応するのかも見ていて気になる感じでしたし。

あとギルベルトが代筆業をやったおかげで消息がわかるのも気になったかな。
外伝でのベネディクトの描写がそこに繋がる感じとか。
ホッジンズは兄弟ではないですが、三兄弟の次男坊みたいな感じで、
よく世話を焼いている感じが印象的でした。

ヴァイオレットが義手の調子を見る際のディテールなどは細かく、
義手をかざしてそれまでの出来事に感じ入っているのも目を引かれたな。
ロングショットでヴァイオレットの佇まいを印象づけているのとか、
ちょっとエヴァっぽい感じだったかなとも。
ギルベルトが島の運搬機を直しているのも気になる感。
ギルベルトに思いを伝えるための手紙を何度も書くヴァイオレットに対し、
物を運ぶを直すギルベルトの姿を並べられると、
どちらも機械じかけのものを使いながら人に届けられる何かを模索しているという共通点があるように思える。
腕を失っても、それでも届けたい何か、
というのが抱えることができなくなっても抱える尊さがあるように思えるかなと。

ヴァイオレットが孤児院で子供目線で話すの、
アンとの会話を思い出して、相手の目線に立つことを印象づけているのがグッとくる感。

ヴァイオレットが出した手紙がギルベルトに伝わって、
それからの泣き応酬で境界の彼方に続いて石立作品はやはりこうなのか、
というのを感じられたな。
海に飛び込んだり月の光に照らされたりというのがそれまでのイメージからの差異を強調されている気がしたな。
特に月の光に照らされるギルベルトは月の君を思い出すし、
リオンと見上げた星空に対し、たった1人の月の君を強調する形の尊さにグッとくるかなと。

そこから舞い上がった手紙をカメラが追っていっての世界が迎える新時代という大団円のイメージが綺麗だったなと。

こういう風に感想を書いてしまいましたが、
感じ入るシーンが多く、非常に充実した劇場版だったように思います。
1人の少年の死に対し、それを真正面から描き、
思いを伝える尊さを描いた点も今作だからできる話だったと思いますし。


京都アニメーションが新たに迎える新時代、
そして一つの物語の終わり。
様々なシーン、カットに思いをはさられる作品だったと思います。
公開中はまた何回か足を運んで、また感想書きたいですね。
もっとヴァイオレットの話がしたい。
そういう作品でした。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 -永遠と自動手記人形- を語る

2019-09-08 17:38:03 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>
ソラリスで見てきました。
小さい箱で不安でしたが客入りもよく年齢層も多様でちょっと意外な感じ。
藤田春香監督ということで楽しみな一作でした。
以下ネタバレ感想。



最初始まって船のシーン。
空に手を伸ばす、というのが印象的に描かれていて、今作はそこが焦点になってくる感じだったな。
途中でTVシリーズのようにサブタイトルが入る感じで前編後編という形が印象的でしたね。

ヴァイオレットが依頼人のところへ行くところ、密着マルチで奥行きを見せてるのが目を引かれたな。
大きく見せたい一瞬のシーンという扱い方で、
3D美術とかやってきた京アニ作品で一瞬のこういう絵っていうのをやるのかという感。
そういえばイザベラの友人の顔を見せないようにしている一瞬の振り向きなど、
前半は一瞬を切り取る印象がちょっとあったかな。

前編はヴァイオレットで描いてきたこと、京アニで描いてきたことがつぶさに見て取れて、
割とヴァイオレットの本編にも寄り添う画作りという印象がちょっとあったかな。
キャラクターと同じ方向を向いた人形とか日の当たり方とか、
髪を結い合うのとか、自分が喜んじゃう要素が多くてたまらんなぁと思いながら見ていました。

個人的に印象的だったのがロウソクの扱い。
イザベラがヴァイオレットに心を開いたのは、
自分もヴァイオレットと同じ孤児だったというのを知ってから。
イザベラの部屋の証明はロウソクによるものになっていますが、
イザベラ、ヴァイオレット、それぞれを見せるときに1本のロウソクが同じく画面に入っている。
そして画面に一緒に入る際に、また1本のロウソクが画面に入っている。
互いが小さな火であった、そして同じ火であったことが描かれる、
その小さな火にグッと来る感じ。
また別れが近づきロウソクが次第に溶けていき、最後にはロウソクが尽きてしまう。
共にある印としての灯火、
そしてイザベラの過去で描かれる掛け替えのない灯火とも掛け合わされるロウソクの火が、
これまた印象的でした。
後編では電気が普及しロウソクの火という描写もなくなっているので、
貧しかったあの頃、
そして同じ時を過去に過ごしたあの頃を象徴する火という扱いになっている感じがして、
そういう戦後の文明とも対比するような感じがしたかな。

イザベラとヴァイオレットの描写は繋がりを意識した画が多かった印象。
光の中へ手を伸ばすようにヴァイオレットと手を取り合って、
それが最後は学友との描写へと繋がっていく。

そしてイザベラが空へ向ける手は緑に阻まれ、気持ちとは裏腹に内へとと誘われる。
それはイザベラが妹との思い出、そしてイザベラの願いを妹へと託したことに繋がる。
自由に空を飛ぶ二羽の鳥で描かれるように、二人が同じものを共有していることにグッと来るなと。
この姉が身を引いて妹へ託す感じ、ちょっとリズと青い鳥を思い出す感。
瞳が揺れる表現は完全に京アニに定着した感ありますね。
イザベラ、テイラーのアップを含め印象的画が多かったです。

三編みを作る描写や髪を触る描写は古くはAIR、涼宮ハルヒを思い出す感じで、
藤田さんもそういうの好きなのかなとか思えたり。
女の子同士、姉妹が仲良くするという京アニの中の文脈になりつつあるのかも、みたいな戯言。

ぬいぐるみはTVシリーズから印象的に描いていたので、
その反射として姉妹を扱っていたのかなという感。
窓から見る風景、というのもぬいぐるみと関連付けて見せていた印象かなと。
今回鏡面的な絵もちょいちょい見かけましたが、
TVシリーズのような虚構の中のものを見る、というのとはまた違った趣でそこが気になったかな。
すでに忘れかけているので次回期にしたい感。

イザベラとヴァイオレットの友人関係にはグッとくるものがあり、
ワルツを踊るシーンやイザベラのヴァイオレットと対比するように、
赤い宝石をつけていたりするのにグッと来たかな。
お風呂で裸の付き合いっていうのもヴァイオレットの腕をマジマジと見た人物として、
イザベラは確かに他のキャラからは一歩先を行ってる感あったかも。
ただ今まで出会ってきたキャラは友達じゃなかったのヴァイオレットちゃん!ともなったかな。

後編は姉イザベラから妹テイラーへ。
TVシリーズではあまり目立った出番のなかった配達人ベネディクトがメインで、
外伝感のあるエピソードになっていたのが印象的だったなと。
手紙を書く人も大事だけど手紙を届ける人もまた大事。
ベネディクトがつまらない仕事だと腐している分、
テイラーとのかかわり合いでの変化の扱いが印象的だったなと。

後半は前半に比べると絵的な文脈は抑え気味になり、
テイラーの子供ながらに必死に配達人になろうとする姿を描いて、
最初コンテは別の方かもしれないとも思いましたが、
監督のコンテで、前半と後半でだいぶ画作りに対する考え方が違うなという印象を受けたな。
一本の作品として関連付けるような作品の中でこの変化はちょっと意外な感じ。
その中で姉妹が空に手を伸ばす描写が繋がってくるのがGOODだったな。
イザベラの回想では決して出ない、テイラーだからこその視点が光る感じで。

テイラーの歯を見せて笑う感じが愛らしいのと、
ベネディクトに手紙の配達を頼むアップ、イザベラの姿を草陰から見守るシーン、
どれもテイラーの表情が大事にされていてそのきめ細かさに惹かれる感じ。
もうどんなイザベラとどんな生活をしていたかも忘れていたテイラーが、
自身の手紙を受け取ったイザベラの姿を見て喚起される過去の記憶、
その尊さにグッとくるというか。
姉がいたという事実から実感に変わっていくうちに湧き出てくる涙に共感を覚える感じ。

ベネディクトがもらい泣きしてるのをテイラーがからかうのも楽しいかったし、
ベネディクトがテイラーのクサイセリフを自身の中で消化して受け取るような返しも、
身に染みる描写となっていて良かったなと。
こういうのをTVシリーズでやれなかったのは勿体なかったなぁとも思ったかな。


見終わってパンフ買おうとしたら既に売り切れで、
パンフ片手に記憶を辿ろうと思っていただけに宛が外れてやや残念。
ただ多くの色んな方が今作を見ているんだなと知れたのはよかったかな。
ヴァイオレットの新作はまだやってくださるようで嬉しい限り。
今作を見てだいぶ期待感が高まったので、新作劇場版を見るのが楽しみです。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 13話 を語る

2018-04-08 10:07:06 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


エメラルドをキャッチしたヴァイオレット。
確かなものを握る機械の手っていうのも印象的でしたが、
顔を上げたときに、
それまでは他の髪と重なって見づらかったほつれ毛が強調されるような感じが目を引いたかな。

破壊される右腕、取り戻したエメラルド。
以前のヴァイオレットは両腕も少佐も失いましたが、
今回は少佐は左目とヴァイオレットを残したように、
大佐の護衛、不殺遂行、残す左腕、取り戻すエメラルド(少佐)と、
少佐が残したものをヴァイオレットが同じように残してる感じで気になったかな。



客車の緊急ブレーキを使う辺りの付けPANがアクションの見せ方としては目を引いたかな。
派手なアクションではないですが、カメラワークで印象付けようという感じで。



爆弾撤去キック。
ここも足のアップで滞空してる時の足をカメラワークでランダム的に捉えて、
浮遊感とキックの力強さを印象付けてる感じが目を引きますね。
橋に手で捕まるところも含めてアップで印象付けることで、
アクションに切羽詰まった感じが出ているかな、と。



義手で爆弾取っちゃうヴァイオレット。
どこぞの草薙素子を思い出しますね。
最終的に左腕を失うことにより、
両腕が無くなるところを含めてパロディかなと思うほど。

結局両腕を失うのは准将の自殺を防げなかった責みたいなものもあるのかな。
後に手紙を書いているときも左手は使っていないようでしたし。
この辺はやや気になる感じ。

また両腕を失っても守るべきものを守れた、
という少佐の時とは違うことを描いている風でもあったかな。

以前境界の彼方の展示を見たときに、
監督による横顔の修正が数多く展示されていたので、
今回もかなり手を入れてるのかな。





夜明けや新しい義手が綺麗だったな。
両親から息子宛の手紙というのをヴァイオレットが理解してるというのは、
かつて郵便社では妙な手紙を書いていた時との対比なのかな。
いつもの正装っぽいかんじではなく、
以前の衣装で仕事をしているところからもそういうのが伺える感じ。
あと右腕だけで書いているのは、
初めてタイプライターを使った時にカトレアに咎められたような、
相手をビックリさせるようなタイピングを極力控えるという意図もあるのかな、とか。
相手をあまり驚かせないため、みたいな。



こういうのを見ると石立さんっぽいかなとか思う。





過去と今と。
少佐はヴァイオレットに心があると説いたんですね。
ランプの灯りがそのヴァイオレットのか細い心の光を代弁してるようでもあり。
ここを受けてシリーズを見返すとまた印象が変わるカットなんかがありそうですね。





ヴァイオレットと大佐の手。
少佐かもしれない、と駆け出すヴァイオレット。
物となってしまった手で傷ついた木の肌触りを確認するような手と、
拳で触って肌触りを、手で確認していない大佐。
2人の少佐への今の気持ちの対比なのかもしれませんね。



母。
最初白髪化したギルベルトかとも思ってしまった。
大佐のヴァイオレットです、と紹介する声がこれまでにないくらい優しくてビックリする。



一緒です。美しいです。
エメラルドが改めてギルベルトの代わりみたいな感じに。



だって今も、愛してるんだもの。
亡くなってしまってもまだ愛している。
ヴァイオレットが少佐の死を知った先では亡くなる方の手紙を書いてきていましたが、
亡くなったとしてもまだ思いは残り続けている、
だから気に病まないで、と語る母の言葉は染みる感じだった。
ヴァイオレット自身が多くの死の前に直面してきたからこそ、という印象かなと。



大佐の表情でもですが、
力んだところで影が深くなる描写なんかは細かな描写だなと。
目を細めるとか、感情を意図するパーツの芝居はよくありますが、
それに付随する肉の描写を印象的に描いているのに目を引いたかな、と。



スカートに張り付く足のシルエットがエロい感じで、
そういうのも含め印象的な感じだったなと。
その身は自由である、という意味での身体の描写なんですかね。
ほかアニメだと裸を出すような意図というか。





窓を越えるカメラ。
浮遊感のある描写が目を引きますね。
雪の風景も綺麗で印象的。
雪がヴァイオレットとしては不吉なものでもあるので、
いくつもの死の先にあるものとしての描写、
それを生っぽく描くカメラワークだったのかもな、とか。



航空祭。
社長の手紙が未来の子供宛っていう。
前回の描写でヴァイオレットが戻ってくることを意図してるのかと思いきや、
未来の子供のことも思っていた、という描写だったということで。
ヴァイオレットの思いについてもそうですが、
こういう風に見え方が変わっていくことが心を知ること、
ということなんだろうという風に受け取れたかな。
ヴァイオレットの体験だけではなく、一般的な心のありようを含め。



ヴァイオレットが上向くところで髪が印象的に描かれるのがやはり印象的。
画面奥で髪がひるがえるような描写はあまり見かけない感じだなと。



少佐が遠い場所に行ったことを手紙を書くことを通して知る。
あいしてる、を少しはわかるというヴァイオレットの描写が身に沁みますね。
今までもあいしてる、をもうとっくに理解しているという風でしたが、
最後に持ってきたのも納得かな、と。





タイムラプスとそれとは逆にスローで落ちる炎を宿した水滴。
星の巡り、陽の巡りの速さを描きつつ、
花に落ちるその水はゆっくりと、そして今落ちた、
という描き方がグッとくるなと。

花と水っていうのは5話辺りの描写を彷彿とさせられる。
ヴァイオレットがあの夜に抱いていた、少佐を見ていた感情は何だったのか。
それをヴァイオレット自身が理解したようで、
それを印象付けるためのタイムラプスだったのかなと思えたり。



ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。
最後に誰かの代筆に赴くヴァイオレットですが、
傘の描写や入り口での描写が7話的な感じだったので、
またあの人かなと知っている人のような描写をしているのが印象的でしたがはてさて。

個人的に見ていてやはり9話がピークで、
その後は長いエピローグという印象がしたかな。
ヴァイオレットと戦争は切っても切り離せないものなので、
そこに直面した際にヴァイオレットはどのような行動をするのか、
というので兵士に戻るような選択をしたのがやや不満かも。
戦争の回避を行ったことで結果的にヴァイオレットは自動手記人形に戻れましたが、
果たして再び戦争になった時にどう動くのか。
その一面がちょっと気になる感じ。
まあ戦争を回避した=戦争にヴァイオレットは行かない、という描き方なんでしょうが。
自由となったヴァイオレットがどう行動するか。
それはまた自由ということ、なんですかね。

脚本:吉田玲子
絵コンテ:石立太一
演出:石立太一 藤田春香
作画監督:角田有希 丸子達就 門脇未来 丸木宣明
小物設定:高橋博行 太田稔

石立回。
最後は監督の締めということで。
楽しませていただきました。

まだ4話から5話の間の話とか(何気に一番重要な話では?)とか、
新作もあるようなので、そちらも楽しみです。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 12話 を語る

2018-04-03 21:37:35 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


和平と戦争と。
今回はヴァイオレットの手紙というのがあまり関わらずやや毛色の違う話でしたね。

ディスタリーにインテンスにetc、
この世界の地図や地名が結構出てきますが、
文字が読めないのと音や風景での説明がわかりづらく、
ヴァイオレットとカトレアたちが同じところに移動しようとしていることや、
敵軍の准将とヴァイオレットが意味深にインテンスの名を発することなど、
そういう話の繋ぎに気づくのが難しい感じがしたなと。
敵の回想でインテンスで燃える旗を引用したりとか色々してるみたいですが、
前回の収容所からの脱出兵云々とか、
話が繋がってるようなんだけどその首謀者との因縁はその地名と戦争の繋がりだけで、
ヴァイオレットととの直接的な因縁、
例えば少佐の死に関わったものだとかそういう相手ですらなく、
敵軍の将であったというだけで、シリーズを通して戦争との因縁に触れてきているにしては、
話を興味を向けるのを難しく感じる話数だったかな。



ヴァイオレットはどの時点で前話の場所に降りて、再出発したんだろう。
その辺の時系列やずっと飛行機飛んでるの?燃料大丈夫なの?とか、
そもそもそんな遠くまで付き合っていいのかなこのパイロットとか、
空の旅がどのようなものか触れられないのがやや不満。





インテンスで燃える旗の回想と暖炉と准将。
炎、やけどという点でヴァイオレットの罪、戦争の罪を彷彿とさせられますが、
未だにその渦中にいる存在という描き方なんですかね。



タイムラプス。
今回はややCGっぽさが増した感。
水の雰囲気のせいですかね。



大鉄橋。
橋っていうのが繋がりを意味する絵としても戦いにしても重要なものなので、
力入った絵という風に見えたかな。やっぱ橋って大事よね。
鉄道で繋がれることから和平の話へ、
そして手紙を届けることへと語るシーンも印象的で、
手紙を書くだけでなく届けることっていうのも重要なポイントですかね。
今までは王女の手紙以外は大体ヴァイオレットが直接届けていたり、
届ける相手のことを事前に知っている状況だったりして、
手紙を届けることにどんな意義があるのかを配達業務で描いたりしていたので、
より手紙を届けやすくなることの意義をヴァイオレットが受け取っているのが印象的かな。







外を走るヴァイオレットからカトレアの足元へ、
そして走った方向とは逆位置のヴァイオレットと繋がるシーン。
コンテが複数人なのでこの辺が分かれ目だったのかなとか云々。
カトレアのオフセリフでカトレア側という情報はあるにはありますが、
直前に左に向かっていたのはヴァイオレットだったので、
こちらで画面の流れから意図を予測しながら見ているとやや違和感を持つシーンだったかな。

個人的にヴァイオレットが会社の仕事を任務と言っているのがやや気になったかな。
まだ兵士時代の癖が抜けないのか、大佐の前だからそう言っているのか。
業務ではいけないのかな、とか。
そういう兵士であったころを彷彿とさせられるからこそ、
大佐もヴァイオレットを相変わらずのモノとして捉えるわけで、
ちょっと気になったな。



少佐のエメラルド。
ヴァイオレット自身が大佐に命令を、と口走ってしまうのも危うく。
既に軍人ではないのだから、というので大佐もヴァイオレットを外してるし、
カトレアたちだって関係ないヴァイオレットを遠ざけようとしてる。
しかし誰も死なせたくないヴァイオレットは戦いに身を投じるために命令を貰おうとする。
既にその身は自由なはずなのに、
っていうのが今回の齟齬のポイントなのかな。
手紙を書き続けたヴァイオレットの至った極地が再び戦場に立ち、
また相手をも生かすことであった、と。





大佐のオフセリフから同じ結論に至っているヴァイオレットへ。
こういうオフセリフの使い方、地図の見せ方も今回のポイントですかね。
ヴァイオレットの兵士としての思考を描いているのが今回の見どころでもあるのかな。
ただ言われた通り戦うだけの存在ではなく、きちんと思考しているという。
異常があったときに咄嗟に部屋の電気を消したりとか。



もう誰も殺したくありません。
このカット、やや目を引く処理かなぁ、と。

戦う瞬間にキラリとハイライトが回るのがやや引っかかる。
それはどういう反応なんだろうな的な。
やはり生きろ、なんですかね。



最後になるかもしれない瞬間に見るエメラルド。
そこには何の動きもなくそこにあるだけ。
少佐の瞳へとオーバーラップで見せて、
それが残された左目であることをここまで強く意識させる絵は初めてだったかな。



大佐に助けられる。
不殺なんぞできる力量ではないこと、
弟の死をヴァイオレットのせいだという見立てから、
大佐のヴァイオレットの怒りの本質を見せられているようでもあったかな。
敵からも味方からも恨まれている、
というヴァイオレットの火傷の具合、
そして不殺という覚悟と、
少佐からの命令は生きろだった、という引っ掛かりポイントも含めて気になる感じ。
少佐の命令に従っているという風なのが、
ヴァイオレット自身への呪いのように不殺を抱いてるような印象がするなと。
大佐が不殺を咎めることと、ヴァイオレットの生きろという命令を受けたことの返しは、
イコールとは言い難いところですし。

ヴァイオレットがエメラレルドを失くしたことで、
再び少佐の死に触れられてるのもポイントで。
エメラレルドを失くしたことで、
大事なものを守れていないことを大佐が咎めている風でもあるような、と。
准将に捕られたエメラレルド、どうなったんでしょうね。


脚本:鈴木貴昭
絵コンテ:河浪栄作 山村卓也 藤田春香
演出:澤真平 山村卓也
作画監督:植野千世子 池田和美 門脇未来 池田晶子 丸木宣明

鈴木脚本で世界観をえがく感じ、
っていうのは前回の登板回に引き続きという感じがしますが、
演出陣作画陣を見ると映画もあってスケジュール的に佳境という感じだったんですかね。
次を見るのが楽しみなような怖いような。
最後まで楽しんで見たいところです。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 11話 を語る

2018-03-25 06:55:43 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


声のする方へ。
前景の置きそこへ意識を向ける見せ方としては新鮮に見えたかな。
今作ではあまりこういう見せ方はあまりなかったので特に。
極度に大きく描かれる照明から画面の不安定さを印象付けられる。





今回は迂闊な場面っていうのが多くてそれが気になった。
ヴァイオレットに戦場で待つ客の話を聞かれたり、
戦場で恋人の写真を眺める男だったり、
行ったはいいけど寒冷地でヴァイオレットの準備が足りてなかったり。
それぞれがどこか足りない面が出ていて、
それが不幸を呼び込んでいるような。

ヴァイオレットが話を立ち聞きするところの構図から既に不安定だったので、
そういう部分を意識させるのにやっているのかなという感。
戦場と手紙というヴァイオレットにとって切っても切れない縁、
戦場でいつ敵に撃たれるかもしれない、
両手をふさいでしまいには手に持ったまま後ろに手を回す兵士、
戦場の兵士に思いを馳せてしまったのか、
6話ではコートを着ていたのに今回は何の準備もなしに向かうヴァイオレット。
ヴァイオレットがブローチを握るところもちょっと意味深に感じられる。



飛行郵便っていう。
如何にもパイロット風な感じだけど?
からの実はっていう。
今まで郵便社のマークなんかを見せてきていたので、
意外性のある感じだったなぁ、と。



主観と死。

そういえば建設中の鉄道の話が出てきますが、
8話でヴァイオレットが彷徨ってる場面で出たのがそれなんですかね。







兵士の見たヴァイオレット。
ヴァイオレットを空から舞い降りた救世主的な、天使的な、
見てる方としてはそういう風に見せたいのかなとか考えてしまうな。

個人的に気になったのは強調されるヴァイオレットの目。
ヴァイオレットの意思を印象付けるカットでもありますが、
兵士の主観と思しきカットからのシーンとしてみると、
なぜその瞳を見るのか、という風に思えてしまって。
ヴァイオレットにとってのエメラルド的なものを、
兵士はこの瞳に見たのかもしれないと思わされるなと。

今までの話でも見ていて度々感じましたが、
エメラルドが強調されるからこそ、
他の人の目をどのように感じているのか、そこに何を見ているか、
というのを思わず気にしてしまいます。
ここはそれが強く出たカットかなという風に感じたな、と。





死に際の手紙。
機械の手を綺麗だと伝えているのは初めてでしたね。
エアタイピングっていうのもヴァイオレットならではな書き方かも。
タイプライターを持って行ける場所ではないからこそという。

もしかしたら他にも手段があったのかもしれませんが、
ヴァイオレットの準備不足感というのがここにも出ているのかなと。
そもそも飛行機で行かないととか、
そこから始まってるのも準備不足な部分かもしれませんね。
考えてみたら、行き方を考えるシーンというのは今話が初めてでしたね。



逆位置。
横になっている兵士が死を覚悟してるからですかね。
逆さまで映すことで向かっている方向が違ってきていることを意識させられる。
度々死を扱ってきた作品ですが、
その死のどれとも違う形として扱っているような印象を受けるかな。



ヴァイオレットを見る兵士、かと思いきや既に目が見えていない。
手紙を書いているのか不安になっていますが、
ヴァイオレットの義手を動かす音が聞こえないからでしょうかね。
また兵士がヴァイオレットの瞳を意識していたことを念頭に置いてみると、
それが見えない構図っていうのがやや不安感を煽られている感じがするかな。

しかし両親への手紙では死を覚悟し、
恋人への手紙では生への思いを綴っているのが印象的ですね。
ヴァイオレットが思わず手を止めてしまうのも頷ける。



機械の手で手を握る。
献身的な一面や客に付き従うというのは、
ちょっと6話で揶揄されていた面を意識しちゃいますが、
目前の死を意識したら、
そんな揶揄を見ている側が意識するのもなんか違うか。



消された音、あいしてる。
このシーンでは逆さまの構図から脱却しているので、
彼が生きていることを強調するような感じがしたかな。
あいを口にすることで、彼は元の心へと戻ってきた感じというか。
ヴァイオレット自身の体験から、
死に際のあいしているを強く意識してしまうのかなという感。
兵士と少佐の姿がややダブる。





あいしてるを発した口と閉ざされた口。
それにヴァイオレットの口。
口と口のキスはできなかったことも意識しさせられますね。





タイムラプス。
今回は2カットにわけて見せるのが印象的でしたね。
日の出と共に墓を作り、
その墓が日の下で不変のもののように見せられるのが印象的かなと。
普段は星の動きや雲の動き、光の変化を空で意識させられますが、
影だけの日時計的な見せ方、大地を印象付ける感じがそうさせるのかな。



山から出る煙?で凄い久々に京アニのエフェクト見たぜという気分に。
狼煙で居場所を教えてたんですね。
考えてみたらヴァイオレットがどう帰るかっていう問題がありましたね。



目を背け、目元を揺らすヴァイオレットが印象的。
なぜ涙をこらえるのか、と。

遺族、恋人が感謝を伝えたことでヴァイオレットの心中が吐露される。
ちょっといい家族すぎやしないかとも思ったけど、
ヴァイオレットの中にある罪の意識に触れるには、癒すには、
こういうアプローチが必要だったのかな。



このような空の下にヴァイオレットを置くのは少佐の死を知った時以来かな。
ヴァイオレット自身が少佐の死という体験をしてきているので、
兵士として助けることができなかったことを謝罪している風なのが気になるなと。
自動人形ではなく、兵士としての心情を喚起させられてるのが不安というか。



もう、誰も死なせたくない。
それは自動人形の仕事ではない、というか。
人の死を前にして助けられなかった後悔や残されたものへの申し訳なさとか、
色々ある中で音にならないセリフでこう出てくるのが不安だな、と。

脚本:浦畑達彦
絵コンテ・演出:北之原孝將
作画監督:明見裕子 池田晶子 丸子達就

北之原回。
こういう死を扱うような冷めた話は北之原回だよなぁという感。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 10話 を語る

2018-03-15 05:01:56 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


時間経過と1人遊びの跡。
落ち葉で遊ぶっていうのが秋という季節と、
命の短さを見出されるようで気になったかな。







お辞儀。
今回はお嬢さんの芝居が充実していてグッときましたね。
1カット内で色々な動き、表情を見せてくれて、
その子供らしさを十分に見せてくれる内容で素晴らしかった。
そういう中でヴァイオレットの大人としての、
というか大きな人形としての立ち振る舞いも目立っていたなと。
2カットで描かれるお辞儀なんかはお嬢さんのお辞儀と対比的。

風景を見つめるヴァイオレットというのを見ると、
いつものヴァイオレットがきているような安心感があるかな。
7話的な客観的に見るヴァイオレットというのもあって、
その類似性から安堵する面っていうのもあるかもしれない。



親子のやり取り。
病気の母に一緒にいたいと騒ぐ子供。
ありきたりな構図ですが、端で映るヴァイオレットを改めて見ると、
もうこの頃から我慢してたのかなと2回見ると思ってしまいますね。
画面の、シーンの主役がヴァイオレットではないからこそ。
途中の仕事の話をしてるカットなんかはこのカットの想定線からすれば逆位置で、
そういう区切りとして入れている風。
そのまま行ってもいい気がしますが、
文法的な意味合いを大事にしたいところなんですかね。





やや引いたショットでのやり取りからのアップ。
お客様は嫌いで表情に光が当たるのもいいですね。
アンの素直な心を照らしていて。
欲というのを暗いものと扱わない価値観にグッとくる感じ。
子供が母と過ごす時間を奪われることを不満に思うことに、
一体どんな罪があるのか、あるわけがない。
そう語ってくれてるのに安心させられる。

今回の話も絶対泣いちゃう話なのでまた苦手な感じですが、
川澄綾子への好感度と諸星すみれの好演、
それに画面の充実度で納得させられた感じがしますが、
一番は死というものへの触れ方だったのかなと思います。







そうね、お話しするとか何かして遊ぶとか。
からの返しが非常にヴァイオレットっぽく、
また何で今そんな返し方をするんだろうとやや不思議に思える面もある。
確かに人形めいているけど、
これまでの物語からここでこの返しはまるで以前のヴァイオレットみたいだな、と。
これはいつの話だろうか、傘を持っていたから少なくともあの話の後だから、
ということは少佐の死を知った後なのは明白だしなぁ、
とヴァイオレットの進退にやや疑問を持ってしまうやり取りでもあったかな。
元々人形みたいだから、
感情を隠そうとするその振る舞いはより人形っぽく映る、
というのは逆説めいていて、こういう描き方もあるのかと新鮮だったな。

特にこのシーンのヴァイオレットはオフセリフから返していて、
アンの反応を描く充実度とヴァイオレットへの違和感を1カット内に収めていて、
充実した内容の1カットというのをより意識させられる感じ。
しかしなぜ一挙手一投足が魅力的だからこそ、
画面外のものをより意識してしまう感じかな。



色々合点がいったアン。
ここもヴァイオレットとのやり取りに戸惑っていたアンから、
ヴァイオレットの理解したを理解したアンという感じで、
想定線を越えて感情の変化を印象付けてる。
揺れるソファーからアンのわかった嬉しさ、
PANで理解したヴァイオレットにより関わろうとする前向きさなど、
アンの元気な部分を色々な揺らしで印象付けてる感。
FIXの画面が続いていたのと、
1カット内での多様なアクションの楽しさと合わせて元気になれるカットでした。

またここの一連のシーンは基本的にヴァイオレットの表情を画面から外しているので、
アンが画面の主役になっており、
ヴァイオレットの人形じみた反応をアンが受け取り、
ヴァイオレットがより人形じみてるように見ている側は感じちゃうシーンだったかな。





窓越しの母とヴァイオレット。
どんな人に手紙を書いているのか、
ヴァイオレットの仕事ぶりはどうなのだろうか。
アンの視点を通じて描かれるそれに興味を引かれますね。
あの手この手でサンルームに行こうとする姿がまた微笑ましい。
また饒舌なアンと、母の手紙への意気込みの不透明さ、
そしてその逆転がEDを盛り上げているので、
そういうシーンへと繋ぐシーンでしたね。



立派な戦死を遂げられたの。
鏡に映る虚構のヴァイオレット。
虚構に映るヴァイオレットの反応は、本来出てはならない反応が、
思わず出てしまうという位置づけなんですかね。
少佐の死と重ねるだけなら別に、とも思いますが、
火傷がうずいた、とも取れるところが今作の見どころという感じ。
明かりをバックにしているのも示唆的。
どこの国の話か明快でないのはこのせいなんですかね。





遊び足りないさを人形で見せる。
ヴァイオレットと遊びたい、というのをこう表現されると、
人形のように人を扱う負の面というのを読んでしまうんですが、
アンが自動人形をそのまま人形だと勘違いしていて、
その人形の表情に見惚れてと人形に対する気持ちを描いていてと、
ヴァイオレットを描くシーンとしてもグッとくる感じだったかな。
勘違いしてるアンに対する優しい返事のヴァイオレットが印象的ですね。



ヴァイオレットにかまうアン。
フライパンを持ち出してのなぞなぞとか、
なんかそのちょっと飛んだ感じが中の人の作品を連想させられる感じ。



タイムラプス。
日が暮れて夜になりまた朝が来る。
今までが昼から夜へ、夜から夜へなど短いスパンで見せていたので、
やや長めの時間経過が気になったかな。
最後の秋が終わり冬になり、春が来るという変化と掛けているのかな。



アンの元から去るヴァイオレット。
アンの願いはわかっていても、ヴァイオレットはそれを叶えることができない。
アンがヴァイオレットに近づいたけど、
ヴァイオレットは離れてしまうというのを同ポジで強調されてる感。



母の病気とそれが治らないことを知っていること、
それをぶつけるのがアンの気持ちが出ているように思えたけども、
母を傷つけたことに涙する姿により陽がかかっていてグッとくる感。

このシーンはCMで使われたワンシーンを物語に落としてる感じがして、
原点的な意味合いも感じられるシーンだったな。



別れと目線。
これまでのヴァイオレットってアンを見つめる表情のアップをアン越しに入れていなくて、
アンとヴァイオレットの意識の違いや、
ヴァイオレットの表情を意図的に隠す感じでしたが、
役目を終えたところでようやくアンと人として通じ合うという感じでしたね。





母のターン。
本編でずっと目立っていたアンですが、
ここにきて母がアンの名を呼ぶシーンが続くのが切ないですね。
冬から春への変化が美しく、
そんな中で親子でいる姿もまた春の陽だまりを思わせられる。
その明るさの中での別れというのが切ないというか。
ここまで持ったならまだと思ったところで、というのもあったかな。



7話的な。
遠くを見る、空を見る、というのは繰り返し作品内で描かれてきましたが、
これほど明るく明快な描写も珍しく。
人生における一度きりの出会いと、
それとは違う、一生を共に生きる存在を見る視点というのを意識させられる感。
アンに手紙が届くその時は晴れやかに。

饒舌だったアンから一転、母の手紙の朗読が続くので、
母からアンへという思いの反転が印象的。



アンの今後を案じるヴァイオレットの姿に打たれますね。
アンのこれからを描いた後だからこそ、
ヴァイオレットの書いた手紙にかけがえのない価値を見出されるわけで、
サブタイトルのセリフが絵空事に映らないように見せていたかな、と。
サブタイトルに愛が入っているのもポイントなんですかね。

またそのセリフが聞けないのは、価値を保留するような一面もあるのかな。
一緒にいる時間を削ったことに対する嫌悪感が無いとも言い切れない部分があるので。
そういう意味では判断をゆだねられている気もするかな。

脚本;吉田玲子
絵コンテ・演出:小川太一
作画監督:丸木宣明

小川さんの演出回としてまたビビッとくる回でしたね。
本も演出作画も、音もどれもが魅力的な回だったな、と。
ヴァイオレットが誰かのために泣けるというのが一番グッとくる感じで。

残り話数は少ないですが、
今後もCMで使われたカットの話がくるんですかね。
その辺含め、最後まで楽しみです。

ちなみに今週から出張なので更新は最悪4月、
早ければ来週から再開という感じです。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 9話 を語る

2018-03-09 22:51:25 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


前話から引き続き。
ヴァイオレットの顔の傷、
ここだと傷口の上部が凹凸しているように見えるけど、
他のカットだと普通に切れた感じの絵になっていて、
誰かしらの傷の解釈が入ったカットとして目を引いたかな。
その前の腕を撃たれたところのアップもそれっぽいし、
アイがわからないシーンのカットもややそれっぽい。
綺麗な表情を見せたいのと生々しさのどちらを優先するのか、
みたいなせめぎ合いの果てに残ってるような印象がしたかなぁ、と。
回想シーンとして先行したカットがあったので、
そことの整合性も加味してとか、色々なやり取りがあったのかな、
と思わせられる部分だったかな、とか。

しかし口で少佐を引きずるようにするアップの絵を改めて見て、
横顔からの出血が力んだことで徐々に酷くなっている絵とか、
そういうところを拾ってるのもなかなか細かいなと思えたり。



アイとは。
今までの少佐のとのやり取り中で突然夜空が出てくる。
ヴァイオレットが風景に見惚れると明確にわかるのは4話からでしたが、
その風景を見る情景に、愛を見つけたのではないか、
と予感させられるような印象がしたかな。
夜空を見るヴァイオレットというのはこの回想の中のヴァイオレットとは遠い存在なので、
その遠さを含めて星空に託しているのかなと思えたかな。
前回を思い返すと少佐の死を受け入れられないという、
ヴァイオレットが見ることができない風景、知覚できない、したくない風景、
という風にも思えたかな、とか。



雨に濡れる。
服が濡れる表現として新鮮な印象がしますね。
絵面としてもあまり見かけないので凄くインパクトがある。
自分は1人だ、と主張するような草や、
雨に濡れることで中佐との悲しみの共有を印象付けたりと、
中佐との関係というか会社との関係も、
そう安いものじゃなくなっているように思えるのが印象的ですね。
ただ悲しみを共有できない相手として車内の同僚、
っていうのもなかなかの配置だな、と。



外を見るか己を見るか。



封鎖された道。
カメラを意識させる雨粒や光が客観的な意味合いを作っていて、
感情的なシーンから浮いた世界情勢の話っていうのを印象付けられるかなと。
ヴァイオレットが泣き叫んでもそれでも世界は知らぬ顔で回ってる。
また運命が巡るような予感もある感じですよね。



果たして車外にいた少女は本当にいたのか。
鏡を見るように、直前の話を聞いて、
いつかの自分をそこに見出したのではないか。
軍人を見ることでかつての自分の立ち位置を見る、
これから戦争がまた始まるかもしれないという予感が、
戦場に立つ少女に思いを馳せるようで、
今のヴァイオレットというのを印象付けられる気がしたかな。



今回はやたらカトレアさんの足を見せてるカットが多い気がしたな。
終盤のヴァイオレットの歩みを意識させるのに、
足見せてたのかなと思ったり(4話でも足重要だったし?)したけど、
だんだんただの趣味なのではと思えなくもない気がしてきた。



蘇るヴァイオレットとの思い出から、外を飛ぶ鳥へ。
終盤でも青空の下を飛ぶ鳥が強調されますが、
内側にいるキャラクターたち、
居場所を意識するあまり、気持ちが内向きにあまりに、
外の風景を意識できないような印象がしたかな。
ヴァイオレットに必要な光に対するタメっていうのを意識させられる。
ではその光の下にあるものは、無数の鳥とは。
そんなことを考えさせられるワンショットだったかな、と。





夢。
あからさまに夢とわかるけども、
ここの違和感は少佐の死を嘆くことではなく、
ヴァイオレット自身の罪を少佐に導いて欲しいという願いが反映されているような部分で。
少佐の死に対する嘆きより、
今をどう生きるかにヴァイオレットが悩んでいることを意識させられる。




イヌとヴァイオレット。
イヌを粗末に扱えないのは、
少佐のイヌであった自分を、少佐を否定できないからなんですかね。





八つ当たりと自殺未遂。
向かい合っているはずのイヌのぬいぐるみと、
ヴァイオレットを重ねるようにカットを繋いでるのが違和感でもあり。
ただのイヌのようであった過去、
少佐のいう通りに生きてきた憤り、罪、自決の決断からの、
死ぬことができない自分への嘆き。
イヌという己を、ぬいぐるみの瞳は理解することはない。
過去の自分は今の自分を理解しない。
そんな歪みをもつぬいぐるみのカットが不気味で、
そういえば1話でもヴァイオレットは人形に例えられていたよなとか、
ヴァイオレットの持つ人形じみた不気味さをまた想起させられる感じ。
その不気味さをヴァイオレット自身が知った、だからこそ今が苦しい。
そんなシーンだったのかな。



タイムラプス?
星の動きが目に見える。





手紙とは。
夜の配達をする姿は1話を思い出しますね。
手紙を待つ人たちがいる。
そのことに気づくヴァイオレットというのがポイントかなと。
配達員のおじさんが何を心配して何を届けたいのか、
それをヴァイオレットが理解しているだろうところというか。



ヴァイオレットへの手紙と虚構の自分。
炎はその身を焼くだけのものではないという灯としてのロウソクを含め印象的。
自分が想像していなかった立ち位置、
居場所を意識させられての虚構の己、なのかな。

今作において裏腹、虚構とは、
というのが無知のヴァイオレットを通して描かれていますが、
では死とは、死んでしまった後の存在は虚構となってしまうのか。
今現実に目に見えるもの意外は無なのか。
少佐の残した死という形、存在しない形と、
ヴァイオレットの歩みを踏まえると、そんなことを考えてしまうかな。
まあどうでもいい話。



青空の下。
今までが夜だったり室内だったりのシーンが多く、
明るい画面のシーンというのをあまり意識できなかったので、
こうした風景が非常に明るく映るかな。
タイプライターを打つヴァイオレットの手に安堵させられる的な面の補強的な意味も。



一流の証。
ヴァイオレットがエメラルドではなくこちらに手を伸ばすところに、
ヴァイオレットができること、してきたことが集約されているようで、
それがヴァイオレットの光になっているというのがグッときますね。



夜の風景とは違う、明るく青い空。
アイを探していたころとは違った風景が、
ヴァイオレットの心情の変化を意識させてくれてGOOD。



花としてのヴァイオレット。
願いとは虚構でしかない。
でもヴァイオレットはその虚構に意味を見出す。

今作はメタファーを肯定しているところが気になるというか、
なぜメタファーが必要なのかを解いてる感じが新鮮に感じられるかな。



旅をするリオン。
ヴァイオレットが唯一見つけられなかったお客でしたが、
そのリオンを最後に持ってくるところが気になったかな。
たった一度の出会い、二度と会えない二人、
という言わば少佐と同じような立場のリオンの存在が、
ヴァイオレットの存在を肯定してくれるのにグッとくるというか。
そんな二度と会えない相手に思いを巡らせた星空がまた印象的で。
星空を見つめることで想起させらる愛、
というのを意識させられるというか。



そんな愛を受け取ったとも取れる、開封された手紙。
消えない星空のように、手紙を書いたこともまた残り続ける。
ヴァイオレットが築いたものを肯定して終わるラストが綺麗でしたね。

しかしここでタイトル回収とは。
ユーフォも途中でタイトル回収してましたが、
今作はここから何を見せてくれるんでしょうか。
ここまで丁寧に話を、絵を積み重ねてきたのが一旦ゴールを迎えたわけですが、
これからのヴァイオレットがどういう歩みを見せるのか、楽しみですね。

脚本:吉田玲子
絵コンテ・演出:武本康弘
作画監督:丸子達就 岡村公平

武本回。
石立さんが監督の作品では武本さんが要の回を担当されている印象。
氷菓で最終回が武本石立ペアだったのを思い出すかな。
フルメタの監督だった武本さんが兵士だった少女の回をやる、
っていうのもちょっと意識してしまう感じ。
フルメタの再放送、色々な意味でドンピシャのタイミングですね。


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 8話 を語る

2018-03-02 20:10:59 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


息遣いに合わせての伸縮。
興奮状態にあるヴァイオレットの正常でない部分、
っていうのを体の伸縮で表現しているのが印象的かなと。
ブーツの編み目の部分の変化など、細かな変化が目を引きますし。
ヴァイオレットの表情をあまり見せず、ほとんどオフセリフで進行するので、
こういった部分が特に印象的に映るっていうのもあるかな。
息遣いの分かる芝居っていうのは棒立ち気味になるアニメの芝居の中では、
生きているっていうのが伝わる描写なのかなぁ、という気がするけども、どうなんだろう。





武器は武器だな。
大佐の前で鬼気迫る表情をしているのが、
普段無表情なヴァイオレットからすれば印象的ですね。
決定的シーン、少佐が未帰還であることを問う場面では、
狼狽したように言葉がしぼんでいくところで表情がまた読めなくなるのも含め。

あと負傷した兵士にヴァイオレットというシーンを、
大佐はこれまでにも見てきたのだろうな、
というのも見返すとちょっと意識してしまうシーンかも。
ヴァイオレットを武器となぞらえるにはそれだけの理由がやはりあるのだろうなと思うので。





少佐はご無事です!
目のクロースアップでのぶれ線なんかは流麗な画面の今作では目を引くカットでしたね。
青空をバックに影を落とした立ち姿も前回の呆然とした姿をリフレインさせられて印象的。
少佐の死というのはヴァイオレットをこのような孤独の下に置く、
と意識させられるような画でまた印象的。



悲しいはずが無いだろう。
ひとしきり言い終わった後の表情を意図的に読ませず、
大佐の言葉で伝えてくるのみっていうのもまたヴァイオレットの表情を意識させられるかな。
PANの後ろ姿から大佐へという向けられた意識、表情を意識させられるというか。

ただ今までもアンニュイな表情とかさせていたし、
前回の終盤の絵だったりも印象的で、
セリフも表現が豊かなのでヴァイオレットの表情にそこまで関心を集められるか、
というとちょっと弱い気もする。

それだけヴァイオレットが成長してきている、
大佐にそんなことを言われる筋合いは無いというほどに、
と視聴者がヴァイオレットにくみするシーンという意味合いで、
あえてそこを読ませない感じだったのかな。

肩を揺らすその息遣いへの共感というか。
生きていく中で起こる感情の荒波への共感というか。







電車へ乗って何処へ。
外の景色を見るでもない、ブローチを握りしめるヴァイオレット。
ヴァイオレットが見ていないであろう星空から朝へと変わる風景。
ヴァイオレットの遠くを見つめる視点の喪失を意識してしまうかな。



俯瞰のレールからヴァイオレットがIN。
やや引っ掛かりの強い1カットですね。
アップの絵でのINがインパクト強いからですかね。



PANアップで見せるレールの先と巨大な建物。
世界観とヴァイオレットの道を描いている点で印象的。
ヴァイオレットは今回表情をだいぶ意識して隠して見せてますね。



雪原の中のお屋敷。
ヴァイオレットの向かった先かと思いきや過去の回想。
今ヴァイオレットが向かっているのはこの屋敷なのかな、
と予感させるカット割りで入り組んだ回という印象ですね。



ここの少佐の目のアップ、
普段正面からの目のアップが多いので、
ナナメから見せられる目が印象的っていうのもあるけど、
なんかズームしてみせたような絵という印象があって不思議な感じがしたな。
なぜここで目なんだろうという引っ掛かりも含め。

右目を打たれるので、失われた右目、右目の代わりとしてのエメラルド、
普段強調されるのは左目とか色々意識してしまいますね。

屋敷の中で幼いヴァイオレットが少佐を探し回って、
結局少佐が開けた扉から少佐が出てくるという感じで、
ヴァイオレットのいる部屋の扉を開けるものが少佐だ、
という風に受け取れる感じ。
今までの回だとルクリアなんかが扉を開ける役を担っている印象でしたが、
元々それは少佐の役割だったという描き方なのかなとか。
後半の突入のシーンでも少佐が扉を破る役という徹底ぶり。



戦場に捨ててくればいい。
ペンを投げ捨てる辺り悪意のある芝居だなという感じですが、
そう言った悪意丸出しの表情をあまり突き付けてこない。
表情を見せない回という印象にする話数でしたが、
ここも投げ捨てられたペンに託すのみので、
人の悪意というのに色んな意味で敏感な感じがするかな。
悪意のある人、というのを描写するのを嫌っている風なのが気になるというか。



炎。
火傷をリフレインさせられる。
後の戦闘の火の海の中に立つヴァイオレット的なのを含め。

少佐の手合図からヴァイオレット突入っていうのは、
どんだけヴァイオレットは少佐の犬なんだよみたいな印象が強いかな。
忠犬的というか。
犬のイメージっていうのは確かにあるかもしれないと思わされる。





タイムラプス。
少佐の家どんだけ奥深いところにあるんだよという感じ。
猛るような雲の動きを見せるのが今回の空に合っていてグッときますね。
回想シーンを含め、いくつもの空を超えて再び同じ地に立つ、
というイメージでもあるのかな。





少佐に教えてもらった言葉で、文字で、少佐の死を突きつけられるヴァイオレット。
墓というのが残された人のものっていうのを意識させられるシーンでもあったかな。
喪失のイメージに包まれたヴァイオレットなんか見ると、
まだ青空の下に立っていて姿には希望があったのかなと思わされる。
見開かれた目に呆然とした表情と、
表情を溜める回だったが故に強調されるべきカットいう感じがして印象的ですね。





少佐の瞳は、出会った時から、美しいです。
恋人たちや男女を強調する通行人たち。
その中の少佐とヴァイオレットのやり取りは正に、みたいなシーンだったな。
やっぱ少佐この辺でヴァイオレットに射抜かれてたのかなー。



今回はアクション回というのもあって、
戦闘シーンが多いのも目を引きますね。





悪意とは。
少佐の死を知った時、少佐を撃った人がアップになるということは。
人を殺すときの顔っていうのを見せる意図もあって引っかかるかな。
さて次回のヴァイオレットは如何に。

脚本:吉田玲子
絵コンテ・演出:澤真平
作画監督:岡村公平



ヴァイオレット・エヴァーガーデン 7話 を語る

2018-02-22 21:07:47 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>


そういえばこの世界普通に写真ありましたね。
5話の感想の時写真無いのでは、という語り口で書きましたが、
よく考えたら1話でも出てきてましたし。失礼しました。





私はこの罪を背負って生きるしかない。この先一生。
物語の書き手への興味の引かせ方、
前回の本に書かれた一説を暗唱していた姿、
そしてこの後のヴァイオレットのことなど、色々な示唆に富んだ本だな、と。

前回で自らが虚構になるかもしれない可能性に触れつつ、
今度は完全なる虚構に触れる回ということで、
しりとり的に前回の話数に関連したガジェットを踏まえてきていて、
ヴァイオレットの歩みを少しづつ重ねてきてきているのが面白いですね。
話の積み重ね、というのが目に見えてわかる楽しさというか。

しかし舞台みたいなあからさまな暗喩を京アニで見るのは新鮮な感じだな。
キャラクターを実直に描こうとするイメージが強いせいかもしれない。
まあ脚本に寄与する部分なのでこれをもってどうこうっていうのは特にないかな。
過去の山村回を振り返るとユーフォ2とか結構あからさまなことやってらっしゃいますし。







そういえば望遠で坂を上がってくるような絵や風景をPANで見せるイメージなど、
ユーフォの合宿回を思い出すような感じだったのを踏まえ、
消去法で考えて山村さんかと思ったら当たりで驚いた。
木々というか落ち葉を含め自然を美しく見せて下さる方なのかなと思ったり。
響け!ユーフォニアム2 第三回 を語る



お辞儀。
スカートを広げるところを隠すような感じで見せてるけど、
どちらかというと椅子を強調したい意図もあるのかなという気がしてくる。
お辞儀の見せ方も色々あるようでそういうところも気になるかな。
椅子というのもユーフォを踏まえると山村回だと割と印象的な部分かもな、と。
まあその辺はどうでもいい話かな。



突然のモノローグで急に作家先生の話に持っていかれている感。
ヴァイオレットと対面したところで驚きの表情、
次のカットでポン寄りの絵で再び驚きの表情をリフレインさせて見せる、
所謂ダブルアクションがサラッと出てきて目を引かされて、
という助走はありましたが、急に切り替わった感があるかな、と。
先生の家に着いたときに見せる湖の風景と椅子のイメージなど、
キャラクターに寄る部分もありましたね。



困ったお方ですね。
ヴァイオレットがお客にズケズケものを言うのは今に始まったことじゃないですが、
婉曲的な表現で相手を評するのは新鮮に映ったかな。
書斎の場所をピン送りで見せることは可能なはずなのにそれをしないので、
妙に印象に残る感じかなと。
作家ではあるが書斎はあまり重要なポイントではない、と言われているようで。
テラスでも書くと言ってるのが後の絵の伏線的なところですかね。



その手は?戦争で失いました。
このやり取りも新鮮かな。
ヴァイオレットの手にギョッとする場面はあっても、
立ち入るというか踏み込む人は少ない感じだったので。
そういった立ち入ったことを聞けるような人物像っていう描き方。
悲しい過去の存在や作家性、
現在の堕落した姿からなど、複合的な面で見れるやり取りかなという印象。



タイムラプス。
時間の一定の送り描きというのが作品のイメージにどう関わるのか、
その辺が気になってくるところですかね。



瓶の手いじり。
3話のルクリアの兄もですが、酒飲みの芝居のアイディアは新鮮に映るかな。
ヴァイオレットをメイドのように扱うのは前回の話を踏まえているようで、
ここも話の積み重ねの面白さ、というのを意識させられてくる場面。
そういえばヴァイオレットが幼いことに触れているのも新鮮ですね。
この世界的にヴァイオレットがどのように見られているのかは結構気がかりな部分かも。

しかし料理に失敗するヴァイオレットってちょっとイメージと違うかもしれない。
軍にいたところとか食事どうしていたんでしょうね。
野性的な部分を考えても、卵って何、というところから入られると、
どうなんだ、みたいな感じになってくるというか。
まあ事実は小説より奇なりなので、卵に出会わない人生は普通かもしれないですが。



誰もいない席を見つめる先生にそれを見つめるヴァイオレットと、
ここも示唆的なシーン。
ヴァイオレットと誰かを結びつける先生の姿から、
過去にあったとことを連想させられる感じ。



一瞬入る夜の風景。
食事後の間のカット、時間を飛ばすカットですが、
この風景をヴァイオレットは見ているのだろうか、と思わさせられる部分はあるかな、と。
夜空を、風景を見る連続性がある今作ならではの楽しみ方かもしれない。





隠しました。



何をなさっているんですか?からのやり取り。
ヴァイオレットのアップはやや怖い感じもありますが、
その後に部屋着に着替えているところで夜更けだというのがわかるのと、
服装も相成ってまた新鮮に映るシーンだったかな。
連続で棚を開けていくのも面白いですね。
またヴァイオレットがやっていることがまたメイドっぽい感じで、
こういったお節介な部分が、
あのぶっきらぼうなヴァイオレットと連続しているのが面白いかなと。





先生の話に共感するヴァイオレット。
前回寂しいという感情を知ったわけですが、
ここで共感を知るというがまた引っかかるところ。
前回が相手の気持ちを察しているんじゃないか、
という雰囲気を醸し出していたので、
共感などを知らなくとも、そういうことは可能なのだろうかと思えたので、
自分の読み違えを考えてしまう場面でもあったかな。



水に浮かぶ落ち葉が美しいですね。
美術とか3Dでやってるんですかね。







ここの一連はオフセリフで挟んでカットを飛躍させている部分が多くて気になりますね。
過去を思い出して影を落とす、そんな姿を担保に立ち去るイメージを描いていて、
鮮やかな美術、傘からの鮮やかな退出の演出だったかな、と。
その綺麗な傘があの汚い家のどこにあったのか、いつの間に見つけたのか、
という飛躍もある。
目には目を、飛躍には飛躍を、という畳みかける印象が強いかな。
今まで娘の面影を追っていたらこそ、その飛躍が許されるという部分でもあるか。

そういえば指輪を強調してみせていたのは、
妻と勘違いさせるミスリード的な意味もあったんですかね。

ちょっとした戯言ですが、
こうやって今作の書いてること自体が代筆的な部分のように思えて、
感想を書くことによってヴァイオレットを知る、ということをやらされている感あるかもな、とか。
アニメという虚構で触れられていることを私たちは理解できているのか、みたいなね。
そういう試されてる感じっていうのもあるけど、
アニメも人の心も一定のルールというか、読み取れるものはあるわけで、とか。
そういうことをちょっと意識しちゃう感あるかな。
どうでもいい話でした。



オリビア。
傘をさして笑顔でいる少女像が可愛くて良かったな。
歯の抜けた感じも成長期という感じで、風景と傘と相成って清涼感もある。
無くなった原因はやっぱ白血病とかその辺なんだろうか。
やせ細っていく感じとかなかなか辛い描写をしっかりやっていて、
そういう部分が意外だった。





こんなにも寂しく、こんなにも辛いことなのですね。
物語への共感を知ったヴァイオレットが、
作家先生の過去に涙するというのがなかなかの急展開っぽく映るかな。
寂しさを知ったからこそのシーンだったのかな、とも。





湖で対面してる2羽の鳥。
そこからの先生とヴァイオレット。
室内でのやり取りから立ち位置が逆になっていますが、
FIXの停滞からPANすることで物語へ意気込む躍動感がある感。
また対面しあってますが、お互いが何と向き合っているのか、
っていうのを示唆しているのが湖の鳥なのかなという感。



鳥でしたら飛んで帰れますが。
ここのヴァイオレットと湖と鳥っていうのが綺麗なカットでしたね。
アイディアの飛躍を得る絵という点でも印象的かな。
後半の湖は美しく、それだけで満足できる部分がありました。





どんどん飛躍していく回という感じでしたが、
ヴァイオレットが落ち葉の上を歩くという、
本当に色んな意味で飛躍した絵っていうのを入れてくるところにグッときたな。
ヴァイオレットが指示通り帰還する方向から飛んでくるのも示唆的。
対面する鳥とは誰と誰か。





落ち葉が舞い散る絵、
娘が成長していたら、物語のように父の元へ飛んで帰ってきたなら、
どんどん絵に飛躍した内容が盛り込まれて行って、
一種の幻想にまで至っていて、父の心が救うため、
ハッピーエンドのためにはこれだけの飛躍が必要だという語り口のようで、
そういう点が新鮮だったな。





舞い散る水と湖の水は若干イメージが違って映る。
青い幻想と透明感のある現実という対比なんだろうか。
世界の美しさだけで、果たしてこの世界を肯定できるのか。
ありのままの姿だけでそれができるのか、という語り口のようにも思える。



いつか、きっと。



火傷。
誰かのいつかきっと。
愛する人がいたのではないか。

いつかの言葉が繋がってくるケレン味。
誰かを失った、死の悲しみを知ったからこその火傷。
ここで冒頭の劇のセリフが繋がってくるのが面白いですね。
先生はヴァイオレットに死の苦しみを、
殺すということの罪深さを伝えていて結構奥深いキャラになったという感。
そして愛する人を理解した風なヴァイオレットというので、
やはり知ってしまったのかな、という感じになる。



少佐の死を知る。
そんなヴァイオレットの空虚さを象徴するような空。



相手を拒否する仕草。
受け入れることを否定する、
という反応の絵が新鮮に映るかな。



奇跡を起こした走りは悲しみの走りへ。
果たしてヴァイオレットの心が救われるにはどれだけの飛躍が必要なのか。
そこが焦点になるというのを示唆する話数でもあったように思える。
割と早く少佐の話へときた感じがあるので、
今後どう話が転がるのか、楽しみです。

脚本:吉田玲子
絵コンテ・演出:山村卓也
作画監督:門脇未来 植野千世子 角田有希



ヴァイオレット・エヴァーガーデン 6話 を語る

2018-02-16 20:34:14 | <ヴァイオレット・エヴァーガーデン>






アバンからまた高原へ移動中っていうゴンドラの風景が新鮮でしたね。
メカメカしくない木造りのゴンドラにどこか懐かしさを感じます。
ワイヤーの流れに沿うように形作られたゴンドラの形も、
現在の四角いゴンドラを見慣れていると新鮮ですね。
逆光のハレーションで光るワイヤーなんかも印象的な風景ですし、
多数の女性が歩く丘、謎の建造物を前に佇むヴァイオレットなど、
印象的な絵がバンバン出てきて、もうアバンで満足してしまうような感じでした。

今回の新キャラがドアを閉めた辺りからの、
青年のモノローグからヴァイオレットに絡めていく描写も印象的ですね。
外から見た自動式人形っていうのを建物の内側から見る、
っていうのも閉鎖的な空間から見せているのと、
青年自身の閉塞感のある感じも伝わってくる感じで印象的な出だしだったかな。
たがいに意識しあってはいないけれども、
建物を見るヴァイオレットと外を見る青年とが互いを見ているんじゃないか、
という絡みの予感を強めるニュアンスもあり、
運命めいた感じを予感させてくれてるようでもあったかな。

しかしこうヴァイオレットがどこかに旅立つ話が続くとOPもより印象的に見えてきますね。
話を重ねるたびに味が出てくるOPのように感じます。



お久しぶりの同期たち。
ルクリアさん再登場が嬉しいけどここだけなのが泣ける。
前回のヴァイオレットと他ドールの話を思い出すと、
カトレアだけでなく、彼女たちもヴァイオレットが思い当たるドールでもある、
という語り口を持つ印象がして間口を広げられている気がしたな。
なんというか、ヴァイオレットを肯定してくれるものしかヴァイオレットの傍にいない、
というバイアスがあるように思えていたところに、
結局狭い世界の話だと思われていたところに、
ちょい役で出てきたキャラクターたちとの懇親が描かれることで、
別の可能性というかを示されたような感じがあるかなと。



ヴァイオレットの表情を読むルクリア。
前回の終盤を受けて、っていう話の振り方なんでしょうが、
ルクリアたちがヴァイオレットの変化に気づいているというのも印象的で。
前回のように顔を手で伸ばして誤魔化す感じも、
姫様相手に真面目に取り合っていた結果というだけでなく、
ヴァイオレットなりの気遣いが入っているという描き方になっていて、
前回のアレも今回の延長線上にあるというのが、
また見方が変わってくるようで面白いですね。
話を重ねることっていうのを意識した絵作りをされているのが印象的というか。



いらっしゃいませご主人様!ではなく。
かしずく感じっていうのが普段より強い印象を持つのは、
アバンの語りのせいもあるのかな。
男性がお客っていうのも余計に拍車をかける感じだし、
集団でやってるのもどこぞのメイド軍団かとも思えてしまう。
そんな一面の切り取り方がアバンの物言いが、
全て偽りというわけではないのを物語っている感じで印象的。



色々説明。
なんかマドヲバックにしたシチュエーションの語り口っていうのが目を引きますね。
結構な身分の方っぽく見えるけど、課長なんだよな、みたいな。
しかしなんでこんなところで本を保管してるんだろう。







パートナーを待つリオン。
お辞儀するヴァイオレットを見てたじろぐとか、
うぶな感じから最初の物言いはどこへやらという感。

今回のヴァイオレット、ずっとコートを着ていて、
リオンの前に来たところでは既にコートを脱いでいる。
あくまで推測だけど、主人となる人の前に立つまではコートを脱がないようにしていた、
という風にも捉えられるのがこのシーンの面白いところでしょうか。
不特定多数の候補者がいる中だからこそ、
己が担当する相手の前に立つまでは、みたいな。
もしそうならその精神はどこからくるのか、みたいな考える面白さもあるかなと。
まあどうでもいい話。



アバンの再演を思わせる廊下かな、みたいな。
外からの光といくつものドアが多数の女性と男性を思わせられるけど、
その中で強く運命づけられた見せ方をしたヴァイオレットとリオンを想起させられるかな。
廊下を歩いていたリオンの姿を見ているからそう思わせられるのかもしれない。





本の挿絵なんかも雰囲気出ていて面白いですね。
課長の説明にもあったようにページをめくるだけで崩れる本もある、
というのを念頭に置いてみると、
両手で慎重にページをめくる姿にも納得させられる。
そしてそんな芝居自体が新鮮で刺激的なカットかなと。
めくられるページの絵もちゃんと張り込まれているところも芸が細かい。



別離。
読み揺らぐリオンっていうのがオフセリフで、
その文章に、絵に何を重ねているのかはわからない。
そんな神秘性が本の神秘のかかるようで印象的な語り口かなと。
間を挟んだことを誤魔化しますが、
それが誤魔化しでもないのかもしれないと思えるほど、
自然と流れていくような印象がしたかな。



タイムラプス。
そういえばこれ前回ありませんでしたね。
手袋外してドキッも前回はなかったので、
今回は割と従来の回に準じた回という感じなんですかね。



空を見る、星を見る、宇宙を見る。
4話の星空を見るヴァイオレットを思い出しますね。
空を見上げる姿というのはヴァイオレットの感動を彷彿とさせられるようで、
そしてそんな感動する風景を見るっていうのを3話でやっていたんだよなと。
積み重ねによって、ヴァイオレットの佇まいに寄り添える描写にグッときますね。



天空、星空の中にいる、っていう描写が素敵ですね。
ヴァイオレットが語るドールの仕事というのもまた新鮮で、
今までのはドールの一面に過ぎなかったんだなというのを改めて印象付けられる。
リオンの偏見に満ちたアバンを思い出すとまた活きてくるシーンでしたね。
そして、あいしてるを知りたいからドールになったはずが、
今回のヴァイオレットは別の観点からドールになった動機を語る。



そんな素晴らしい仕事にふさわしいのでしょうか。
なんというかヴァイオレットのこれまでの仕事ぶりや5話のラストなど、
今までのことを含めた悩み方なのかなという気がしたかな。
左の窓からの柵が今までの話数を表しているようなのが気になる感。
ヴァイオレットの頭上にある一際明るい星も示唆的で、印象的ですね。
ヴァイオレットの不安の大きさを語るに背後を大きく開けているのも含め。







図書館の高低差を見えるような感じが新鮮だったかな。
光側がヴァイオレット、男性陣が影側というのも意図的な配置でしょうが、
オフセリフで聞くヴァイオレットの語りが、
ヴァイオレットの語り対して背を向けるような態度のリオンに、
それが確かな光の兆しとなっているようなのが印象的ですね。



無表情から次に来る、柔らかな瞳。
それが指し示すのはヴァイオレットの無表情とは違う別な表情で、
そんな表情にやられてしまうリオンが微笑ましい感じ。
目のアップから少佐の瞳を思い出す感じ。
その瞳に落ちる感じというか。





この辺も上であげた廊下を思い出す感じかな。
右手に感じる光と左のドアから光へ顔を向ける感じがそういう想起をさせられるというか。
明るい方へ顔を向けるような印象があるカットだからかな(ドアより壁の方が明るい色)。
空をバックにしたヴァイオレットも魅力的で印象深いですね。



パンを思いっきり握りしめていくのが面白かったな。
こういうボルテージのあげ方は面白いですね。
表情を見せないリオンに対して、
真剣なまなざしでリオンを見るヴァイオレットというギャップもあって楽しいシーン。





リオンが去った後のヴァイオレットの表情も印象的。
リオンが何を思っているのか、というのを察しているような、
そんな侘しさと、そしてそれを知ったような中で見る天空の描写も目を引かれます。
大きな空白としての空、なんですかね。
この辺はまだ読みこめない感じがするかな。



くうを見るリオン。
時が来るのを待ちぼうけるような姿を、
ヴァイオレットの後ろ姿に被せて見せてるのが印象的。





アリー彗星。
星空の中の2人や彗星を見るという雰囲気が好みかな。

全く関係ないんですが、自分が昔見た彗星ってハレー彗星だと思ってましたが、
ヘリーポップ彗星と勘違いしていて。
恐らく昔ドラえもんでハレー彗星の話を見ていたのが原因だと思いますが、
生きているうちにハレー彗星見たいなぁと今回見ていて思わせられたかな。
どうでもいい話でした。



生い立ち。
父も母も帰っては来ず。
旅芸人だったという母と自動式人形を重ねる部分なのかな。
母の愛は父へっていうのがやや嫉妬深い感じ。
何気にあいを語るシーンでしたね。
愛する人を探して旅をするっていうのは、
形を変えればヴァイオレット自身を示す話でもあるようで、
そういう部分も気になる感じだったかな。
ヴァイオレットの場合、置いていくのは何なんだろうな、みたいな。



恋愛というのは人をそんな風な馬鹿に貶めてしまう。
裏腹を学んだヴァイオレット、なんでしょうか。
そんな語り口から察するヴァイオレットっていうのが、
もう色々とわかってるのかどうなのか、っていうのが気になる感じ。



揺らめくエメラルド。
久々に揺らめきましたね。
寂しいと感じていたということに己を知るようなヴァイオレットの表情が印象的。



己が死ぬ方が良いのです。
とりあえずリオンは置いて行かれる側というのが。
少佐がヴァイオレットにとってどれだけ大切か、
っていうのをこれだけはっきり口にしたのって初めてな気が。

リオンがヴァイオレットの感情を指摘しようとしたところで、
掛けた羽織をヴァイオレットが立って脱いでるのも、
リオンの身からの開放、別離をサラッと描いている風でもあるように思える。





無音の重い空気から挿入されるBGMと彗星の美しさにグッとくるシーンでしたね。
二度と会えない出会いのすばらしさを語る2人が示唆的で印象的。
そしてその美しさを象徴する彗星というのがまた一層、印象的に映ります。
本の一説を読むヴァイオレットが印象的ですが、
その二度とない出会いは本にある文章に同じ、
物語と同じ、虚構と同じ、しかし今ここにあるという、
虚構となるかもしれない瞬間に思いを馳せる感じがGOODだったな。
瞳に移りこむ彗星がそれをまた後押ししている感じ(今作における映り込みにある虚構性の強調)。
そういう儚さのあるシーンだったのが印象的だったかなと。



光の方向を目指す。
今話では結構これが徹底されていたのかな、と。



はい、という返事が美しく儚い。
ヴァイオレット自身がリオンのことをわかってないと、
こういう返事ではできないんじゃないかと思えるんですが、どうでしょう。
陽の当たるヴァイオレットがひと際綺麗でまたグッときますね。



光の世界へ追いかける。



1人で見る空。
旅をしてまたヴァイオレットに出会えるのだろうか。



ここの背景動画というか3Dで組んだ背景の回り込みは目を引いたな。
AIR 6話の屋上の別離をちょっと意識してしまう。
今気づいたけど散々AIR 6話の話をしてきているのに感想一度も書いてないっぽいな。





上を見上げて下へと振り向く。
その表情の変化に、ヴァイオレットはやはり愛してるを知ったのではないか、
という予感を感じずにはいられなかったな。
寂しさの感覚を知った、ではあいしてるはどうなのか。
ヴァイオレットの変化に目が離せなくなる話数でした。

脚本:浦畑達彦
絵コンテ・演出:三好一郎
作画監督:角田有希

前回の山田さんの回も凄かったですが、
今話も話の積み重ねの上に成り立っているような話数でまた良かったです。