流星、夜を切り裂いて ~FLY HIGH~ ver.2

米たにヨシトモファン 京アニに興味あり アニメ語りメイン

空の青さを知る人よ を語る

2019-10-13 20:39:18 | ■アニメレビューとか
見てきました。
久々に長井監督が見れるという期待感と現実との板挟みで、
見るのは来週再来週辺りかなと思っていたんですが、
思い立ったが吉日ということで。
自分が細かくいいなと思った箇所は例に習ってまただいぶ忘れてしまったので、
何度も繰り返し見て血肉にしたい作品という印象でした。

以下ネタバレ感想。


本編見る前に売店で目玉焼きのグッズを見て、
『ここさけ』からだいぶ前進した作品なんだなという印象を受けたな。
『ここさけ』が自らの殻を破るという描き方だったので、
その中身が誰かに差し出される、既に何者かになっているように思えて、
そういう人物像を作品が想定している感じが前作からの前進の象徴のように思えたな。
特に本編で目玉焼きが強調されない分、
象徴的なグッズに見えたなと。
なぜ鶏ではなく目玉焼きなのかと自分でも不思議な捉え方だったけど、
『聲の形』で命の暗喩のように描かれていたことの延長線上からかもしれません。
山田さんが長井さん意識してるのかなぁとボンヤリ思っていたところに今作がきた、
という捉え方を実はちょっとしています。

本編冒頭。
最初キャラクターたちが色んなものを開けていくので、
何かを開いていくというのにちょっと意識が向く感じ。
それぞれの立ち位置を意識しつつ、あおいがイヤホンつけてるタイミングで音響が変化して、
あおいの耳に届く音のソレになるのが気になる。
あおいの内側を見つめる作品という意識をここで向けているのと、
回想に入る鮮やかさ、そして現代へと帰って本編が始まる。
その間のあおいを見せる内フレームやベースの演奏がかっこよくて、
非常に充実感のあるシーンになっていて初っ端から持っていかれた感がちょっと強めでした。
PVで使われているあおいの振り向きが、
本編を見ると観客に向けているもののように思えて、
そういう心情の開示を表明するようなキャラクター像にまた打たれる感じでした。
音楽という自分を表現できるものを持つキャラクターの強さ、みたいな感じというか。
超平和バスターズが持つ音楽はこういうものなのか、
みたいなところに今までにない新鮮さがあるように感じられたかなと。

あおいは背中で語るというのがメインなのか前開きパーカーデザインが結構印象に残る感じ。
ガンダーラの意味を含めて仏教的な意味合いだったのかな。
秋の肌寒さに触れつつ腕まくりという姿が負けん気のある感じで印象的だったかな。

紅葉など季節感の強く写実的な美術も印象的出したが、
個人的に星の描写に特に共感を覚えました。
最近東北地方にずっといて星が綺麗だなと夜空をよく見ているんですが、
そういう空へのような印象があってグッと来るみたいな。
夜の星をずっと描いている、つまりは空を見せていると意識させてくれるのもポイントなのかな。
度々書いてますが、そういう世界の美しさを描いても、
あおいたちはそれだけでは満足できないというのにも触れられている感。

あおいが車のドアなどを開けっ放しで通り過ぎていて、
冒頭の何かを開けること、そして姉のあかねに頼っていることが描かれている風でしたが、
最後にお堂の中のしんのが外に出ることができたのは、そういうあおいの特性、
開けっ放しにすること、開くこととの地続きな印象があって、
そういう描き方が印象的だったかなと。

現実のしんのが帰ってきて、あおいがバックバンドをやる前にテストを受けてるシーン、
個人的になんだか泣けてきたのがこの一連でした。
ベースとドラムコンビの演奏が新鮮だったのと『けいおん!』を思い出す感じと、
ガンダーラを憧れの人の前で「歌う」っていうところの強さに打たれる感じだったかなと。
あおいは演奏はしても歌でいくような素振りはあまりなかったので、
そういう意外性も含め、あおいのカッコよさに打たれたというか。

また練習で自分の未熟さを指摘されたところの表情なんかがまた印象的だったな。
あかねのしんのへの当てつけを含め一連表情芝居が印象的でした。

お堂にいる過去のしんのがこち亀が終わったところに衝撃を受けているのとか、
スマホの便利さに感心しているのとか、自分からしても衝撃なんだよな、
という近さがあるのが一種のタイムスリップものにしては新鮮な印象だったな。
お堂で知り合いの小学生に語りかけるあおいは、かつてのしんののようだな、
と思っていたら小学生もあおいにほの字でやっぱそうくるかーとなるなど。
お堂でベース持って座って語りかけてるときパーカーも着ていなくて、
憑き物がない女子高生みたいなフラットな感じはまあ魅力的だなと。

お堂の中の見せ方も新鮮でだったな。
過去しんのが謎の壁に阻まれてお堂の外に出れない絵はややギャグ的な感じですが
あかねに見つからないように上に隠れて降りてくるのとか空間を大きく見せておいて動きは強調するも、
引きの絵では狭さが強調されて動きのケレン味を優先していた絵だったり、
縦PANで空間を大きく見せたりなど、
過去しんのはアニメ的なケレン味を多く使っていた印象。
それが最後の空を飛ぶ姿に繋がる感じで。
予告で使われていたのはイメージ的なものなのかなと思っていたので、
本当に飛ぶとは!みたいなところがちょっとあったなと。

されど空の青さを知る、という言葉をあかねが好きな言葉として上げていて、
過去しんのと対時したときに触れられていましたが、
正に穴の中のカエルみたいな状況で、あおいの中のものに触れられるのは、
それをずっと見ていたような裏返しで姉の愛の強さを感じたのと、
あおいがかつての自分と同じ歳になったことへの気付きで、
あおいの未来、自分の未来を見つめ直す感じが印象的でした。
食べ物の好物の使い方、考え方が個人的に好きでした。
みんな違うという個性の表現の先にあるのがGOODというか。

最後、あおいの走りを強調する電柱から長井スピリットをちょっと感じたな。
とらドラ! 2話 を語る
とらドラ! 25話(最終回) を語る
・ついでにとらドラ! 18話 を語る

あおいは誰に向かって叫んでいるのか。
行き場のない感情の発露だろうとは思いつつも、
冒頭のこちらに振り向くあおいの姿を思い出すと、
観客への主張のように思えたな。


あかねのこと、しんのと過去のしんのこと、他色々触れたいことはいっぱいありますが、
自分はあおいに相当打たれたのであおい中心に。
まだまだ足りないですが記憶があやふやになってきたので。
風景を含めいいなと思えたところが多かったので、何度も見て反芻したいところです。