流星、夜を切り裂いて ~FLY HIGH~ ver.2

米たにヨシトモファン 京アニに興味あり アニメ語りメイン

かげきしょうじょ!! 4話を語る

2021-07-26 22:08:43 | ■アニメレビューとか




原作では起き上がる部分が省略されていましたが、
今回はそこを埋めるところから始まっている。
原作の流れは追いつつも絵で見せる内容は原作のコマにあまり依存していないので、愛を中心に原作にどんどん足していくことで描かれる臨場感とギャグのギャップが強調されている感じはするかなと。
この愛が起き上がるところも普通のアニメだったらこうしないと感じたので、
その雰囲気に飲まれた視聴だったな。




遠近感の作る空気というか。
覗き見る相手の主観で描きつつも、
前景を置くことで覗き見に対しても距離感を作っていて、
覗き見相手を肯定するものではないという感じが、
スッキリした画面に怪しさが感じられたなと。
割と不思議な感覚だったかな。

パンフォーカスで全景を見せてるのが凄くクリアに見えるので、
後景をボカしたりする処理がちょこちょこある作品の中で、
こういうのをやると画面がやや異質に見えるのかな。


最初は握手をしたであろうファンの姿しか見えないけど、
カメラが寄っていくことで手前の仕切りから愛の姿が垣間見れるという、
主観の変化をbookなどを駆使して表現してるのが良かったですね。
ここでは奥はぼかされていて、
徐々に見えてくる愛はしっかりとその輪郭を覗かせる。
オタクの主観から愛へと迫る臨場感、緊張感があるのが良い。


引き出しを開けて転がるスプレー缶の処理や夕景、
平面的な画面がそれまでとはまた違った空気感で愛の心情に迫る。


上目遣いをしたさらさに対し、
回想の中の愛が横目を使うのは偶然なのかもしれないけど、
目の芝居というのを紐付けてる感じで惹きつけられる。
それが愛とさらさの違いを強調されているようで。


ここのさらさの横顔がまた非常にインパクトのある絵でグッときますよね。
さらさの中の愛の姿とは、
さらさにこのような表情をさせるほどに鮮烈だった、
というのが愛に対する思いを形作るようで。
そしてそれがさらさの魅力になっている。
さらさの魅力を愛が引き出しているという絵にグッとくるというか。


愛の主観。
先程のオタク君の主観とちょっと対のようなイメージなのかな。
徐々に見えてくるさらさの姿は心配とは程遠い。
そしてさらさの主観で見る愛は天地逆転。

この一連、さらさがポーズ決めるところとか原作と全く違う構図なんですが、
オタク君の主観でさらさを見るとこうなるという画面なんですよねたぶん。
さらさオタク愛の3人の主観が入り混じってるのが引っかかる点かなと。





この一連、カーテンを閉める、という動作で、
カーテンを押さえているというのを描いてるのが目を引きます。
カーテンを閉めるのに体を伸ばすとか乙女の豪快な部分を描きつつ、
カーテンを押さえた絵をさらさ側に残しているというの、
なかなか見ることのできない芝居でちょっとした凄みを感じたな。
愛の中のこうしたいが乖離していってるのを、
こういう部分で描かれていくのが新鮮で良いなというのと、
キャラクターの繊細さとは繊細な絵ではなく、
こうした芝居で表現できるというのをやられている気がして、
そういう意味でも目を引いたかな。
割と上で触れた美しいさらさとの対比できるポイントなのかもしれない。




部屋の中の愛から始まったので、
こういったカーテン越しや覗き見というのが今回のテーマだったのかな。
髪増量中のさらさもかわいい。



遠く見るような表情から海を眺める姿へ。
開かれた場というのが、
手狭な部屋の中やオタク君たちと話した道を思い出すと、
開放感もあり非常に新鮮に映りますね。


表情に落ちる影、揺れる髪。
ここは繊細な絵と言えるのかもしれない。
ただ逃避として海を眺める姿が傷つきながらもきれいに見えますね。



悪意は色んな方向から。
愛が座っているだけの姿を様々な角度で描かれますが、
それぞれの持つ空気感が違うのもまた引っかかる。
遠目でややぼやける愛の姿がスマホのカメラで写せばはっきりと見える。
そしてそこには表情に影を落とす愛の繊細さは映らない。
スマホのカメラの特性と見た目と、アニメ的な繊細さの違い、
そういう色んなものを見せるところが面白いポイントかもしれません。


輪郭線に反射する光が印象的ですね。
夕方になるまでいるのに影の落とし方が変わらない。
夕方になった分、愛の心情に沿うリアルな絵へと移り変わった気さえする。
時間の経過がアニメ的に強調した愛の絵をリアルへと呼び込んだ感じがして、
そういうアイディアが気になるかなと。


悪意は色んな方向から。
最初見ていた場所の反対側、愛の後ろから登場する男たち。
わざわざ移動して声をかけてくるところに、
有名人を見つけたという突発的な高揚感ではなく、
明確な悪意があることを示唆されている気がする。



俯瞰で見せるスカートの広がり方のやぼったい感じとか、
泣き顔の繊細さに惹かれるかな。



オタクアタックは過剰に。
背景がそれまでリアルよりだったので、
流背とか使うと一気にアニメっぽさが強調されるますね。
というかこのオタクが一番アニメっぽい。
今どきここまでわかりやすい記号でまとめたオタクが出るのも珍しい。
それだけはっきりとオタクとして描かないと、
オタクの苦しみが描けないのはちょっとつらい部分かもしれない。
さらさがニートとかキモオタとかナチュラルに言うのに爆笑していて言うのも何ですが。


原作の小さな1コマがここまでインパクトのある1カットへ。
原作だと小ネタ程度の絵がアニメだとやっぱインパクト大ですね。
というかかなり盛られてる感。


これもまた臨場感のある感じがするかな。
それぞれが違う場所に立つ人たちだという絵が、
本来の立ち位置を描かれているようでやや残酷かもしれない。
ただ人間、相手との距離とはこういうものかなという感はあったかな。


そういうバラバラな立ち位置だったキャラがこうして集まる。
愛の差し伸べた手のインパクト、
その重さがポップに描かれているようでもありますが、
その意味合いは大きい感。


愛の涙も、恐怖に歪んだ表情とは違い、
思うような行動が取れない自分にただ戸惑う、
心情とは別に体が反応してしまうことに悲しむ、
そういう乙女の綺麗な心を予感させる見せ方で、
愛の綺麗な部分を覗かせてくれるのがグッときます。



オタクを見送る愛。
表情に影は落ちてはいないけれども、
相手への感謝をうまく伝えられないその表情は曇ったまま。
愛が今後どういう表情を見せてくれるのか楽しみです。


見ていて良い回だったなぁと割と高揚感の高い話数でしたが、
いったいどなたの仕事なのかなかなか見えてこずちょっと悶々としてしまったな。

今作見ていて、自分は宝塚とか演劇をもっと見たい人間だということに気づいたので、
舞台を見に行きたいけどなかなか難易度が高いこともあって、
また色んな意味で悩ましい。

アニメ雑記 2021/7/11 を語る

2021-07-11 23:40:43 | ■アニメレビューとか
●僕のヒーローアカデミア 103話


風になびく髪が気になったかな。
何気ない描写ですが、新たなステージに立つ困難さ、
向かい風の表現とエンデヴァーの炎のエフェクトで印象づけてる感。
このまま歩いているだけで通用する画面に、
わざわざ風を描くところが引っかかりとして強い感。


色々教えるナンバー1ヒーローも、
食事中はただのおっさんだと思わされる。
そういう親しみを描いているのが初期のエンデヴァーとは違ってきてる感。



風とエンデヴァーの背中。
これはセットで描かれているんですよね。


なぜ風をフックにしたのかなと思っていましたが、
EDが正に風とエンデヴァーの背中と3人だったので、
今クールの中心となる話数だったことを告げられている感じ。
こういうモチーフを繋げて、
シリーズがどういう話か印象づけてくれるのもいいですね。

長期シリーズだと凹凸の激しいところはバトルが盛り上がるところですが、
前クールからずっと演習をやっているタメの話が続いているので、
なんだかなぁ~という感じになってましたけど、
ちょっとしたところで冴えた感じが良いですね。
原作になるアイディアなのか気になる感。

アニメ雑記 2021/7/6 を語る

2021-07-06 23:17:56 | ■アニメレビューとか
●閃光のハサウェイ
見てきました。
初めてハサウェイを知ったのはGジェネFだったので21年前、
原作が出たのが32年前、ようやくのアニメ化ですね。
ユニコーン以降、サンライズは宇宙世紀ガンダムを今後どのように扱うか、
というのが今後の課題だと思うんですが、
生みの親の原作をベースにしていく手法からどこまで行けるのか、
というのが気になってくる作品でもありました。

以下ネタバレ感想。



前半パートはハサウェイとギギとケネスの関係を描いていて、
ここに結構な尺を使っていることに驚かされました。
ガンダム見に来たのに全くモビルスーツ戦になる気配がなく、
マフティーの存在を通してハサウェイ、ギギが近づいていく。
そういう濃厚なボーイミーツガールで、
巧妙に隠蔽された萌えアニメだったのが驚きとでもいいましょうか。

というのもギギの見せ方が凄くアニメ的に見えたんですよね。
無重力なんかを意識した髪のなびき、揺れるピアスの金属音、
ハサウェイの心を覗くNTのような能力などなど、
ハサウェイを見つめる女性というのをとにかく気になる存在として描いていて、
それが見事にハマってるのが凄いなと。
個人的にディアナに次ぐガンダムヒロインという感じ。

カット割ってのややアオリで見せるような顔のアップなど、
どこか現実感の無さがシャフト角度のようなものを思わせられる気がして、
美少女の見せ方という文法が非常にシャフト的に個人的には映りました。

だから中盤のホテルのエレベーターのシーンで、
攻撃されてエレベーターが一時停止してから動き出すところが、
ひだまりスケッチ、まどかマギカでお馴染みの「5,4,3…」のカウントダウンに見え、
これ絶対狙ってるだろと確信していたわけですが、
よく考えたら外に出たら戦闘になるぞ、
というのをエレベーターのカウントで洒落て表現していただけなんだろうな、
という気がします。
シャフト的なのを狙ってないけどそう感じる不思議みたいな感じで。
長髪の見せ方、ポーズなんかはかなり大胆な形でしたが、
それもどの辺から出てきたのかも気になる感じかなと。

あと空港でのハサウェイとギギの会話の中で、
第三者を意識させるようなピン送りがちょっと引っかかったかな。
ギギがハサウェイにひかれるのは彼がマフティーのだと確信しているから、
だと思いますしそれが、
自分を理解してくれる美少女という造形なんだと思いますが、
ハサウェイ=マフティーというのをさらけ出されては困る視点、
というのをハサウェイの反応以外で混在してるような気がしたな。

映画館で円盤購入して再確認しようかなと思ったんですが、
今作を劇場以外で見るのはもったいない気がして気が引けました。
ただ見返す機会がないのも事実で、買っておけばよかったなという感じも。

この映画はギギとの出会い、
ギギとモビルスーツ戦と、
そしてガンダム同士の戦闘、
みたいな徐々にギギの存在からガンダムへと主題が移っていた感じで、
そこが重なり合う最初の戦闘シーンにまず度肝を抜かれる感じでした。

エレベーターから降りたところで、
ホテルに当たった弾丸が最上階付近から落下してくるのとか、
よくこんなの思いつくなぁと感心させられたんですが、
なんというか絵的に911で上の階から人が落ちてきていたのを思い出して、
もしテロ的な意味合いで引用してるなら凄まじい描写だなと。

夜の市街地を逃げ惑う人々と暗闇に現れるモビルスーツなど、
メカを主役に置かないことで起こる混乱を最大限に表現していて、
こんな描写ができるのかと思わされました。
どんなにガンダムがリアルな作品だと言われても、
どうしても主役であるモビルスーツの立ち姿をアップなどで見せる関係上、
足元の人々がクローズアップされにくい感じですが、
そこをすくい上げているのが凄いですね。
そしてそこにハサウェイとギギの関係の描写がある。
正しくメカと美少女を地でやって、それも超高密度でそれを成し遂げている。
GREATとしか言い様がないです。

後半はギギ離れをしガンダムとライバルへと視点が映っていきますが、
バトルも非常に濃密で本当に驚かされました。
中盤の夜戦でこれで第1部完!になるんだろうと思ってからが長くて、
こんなに凄いものがまだ見れるとか凄すぎるなという感じ。

次が何年後に見れるかはわかりませんが、
次回作もまた凄い作品が世に出てきたなと思える作品だといいですね。
楽しみです。