あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
というわけで年末年始はためてた秋アニメを一気観しまくっていたので、
一言感想でも。
●世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する
異世界食堂2、無職転生と合わせ今期毎週見ていた数少ない作品の1つ。
異世界召喚に明確な意図があり依頼主自体も怪しいという、
思惑が交錯する中で職務を全うしようとするプライド高いキャラクター像が新鮮だったかな。
個人的に気になったのが6話。
主人公がほとんど出ない回でしたが、
異世界において救われる少女から見た主人公が王子様、
だったことに割と衝撃を受けた感じ。
逆光や白く飛ばした背景で光としての主人公を徹底して描いているのが気になる感。
というのもシルバーリンク作品、
ひいては大沼作品全般で裸にひん剥かれる少女像とか、
主人公への依存度の高さとか、
そういうのを作品に躊躇なく組み込むスタイルというか、
危機に瀕する少女をそのまま描き出すグロテスクさと萌えとの紙一重のスレスレを、
なぜあえて進もうとするんだろうか?
それはどう呼べばいいものなのか?
みたいな疑問が長年ありまして。
今作の6話の王子様発言でそれが一気に氷塊したような気がするんですよね。
物語における救いの手、王子が少女を救う物語、
そういった古典をずっとやり続けていたのか、みたいな。
作品的に主人公は救った少女を弱みにつけ込む形で利用するような感じになるので、
そう簡単な描写ではないですが、
一面として少女に王子様願望を呼び起こさせる話をやってきている、
というのが妙に腑に落ちたな、と。
割とシルリン作品を見るときはこの辺意識してると自分の中のわだかまりが解けそうだなと、
そういう実感を受け取れたのが個人的に良かったです。
今作であともやもやするのが主人公のルーグが裸になって親に身体検査される辺りですかね。
ルーグも下僕にした少女たちに同じことをやりますが、
暗殺者に育てるためという名目でそれを描写する倫理的な視点はどうしてもついてくるので、
その感情というか違和感をどう言葉にしたらいいかわからないというのが正直なところ。
ルーグ自体は精神は成熟しているし暗殺者として完成しているので、
父の意図を察しているのはよくわかりますが傍から見たら虐待でしかなく、みたいな。
そこをカットして他の訓練を入れてもいいはずなのに、なぜそこを攻めるのか。
個人的にそういうリアル感は好きだけど、みたいな。
まあ色々と考えてしまいますね。
センセーショナルな絵を入れることで興味を引いてるだけと言えばそうとも言えるし、
あえて逃げないことで描けるドラマを描いているというようにも言えるし。
なかなか自分の中ではっきりしたものが出てこないのがもどかしい感じ。
●takt op.Destiny
原作に広井王子の名前があってちょっとびっくり。
キャラクター名にクラシックの曲名入れていたりちょっと中二的な感じですが、
音楽を武器にするという名目においてはよくわからない感じ。
2話で冒頭でモーツァルトのレクイエムが流れた辺りで、
場面につける曲としてのクラシックとしては他の先行作品と立ち位置が若干違う印象。
大体バトルでクラシックを流すのがアニメでは定番ですが、
世界観の変容を伝えるニュースで流すのは意外かな、と。
ただなぜ先行作品がバトル重視だったかが逆説的に実感として伝わってくるような気も。
個人的に11話のこの辺が気になったかな。
姉妹の今生の別れのシーンで互いに似たような丸いものをぶら下げている、
っていうのを強調されている感が、2人が姉妹であることに触れられている気がしたな。
言葉尻に、お姉ちゃん、がこないのがやや違和感だったので、
ここは運命の家族としてではなく使命が優先される場面という考え方だったのかなとか。
と思ったら最後の最後でああいう流れだったので、
ムジカートを受け継ぐものという印象づけだったのかもなと思ったり。
ゲームの前日譚というストーリーらしいですが、
妹を失った世界にあまり興味が持てないというのが個人的な実感かな。
バトルなんかも派手でかっこよく面白かったですが、
キャラクター描写が充実した6話などを見ると、
心情描写を深堀りする回とバトル回は結構意識して気に分けていたのかな。
というかバトル描写があまり心情描写に繋がっている印象がなく、
バトルはバトルと割り切っていた気がしたかな、と。
アクションにしか興味がないアニメーターとドラマをやりたい演出家の棲み分けの解みたいな印象、みたいな?
最終話付近は流石にそういう印象はしませんでしたが。
シャフト作品が映像の部品を作ってるような感じというのをどこかで見かけましたけど、
今はどこも部品を作っているという意識が強いのかな、みたいなことを感じたかな、と。
●月とライカと吸血姫
OP。
湖からせり上がってくるイリナの姿からして謎めいたOPですよね。
こうしたOPの突飛な描写から本編で意味するところを意識する、
より本編に集中して見ることができるという意味で個人的に好み。
なんというか東映っぽいレイアウトな感がするかな。
宇宙を目指すという意味では王立宇宙軍を思い出しますし、
割とアニメでやることに対して色んな方向に意識が向く作品かなぁと。
林原めぐみがヒロインなのも王立からのガイナのイメージを思い浮かべてしまいますし。
OPのクレジットで監督の名前が最初の方に出るのもちょっと意外で。
監督名が出る絵は作品で監督が背負ってるものに近い、
というのを見ながらいつも考えていましたが今作は変則的な分また違うのかなと気になったな。
ALI PROJECTのOPつながりでキャクター紹介部分が『Another』のOPっぽい気がしましたが、
テーマ的にあれもローゼンメイデン意識かなという気がしたので、
割とアリプロしりとりがされてるのかなと思ってしまったり。
ロケットで宇宙に出てピタゴラスイッチ的に、
またはロシアつながりでマトリョーシカのアイディアの変容で中から棺が出たりとか、
宇宙服を着てたり来てなかったり立ち位置が変わったりと、
妙にあっちこっちへ飛ぶ思わせぶりなOPで、
変わったことはあまりしていないのにメチャクチャ変に感じるのが見ていて楽しいかな。
3人の関係が最後まで描かれていたのが個人的に良かったかな。
女の子2人で凍った湖ではしゃいだりとか、
イリナとレフのデートとか関係性を見せるシーンが充実していて、
個人的に見ていて充実感を感じるシーンが多かったように思います。
7話で宇宙からイリナのボルシチの通信がきた達成感が印象的で、
「今日の献立はボルシチよ!」 は個人的な今期の名ゼリフとなりました。
●SELECTION PROJECT
今どきの言葉でいうと画面のルック、見た目が最新だという風に感じたかな。
基本的に動画工房作品は苦手意識が強いですが、
今作ではあまりそういうのを感じずに素直に見れたのが新鮮だったな。
アイドルオーディションものでグループ結成は甘い気もしたけど、
人生こそがオーディションというのが非常に納得できるものだったので、
最後にグッと来たな。
姉の早見沙織が死んで妹が受け継ぐって最近なにかあったような、
と思ったら『フラ・フラダンス』だった。
しかし容姿を受け継いだ妹が心臓を受け継いだキャラに嫉妬しちゃうの、
なかなかの身体の神秘だなと思ったりも。
●見える子ちゃん
OPでミサトさんやってたりけいおんだったりと、
なんだか理系を思い出す感じだったな。
見える幽霊がどれもグロテスクで、
見える子ちゃんが恐怖に耐える描写の説得力を作っていて楽しかったな。
●境界戦機
日本が分割支配されるっていうの、悪いニュースが重なってる為か、
割と最近はそういう危機意識あるなという風に見てしまっていたな。
政治的な思惑よりヤバいロボットを倒すぞ!は政治的背景を引いた物語から若干引いた感じで、
まだそこまで踏み込めない感じだったのかな。
OPで主人公と女子のラブ・ロマンスを若干期待してたので、
それがなかったのがやや残念。
ライバルの立ち位置からガンダム00を下敷きにした作品という感が強かったな。
マスコットキャラのAIとの関係と政治的背景から、
子供向け馴染みなルックと物語的なハードさの両立を目指してるのが伝わってきて、
割と達成されていたのではないかという手応えもあり見ていて面白かった。
●真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました
ヒロインとの新婚生活いいねぇ~みたいな感じで見てしまっていた。
勇者に関する呪いとか、テイルズオブシンフォニアとか思い出す感。
勇者を殺す暗殺者が主人公の作品がある一方で、
勇者に寄り添う暗殺者がいる作品があるのが今期的には良い塩梅という感。
主人公を逆恨みする賢者が主人公とヒロインの家を傷つけるのがなかなかセンセーショナルな絵だったな。
ベッドを切り裂く辺りとかこの上でやってるんだろぉ!という恨み節たっぷりで、
そういう充実した生活に対する恨みの怖さにリアル感を感じたかなと。
あと主人公名前がレッドなので、
戦隊ヒーローにおけるレッドがチラつくがちょっと辛いかな。
まあ偽名っぽいしレッドが抜けたパーティという意味を含むのかもしれないけど、
赤じゃないのにレッドってなぁみたいな感じになるというか。
ヒロインがリットで発音が似てるのも気になるという感。