2013.11.22(金) 曇り
水上文学風景写真展で渡辺剛さんの写真が最優秀賞を受賞され、一滴文庫で展示中というので見に行く。
一滴文庫がおおいの地にあることは上林に住まいしてから知っていたのだがさしたる興味も無くて訪ねることは無かった。水上勉氏にゆかりの施設であることも知っていたが、「飢餓海峡」しか読んだことのないわたしにとって水上氏に強い関心があるわけでもなかった。
渡辺淳(すなお)氏にお目にかかって、氏の作品や画文集を見て水上勉氏に関心を抱くこととなった。水上文学の挿絵が渡辺さんの画で描かれていることを聞いて、両氏の共通のモチーフがわかるような気がした。貧困、日本海側の暗くて寒い気候、(これをわたしはウラニシ気候と言ってるのだが、)そして草や木の声を聞くこと、ではないだろうか。
長谷坂峠を越えた所は台風の影響で未だ一方通行となっている。渡辺淳さんは自転車でこの峠を越えて上林に来られていた。しかもママチャリで。
「飢餓海峡」しか読んでないで何を言うかと叱られそうだが、いかがだろうか。
予期していなかったのだが一滴文庫では渡辺淳展を開催中だった。(~2014.2.3)特に挿絵となった画が出来上がった本と並んで展示されているのだが、渡辺氏は「足を引っ張った」と謙遜されているが、水上氏の作品には無くてはならない挿絵だと思う。それは多分作品に現れる風景を描かれたのでは無くて、水上氏の表現されようとするモチーフを画にされたのではないだろうか。
角川文庫の水上作品全冊の表紙を渡辺氏が描いておられる、表紙とタイトルだけで読みたくなるばかりだ。
入館すると最初に水上氏のビデオを見ることとなる。「わたしはありがたいことに家が貧乏でしたので、そのことがその後の球根となりました」と言うようなことをおっしゃっており、かみさんが随分気に入ったようだ。貧困たって、現在の貧困とは比べものにならないのだが、何となく共感したのだろう。
文学にしたって芸術にしたって貧困からは多くのものが生み出されるが、富貴な所からは退廃しか生まれないと思うのは貧者のひがみだろうか。
水上氏は「生まれた村に小さな図書館を建てて、ぼくと同じように本を読みたくても買えない少年に開放することに決めた。」というようなことでこの文庫をつくられた。
若州一滴文庫入り口。
70歳を越えたら無料になるので、毎日かよって読みたいななどと少年ではないけれど夢みるほど素晴らしい文庫なのである。つづく
【今日のじょん】今日はじょんも一緒に若狭に遊んだのでありまス。
こんなに広い芝生があるのだワン。遠くに見えるのが青葉山。(うみんぴあで)