2~3日前の出来事。
雨がやんでいる、早朝の散歩を少し早目に出かけた。
途中、見慣れた川の近くに 救急車と消防車が来ている
あ、また車がおちたか? 雨で増水した広い川面はすこし濁り、それでも静かに流れているのに・・・
なにか あわただしい人達の気配で、足がとまった
警察官、救急隊員が橋の欄干から下の川面をのぞいている
生い茂った夏草の陰から見えたのは・・・
赤い小さなボートが浮かび、ロープを使い2人で救助作業が行われているようだ。
むこうから、老婦人の二人連れが急ぎ足で歩いてきた。
「なにかあったのですか?」
「え~、いまさきね、あの橋のたもとで・・・かわいそうなことが・・・」
第一通報者の二人は、
「近くの施設に急ぎ引き返し、警察へ通報した」 と興奮して、一部始終を早口で話しをされた。
橋の傍に、学生鞄と靴が揃えてあって・・・
「まだ若い人だったですよ、男の学生さんだった・・・」
私は全てを察した 足がふわりとなり力が抜けた
胸がしめつけられそうになった。
なにか余程の思いつめたものがあっての事だろうが、
傍に誰か手助けをしてくれる人が、いなかったのだろうか
なにかの信号を、おくっていたに違いないのにと 悲しく切なく思った。
しばらく 救助作業を少し離れたところから見守っていたが、やりきれなくなってまた歩きだした。
やがて背後から、消防自動車と救急車が私を追い越して行く
私はしずかに頭をさげて見送った。
若い人達よ、どうか命を粗末にしないで、強く生きていって・・・。