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『江戸の坂・東京の坂』その37。六本木の坂道の続きだが、不動坂と並行してすぐそばにあるのが、『丹波谷坂』。この坂は江戸時代元和年間に旗本岡部丹羽守の屋敷が出来たため、坂下を丹羽谷と言った。昭和初期にこの坂道が出来たが、谷の名前からこの名称となった。かなり細くて急な道であり、滑り止めの凹凸が付いている。
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丹羽谷坂を上って少し先に歩くと旧六本木プリンスの裏手、現在、六本木3丁目再開発ビルの建設現場に出る。
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そこを左に曲がると『なだれ坂』。これも急坂のため、小生はなだれおちるからかと思ったが、案内板によると『流華・奈大礼・長華などとも書いた。もとは住民からは「ながたれ坂」と言われていた。よくわからないが、土砂崩れがあったためではないか』とあるが、はっきりはわからない。幸国寺の前であったため幸国坂、旧町名を取って市兵衞坂とも呼ばれた。
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また、丹羽谷坂の頂上に戻り、右折するが、この辺りは古い民家が密集しており、ちょうど藤の花が咲いている。少し愛でると住人らしきおばあさんが綺麗でしょと話しかけてくる。のんびりした六本木もまだあるのだ。
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その先を歩き、左に折れると『寄席坂』。これは坂の途中の北側に明治から大正3年まで福井亭という寄席があったため、つけられた。
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3回曲がる細い坂を下ると高速道路下の広い道路に出る。その辺りから六本木交差点までだらだら上る坂が『市三坂』。これは明治20年代に開かれた坂。名主の名がついた『市兵衞町』と松平三河守忠直邸のあった『三河町』の間にあった坂道のため、その頭文字を一字ずつ取ってこの名前にしたもの。歩道も広く、俳優座の前を通るが、交通量も多く風情もない。
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一歩、中に入ったのと大通り沿いとでは全く変わる六本木の町並みを歩くのも楽しいが、数年経つとこの辺りも再開発されるのではとも思った。
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