向島百花園は東武博物館から700mほど歩いたところにある。今は都営庭園であるが、元々は江戸時代に私人により作られた庭園で、とにかく風情のかたまりのように感じる。
東武博物館からは水戸街道の一本手前を右折、明治通りを越えて、後はまっすぐだが、入口は奥にあり中々到達しない。また、入口手前は児童公園となっている。
150円を払い入場するとすぐに福禄寿と書いてある。これはこの地が隅田川七福神の発祥地で庭園を開園させた佐原某が所有していたとも言われている福禄寿が祀られている。
また、この庭園には松尾芭蕉をはじめとする句碑がそこらに数多く建てられているのも特徴。今は公営だが、1939年までは民営であった名残からか風流なものが数多くある。
例えば萩のトンネルや池など手作り感が満載の設えなどである。もうすぐ冬を迎える晩秋の1日、庭師の人たちは雪つりの準備や池さらいなどに追われていた。一方、菊の鉢も並べてあるがさすがにもう見頃を過ぎていた。
それでもまだ、八重咲きのサザンカやアザミなどが咲き誇り、生姜が白い可憐な花をつけていた。もうあまり花のない季節ながらも、探すと幾種類も花が咲くこの庭園はさすがに百花園という名前に違うことのないことを実感。
天気もいいので池に近い席に座り、古い茶店でお茶を求め、時を忘れてイチョウの黄葉やモミジの紅葉などを観るが、これはかなりの贅沢である。
しかし、それも3時頃まで、秋の日はつるべ落としである。この場に座ると景観の維持の重要性を感じ、ああ、あのマンションが無ければな、まあ、これこそ本当の贅沢な話だが。