猿に因んだ寺社を巡る。最初に伺ったのは『栄閑院さる寺』、場所は東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩5分くらい、ちょうど愛宕神社の真裏に当たり。表通りから1本入るだけで静けさが漂う不思議な場所にある。
栄閑院は浄土宗の寺院で天徳寺の塔頭として江戸時代に建てらたもの。その周辺にも同様の寺院が並ぶ。解体新書で知られている杉田玄白の墓があることでも知られている。もちろん、墓にもお参りしたが、質素なお墓であった。
山門をくぐると右側に水子地蔵とは猿塚がある。
猿寺の言われは『昔猿回しが寺に来た際に住職の好意で寺に滞在することになった。するとこの猿回しが信心深く、また境内で曲芸を披露したのでさる寺と呼ばれるようになった』などらしい。そのためか、参道の左右には一対の猿の像があるが、いずれも高村光雲の老猿を彷彿させる厳しい顔をしている。
次に訪れたのが小野照崎神社、東京メトロ日比谷線下谷駅から3分くらいのところにある。今の時期はちょうどイチョウが黄色く色付いていて美しい。
この神社は小野篁を主祭神とし、相殿に菅原道眞を祀る。元は上野にあったが、江戸時代の寛永寺建立の際にこの地に移された。猿がいるのはその境内にある庚申塚。因みに日本三大庚申の一つである。
庚申信仰とは中国の道教に由来するもの。人の体内に三尸(さんし)という虫がいて庚申の日の夜、人が寝ている間に天帝にその人の悪事を報告にいくと信じられている。これを避けるために庚申の日の夜は眠らず天帝や猿田彦を祀り、宴会や勤行をしたりする風習のことである。
庚申塚には『申』が干支の猿に例えられるため、三猿(みざる、いわざる、きかざる)を彫ることが多い。
その庚申塚には三猿を刻した石板が多数あることに加え、可愛らしい手をあわせる猿の石像も供えられている。
次の干支でもあり、かわいらしく信心深い猿の石像を見て、小生も思わず手を合わせて来年の多幸を祈った。