『メトロに乗って』その79。今回は都営地下鉄三田線・浅草線の通る三田駅で降りて駅周辺ゆ歩いてみる。まず不思議なのは地下鉄は三田駅、しかし、JR山手線は田町と違う駅名を使いながら同じところにある。これは浜松町駅と大門駅、原宿駅と明治神宮前駅と同じ関係なのかも知れないが、初めてくる旅行者にはかなりわかりにくい。
三田駅を降りるとすぐ前、箱根駅伝でも走る第一京浜に出る。そのすぐ先、三菱自動車本社前には『西郷隆盛、勝海舟会見の場所』と書かれた丸い石碑が建てられている。西郷隆盛は今年の大河ドラマの主人公であるが、慶応4年に当時ここにあった薩摩藩蔵屋敷で勝海舟と会談し、江戸無血開城を決めたのである。それによりかなりの人命が救われたとされている。当時はこのすぐ前は浜で、薩摩藩が海上輸送により運んできた物資を蓄えていたのである。余談だが落語で有名な『芝浜』もこの辺りで革の財布を拾うことから物語が始まる。
少し行くとNECの本社があるが、その裏手には『薩摩屋敷跡』の石碑がある。
蔵屋敷から歩いて5分程度の距離にあった。その奥には古い煉瓦製の土台の一部が残されているが、これは明治44年に煉瓦造り2階建の日本電気初代本社が建築された際の土台部分であり、現在高層ビルとなった今も残されている。
お隣の中央三井信託銀行(旧中央信託銀行本店)東京営業部のビルの裏には『芝さつまのみち』と題したパネルがある。
江戸時代には芝に各藩の江戸屋敷があったが、その中でも薩摩藩屋敷は東西800m、南北300mという広大な敷地であったことがわかる。(以下、次回)