hokutoのきまぐれ散歩

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椿の展覧会に足を運ぶ

2021-12-15 05:00:00 | 日記
日本橋で開催中の展覧会に行った。場所は日本橋高島屋の向かい、さくら通りを少し入った所にあるアンペルギャラリー。アンペルは椿の花言葉UNPRETENTIOUS ELEGANCEを語源としたものである。

あいおい ニッセイ同和損害保険の前身の一つである大東京火災の創業者反町茂作が四季を問わず緑をたたえ、鮮やかな花を咲かせる椿をシンボルマークとしたことから椿の絵画を収集。そのコレクションの一部が展示されている。

全部で17点のこじんまりした展覧会であるが、同じ椿を題材にしてもこれだけ色々な作品があることに驚かされる。入口に近い所から岸田劉生、村上華岳の赤い椿の絵がならんでいる。



ひときわ筆の繊細さ、完成度の高さを感じさせるのが安田靫彦の紅白の椿。誰が見ても素晴らしいと思うだろう。

好対照なのが、お隣の熊谷守一。赤い椿の花だけがごろんごろんと5つ転がり、背景の緑と相まってインパクトのある絵。書かれたのは板の上、熊谷先生らしく素晴らしい。

文豪夏目漱石の描いた椿も出展されている。小説はもちろん有名だが、のみならず日本画や俳句も嗜んでいて、素人離れした作品。俳句でも『鐘つけば銀杏ちるなり建長寺』の句を聞いて正岡子規が『柿食えば鐘がなるなり法隆寺』の名作を作ったという話は有名である。



中央に展示されている屏風絵は狩野山楽と伝えられている。屏風全体に赤い花をつけた椿が描かれているが、花の上に枯れた椿の葉が描かれているのは何を意味するのだろうと考えてしまう。

ロシアに抑留された頃見た椿を思い出して描いた香月泰雄の作品は暗い空に向かって力強く咲く花の勢いを感じさせる。

ほかにも高山辰雄、徳岡神泉など有名な作家の作品の並ぶ小さな展覧会。入場無料、ゆっくりと鑑賞することができる。因みに今回は今年1月に続き2回目、前回は竹久夢二の作品に見惚れてしまったのである。