直近に『昭和の暮らし博物館』という昭和25年築の民家を見学したからではないが、古い日本家屋に入ると落ち着くし、懐かしさを感じる。本日お邪魔した市谷の『あて』も昭和34年築の二階建民家をそのまま使って営業している居酒屋である。
近年、昭和レトロが注目されているが、実はこの店はそのブームに乗ったものではなく、2009年これには私がお邪魔してから15年にもなっている。
懐かしい玄関の引き戸を開けてはいる。中は2階建で3人以上のお客さんは2階、1〜2人は1階に案内される。1階はカウンターとその後ろに2人掛けの席が2つ、ただ、机も小さく、私はカウンターの方が好きである。この日はスタートが18時、先客は1人で手酌で呑んでいた。我々は壁側から2人で座り、目の前の板前さんと話しながらとベストポジション。
まだ、暑さが残る中、乾杯の生ビールが美味い。お通しは必ず握り寿司一巻と佃煮、これをいただき、腹を落ち着かせる。
あてはまず刺身盛り合わせ、イサキ、マグロトロ、イカ、カツオ、甘エビの5品。いずれも新鮮、特にイサキが脂の乗りが良く美味い。酒をすぐに注文、この店は塗りの片口で提供される。まずは『鳳凰美田』(栃木県)と無難なところ、刺身にはいい。
次いで牛すじ豆腐、見た目ほど味は濃くない。甘みを抑えてもまろやかに仕上がっている。酒は『手取川』(石川県)へ。
煮物が続くが、イワシの梅煮。この店で覚えて我が家の定番つまみとなっている。新鮮なイワシは骨が簡単に外れて、浅く煮ているため、身を煮汁に付けて頂く。
さっぱりとクリームチーズの西京漬、きゅうりの上に乗せてある。酒は『酔右衞門』(岩手県)、ねっとりと旨みのある味とチーズが良く合う。
煮あなごは蕩けるような柔らかさ。わさびを乗せて頂くが、酒が進みすぎる。少し辛口もと『秋鹿』(大阪府)を注文した。ひやおろしだが、まろやか、くいくいといってしまう。
揚げ物は公魚の唐揚げ、小さめのサイズがいい。さらに漬物、にんじん、大根、きゅうりの糠漬け。いずれもよく漬かっていて酸っぱさだけでなく甘さも感じる。『雨後の月』(広島県)はしっかりとしたフルボディであった。
隣の人が頼んだ竹輪の磯辺揚げが気になり、注文。値段も安く、お得感あり。よく銀行の食堂で昼飯に食べた話になる。
酒は『川口納豆』(宮城県)、面白い名前だが、綿屋を醸す金の井酒造が川口納豆さんの田んぼで育てた美山錦を使い、作られた特別なお酒。ひやおろしだが、素晴らしい出来であった。
もう呑み過ぎと言いつつ、最後は『紀土』(和歌山県)で締め、トータル2人で7合。よく呑み、よく食べの宴会となりました。実はご一緒したSくんの卒業記念、楽しい酒盛りでした。ご馳走さまでした。
あて煮込み肴
千代田区九段南4ー8ー34
0332620044