映画「NOPE ノープ」を観た。
ジョーダン・ピール監督の他の作品と同様、ネタバレ厳禁である。ネタバレした後の収束も他の作品と同じように手際がいいのだが、本作品はそれほどスカッとならない。
極限状況に直面した主人公と、正常性バイアスによって彼らを信じない人々。チンパンジーの一件は、主人公の兄妹に降りかかる災難のメタファーだと思う。他の動物をある程度は馴致したり調教できたりしても、完全に人間の思いどおりにはならない。多分そういうことだ。
序盤から中盤にかけては、伏線を散りばめるためなのかどうにも物語の進行がのろのろしている。恐怖感や緊迫感がないから、物語の行方に興味を失いそうになる。簡単に言うと眠くなるのだ。終盤の急激な変化の展開が待っていると知っていたら、すべての伏線を刮目して観ていただろうと悔やまれる部分はあるが、前半に緊張感をもたらさなかったのは制作側の失敗だと思う。ネタバレを観ても、なるほどね、としか感じなかった。