蘇軾の「赤壁賦」の詩の一節に「撃空明兮泝流光」というのがある。
その一節が書かれたお軸が稽古の席に掛けてあった。
この「赤壁賦」は、後世に伝承された詩文の一つ。
赤壁は、ご存知の三国志で覇を争って大激戦したところ。
蘇軾は、魏の曹操や呉の周瑜の盛衰を偲び、自分の儚い身の上を嘆き、大自然の前では人間は儚いものであることを悟る。
虚心に明月と長江の清風を楽しみ憂いを忘れた、という感慨を綴ったのが、この赤壁賦である。
この一節は、赤壁賦の中でも蘇軾の情緒心を最大限に表現した一文である。
訳すと、「空明(くうめい)を撃ちて流光に泝(さかのぼる)」となる。
今回の稽古は、この一節の、蘇軾の想いを感じるとるためにイマジネーションを膨らますことが宗匠から求められた。
しかしながら、基礎知識があるわけではないので、過分な内容にあたふたするだけだった。
宗匠の誘導によって見えてきたストーリーは、
東山に月が浮かび、長江の水面の、白露のように光る月に導かれ、小舟は飛翔し天に昇る心地になる、という蘇軾の心情を綴った一節である。
お茶は、茶銚に茶葉を入れ、茶碗にとっていた冷水を、茶葉にかからないようにゆっくり入れ、待つこと5分。それを茶碗に注ぐ。掌(たなごころ)という淹れ方で3煎まで淹れた。
1煎から2煎、そして3煎にもなると、渋味も薄らぎまろやかな味へと変化していく。茶味をとおし蘇軾の心情に寄りそうための稽古であった。
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