古ーいMR2のはなし

黒バンパー初期型AW11

空力のはなし

2007-10-12 23:55:40 | AW11
このあいだ買った本「現代のライトウェイトスポーツ」の
AW11のページに、「リアスポを付けたことにより
CL値が63%下がった」と解説があった。
揚力係数CLと言うだけに浮き上がりにくくなった事は
何となく解る。けどちょっと調べたくなったので
図書館でそれらしい本をさがしてみた。

<揚力係数&抵抗係数>
航空関係の本でCL値について見てみると、
「物体の形状、姿勢などに関係する無次元の係数」
・・・わからん。
この本でも係数をどうやって出すかは記述していないので
何とも言えないが、
揚力L=CLx1/2ρV2xS
これで見ると実際の揚力は空気密度、速度の他に翼の面積が
関係している。

う~ん、全部掛け算だから係数だけ下げても車体がデカい車は
面積がデカいから同じ形状なら相対的に揚力もデカいってことじゃん。
抵抗Dも上の式の係数がCDに入れ替わるだけで面積に比例している。
抵抗値がデカいと浮きにくくなるから、
「面積がデカい=浮き上がる」とはならないけど、車の場合は
地面を走るから抵抗Dが大きくてもイイんじゃないか?

よく車のカタログとか雑誌にCD値が低いとか書いてあるのは
事実なのだろうけど、空気抵抗Dが低いという説明は見たことが無い。
それに抵抗Dだけ低くても揚力との差がデカいと浮き上がり易いわけで、
そう考えると仮に面積が同じなら、CD値というのはより低い方が
デザインが優れているという広告的な意味合いが
大きいんじゃないだろうか?

<位置は適切?>
スポイラーで接地力を稼ぐと言うのはわざわざ抵抗Dを
大きくしていることと同じような気がするがどうなのだろう。
それにリアが重い車にリアスポという位置がホントに
効果的なのかという疑問も沸く。
車両全体に接地を強めたいなら、前後方向で言えば風が当たる範囲で
より車体中央寄りに着けたほうが効果的なのじゃないだろうか?
だって車両後端に上向きの板があったらリアタイヤの接地は高まるけど
テコの原理で前が上がり気味になりそうだ。

できれば短い翼のようにボディ横に付けて角度は後ろ上がりにしたら
良いのでは?
ただし流れが乱れないような処理は必要そうだけど。
そう考えるとテスタロッサのリアフェンダーの張りはそんなイメージに
見えなくもない。

それとも一般的に車は、フロントガラスが少なからず空気を
跳ね上げる役目を担っているのかも。
でも全高が低くワンモーションなスポーツカーは、形状が
飛行機の翼に近い(浮き上がりやすい)からリアで空気を跳ね上げる
ような処理にしていると考えれば辻褄が合う気がする。

<下向きの圧力?>
spoilを辞書で引くと「だいなしにする」
CD値を台無しにするのか、浮き上がりを台無しにするのか
空気の流れを台無しにするのか・・・
スポイラーと言う言葉は含みがあるなあ。

まあそれは置いといて、
この本を読んでいて、飛行機の翼の断面を逆方向に膨らませて
適切な角度にすれば力が下に向かうので車のリアウイングに
使えるんじゃないかと気がついた。(遅い)
例えばGTウイングって見た目はエグイけど、より最適化に近づけた
機能的なモノなのかもしれない。(断面を見たこと無いが)
少し前の某国産ワゴンには変な位置にウイングが付いているけど、
効果は別にしてしっかり下方に向かって膨らんでいる。

< 謎 >
よく使われるダウンフォースという言葉に何か和製英語ぽい語感を
得たので調べてみたら、予想通り該当するものが無かった。
揚力=lift force の反対語は日本語にも英語にも存在しない。
で、ちょっと深く考えてみて目からウロコが落ちた。
下に向かう力は引力しかないということ。
何かを下に向かって押す場合は力を掛けているんじゃ無く
引力に体を預けているだけだ。(重力)

力を掛ける場合を想像してみると・・・
力を掛ける位置が同じなら物体を横にしようが逆さにしようが
力を掛けられる物体から見たら同じ方向。
で、車のリアウイングは下に向かって揚力を掛けているけど
坂を走れば斜めに揚力が掛かる。でも重力は真下(鉛直)だ。
「物体の形状、姿勢などに関係する無次元の係数」の意味が
何となくイメージできてきた。
ダウンフォースとは話を解りやすくするために便宜的に
使われる言葉なのかもしれない。

<効果>
ここまで考えてAW11のリアスポに効果があるとすれば
抵抗を上げて揚力を打ち消しているか、浮き上がってしまう
時期を遅くすべく力の向きを変えている感じだろうか。

どちらかと言えばトランクフードの重量を稼いで、
開閉するときの重厚感とフックの掛かりを良くするためという
2次的な効果の恩恵を実感している自分なのだ。

コメント
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