見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

翡翠と玉と/国立科学博物館

2005-01-05 08:37:52 | 行ったもの(美術館・見仏)
○国立科学博物館『特別展 翡翠展ー東洋の至宝』

http://www.kahaku.go.jp/

 1月2日、世田谷美術館のあと、少し時間があったので、上野にまわった。もう4時を過ぎていたが、日曜日のため、科博は6時まで開館しているという。ラッキー!

 この展覧会は、一面では科学博物館らしく、鉱物学や地質学の観点から翡翠を扱い、一面では文化史の観点から考古資料や翡翠工芸の名品(北京・故宮博物院蔵の文物)を展示している。このコラボレーションがなかなか面白かった。

 本物の翡翠は加工の難しい硬石であり、澄んだ色の翡翠は極めて稀少であること、中国で「玉」と称されるものは軟石であること、さらに軟石の「翡翠もどき」は大量に産出されていること(中国で安い土産物に加工されているのはこういう石ね)、それから、日本では縄文前期から翡翠の装飾品の出土例があり、これは世界で最も早い翡翠の加工例であることなど、新鮮な知識でとてもおもしろかった。でも、どうして奈良時代以降、翡翠の使用は日本史の舞台から消えてしまったのでしょう...不思議だなあ。あと、勾玉のかたちをどうして古代日本人がそんなに好んだのかも不思議。

 本物の翡翠って、初めて意識して見たけどきれいだった。でも私は少し白濁した感じの「玉」のほうが、温かみが感じられて好きかなあ。

 実はこの展示会、鉱物学と文化史のほかにもうひとつ、現代の翡翠工芸にも目配りしている。その結果、翡翠の原石や故宮博物院の文物と並べて現代の有名デザイナーの作品を展示しているのはまだしも、会場の出口には、数十万円、数百万円の宝飾品や工芸品を即売するお店が出ているのだ。びっくりした~。デパートかと思った。科博も法人化したら、何でもありか...
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