○東京国立博物館 特別展『スリランカ-輝く島の美に出会う』
http://www.tnm.go.jp/
仏像、神像から宝飾品、仮面、浣腸器(!)まで、スリランカの芸術作品をまとめて紹介する展覧会。最初の部屋に入ると、大小さまざまの仏像が展示されている。そうそう、スリランカといえば、仏教国だよね。小さな金銅仏は、広い肩幅にスリムな腰まわりの逆三角形の上半身に、長い足をきっちり結跏趺坐した坐像が多く、頭頂部と両膝を結ぶ線が、また見事な二等辺三角形になっている。お顔は親しみやすい、丸鼻の南方系。
立像には、両手を胸の前に上げ、左手は手の甲を正面に向けて衣の端をつかみ、右手は手のひらを体躯に垂直に立てて「施無畏」をあらわすものがある。日本では全く見たことのない、めずらしい印相。薄い衣の表現は、清涼寺式釈迦如来を思わせる。
大きい石仏や石柱はレプリカだったが、十分鑑賞に堪えるものだった。面白かったのは、石の門扉を倒したような「小用トイレ」(これも模造)。いくぶん窪んだ石板が用を足すところらしいのだが、え、どうなっているの?と思って覗き込んだら、物陰に小さな穴が穿ってあった。ここから地中に流れ出すというわけか、と納得。
本展のシンボルになっている黄金の観音菩薩坐像(半跏像)は、高く結い上げた髪とくつろいだ姿勢が、中国なら宋代の仏像に似ている。しかし、解説に「後期アヌラーダプラ時代・9世紀」とあるので、宋代よりは、だいぶ前だ。
続くポロンナルワ時代から諸王国時代(11~16世紀)に入ると、インドの影響が強まる。ヒンドゥー教が広まり、肉体の隅々まで生命力の漲る、インド風の神像がつくられた。後ろにまわってみて、お尻の張り出し方の立派なことに感心する。それから、キャンディ王国時代(16世紀~)を経て、18~19世紀には仏教が復興する。日本でいえば近代の仏像彫刻にも、それなりに見るべきものがあるのは、敬虔な信仰心が保たれていたからだろうか。
スリランカ大使館やスリランカ航空とのタイアップ企画ということで、グッズや観光地紹介のパネルも多数。着飾ったゾウのお祭り、見てみたいな。
■展覧会ホームページ
http://www.serendipity2008.jp/index.html
http://www.tnm.go.jp/
仏像、神像から宝飾品、仮面、浣腸器(!)まで、スリランカの芸術作品をまとめて紹介する展覧会。最初の部屋に入ると、大小さまざまの仏像が展示されている。そうそう、スリランカといえば、仏教国だよね。小さな金銅仏は、広い肩幅にスリムな腰まわりの逆三角形の上半身に、長い足をきっちり結跏趺坐した坐像が多く、頭頂部と両膝を結ぶ線が、また見事な二等辺三角形になっている。お顔は親しみやすい、丸鼻の南方系。
立像には、両手を胸の前に上げ、左手は手の甲を正面に向けて衣の端をつかみ、右手は手のひらを体躯に垂直に立てて「施無畏」をあらわすものがある。日本では全く見たことのない、めずらしい印相。薄い衣の表現は、清涼寺式釈迦如来を思わせる。
大きい石仏や石柱はレプリカだったが、十分鑑賞に堪えるものだった。面白かったのは、石の門扉を倒したような「小用トイレ」(これも模造)。いくぶん窪んだ石板が用を足すところらしいのだが、え、どうなっているの?と思って覗き込んだら、物陰に小さな穴が穿ってあった。ここから地中に流れ出すというわけか、と納得。
本展のシンボルになっている黄金の観音菩薩坐像(半跏像)は、高く結い上げた髪とくつろいだ姿勢が、中国なら宋代の仏像に似ている。しかし、解説に「後期アヌラーダプラ時代・9世紀」とあるので、宋代よりは、だいぶ前だ。
続くポロンナルワ時代から諸王国時代(11~16世紀)に入ると、インドの影響が強まる。ヒンドゥー教が広まり、肉体の隅々まで生命力の漲る、インド風の神像がつくられた。後ろにまわってみて、お尻の張り出し方の立派なことに感心する。それから、キャンディ王国時代(16世紀~)を経て、18~19世紀には仏教が復興する。日本でいえば近代の仏像彫刻にも、それなりに見るべきものがあるのは、敬虔な信仰心が保たれていたからだろうか。
スリランカ大使館やスリランカ航空とのタイアップ企画ということで、グッズや観光地紹介のパネルも多数。着飾ったゾウのお祭り、見てみたいな。
■展覧会ホームページ
http://www.serendipity2008.jp/index.html