〇国立歴史民俗博物館 総合展示・第1展示室「先史・古代」(2019年3月19日リニューアルオープン)
特集展示『もののけの夏』を見に行ったついでに、今年3月にリニューアルした「先史・古代」の展示室をようやく見てきた。以前の展示がどのようなものであったか、よく覚えていないのだが、とにかく新しい展示は面白かった。
総合展示のエントランスホールもあわせてリニューアルされ、楽しく華やかになった。日本の歴史を彩るさまざまなキャラクターが出迎えてくれる。歴博ファンならおなじみ、コノエさん(男性)とサンジョーさん(女性)の姿もある(洛中洛外図屏風・歴博甲本から)。
「先史・古代」の入口には大きな象。約4万年前の南関東に生息していたナウマンゾウである。ちょっと北海道博物館を思い出した。調べたら、ナウマンゾウの化石は、明治時代に横須賀で発見されたほか、浜名湖畔、野尻湖畔、東京各地、北海道湧別町、千葉県印旛村でも見つかっているそうだ。
3万7千年前に日本列島に人類が出現する。この時期を「最終氷期」(約11万〜1万2千年前)と呼ぶのだな。私が子供の頃の教科書には、なかった言葉だと思う。人々は移動性が高い狩猟採集の生活を営んでいた。ということで、まるで明治期の活人形みたいにリアルな人形でその様子を再現。落とし穴に落ちた獲物を狙っているところ。身にまとっているのは獣のなめし皮だが、身体にフィットして動きやすそうな衣服に仕立てている。
この二人は、朴葉(?)に包んだ鶏肉や木の実を蒸し焼きにして調理中。杭州名物「乞食鶏」みたいだ。隣のモニタには、当時の調理方法を再現した実験の映像が流れていて、美味しそうだった。
縄文時代には、環境の違いに応じて、各地に多様な生活様式や社会、精神文化が形成された。近年の『縄文』展や『国宝』展で話題をさらった火炎土器や国宝「土偶」のよくできたレプリカが集合している。東博の『縄文』展で見た「縄文ポシェット」(樹皮を編んだ小さい籠)や、歴博の『URUSHIふしぎ物語』展を思い出す漆製品(のレプリカ)もあった。
紀元前10世紀ごろに九州北部で始まった水田稲作は、ゆっくりと日本列島各地に広がっていく。「縄文時代」の次は「弥生時代」というのが、私の習った日本の歴史だったが、ここでは「縄文」以降に「北海道(続縄文)」「弥生時代(本州東部/本州西部)」「南島」という3つないし4つの道があったことをきちんと示す。一時期、北海道に住んで、本州と異なる時代区分に驚いた経験がある者としては、とても満足である。
続いて「倭」の登場と「日本」への成長(古墳時代、飛鳥時代)は、東アジア世界との交流を強く意識しながら構成されている。九州国立博物館の文化交流展示を思い出す感じで、私はとても好き。正倉院文書の複製(クラウドファンディングで資金調達したものか?)や、『日本の素朴絵』展にも出ていた墨書人面土器のレプリカもあって、古代の人々を身近に感じることができる。「沖ノ島」のコーナーには祭場の実物大模型があったが、あれもどこかの特別展で使ったものだったかしら?違うかな。
また次回も新たな発見があるに違いない。再訪を楽しみにしている。