■京都国立博物館 名品ギャラリー(2015年7月25日)
まだ書いていなかった展覧会のレポートをまとめて。先週末は、奈良博のあとで京博にも寄った。特別展のはざまで、常設展のみだったが問題なし。中世絵画は『個性の画家・雪村』(2015年7月7日~8月9日)で、鯉にまたがる『琴高仙人・群仙図』、龍の頭に乗った『呂洞賓図』など水墨画の名品だけでなく、え?こんな絵も描いていたの?と驚く、彩色の草花、中国ふうの官女図など、バラエティ豊かだった。近世絵画『龍虎-仏法の守護神-』(2015年7月7日~8月9日)には、建仁寺の巨大な『雲龍図』(海北友松筆)が登場。3階のギャラリーからも目を引く。1階では、奈良博の『白鳳』展にあわせてか、小金銅仏の小特集(2015年6月30日~9月13日)。岡寺の菩薩半跏像は、なぜ奈良博に出陳されなかったんだろうと思ったが、時代は「奈良」で、少し新しいのだな。京都・大興寺の木造十二神将立像(巳神と午神、鎌倉時代)もよかった。現場では自信がなかったけど、2013年春の非公開文化財特別公開で拝観したことがあるのを、いま確認。
■京都国際マンガミュージアム 企画展『マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から』(2015年6月6日~9月6日)
これは今月初めにショートステイの関西旅行をしたとき、見に行ったもの。しかし、思った以上に衝撃が強くて、感想が言葉にならなかった。もはや古典というべき戦争マンガ、中沢啓治『はだしのゲン』や水木しげる『総員玉砕せよ!』、雑誌連載時に読んでいた松本零士『音速雷撃隊』など、なつかしい作品に加え、新しい三人の作家、おざわゆき、今日マチ子、こうの史代を紹介する。いずれも作品の一部がパネルで展示されており、じっくり読み込んでしまう。戦後日本の思想と「文学」を語る上でも、これらマンガの到達点と影響って、無視できないんじゃないかな、と感じた。
■渋谷区松濤美術館 『麗しき(うるわしき)日々への想い-北京藝術博物館所蔵名品展-』(2015年6月9日~7月26日)
北京市内の古刹万寿寺にある北京藝術博物館の所蔵品から、明清時代の宮廷で用いられた染織・金工・陶磁器などの工芸品などを展示。西太后自筆の書画もあり、全体に女性好みの品が多かった。北京もしばらく行っていないなあ。
■出光美術館 『没後180年 田能村竹田』(2015年6月20日~8月2日)
幕末の文人画を代表する田能村竹田(1777-1835)の特集展示。以前の私は「奇想」の江戸絵画には引かれても、穏やかな風景に理想の境地を見出す「文人画」には、全く興味を感じなかった。それが不思議なもので(年齢のせい?)最近、文人画や南画と言われる作品を見ると、妙に気持ちが落ち着くようになってきた。連日の猛暑と緊張を要する仕事が続いて、ややバテ気味だったところ、本展は、ほどよい疲労回復の薬となった。中国絵画の伝統に忠実な竹田の作品は、山水画でも、必ずその中に小さく人物を配する。本展では、作品ごとに、人物の描かれた部分を引き伸ばしたパネル(シール)を添えるという展示方法が取られていて、とても面白かった。本場中国の山水図や、池大雅や与謝蕪村、浦上玉堂らの作品もあわせて展示。でも、あわせて見ると、やっぱり大雅や蕪村のほうが上手いなあ、と感じてしまう。
まだ書いていなかった展覧会のレポートをまとめて。先週末は、奈良博のあとで京博にも寄った。特別展のはざまで、常設展のみだったが問題なし。中世絵画は『個性の画家・雪村』(2015年7月7日~8月9日)で、鯉にまたがる『琴高仙人・群仙図』、龍の頭に乗った『呂洞賓図』など水墨画の名品だけでなく、え?こんな絵も描いていたの?と驚く、彩色の草花、中国ふうの官女図など、バラエティ豊かだった。近世絵画『龍虎-仏法の守護神-』(2015年7月7日~8月9日)には、建仁寺の巨大な『雲龍図』(海北友松筆)が登場。3階のギャラリーからも目を引く。1階では、奈良博の『白鳳』展にあわせてか、小金銅仏の小特集(2015年6月30日~9月13日)。岡寺の菩薩半跏像は、なぜ奈良博に出陳されなかったんだろうと思ったが、時代は「奈良」で、少し新しいのだな。京都・大興寺の木造十二神将立像(巳神と午神、鎌倉時代)もよかった。現場では自信がなかったけど、2013年春の非公開文化財特別公開で拝観したことがあるのを、いま確認。
■京都国際マンガミュージアム 企画展『マンガと戦争展 6つの視点と3人の原画から』(2015年6月6日~9月6日)
これは今月初めにショートステイの関西旅行をしたとき、見に行ったもの。しかし、思った以上に衝撃が強くて、感想が言葉にならなかった。もはや古典というべき戦争マンガ、中沢啓治『はだしのゲン』や水木しげる『総員玉砕せよ!』、雑誌連載時に読んでいた松本零士『音速雷撃隊』など、なつかしい作品に加え、新しい三人の作家、おざわゆき、今日マチ子、こうの史代を紹介する。いずれも作品の一部がパネルで展示されており、じっくり読み込んでしまう。戦後日本の思想と「文学」を語る上でも、これらマンガの到達点と影響って、無視できないんじゃないかな、と感じた。
■渋谷区松濤美術館 『麗しき(うるわしき)日々への想い-北京藝術博物館所蔵名品展-』(2015年6月9日~7月26日)
北京市内の古刹万寿寺にある北京藝術博物館の所蔵品から、明清時代の宮廷で用いられた染織・金工・陶磁器などの工芸品などを展示。西太后自筆の書画もあり、全体に女性好みの品が多かった。北京もしばらく行っていないなあ。
■出光美術館 『没後180年 田能村竹田』(2015年6月20日~8月2日)
幕末の文人画を代表する田能村竹田(1777-1835)の特集展示。以前の私は「奇想」の江戸絵画には引かれても、穏やかな風景に理想の境地を見出す「文人画」には、全く興味を感じなかった。それが不思議なもので(年齢のせい?)最近、文人画や南画と言われる作品を見ると、妙に気持ちが落ち着くようになってきた。連日の猛暑と緊張を要する仕事が続いて、ややバテ気味だったところ、本展は、ほどよい疲労回復の薬となった。中国絵画の伝統に忠実な竹田の作品は、山水画でも、必ずその中に小さく人物を配する。本展では、作品ごとに、人物の描かれた部分を引き伸ばしたパネル(シール)を添えるという展示方法が取られていて、とても面白かった。本場中国の山水図や、池大雅や与謝蕪村、浦上玉堂らの作品もあわせて展示。でも、あわせて見ると、やっぱり大雅や蕪村のほうが上手いなあ、と感じてしまう。