○大倉集古館 館蔵品展『大倉コレクションの精華I-中世・近世の絵画-』(2013年4月6日~5月26日)
大倉集古館の館蔵品展と聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは国宝『随身庭騎絵巻』である。出るのか? いや「中世・近世の絵画」とうたっておいて、出さないはずはないよなーと思って、この週末、短い東京滞在の間に大倉集古館を訪ねることをスケジュールに入れた。行ってみたら、確かに出ていたけど、前期(4/6~5/6)のみの展示だった。あぶなかった~。
巻頭から巻末まで、全図展示は何年ぶりだろう? 自分のブログに検索をかけた限りでは、2006年の『国宝「随身庭騎絵巻」と男(をとこ)の美術』展で、巻頭から4人目までしか見られなかったガッカリ記録が出てくる。随身たちの、馬を操る力の入った表情もさることながら、筆者は、馬をカッコよく描くのが楽しくてしかたないように見て取れる。小学校の同級生に、オートバイや戦車をやたら緻密に描くのが趣味だった男子がいたけれど、あの感じ。タテガミの毛筋の流れるような美しさ。ひづめの向きからすると、飛び跳ねた馬が、中空で一瞬静止した状態を描いているのかな、と思う。
そのほかにも名品多し。『融通念仏縁起絵巻』は、当麻寺を拠点に活動した勧進聖の良鎮が制作した百余本のうちの一本、という解説を読んで、あれ、どこかで聞いたことがあると思ったら、根津美術館の『『仏教説話画の名品とともに』にも同系統の一本が出ていた。素朴な画風になごむ。
『普賢十羅刹女図』は、和装(女房装束)の羅刹女がめずらしい。九人しか認識できなかったけど。普賢菩薩の顔立ちも、温和でどことなく日本人顔。伊勢・朝熊山の山容とともに描かれた『虚空蔵菩薩像』も、和様な感じがするのは、正面性に厳格でない(身体が斜め横を向いている)ためか。
冷泉為恭の『山越阿弥陀図』は巨大すぎて、ちょっと笑ってしまった。V字型に切れ込んだ山の間から出現しているので、地中から湧き出したようにも見える。『聖徳太子勝謾経講讃図』は、童形の山城大兄が妙にふてぶてしい。1階はこれら仏画と、久しぶりに宗達派の『扇面流図』屏風を見た。水の流れの激しさ、動きが感じられて好き。
2階は、2012年の『古今和歌集序と日本の書』展で見た光悦&宗達の「詩書巻」が出ていて嬉しかった。詩は南昌の名勝・滕王閣を読んだもの。『名将肖像図巻』は65人の肖像画帖だが、その肖像があまり知られていない武将などもあり、菩提寺などに納められて、一般に見ることの難しい絵を参考にした可能性もあるという。展示箇所は、秀吉→秀次→弁慶(?)→頼政→大田道灌という不思議な並び方だった。山本勘助もいた。
『百鬼夜行絵巻』は、かわいいバージョン。古寺の内外で田楽を楽しんでいた妖怪たちが夜明けの到来によって退散するストーリーで、近世初期の邦楽の様子をうかがい知ることができるのだそうだ。こういう親切な解説はありがたい。牛車の中の巨大な赤子(?)の妖怪が怖かった。
大倉集古館の館蔵品展と聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは国宝『随身庭騎絵巻』である。出るのか? いや「中世・近世の絵画」とうたっておいて、出さないはずはないよなーと思って、この週末、短い東京滞在の間に大倉集古館を訪ねることをスケジュールに入れた。行ってみたら、確かに出ていたけど、前期(4/6~5/6)のみの展示だった。あぶなかった~。
巻頭から巻末まで、全図展示は何年ぶりだろう? 自分のブログに検索をかけた限りでは、2006年の『国宝「随身庭騎絵巻」と男(をとこ)の美術』展で、巻頭から4人目までしか見られなかったガッカリ記録が出てくる。随身たちの、馬を操る力の入った表情もさることながら、筆者は、馬をカッコよく描くのが楽しくてしかたないように見て取れる。小学校の同級生に、オートバイや戦車をやたら緻密に描くのが趣味だった男子がいたけれど、あの感じ。タテガミの毛筋の流れるような美しさ。ひづめの向きからすると、飛び跳ねた馬が、中空で一瞬静止した状態を描いているのかな、と思う。
そのほかにも名品多し。『融通念仏縁起絵巻』は、当麻寺を拠点に活動した勧進聖の良鎮が制作した百余本のうちの一本、という解説を読んで、あれ、どこかで聞いたことがあると思ったら、根津美術館の『『仏教説話画の名品とともに』にも同系統の一本が出ていた。素朴な画風になごむ。
『普賢十羅刹女図』は、和装(女房装束)の羅刹女がめずらしい。九人しか認識できなかったけど。普賢菩薩の顔立ちも、温和でどことなく日本人顔。伊勢・朝熊山の山容とともに描かれた『虚空蔵菩薩像』も、和様な感じがするのは、正面性に厳格でない(身体が斜め横を向いている)ためか。
冷泉為恭の『山越阿弥陀図』は巨大すぎて、ちょっと笑ってしまった。V字型に切れ込んだ山の間から出現しているので、地中から湧き出したようにも見える。『聖徳太子勝謾経講讃図』は、童形の山城大兄が妙にふてぶてしい。1階はこれら仏画と、久しぶりに宗達派の『扇面流図』屏風を見た。水の流れの激しさ、動きが感じられて好き。
2階は、2012年の『古今和歌集序と日本の書』展で見た光悦&宗達の「詩書巻」が出ていて嬉しかった。詩は南昌の名勝・滕王閣を読んだもの。『名将肖像図巻』は65人の肖像画帖だが、その肖像があまり知られていない武将などもあり、菩提寺などに納められて、一般に見ることの難しい絵を参考にした可能性もあるという。展示箇所は、秀吉→秀次→弁慶(?)→頼政→大田道灌という不思議な並び方だった。山本勘助もいた。
『百鬼夜行絵巻』は、かわいいバージョン。古寺の内外で田楽を楽しんでいた妖怪たちが夜明けの到来によって退散するストーリーで、近世初期の邦楽の様子をうかがい知ることができるのだそうだ。こういう親切な解説はありがたい。牛車の中の巨大な赤子(?)の妖怪が怖かった。