日曜日は、北海道立近代美術館の『
ゴジラ展』を見に行く前に、二年前まで住んでいた宿舎の近くを散歩してみた。札幌市有形文化財の清華亭は看板などが新しくなって、以前よりきれいになった印象。正面の偕楽園緑地は、こんなに緑が深かったかなあ。緑地の隅にある井頭龍神(いのかみりゅうじん)社は、雪のない季節に近づいてみるのは、実は初めてのこと。
それから、朝9時に開園する
北大植物園を訪ねる。まだ秋の気配はなくて、したたるような緑一色。人の少ない園内を、自転車です~っとまわっている作業服姿のお兄さんを見かけた。いいなあ、こういう仕事。いつもと順路を変えて、初めてバラ園に行ってみると、控えめな秋バラが少しだけ咲いていた。あまり人の手の入っていない、自然にまかせた庭の様子が、秘密の花園っぽい。
園内の博物館(展示室)で南極に行った樺太犬ジロに会う。先日、科博でタロに会ったので、兄弟犬のジロにも会いたかったのだ。そして、タロもジロも黒一色の樺太犬だったことを再確認する(どちらかが白かったように誤って記憶していた)。
調べたら、タロとジロは稚内生まれ。ジロは第4次越冬中の1960年に昭和基地で病死し(5歳)、剥製は国立科学博物館に保管されることになった。タロは第4次越冬隊と共に帰国した後、10年近く、この植物園で飼育されていたらしい。1970年に老衰のため14歳7か月で死亡。まあ故郷の北海道で穏やかな余生を過ごせたのなら幸せだったのかな。
展示室には、エゾオオカミの剥製もあり。すでに絶滅した種。
近代美術館を見たあと、午後は北大キャンパスの中にある
北海道大学総合博物館を見に行く。2015年4月から改修工事のため休館していたが、今年2016年7月、リニューアルオープンしたばかりだ。
外観は特に変わった印象を受けなかったが、中に入ると、けっこう変わっていた。「北大のいま」の展示が、学部・研究センター別になり、分かりやすくなった。各組織が、自分たちの研究をいかに分かりやすく面白く伝えるか、知恵をしぼっている様子が楽しい。北大を受験しようかどうしようかと考えている高校生にも、アピールすると思う。あと「北大の歴史」では、「国家主義の東大」に「リベラリズムの北大」を明確に対置しているのが小気味よくて、笑ってしまった。
3階の「収蔵標本」の展示は、以前より展示らしくなった。以前というのは、初めて訪ねた2010年のことで、ただの資料倉庫のように見えて、実は中に入ってもいい、という曖昧な公開の仕方(※
当時の記事)が、個人的にはとても好きだったのだけど、今回は、展示室は展示室らしくなっていた。
でも通路の奥には入り込めないよう、さりげなくクマの剥製が邪魔をしているあたりは、この博物館らしくて好き。棚の木箱には、前回も気になった「遺存体」というラベルが貼ってある。
この子たちも、古くからこの標本室の住人だったように思う。足元にすり寄ってきそう。
そして、古生物標本の部屋はやっぱり最高! 北海道立近代美術館の『ゴジラ展』を見に行く方には、是非あわせて、この標本室の参観をおすすめしたい。耳の奥でゴジラのテーマ曲が鳴り響いて、いつも以上に想像力を刺激される。
リニューアル前の、何が隠れているか分からない「ワンダーカマー(驚異の部屋)」的な雰囲気は薄らいでしまったが、明快で科学的(理性的)で、市民に愛される雰囲気が増したように感じた。館内に
カフェができたのもうれしい。今回は利用しなかったが、なんと生ビール(サッポロクラシック!)も飲めるらしく、素晴らしい。
このあと、まだ少し時間があったので、2015年12月にループ化された市電を1周乗ってみた。満足。
※おまけ:昼食に食べたもの。赤れんがテラス「布袋」のレディースランチ。ザンギ2個って少ないかな?と思ったが、普通の市販のから揚げの2~3個分のボリュームがあるので、お腹いっぱい。ザンギ6個の定食Aって、ちょっと信じられない。
今回は帰りの飛行機に遅延もなく、無事帰宅。北海道、近いなあ。また行きたい。