■東寺 弘法市+東寺宝物館 開館55周年記念『東寺名宝展-重要文化財 二間観音と密教工芸-』(2020年3月20日~5月25日)
連休2日目は京都。今日は21日だから東寺縁日(弘法市)だ!と思い出して東寺に向かう。朝9時過ぎについたら、境内は大賑わいだった。東門を入ると、まず目につくのは植木屋さん。子供の頃、3月末に近所のお寺(真言宗だった)で開かれる植木市を楽しみにしていたことを思い出す。パンジーとか芝桜とか、小学生のお小遣いでも買える花の苗を選ぶのを楽しみにしていた。
弘法市は、着物や書画、工芸品、骨董品もあれば、
野菜、海産物、漬物、パンやスイーツもある。
高野槙は和歌山から来るのかな? 泉州のタオル、若狭の塗り箸、明石のタコなど近県の特産品も。
私は洗って使える布製のマスクを購入。むかし台湾でオートバイの排気ガスがひどかった頃、こういうマスクを買ったことを思い出して懐かしかった。
大日堂、御影堂のあたりも参詣客で賑わっていた。御影堂の西側にひときわ濃いピンク色の「陽光桜」が満開だった。調べたら、「伯方の塩」の伯方塩業取締役会長をつとめた故・高岡正明氏が作出した品種であるらしい。面白い由来があるものだ。
境内の南側にまわると、金堂正面の扉が開け放たれていて、屋外から薬師如来のお姿を拝むことができた。ふだんは有料拝観エリアなので近づけないはずだが、弘法市(あるいはお彼岸?)の日は特別らしい。食堂で御朱印をいただき、夜叉神に挨拶していこうと思ったら、なぜか雄夜叉がいなかった。
続いて宝物館の特別展を見る。25年ぶりに公開された「二間観音」は、もと宮中清涼殿二間(ふたま)に安置されていたとされるもの。現在は、東寺の後七日御修法の際に祀られる。胸の前で左手に蓮華のつぼみを持ち、右手を添える聖観音菩薩を中尊に、右に帝釈天、左に梵天。光背、宝冠、瓔珞、衣のひだ、天衣の流れ下り方など、全て精緻で繊細。聖観音の立つ蓮華座からも宝珠の鎖がこぼれ落ちている。チラシの写真で見ると、ちょっとやり過ぎに見えるが、本物は優雅で気品があった。南宋風の優雅さ。でも顔立ちは和風だと思う。六角形を左右に引き伸ばしたような厨子が付随していた。
このほかにも西院御影堂に伝来した仏像を公開。いずれも比較的小さなもの。愛染明王、釈迦如来(快慶の阿弥陀如来っぽい)、弥勒菩薩(腰が細く女性的)など。釈迦如来と弥勒菩薩は宣陽門院(後白河天皇の第六皇女)の寄進だという。あと東寺の梵鐘修理のため、足利尊氏が「馬一疋」を寄進したという文書が面白かった。
巨大な千手観音を安置する展示室には、いつもの兜跋毘沙門天がいないので、どうしたのかと思ったら、奈良博の特別展「毘沙門天」に出陳中、という札が立っていた。そうかあ、入れなかった奈良博の建物の中にいらっしゃったのかなあ。代わりに(?)雄夜叉が来ていて、ここにいたのか!と驚く。
■相国寺承天閣美術館 企画展『茶の湯-禅と数寄』2期(2020年1月11日~3月29日)
後半に相国寺九十五世・鳳林承章の日記『隔蓂記(かくめいき)』に見られる、茶の湯をめぐる交流、墨蹟や美術品の購入・贈答の記録などが紹介されていて、茶の湯とは全然関係なく「ミイラ、ルザラシ、ウニコウル」という片仮名に目が留まってしまった(ルザラシは薬草)。
■平野神社(京都市北区)
早咲きの「魁桜(さきがけざくら)」という品種が満開というニュースを見たので行ってみた。色の薄い、ほぼ白に近い枝垂れ桜の美しさもさることながら、幹に大きな空洞を持つ状態で、満開の花を咲かせていることに驚いた。
■八坂神社(京都市東山区)
最後に八坂神社に寄った。このご時勢なので、疫病鎮めの八坂さんを拝んでおこうと思ったのだ。そうしたら、石段を上がってすぐの摂社の鳥居に茅の輪が取り付けてあった。蘇民将来を祀った疫神社であるという。なるほど。列の後ろに並んで、茅の輪をくぐって参拝した。
さらに八坂神社の本殿の横にも茅の輪がしつらえられていた。こちらは左右が開けていて「8の字」まわりに3回くぐる(蘇民将来の子孫也と唱えながら)ように、との説明が添えられていた。通常、茅の輪くぐりは6月末の「夏越しの大祓」に行われるものだが、新型コロナウィルス感染症の流行を鎮めることを祈念して、特別に設置されたのだという。こちらも長い列ができていて、みんな神妙にくぐっていた。
御朱印も「八坂神社」とあわせて、初めて「疫神社」をいただいてきた。ちなみに前日は奈良の春日大社にも詣でた。春日大社でも悪疫退散の特別祈願を行っていると聞いたので。科学も大事だが、こういう祈りも大事だと思う。